うる星やつらテレビシリーズ第九期データ
12/9更新

第一期   第二期   第三期   第四期   第五期   第六期   第七期   第八期   第九期

※全て敬省略、すんません。
※原作の「1-1」表示は、小学館コミックス1巻1話目を表しています。
※「感想」は管理人deaconの独断と偏見によるものです。あしからず。

第199話 お魚つかみどり!浜茶屋のイケナイ商売
放送月日 1985.10.2
脚本 土屋斗紀雄
演出 関田修
原作 27-7、16-8(一部)
作画監督 澤田正人
独断評価 ★☆
原画 ビィーボー、篠雅律、山本正文、南伸一郎、澤田正人
田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、鷲尾真知子(さくら)、西村知道(校長)、池水通洋(温泉マーク)、金丸淳一、能村弘子、大城まつみ、柏倉つとむ
内容
(199話)
三日間の休暇といいつつかれこれ一週間その姿をみせない竜之介親子。校内には「夜逃げ」論が大勢をしめていた。そこへひょんなことからクラス全員が面堂家のマリンパークに誘われることに。もともとラムとしのぶだけを誘おうとしていた面堂の目論みは脆くも崩れ去ってしまう。当日、面堂家マリンパークに終結した2年4組生徒一同。なぜかそこにはあたるの両親も混ざっていた。全員で水族館の見学に向かおうとしたとき、プールサイドでビラを配る竜之介の父の姿をあたるが双眼鏡で発見。どうやらこのマリンパークのプールを使って活魚つかみ取り大会を催すらしい。そんな催しごとなど全然知らなかった面堂は支配人を怒鳴り込むが、竜之介の父の口車に乗ってしまった支配人はもう取り消すことはできない。終太郎の怒りをとくにはなんとしてでもこのつかみ取り大会を成功させねばならない。そんな支配人の気持ちを知ってか知らずか、竜之介の父は自信満々。たった500円で魚のつかみ取りができるとあって、続々参加者がプールに詰め掛ける。そしてつかみ取り大会の始まり。しかしプールには巨大な鮫と、カジキ、電気エイの姿があった…。
感想
(199話)
今回も全く関係のない原作二作分の混合エピソード。やはり後期に入って(第130話以降)、一つ一つのエピソードに間延びがあることがスタッフにも分かっていたのであろう。この後もこういった混合パターンが幾つか続く。前半エピソードは、原作では、正月休暇に冬山に山篭りする竜之介親子と、偶然その冬山にスキーにやってきたあたる達とのやり取りがメインの物語だった。しかし季節は秋。しかも舞台は海。何故この時期に休みを取ってまで特訓を!?との疑問も氷解せぬまま、お魚掴み取りのエピソードへ導入してしまう。面堂、今回も前回同様ラムとしのぶだけを誘おうとしていた。だからいざ連れて行ったとしても、あたるが来てないと分かった時点でラムが帰ってしまうのは明白ではないかっ!ほんっと成長せんな、面堂。場面は変わって竜之介親子の海辺の特訓シーン。この竜之介の回想シーンではビートルズの「Your Mother Should Know」が流れていた。この曲を聴いた途端、今日(11/30)亡くなったジョージ・ハリスンの顔が目に浮かんでしまった(この曲はポール・マッカートニーの作品だが)。心よりご冥福を祈ります。しかし二人のやり取り場面の冗長なこと。なぜ折角二話分を使ってるのに、こんな場面でひっぱるのだろうか。おかげで前半のエピソードが全然消化せぬまま後半に突入してじゃないか。後半冒頭、クラスメートともに何故か正装してご相伴あずかるあたるの両親の姿には笑った。この後、「テンちゃんにおみやげ」というラムの発言によって、今回テンが招待されてないことが判明。あたるの両親でさえ強引に参加してるのに、ただ一人家に残されたテンの気持ちって。連れてってやれよ、あたるラム。この正装するあたる両親の格好はまさに第112話「ラムとあたる・二人だけの夜」の旅行出発シーンとほぼ同じ(色は違うけど)。彼らにとってこれが精一杯の格好なのであろう。プールの中に放出された獰猛な魚の一群について、竜之介がカジキの名前を正確にあてるシーンがあったが、さすが海で育った子供、一般常識はひたすら弱いが、魚には強い。このプール、掴み取りする人の足元を参考にすると深さはどう見積もっても20cmも無かった。こんな水位の低い所に、あの巨大な鮫やカジキ、エイを放出していた竜之介の親父。君は本当に海を愛しているのか!?更にあの鮫、どうみても直径20cmは超えていたぞ。とてもしなやかに泳げる条件にはなかったのに、健気に水を切っていた鮫。鮫は泳いで流水をエラに通過させることによって呼吸をしている。つまり動きを止めることは彼らにとって死を意味するのだ。さあ鮫!コタツ猫を襲うのはお門違いだ。こういう条件に自分を追いやった竜之介の父の息の根を止めにいけっ!そしてこの後、この大量の魚群が、実は面堂家マリンパークの水族館から盗まれたことが判明する。犯人は当然竜之介の父。原作では、ちゃんと竜之介の父が金を出して調達したものだったのに。ほんと、アニメの竜之介の父は、原作をはるかに凌駕する鬼畜である。こういうキャラの性格を悪いほうへとひん曲げるアニメのエスカレートはあまり好きでないのが本音。この竜之介の父のおかげで、マリンパークの支配人の人生を大きく変えてしまったのは事実(解雇の可能性もあり)。これは笑えんなぁ。そしてラスト。客に掴みとられた魚を全部回収し、身動き取れなくなった父を背景に「縁切りてぇな…。」と呟く竜之介の姿。そしてフェードアウト。え?ななななななななんなの?このオチ…。これで終りなの?身動きの取れなくなった父の着ぐるみから、再び客が魚を奪っておわる原作のオチがなぜこんな中途半端に消化されてるの!?これはアニメーション製作がスタジオディーンに変更してから共通してることなのだが、何故か130話以降、原作のシニカルなオチが意識的に安直で変に分かりやすいオチに変更させられる事が多かった。なんでかなぁ。今回も前々回もそう。一番大事なオチで肩透かしを食らうのは、最後のデザートが口に合わなかったようなもの。ま、あくまで私の個人的感想ですけど。反論、同調意見お待ちしてます♪更に今回の絵も、これまでの流れからすると結構異質。途中の掴み取りシーンをのぞくと、全体的にキャラの顔が幼く見えた。面堂なんか顕著。冒頭、クラスメート全員を招待する羽目になってしゃがみこむ彼のスタイルは、デブと断言してもよい。一回ごとにこれほど絵柄が変わるというのも、うる星の特色。バラエティに富んでよかったかも知れんが、戸惑いが多かったのも事実である。ああ。今回は文句ばっかりになってしまった。すまん。これは私の個人的見解ですからねぇ。石投げないでください。でも反論とかはいつでも歓迎しますからね。


第200話 星に願いを!あたる一家は欲望パニック
放送月日 1985.10.16
脚本 柳川茂
演出 吉永尚之
原作 28-1
作画監督 吉永尚之
独断評価 ★★★☆
原画 スタジオリバティー、アニメ浪漫、古橋一浩、戸倉純
西村智博(コタツ猫)、池水通洋(課長)、鷲尾真知子(妻)、田の中勇(願い星)、菊池正美、石田光子
内容
(200話)
家では嫁の尻に敷かれ、会社ではねちっこい課長にいじめられる。今日の昼飯代はたったの百円だ。俺の人生って一体。度重なる人生の不幸に心身ともにボロボロになるあたるの父。そんなある晩、諸星家に流星が落ちてきた。大音響とともに現れたのは星の形をした願い星。三つだけ願いをかなえてあげるとの事。そんな星の言うことなぞ全く耳を貸さないあたるの両親。必要とされてないと悟った願い星は、諸星家をさろうとするも、両親の「家を直してから帰れ」の言葉に、一躍元気になり、手にもった短冊にその旨を記入してもらう。その短冊を食べた願い星、「ささのはさーらさら」の呪文と同時に何と家が一気に元通りになったではないか。願い星の実力を知ったあたるの両親はあっというまに改心、至れり尽せりの歓迎をする。さてここで諸星家の醜い争いがはじまった。残る願いは二つ。さあ、誰の願いを優先すべきか!緊張が走る。その瞬間、錯乱坊が登場、「ヤキソバが食いたい」と短冊に記入、一瞬のうちにその願いをかなえてしまった。あまりの素早さに呆然とする諸星家。一家総出で錯乱坊をリンチするも時すでに遅し。残りの願い事はあとたったの一つとなってしまった。「世の中金よ金!金で買えない夢がありますか!」と豪語する母(しかしひでーな)、「ハーレムじゃ!」とのたまうあたる、「ダーリンの浮気をなおしたい!」と切実に願うラム、今一よくわからないテン。それぞれの思惑が交差する。ただ一人沈思黙考するあたるの父。願い星は、朝になると帰ってしまうという。夜通し議論しても結果のでない諸星家。ついにアミダで願いをかなえる人を選ぶことに。アミダによって勝利したのはあたるの父。あたるの父の願いはなんだったのだろうか?父の願いのかいたこよりを開くあたるの母。そこには「人生をやり直したい」という、父の心の叫びがあった。
感想
(200話)
おお!放送200話目にして遂にあたるの父が主人公に!に遅れることちょうど100話。放送終了前に桧舞台にあがれたわけだ。おめでとう、あたるの父(名前ないもんなぁ)。冒頭、上司が彼に向かって「諸星くん!」と呼ぶ場面は思いっきり違和感。でもそうなんだよね。あたるの父だから当然苗字は諸星。また、こういったいかにもサラリーマン漫画的な会社内描写もうる星にはまずなかったから、かなり新鮮だった。何故か私は「サザエさん」における「海山商事」を思い出してしまった。課長から手厳しいお叱りを受けたあたるの父、同僚から「全くあの課長ときたら部下をいじめることでストレス解消してるんですから」と慰めを受けていたが、おいおい、まだ目の前に課長はいるのだぞ。度胸があるというか、調子がいいというか。この同僚も出世街道から大きく外れているものと見える。その同僚の言葉を全く否定しなかったあたるの父も同様だなこりゃ。その同僚があたるの父を昼食に誘うシーンでは、この二人の後ろに何と「究極超人あーる」の姿があるではないか!当時うる星と同じ少年サンデーで連載されてたゆうきまさみ氏(パトレイバーで有名)のマンガ。美味そうに弁当を食っていたが、こいつ確かロボットじゃなかったか?あ、そういえば、原作でもおにぎり食べてたっけ?コミックスは持ってなかったけど、サンデーで連載開始から連載終了まで読んだものである。確かにこのマンガもマニアックだった。それがうる星スタッフの嗜好に合ったのかもしれん。あたるの父がポケットから百円玉を取り出した瞬間、遠くから覗き込もうとした彼の仕草がおかしかった。しかし昼食代が百円とは。問題は、あたるの母が父に百円しか渡さなかったことではなく、この朝の母からの支給以外に、父が普段一円も持ってないということ。凄まじい夫コントロールである。しかもこの百円は財布に入ってなかった。普段から財布も持ち歩いていないのか。余りといえば余りの貧乏。これもやはり居候による家計圧迫が原因か!?(ラム、テン、コタツ猫、しょっちゅう飯だけ食べに来る錯乱坊等)。ラムもテンも大食漢ではないだろうが、調味料のタバスコ代がかなり高くついていると見た。17年間一人っ子だった諸星家にこれほど居候が増えれば確かに落ちぶれよーて。なのに、ラムとテンに一切文句をいわないあたるの両親。かんどーである(アニメ第二話「町に石油の雨が降る」でラムが支払った莫大なエネルギー代に引け目を感じてる可能性もあり)。あたるの父の妄想による願望シーンには、娘としてしのぶが、妻としてサクラが描かれていた。ラムがくるまでにずっと息子と付き合いのあったしのぶ。そして離婚の危機という犠牲を払ってまでうなぎをおごってあげたサクラ(第74話)。父が彼女たちを自分の願望として選んだのも何となくうなずける。ここまではアニメオリジナル。後半から原作をベースとした物語に。流れ星と同じくらいの速さで落下してきたと思われる願い星。諸星家の天井や畳、テーブルを粉砕していた。なんという小規模な被害。ふつーなら全員即死だ即死。これで助かっただけでも幸運といわねばなるまい。ノーテンキに「願いを唱えよ」と語る願い星と、目線を合わせず淡々と後片付けにいそしむ母の対比が面白い。また、願い星の能力を目の当たりにした途端、手のひらを返したように態度を変える両親の姿も◎。更に絶妙なタイミングでヤキソバを注文する錯乱坊の描写も爆笑モノだった。しかしさすがは高僧。何でも願い事がかなえる状況であえてヤキソバを注文するとは。この錯乱坊登場シーンで、爆発するあたる一家、中でも母の「目が点」状態の表情は笑える。体と口を縛られ転がされる錯乱坊の姿も。この錯乱坊、異常に顔色が悪かったがチアノーゼに陥ってる可能性アリ。鼻が詰まってたのか?自分の権利を放棄して、両親の願いをかなえてあげるというあたるの目が、異常にでかくて気持ち悪い。また自分の部屋に入ってニセモノの短冊を作ろうとするあたるの顔は錯乱坊そっくり。更にラムの短冊を破り捨てた直後のあたるの恐ろしいご面相と、怒りの為異常に伸びてしまったラムの角、あたるに足蹴を喰らったテンの表情等も必見。今回、キャラの顔面崩壊度が高い。林隆文氏とはまた違った崩壊具合だった。こういった状況のなか、父は再び願望妄想モードへ。前半同様、可愛い娘(しのぶ)、美しい妻(サクラ)に囲まれ幸せそうな自分がそこにいる。しかし自分はここにいるべきではないと悟った父による、「ま、まちがいだったんだよ」発言は、父の哀愁が漂っていて名言だった。そう、君にはポロシャツよりもボロシャツ(背広)が似合ってるんだから…。同じく妄想状態における、年老いた自分夫婦との遭遇シーンは強烈。このシーンも含めて、今回の話は、前回母が主人公だった第101話を踏襲している感じがあった。あの頃はスタジオピエロの実験的SF。そして今回はスタジオディーンによるノスタルジック哀話という差はあるものの。ラスト、堂堂巡りの議論に終止符を打つべくあたる一家はアミダくじで権利の行使者を決定することにしていた。そのアミダ参加に対して、ラムとテンにもちゃんと権利があったことが嬉しい。完全に諸星家の一員に同化していたんだな。そして原作と全く同じ意外な幕切れ。ところでどーやって縄抜けしたのだ錯乱坊。アニメではこの後もう一つのオチがあった。すなわち、妻から、密かにポケットに入れてもらった500円玉をみて大喜びする父の姿が。確かに今回もアニメはオリジナルのオチだった。ただ、原作のオチもちゃんと物語に入っていたし、このアニメ独特のオチも、諸星家にある程度救いがあることを示唆していて私的には満足の行くものだった。ただ、この放送、関西では放送されなかった。なぜか?時は1985年。そう、阪神タイガース優勝の年である。神宮球場で行われた対ヤクルトの阪神優勝決定戦は、当初、関西ではテレビ放送される予定はなかった。だがこの年の異常なトラフィーバーぶりに、このチャンスを逃す手はないと考えたフジテレビ(ヤクルトの筆頭株主)は、急遽、通常放送を中止、この阪神戦を流したのである。そして犠牲になった番組とは。そう、この第200話のうる星やつらと、7時から放送されていた「Drスランプ」である。関西で生まれ関西で育った私は、無論の事、生粋のトラキチ。第200話を見ることができなかったのは残念だったが、おかげでこの目で阪神の優勝する瞬間を見ることができた。家族全員が狂喜乱舞したのを覚えている。ただ、野球に興味の無い、うる星大好き少年少女は、相当この阪神戦が恨めしかったであろう。当時はまだ、再放送とか、全話収録LDとか全然考えられなかった時代。関西だけの放送中止だから、関東では流れていたことになる。つまりこの放送は永遠に日の目を見ることがない作品という印象を彼らに与えたことであろう。その怨念、恐るべし!!


第201話 くちづけ宅急便!ダーリン初めてのヤキモチ!
放送月日 1985.10.23
脚本 柳川茂
演出 鈴木行
原作 28-2
作画監督 アベ正巳
独断評価 ★★★★
原画 門脇孝一、中島敦子、浜田勝、じゃんぐるじむ
池水通洋(温泉マーク)、鷲尾真知子(さくら)、鈴置洋孝、清水祐子、石田美鈴
内容
(201話)
遥か銀河系のかなたから爆走してくる一台のバイク。それはラムへ小包をもってきた配達人のバイクだった。授業中にもかかわらず温泉を無視して小包に注目する生徒一同。しかし中から出てきたのは一匹のカエル。しかもこいつの第一声は「キスしてけろ」。こんなカエルに見覚えのないラムは、窓から放り出してしまう。差出人の名前は「ぴぐも」。そこでラムは昔の出来事を思い出す。ラムの幼児時代、故郷の星では呪い草を使った呪いごっこが流行っていて、この呪いごっこに負けてしまったものは、相手の希望する動物に変えられてしまうのだ。呪いを解く方法はただ一つ。大好きな人にキスをしてもらうこと。この幼児時代、友達の「ぴぐも」が呪いごっこに負け、大好きなラムにキスしてもらって元に戻したことがあったのだ。それを思い出したラムは、地面にたたきつけられボロボロになったぴぐもに謝罪。しかし、昔ラムがキスによって元の姿に戻したぴぐもが何故再びカエルになったのか?実はぴぐも、せんだって、昔馴染みと偶然再会し、意気投合したあげく、昔懐かしい呪いごっこに打ち興じ、再び負けてしまったのだ。このぴぐものアホさ加減に全員ため息。ぴぐものラムへのキス哀願に対して、ラムはあたるの気持ちを確かめようとするが、例によって例の如くあたるは意地を張ってしらんぷり。ならばと、ラムはぴぐもを連れて人目のつかないところを移動しようとする。さすがに気になるあたるはラムの動向をさぐろうと後をつけるが、実はラムその上空を飛んで逆にあたるの動向をチェック。「ラムが他の男にキスをするくらいなら自分にも他の女とキスする権利がある」という持論で他の女とキスしようとするあたる。最終的には、ラムはぴぐもにキスをするのだが…。
感想
(201話)
冒頭一分三十秒のプロローグ(宇宙シーン)。相変わらず長い!でも、BGMが私の大好きな曲だったので、それほど間延びした感じはなかった。でもなげーな。教室シーンであたるが恋文を飛行機にして女の子に送りつける場面があるが、ここの竜之介は、顔の表情、眉の太さ、腕の太さ等何故かモロ男。竜之介の存在を知らん人が初めて見たら、あたるを両刀使いと勘違いする可能性大。生徒のモブシーンでは再びケンシロウが登場。一人だけ劇画チックの顔をしていて思いっきり浮いていた。「世紀末伝説」を背負ってる男の学生服姿は哀愁を感じさせずにはおられなかった。台詞はなかったものの、この後ケンシロウの声優もしている神谷明氏による面堂の「貴様に明日を生きる資格はないっ」を聞く事ができる。このあたりから、回想シーンまでの作画は中島敦子さん。非常に丁寧で美しいラム達の姿を見ることが出来る。ナマハゲの格好をした配達人を目の当たりにした温泉の表情も爆笑モノ。この表情及び、その後のリアクションは第97話「怪談!柳のオジジ!!」における宿直温泉を髣髴とさせていた。この配達人から小包を受け取りにひとっ飛びするラム、思い切りスカートがまくれていた。なんと今回、彼女は普通の白の下着を履いているではないか。いかんなぁラム。トラジマパンツを履いてないときはもっと清楚な行動にでなさい。それから、ラムの小包を除く女生徒の中にまたまたあのおさげ(?)の女の子の姿が!第174話「退屈シンドローム」、第192話「頭上クーラー」にも登場して台詞まで持っていた。結構活躍してたんだなぁ。本放送当時は全然気付かなかった。ラムの回想による幼児シーンは、まさに中島敦子女史の真骨頂。後期うる星の特色の一つである美しい作画を楽しめる。呪いごっこの説明をするラムに対する、面堂の「なるほど。」とあたるの「確かにちょっと危険ではあるが」という落ち着いたリアクションも笑える。回想シーン終了直後から作画が豹変。ラ、ラムの顔が違いすぎるぞ…。びぐもの存在を思い出したラム、彼女によって地面に叩きつけられた彼を「元気そうだっちゃね」と迎え入れていた。おいおい、どう見ても元気そうじゃねーぞ。このぴぐもの変身前の顔写真、全身写真を見た、面堂の自信喪失リアクションも爆笑モノ。原作通り、窓から投身自殺をはかる彼の後ろ姿に哀愁が漂ってます。しのぶによる面堂へのフォロー、「生きていたらきっといい事だってあるわよ」も、全然フォローになってなくて大笑いでした。「人前じゃキスできない」と言ってラムが教室を出て行くシーンではまたもスカートが翻っていた。(まったく、あれほど気をつけろといったのにっ!)と一人憤慨しつつ画面を注視(まさにおやじである)すると。なんと今回はトラジマのパンツを履いているではないか。いつの間に履き替えたのだ!ラム!!先ほどの下着露出場面を目撃したあたるが、ラムに注意して、白の下着の上からトラジマパンツを履かせた可能性あり。なんという早業。ホッとしつつも何故か釈然としないdeaconでした。前半終了間際、教室をでてきくラムとぴぐもの姿を見たメガネが「カエルと接吻!?フロックだ!」と叫んでいたどーゆー意味だ?「フロッグ→まぐれ」「フロッグ→カエル」をかけた洒落か?だれか教えて…。後半からはまたまた作画激変。ここは作画監督のアベ正巳氏的な絵だった。このラムの顔も嫌いではないんだけど、前半の中島ラムとの差があまりに激しすぎ。あたるの上空で彼の動向をチェックするラム、あたるの「俺にも別の女とキスする権利がある!」と叫ぶシーンでずっこける瞬間、思いっきりぴぐも君を放り投げていた。あたる自身相当なスピードで走ってたから、このスピードに落下スピードを加えられ、かなりの衝撃を受けたと思われる。哀れぴぐも。しかし彼の受難はこれからも続くことになる。この後の、サクラ足の竹馬に乗った錯乱坊の脈絡のなさに爆笑。さらにその錯乱坊を、あたるが木槌でぶっ飛ばすシーンも非常にテンポがよく必見。目測初速216km/hで錯乱坊をぶっ飛ばすあたるの打力には世界の王さんも脱帽である。しかも対象がボールではなく、静止してるおよそ30kgの物体をである。更に錯乱坊、このあとしのぶ足の竹馬にも乗っていた。この時の「してやったり」とした彼の表情が最高。錯乱坊だけではなく、テン、コタツ猫まで弁天やお雪、ラン足の竹馬に乗っていた。流行っているのか?こーゆーこと。ラムの妄想によるあたるの旅立ちシーンはアニメオリジナル。他の男へのラムのキスに釈然としないあたるが、身の回りのものとカバンに入れ、「もうお前とは暮らせない」と去っていく場面なのだが、ここはあたるの部屋。でていくのラムの方では!?メスカエルとのキスを強要され、理屈をこねて去っていくあたるに対するラムの「逃げたっちゃ…」も爆笑モン。更に、ラムに迫るぴぐもに対するあたるの仕打ちのタイミングも絶妙。このあたり妙にテンポがいい。そのあたるの嫉妬に大喜びするラム、ひっぱたかれて痙攣するぴぐもをみて、「ちょっとやりすぎだっちゃ」と呟いていた。確かにやりすぎである。あたるにひっぱたかれたぴぐも、コマ送りで見ると、わずか一コマの間で地面に叩きつけられていた。この場面による一コマの所要時間はわずか0.08秒。12分の1秒だ。落下距離は目測で150cm。するとぴぐも、秒速18mで地面に叩きつけられたことになる。16.5mもの高さから落下したときと同じ衝撃。ビルの6階部分からの墜落に匹敵する。ここにあたるの殺意を見た。ラムの「ダーリンがヤキモチやいて」という台詞場面におけるあたるの表情がまたいい。目元に汗をかきつつ少し弱気なんだな、この表情。また、元に戻って自分の星に帰るぴぐもに向かって「もうくるな!たわけ!」と叫ぶ面堂の姿も爆笑モノ。いい味出してます、面堂終太郎。そしてラムによる「いい一日だったっちゃ!」という原作通りのオチ。しかしアニメでは、この後1分40秒ものエピローグシーンが…。宇宙をバックにこの物語に使われたシーンがフラッシュバックしていた。おいおい。たった一話のエピソードに大層なフラッシュバックを使うか?普通。原作ではラムの台詞の後、温泉による「まだ授業は終わっとらん!」という気の利いた台詞があるのに。このラストシーンの長さだけは一寸いただけなかった。
 とまぁ、最後に少し不満があったものの、全体的には申し分のない出来。初心にかえったかのようなテンポの良さと、暴走一歩寸前の勢いのあるストーリー展開。今回はそれに後期の特色である美しい絵柄も伴って久しぶりに爽快な作品を味わえた。


第202話 お酒はコワイ!サクラのおはらい大失敗
放送月日 1985.10.30
脚本 柳川茂
演出 栗山美秀
原作 26-11
作画監督 朝刊太郎(?)
独断評価 ★★☆
原画 薬師丸進、昆進之介、川口栄夫、木内良子、アニメ浪漫、トロトロ
池水通洋(温泉マーク)、鷲尾真知子(さくら)、西村知道(校長)、安西正弘(竜之介の父)、天地麦人(面堂の父)、西村智博(コタツ猫、酒屋)、荘真由美、菊池正美
内容
(202話)
目覚めのお祓いで、誤って酒の精を飲み込んでしまったサクラ。身の回りのアルコールをたって、飢えてでてきた酒の精に返り討ちを喰らわせようとするも、あたるや錯乱坊の策略にはまって恐るべき量の酒を飲んでしまった。完全に酒の精に体をのっとられたサクラ。酒に酔っているため麻酔銃も効かない。最後の手段、錯乱坊の法力が炸裂する。しかし結局それが彼らの環境を更に悪化させてしまう…。
感想
(202話)
冒頭、サクラ幼年期のノスタルジーワールドはまさにスタジオディーンの世界。それはいいんだが、2分にも及ぶのはちょっと…。お祓いの後、サクラの母がそろばんで依頼人に謝礼を請求していたが、この金額はいくらになるのだろう。一番右端が一の位なら、613万千円。そら、依頼した酒屋もヒクだろう。せいぜい6万1,300円あたりか?それにしても高い。サクラ、公立高校の保険医なら、一発懲戒免職だろう、副業だから。こうでもしないと自分の食費も危ういのか。因果な体よのう。謝礼としてイチゴワインを請求するサクラと、それを呆然と見つめる依頼人たちの表情がすこしかった。野点(のだて)の準備をする黒めがね部隊に、「『おままごと』ではない、野点だ!」と怒鳴る面堂のディフォルメシーンは◎。面堂演じる神谷氏の突っ込みはもはや成熟の極み。外出するサクラの前に現れたあたるとラム、その格好はまさに第88話「ランちゃんのデート大作戦」時と全く同じ。だからあたる、服買ってやれって!また、口に含んだビールを飲んでしまったサクラにぶっとばされたあたる、一瞬その背景に「ユメみるぞ」の文字が。これまた第147話「怪談!カラーンコローン女子寮!」のテンと同じ。この後、あたるの面堂家野点参加発言に対してラム、「ダーリンは呼ばれてないっちゃよ!」と憤慨していた。おいおい。あたる抜きで行くつもりだったのかよラム。それは無いんじゃないか?だいたいなんだそのこれ見よがしなペアルックは。どうみてもデートの途中だろ。なのに、あたるをおいて一人面堂家に行こうとしてたなんて。いくら、あたるに風流は似合わんといっても、今回のラムはいただけない。冷たすぎるんじゃないか!?この後のあたるの、面堂と自分の友情論は必聴。原作では決して聞けないあたるの持論でした。場面は変わって面堂家。野点の為、ラムも私服のブーツを脱いでいるのだが、彼女の裸足シーンは結構珍しいんじゃないか?この後トートツに温泉登場。原作通り学校が舞台だったら違和感無かったのにねー。おかげで温泉浮きまくり。更に竜之介の親父登場。竜之介抜きの親父単身出場はこれがはじめて。これまたトートツ。「海が好き!」「菓子も好き!」のテンポは良かったけど。アニメのストーリー的には、温泉、親父、校長、コタツ猫は、面堂の父のワイン試飲に呼ばれていたという設定なのだが…。やっぱ無理あるわ。ここでの校長による独断と偏見のワイン論は、アニメの校長らしさが如実に現れていて必見。しかし校長、言ってることはメガネと変わらんぞ。本質的に同じなんだろうか、この二人…。酒の精に乗っ取られたサクラ、錯乱坊の差し入れた日本酒を一気飲みしていたが、その背後では校長、温泉、親父達が「イッキ」コール。おいおい、教育者がなんちゅーことを。煽(あお)ったらあかんやろっ!イッキコールする彼らのリアクションもイマイチ中途半端だし…。また、大蛇が出てくるシーンにおけるあたる達の冷静な反応における、酒の精の突っ込みがアニメではなかったのが残念(うわ。ひでぇ文章)。大蛇を捕まえようとして、でかい釣鐘をかぶせようとした面堂、逆に自分が閉じ込められてしまっていた。その後、釣鐘を日本刀で切り裂いて出てくるのだが、一寸待て。あの釣鐘非常に狭かったぞ。とても日本刀なんて振り回せる余裕なんか無かったはず。ならば面堂、地道にノコギリのように切っていったんでしょうなぁ、パニックに陥りながら。暴走するサクラを、結局は錯乱坊が法力を用いて救っていた。こいつの法力って何話ぶりだ?第142話「サクラのおはらい」でも一応彼の力で事件を解決していたが、あれは法力ではなく顔力。彼が法力らしい法力を出したのは第96話「サクラVS錯乱坊」まで遡らなければならないのか。でもあれは確かに法力は使ったものの事件は解決してなかった。そういや、今回も結果的には解決してないわな。全くもっての役立たず、錯乱坊。そして彼の法力は、次回においてもその役立たず振りを発揮するのである。
 ところで今回の作画監督は「朝刊太郎」。誰や!そいつは!?あきらかに常連作画監督の一人の偽名であろう。前回もこういうことあったな。最初の方の絵柄、特にサクラの顔はいかにも森山ゆうじ氏的。しかし、サクラとあたるが出会うしーんでは西島氏的な雰囲気も漂ってる。うーん。だれなんだろう?


第203話 不気味だっちゃ!錯乱坊ヨガスクール!!
放送月日 1985.11.6
脚本 土屋斗紀夫
演出 関田修
原作 5-10
作画監督 河南正昭
独断評価 ★★★☆
原画 リバティー、SUラオホ、グループどんぐり
鷲尾真知子(さくら)、西村智博(コタツ猫)、木藤聡子、大城まつみ
内容
(203話)
秋の長雨。部屋に篭りきって、お菓子ばかりたべてるあたるは完全に太り気味。凄まじい段腹の持ち主となってしまう。この肥満体を解消すべく、チラシにあったヨガスクールへと向かうあたるとラム。なんとそこには、同じく長雨に退屈をもてあましてる、面堂としのぶとさくらの姿が。そして彼らの前に現れたのが錯乱坊。彼がこのヨガスクールの講師らしい。誰が錯乱坊なんかに!とばかりに部屋を出ようとするあたる達。しかし今帰っては前払いした1,000円が水の泡と消える。錯乱坊をロープで縛り上げ、置いてあった本で独自でヨガの練習をするあたる一行。しかし素人ヨガはままならず、かえって体の調子が悪くなってしまった。こうなっては頼りは錯乱坊だけ。豚もおだてりゃ木に登る。サクラ以下全員が1,000の為に、卑屈なまでに土下座して錯乱坊に教えを乞う。ここで錯乱坊は、全員一体の集団ヨガを伝授。各自がピラミッドとなって同時に瞑想を開始。あたる、ラム、しのぶ、面堂、さくらによる同時瞑想の開始。瞑想の中でおのおの自分の夢をかけて、手持ちのトランプで勝負するあたる達。つばめとの二人きりの旅立ちを祈るサクラ、ラムとの結婚を夢見る面堂、あたるとの新婚生活を夢想するラム、面堂の王子様と出会うシチュエーションにあこがれるしのぶ。全てがあたるのハーレムの夢の前に敗れ去ってしまう。意気消沈するラム、面堂、しのぶ、サクラ。その彼らの前に最後の切り札のカードが現れて…。
感想
(203話)
うわ!原作は5巻からの出典だぞ。なんて古い題材を使うのだ。いよいよネタ切れの感強し。冒頭あたるが読んでるのは「週刊ヨンデー」。あからさまな「サンデー」パロ。作品陣もパロディのオンパレード。「へろはの剣」→「六三四の剣(村上もとか著)」、「めぞんだっこく」→「めぞん一刻(こら、スピリッツ連載やぞ)」、「ダッチ」→「タッチ」、「だっ星やつら」→「うる星やつら」等。後は良く読み取れず。しかし「ダッチ」はちょっと…。取りようによってはすんげえタイトル。実際喜国雅彦氏が同タイトルでパロッてる漫画があったほど。このヨンデー、よく見ると12号。12号って、普通2月か3月くらいに発売されるもの。季節はすでに11月。古本を読んでるのか?諸星あたる。そのあたるだが、恐ろしいほどの段腹。高々一週間ほどでここまで太るとは。尋常ではない食物摂取である。糖尿病の危険あり。ラムの言葉を素直に聞いてヨガ教室に向かうほど、自分自身危機感を感じてたのだろう。原作でも太ってはいたが、ギャグ調の絵だったのでそれほど違和感はなかった。今回のあたるは6頭身ぐらいあるので違和感たっぷり。ヨガ教室に出向いた二人、そこで、面堂、しのぶ、サクラと偶然遭遇。ぐーぜん過ぎやしないか?この広い友引町、チラシが入ってたのが彼らのとこだけだった訳がない。なのに集まったのはいつものメンバー。それとも、錯乱坊、教えやすいこいつらの家にしかチラシを入れてなかったのだろうか?どうであれ、原作どおり、海の一場面の中のエピソードとして扱えば、これほどご都合主義的なストーリーにならなかったのに。面堂がチラシをみて一人出来たというのも相当無理があるぞ。自分の家に専属インストラクターくらいいそうなものだが。結構庶民派なのか?面堂。また、インストラクターとして出現した錯乱坊をみて、幻滅し、去ろうとするしのぶの足が、凄まじいガニマタをしていて必見。更に、いい加減な指導をする錯乱坊を縛った後の、彼ら独自のヨガ訓練は爆笑モノ。特に、「楽しいことを想像するのです!」という面堂の言葉を聞きつつも、拷問を受ける自分を想像するしのぶには思い切り笑わせてもらった。あたるに簡単なヨガを指導するラムのポニーテール姿もなかなかのもの。サクラにボクシング的つっこみをくらうあたる、太り方が異常。まるでドリフの相撲コントにおける肉襦袢だ。もはや同一の生物とは思えない…。結局自分たちの素人ヨガでは埒があかないと悟ったサクラによる錯乱坊へのへりくだりシーンや、その後の5人による相談シーンも雰囲気がでていて良かったのではないか?おだてられて豚になってる錯乱坊の顔も、べただが面白かった。そして錯乱坊指導による集団ヨガ。ここからがアニメオリジナルだ。前半かなり原作に忠実だった為、この後半の世界は異色。5人によるルーレット及びトランプの勝負が始まる。なぜ、こんな勝負を始めたのかまったく不明。でも、それなりに構成もしっかりしてて、今までたまにあったおざなり的なオリジナルではなかった。まずはじめはサクラの瞑想。近寄るツバメに対するサクラの「きてくれたのね!」は思いっきり違和感。サクラらしからぬ台詞。それとも好きな男の前ではしゃべり方も変わってしまうものなのか?次の瞑想は面堂によるラムとの結婚式。なんだかんだいって、やはり終太郎的にはラムが一番だったようだ。報われない恋。あわれな…。そして次の瞑想はラム。おお!ラムとあたるの子供が出てきたではないか!原作では、かなり初期の時に、10年後の未来という設定であたるとしのぶの子供「こける」が出ていた。しかしアニメでは、単にラムの願望としての二人の子供。この違いは結構大きいぞ。後年、「こける」の存在に頭を悩ました高橋先生が、因幡君のエピソードを作って、「こける」の存在は、あくまでたくさんある未来の内の一つという設定にしていたのを思い出す。しかしこのあたるとラムの子供、顔がテンにそっくりである。次の瞑想はしのぶ。あら。彼女の中では、まだ面堂が大きなウエイトを占めている模様。しっかしマヌケな格好じゃのう、面堂王子様。終盤、この夢破れた4人が、再度あたるとの勝負を申し込んでいた。一回勝ってるのに、この申し出を受けてたつ諸星あたる。人がいいのか、単なる馬鹿なのか。だいたい、こいつらの自信満々な態度をみておかしいと思わなかったのか?思わなかったんだろうね。やっぱ単なる馬鹿だな。ラストあたるとの勝負に勝った4人が、あたるのいない世界のすがすがしさを共感していた。ラムもである。前回に引き続き、冷たい!冷たすぎるラム。確かに自分の夢を粉砕したのはあたるだが、そのあたるがいなければ自分の夢がかなわないという事実に気付くのだ!のんびりリクライニングシートでくつろいでる場合じゃねーぞ。このアニメのオチは、なんとか原作と合わせていた。まぁ、この原作一作分を22分に広げる為には、瞑想シーンを拡大解釈するしかなかったんだろうね。イマイチよく分からないオリジナルだったけど。ところで今回の作画監督は河南正昭氏。物語全体を通して高い水準の作画を提供してくれていた。しかし前半終了間際や後半直後の絵柄はどうみても林隆文氏。なのに作画の中に彼の名前はない。またも偽名か?と思ってもう一度作画陣を見ると、一人としてまともな名前はない。この内どれが林氏なのか?興味はつきない(←お前だけだよ。)


第204話 さらば温泉先生!?涙の送別マラソン大会
放送月日 1985.12.4
脚本 柳川茂
演出 鈴木行
原作 16-10
作画監督 河南正昭
独断評価 ★★★
原画 中島敦子、グループひまわり、古橋一浩、門脇孝一、石原典子
池水通洋(温泉マーク)、西村知道(校長)、喜多川拓郎、木藤聡子、金丸淳一、大城まつみ、石田光子
内容
(204話)
温泉マークが友引高校をやめる!そんな噂が学校中に広がるとある冬の日のこと。実際温泉マークは暫く学校に姿を見せておらず。なにやら山ごもりをしている様子。この温泉の並々ならぬ決意を感じ取ったあたる達2年4組の悪童ども。そして長く辛い特訓を終えた温泉マークが山から帰ってきた。彼自らの口から明かされる友引高校引退の言葉。噂は本当だった。友引高校を去るにあたって、温泉は校内マラソン大会の開催を校長に要望。生徒達の汗を流す風景を最後に目に焼き付けたいという温泉の言葉に感動した校長は、翌日のマラソン大会開催を許可。しかしこれには温泉の策略があった。友引高校を去る前にどうしても決着をつけねばならぬ長年のライバル諸星あたる。彼のとの決戦なくして友引高校を去るわけには行かない。夕暮れ時の原っぱ。ついにこの二人が雌雄を決するときがきた。
感想
(204話)
あちゃー。前回の放送からほぼ一ヶ月のブランク。何が原因でこれほど期間があいたのかまだ調べてないが、こんなにもブランクがあったのは放送史上初めてではないか?やっぱ、終わりを予感させますねぇ。今回温泉、久々の主役級。そういえば、前半のスタジオピエロ時代は結構こいつの主役のエピソードがあった。それがディーンになってからすっかり冷遇されていたのだが、まさに「待てば海路の日和あり」、良かったな、温泉!それがたとえひどい扱いであっても…。前半はほぼ温泉の特訓シーン。滝の上から落ちてきた石に心乱される温泉を見た錯乱坊が、意味ありげに「まだまだじゃのう」と呟いていたが、お前が犯人なのか?と思っていたら、特訓終盤のシーンではやはりこいつが石を投げていた。温泉に頼まれたのか、温泉に艱難辛苦を与える為、勝手にやってたのか。後者なら殺人未遂で即逮捕だな。山小屋で眉毛を剃る温泉のシーンは、モロ「極真空手」の創始者、大山倍達(おおやまますたつ)のパロディ。マニアックですな、スタッフ。そしてこの温泉マーク、訓練の甲斐合って最終的に悟りを開く。っておい、長すぎるぞこいつの特訓シーン。前半9分42秒中、こいつの特訓エピソードで7分44秒。人気女性キャラならまだしも、なぜ温泉の特訓シーンでここまで時間を取るのだ。私は温泉が大好きだ。それでもこの特訓は長すぎる印象を受けたものだ。時間稼ぎの感も強かった。それにこの特訓は何の役に立つのだ?精神修養ならば、この後の温泉の行動を見れば全然役に立ってなかったことが分かる。ならば肉体修養か?確かに特訓の最後のほうでは、人並みはずれた体力を会得してる温泉が描かれていた。しかしこのありあまる体力をどう使う?肉体勝負の体罰方面にしか使い道がないと思うのだが…。やっぱ最終的には力に頼るあたり、温泉の限界を感じてしまう。友引高校に帰ってきた温泉、校長とマラソン大会について相談していた。そこで校長「ほぉ、山に篭って修行を」と感心する場面があるのだが、校長、ならば一週間温泉がいなかったことに気付かなかったのか?ちゃんと部下の行動を把握しとかんかい。更に温泉、校長の言うとおりなら無断欠勤だぞ。クビになっても文句は言えないのに、自分の欲望の為マラソン大会開催を希望していた。しかも翌日開催という突発的お願い。それをかなえる校長の度量の深さよ。いい加減なだけか?ここで温泉を体育館に連れて行く女子生徒としてしのぶともう一人の女性が登場。おお!またあのおさげの子だ!!なんと頻繁に出ていることだろう!放送当時は全く気付かなかったけど。しかも今回彼女の名前が判明。「アキナ」さんというそうだ。みなさん、覚えておきましょう。しかし結構出てた割には地味なキャラでした。体育館での「温泉お別れパーティ」で司会をするラム、異常なほどのタレメ。ランを凌駕するほどのタレ方だった。彼女の「やんや、やんや」に若干の寒さを感じたのは私だけ?この後の面堂による大愚痴激昂シーンは爆笑モノ。こういう面堂は大好き。友引高校に入ってすっかりつっこみ上手になりました。さすが面堂、いなくなると分かった先生に対しては冷たいこと、冷たいこと。結構極悪非道なことを言ってます。そして後半も押し迫った時間に漸く本編のマラソンエピソードに導入。さすがにここまで引っ張ると、後はほぼ原作どおり。絵柄も内容も、台詞も、今までにないよど原作に忠実だった。マラソンをするあたる達、「脱走とはつまり、学校にかえらないこと」という問題発言をしてるのが何と面堂。朱に交われば赤となる。面堂の友引高校転校は彼の人格形成上に大きな影響を与えたものと思える。人間らしくなったという説もあるが。町から逃亡しようとする生徒に対する先生のリアクションも原作通り。八百屋の前で農薬をまく場面では、原作ではたしか八百屋の野菜にあった「無農薬」の文字が一層笑いを引き立ててたのだが、なぜかアニメではこの描写がなかった。ブラックユーモア過ぎたのだろうか?この教師による変態変装オンパレードシーンは、初期の名作第69話「買い食いするものよっといで!」を髣髴とさせた。そしてラスト、「温泉先生はどっこも引き取り手がなくて、引き続き友引高校で勤務することになりました」との校長の台詞があった。ここが問題である。ってことは温泉、転勤先が決まってないのに友引高校を去ろうとしていたのか?なんという行き当たりバッタリな人生計画!別な見方をすると、あたる達との遺恨を晴らすべく、問題が起こってもいいように友引高校を辞める覚悟をしてた可能性もあり。しかしいい加減な。そしてなにより素晴らしいのは、この引き取り手のない温泉を再度自分の高校で雇うことを決心した校長先生の姿勢。まさにアガペー(自己犠牲)の愛!普通の人間なら絶対出来ないことである。ふつーの神経してなかったのは確かだけど。更にその校長の温情に甘んじておめおめと戻ってきた温泉。これまた別の意味で普通の人間なら絶対出来ないことである。こいつもまたふつーの神経してなかったけど。かくして温泉は再び友引町にもどり、残り少ない放送の中で、更にひどい目にあうことになるのでした。チャンチャン。


第205話 純愛サクラ!別れのつるつるセッケン!?
放送月日 1985.12.11
脚本 柳川茂
演出 関田修
原作 28-6
作画監督 佐々木敏子
独断評価 ★★★
原画 じゃんぐるじむ、ラオホ、アニメロマン
鷲尾真知子(サクラ)、井上和彦(つばめ)、井上瑤(少女)、峰あつ子(母)、西村智弘(パチンコアナウンス)、石田光子、清水祐子
内容
(205話)
ここのところ、お互いの多忙にかまけて全く会う機会のなくなってしまったサクラとつばめ。たまに時間を作っても、必ず何かの邪魔がはいってしまい、会うことができない。おたがいにフラストレーションのたまるサクラとつばめ。こんな時にはスポーツで汗を流せとの錯乱坊の指導に従い、テニスに打ち興じるサクラ。しかし相手はあたるとラム。全然試合らしい試合にならず、しょーもない汗をかいてしまう。ぶつぶついいながらシャワー室に入るサクラとラム。ちょうどラムはこのシャワーの為に、手作りセッケンを持ってきていた。手作りセッケンと言っても、いい加減なラムがいい加減に作ったいい加減な代物。ひょんな間違いからそのセッケンがサクラの手に入ってしまったから大変。体全体が異常なほどツルツルになってしまったサクラ、久しぶりにデートをするつばめの手を握ることもできない。ラムのセッケンによるこの異常事態を、サクラに避けられてると勘違いしたつばめは、哀愁を漂わせながらサクラの元を去っていく。このままでは二人の仲はおしまいだ。責任を感じたラムは、巨大トリモチを使って二人の中の回復を試みるが…。
感想
(205話)
つばめ超久しぶりの登場。何話ぶりだ?ほんと。ざっと調べてみるとこの放送を遡ること二年四ヶ月、第105話「太陽がいっぱい浮気がいっぱい」以来であることがわかった(多分)。声優さんは前回と同じ井上和彦氏。月日の流れは人を変えるものである。前回まで画面いっぱい漂っていたかれの「アホのオーラ」は今回、見た感じではなりを潜めていた。しかし五代裕作に似てること…。冒頭、雰囲気を出しまくってるのはその恋人サクラ。デートに二時間遅れているつばめに呪詛の言葉をはいている。そうだ、この頃は携帯電話なんて夢のまた夢の話。どちらかがいったん外に出てしまうと、約束の場所で会うまで、連絡をとることなんてできなかった時代。人によく待たされる側だった私には彼女の気持ちがよーく分かる。(待つべきか、帰るべきか)。つばめもつばめで外にでてしまってるサクラに連絡の手段はない。ただひたすら仕事を早く終わらせて待ち合わせの場所にいくしかないのだ。待つほうも辛いが待たされるほうも辛いであろう。でもやっぱ待つほうが辛いわな。その待たせているつばめ、怒涛の勢いで悪魔祓いの仕事をこなしていた。最後に訪れた大富豪の娘は「エクソシスト」ばりの悪魔つき。つばめに向かって「とっとと立ち去れい!」と怒鳴る少女の声、よーく聞くと、なんと懐かしや、初期(130話まで)ランの声を担当していた井上瑤さんではないか!?悪魔つきの影響で非常にガラの悪い口調になっているところなんて、ぶりっ子の皮のはがれた状態のランそのもの。めちゃくちゃ懐かしかった。首尾よく悪魔祓いをしたつばめが少女の母親とともに屋敷から出て行くシーンがあるのだが、この描写がまた異常に広い!つばめ、やや早歩きで進行していた為、そのスピードは約時速4kmほどか?この速さで1分26秒歩いていた。直線距離にして約95.6m。何度か曲がってはいたが、同じ方向に進んでいなかった。すると少なくともその敷地面積は2282.7m2。およそ691坪。うーん、都内にあるとしたら空前絶後の土地代であろうな。更にこのあと二人が下っていた階段は、体の揺れから測定して28段。これに以前計測した一段の高さ19cmをかけると一階当りの高さが割り出される。その高さ5m32cm。日本の一般的建築物の一階当りの高さは約3m〜4m。ただしこれは高層ビルなんかも含まれる。さすが大富豪、一階あたりの高さも贅沢に使っている。大富豪家でのお祓いを終えたつばめ、疲れた体に鞭打ってサクラとの待ち合わせ場所にむかっていた。そこでつばめ、「三ヶ月もの間待ちに待ったデートの時間、たった2160時間の内の5時間の遅刻くらい」と一人弁解していたが、2160時間とは90日のこと、まさに三ヶ月の時間を指していた。いかに精神的に追い詰められていたとしてもさすがはつばめ、計算を間違うような愚かな真似はしない。案外冷静なのかも知れぬ。このあと家に帰っていたサクラに弁解の電話をいれつつ、一人公園のベンチで一夜を明かすつばめ。そんなとこで一夜を明かす時間があるのなら、少しだけでもサクラの家に行けばよかったのにと思ったのは私だけか?門限とかそういう歳でもないし。サクラの母がそういうのを嫌がったという説もあるけど。この、二人の波長のズレを気にしたサクラ、こともあろうに諸星あたるに相談していた。何を考えとるのだアナタは!?それともこの忌まわしい原因にあたるが関係していると感づいていたのか。霊能力者でもあるし。結局あたるが二人の仲を呪っていたという事実がそこで明らかにされるのであるが、更にあたる以外にも面堂や4人組もその呪いに加担していることが判明。この6人、ラムからキツイお仕置きを食らう羽目になるのだが、結局面堂、4人組の登場はここだけ。何しに出てきたのか全くもって哀れ。そして錯乱坊の登場、何の脈絡もなく、福引で当てたというテニスウエアをサクラに差し出し、強引にテニスに誘っていた。原作の錯乱坊は全く女性に興味ないのになぁ。この回における錯乱坊はやたら女性に対してやらしい視線を送っていて違和感たっぷりだった。そのスケベ錯乱坊に対してサクラが放り投げていたのはなんとバイブル(聖書)。なんてものを投げるんだサクラ。大体てめーは神道だろうがっ。常時見の周りにあるというのもおかしな話だ。この錯乱坊を追い出したあとのサクラ、顔の色と首の色が思いっきり違っていた。普通は化粧の為、顔の方が白いのだが、なぜかサクラは首の方が白かった。どういう化粧の仕方なんだか…。そして後半も始まってしばらくたった頃ようやく本編突入。おおい!あまりにも長すぎるぞ!会えないサクラとつばめの苦悩を描くのに前半すべて使ってしまうというのはどーか。引き伸ばしの感がものすごく強かった。本編突入後のUFOにおけるラムのいい加減なセッケン製造描写はまさに爆笑もの。ラムの性格を端的に現していて傑作。こりゃ、結婚したら相当大変だぞ諸星あたる。錯乱坊との約束の日、約束の半そで超ミニのテニスウエアに身を包んで現れたサクラ。12月という季節の中で着るにはあまりに寒々とした格好であった。せめて何か羽織れよその上から。ラムなんてノースリーブやぞ。ここでも錯乱坊のエロ親父的描写が。隣のテニスコートの女を見る目つきと、サクラにどつかれて倒れた拍子にサクラのスカートを除く目つき、ともにめちゃくちゃ違和感。この錯乱坊によるサクラのスカートを除く瞬間、サクラの左上に、ピンクの下着が入ったフキダシの描写が。これ、ほんっと瞬間なんでコマ送りで見ないと分からない。ビデオを前提で描いてるとしか思えないアニメスタッフ。そして問題のシャワーシーン。ここは原作通り、露骨な描写はなくさわやかに描かれていて好感がもてた。自分のセッケンがサクラのシャワー室に入ったため、ラムは壁を攀じ登ってとろうとしていた。飛べよ。このラムのいい加減製法によるセッケンの為、サクラの体が著しくツルツル化するのだが、どうにも解せないのが、体と一緒に服もツルツルになっているということ。普通に考えると体だけがツルツルなのだから、、つばめに抱きしめられたサクラは、すべての服をその場に残して、素っ裸で上空に飛んでいくはず。うう。これはマヌケだ。マヌケな上に放送できんな、こんなもん。サクラに抱きつかれて上空に飛んでいったつばめ、13.27秒後に地面に落下していた。秒速65m(時速234km)で飛び出し、215.7m上空まで達し、再び降下したものと思われる。ビルの71階もの高さまで到達した瞬間、つばめは何を思ったのであろう。また、何度抱きついてもサクラに逃げられるつばめの「逃げられちゃった…。」というさびしげな台詞と、そのBGMが絶妙で爆笑もの。二回目の「逃げられちゃった」も、繰り返しのオカシミの効果が十分に画面に現れていて大笑いした。ラスト、ラムによる「縁を取り持ち(トリモチのしゃれ)、なんちゃって」という冗談は、アニメではあたるによる「く、くだらん」という突っ込みがなかったため、本当にくだらなかった。突っ込みって大切ですなぁ。


第206話 飛鳥VSお兄様!ある愛の闘いだっちゃ!
放送月日 1985.12.18
脚本 土屋斗紀雄
演出 栗山美秀
原作 28-3.4
作画監督 土器手司
独断評価 ★★★☆
原画 スタジオムサシ、薬師丸進、杉浦千里、西村幸男、川口栄夫、昆進之介
島本須美(飛鳥)、梨羽由記子(母)、島田敏(トンちゃん)、池水通洋(温泉マーク)、木藤聡子、大城まつみ
内容
(206話)
毎度毎度繰り広げられる、実の兄妹、トンちゃん、飛鳥のおぞましい光景。なんとかこの飛鳥のブラコンを治すべく母が立ち上がった。何より問題なのはトンちゃんの不甲斐なさ。なんとか宇宙の科学力で、トンちゃんを強大化させてもらうべく、授業中にラムに頼みにきた飛鳥の母。頼まれたラムは、パワードスーツでトンちゃんのパワーアップを図るも、ネジの閉め忘れであえなく自爆。ならば発想の転換とばかりに、トンちゃんのパワーアップと同時に飛鳥の弱体化にも着手するラム。トンちゃんにはひまわりの植物兵器を、飛鳥には弱体化の植物兵器なっとうかずらを使用。この二つの兵器は、太陽の力によってその実力を発揮する。そして決闘当日。見事に曇りまくった水乃小路家上空。このままでは植物兵器の真の実力は出せない。いつもどおり飛鳥の怪力に翻弄されるトンちゃん。そこに突然あらわれた一瞬の晴れ間。突如強大化するトンちゃんと弱体化する飛鳥。勝負の行方は全くわからなくなった(こともないことは周知の事実)。
感想
(206話)
飛鳥、ラストの出演。おもえば番組後期から登場し、あっというまに人気を席巻した飛鳥。その飛鳥の声が、響子さんになるなんてこの時点では全く想像もつかなかった。飛鳥が出てくるときの特徴としては、内容が非常に原作に忠実であること。飛鳥のでる原作自体がが一話完結ではなく、何話にもまたがったエピソードだから自然とそうなるのであろう。でも原作に忠実な飛鳥のアニメは、結構私のお気に入り。冒頭、水乃小路家の朝食風景、茶碗ごとご飯をたべるトンちゃんの表情がぐー。またおいしそうな音を立てて食べるんだ。ほんと、雑食動物トンちゃん。この変態兄妹にほとほと手をもてあました母が教室にやってくる場面で、温泉マークがどつかれていたが、その瞬間、木槌に謎の女性の顔が映っていた。なんじゃこいつ?場所は変わって水乃小路家。パワードスーツに身を固めたトンちゃんに、ラムが「飛んでくるバーベルをうけとめろ」と指示していた。画面をよく見るとこのバーベル、あの速度あの角度だったら絶対トンちゃんにあたらない。トンちゃんの遥か右方向に落下するような位置関係だった。なのに顔面で受け止めたトンちゃん。なんだちゃんと動けているではないか。遠隔装置に切り替えられたトンちゃん、飛鳥を遥かに上回る超人振りを発揮していた。ここで流れる安西孝氏によるリズム系BGMが最高に心地よい。ちょっとトンちゃんの疾走シーンが長すぎるけど、この音楽がその冗長さを補っていた。次第に煙を出し、最後に爆発するトンちゃんの姿を見ながらのラムの台詞「これ(ネジ)閉め忘れたっちゃ」はまさに爆笑もの。前回に引き続きラム、深刻ないい加減ぶりをみせてくれます。まさにラムの真骨頂!また、あたるによる「飛鳥弱体化作戦」に反対するラムが帰ろうとする場面における、トンちゃんママのあたる人質作戦、および、面堂による「お気の毒に」描写も最高におかしかった。面堂いい味だしてます。この後、植物兵器に対するあたると面堂のやり取りも◎。あたる「なんやわからんが」、面堂「恐ろしい兵器だ」。あたる「ほー、なっとうかずらか」、面堂「恐ろしい兵器だ」。なんだかんだ言って息がぴったりの二人であった。しかしラム、飛鳥の弱体化は全く想定してなかったはずである。なのに植物兵器「なっとうかずら」をブラにしこませていた。ということは普段から持ち歩いているのか、そんな物騒なものを。恐るべき女ラム。バイオテロリストに誘拐されないことを心から祈るぞほんと。前半終了間際、太陽の力による植物兵器の甲斐なく曇り空に覆われる水乃小路家の描写と、あたるによる「みっごとにくもりましたね奥さん」は非常にテンポがよく痛快だった。後半は二人の対決がメイン。勝負する前の飛鳥に、パワースーツをきてものすごい力を発揮する兄の姿が蘇ってきた。っておい、だからなんでこんな短いエピソードの中に、同一エピソードの回想シーンをいれるかねぇ、勿ない。特訓シーン自体長かったのに、ここで更に同じシーンを出すから、みててダレてしまったではないかっ!折角原作二話分もあるのだから、こういうシーンはハショッて欲しかった…。オオボケ兄妹コンビをみてその不甲斐なさに何度も顔を巨大化させる水乃小路のママ。いつのまにか、この顔巨大化が、彼女のトレードマークとなってしまった。ほかのキャラでは、わずか錯乱坊だけが意のままに体得している大技なのに。確かに原作でも相当巨大化してたもんなぁ。実際こいつ(ママ)が一番この家族の中で特異なキャラかも(ラクガキの夫を持ってるし)。この勝負シーンも非常に原作に忠実。太陽が隠れる瞬間、へたりこむトンちゃんのひまわり描写や、あたるの体から発するなっとうかずらの描写が爆笑モン。しかし、あたるのなっとうかずらから飛鳥が開放されたシーンから、あたるへの落雷シーンの間がなんか変。テンポが完全に停滞してしまっているのだ。ここまでのテンポがほぼ完璧だっただけに、このラストシーンのシラケぶりがもったいなかった。今回の作画監督は土器手司氏。物語の最初から最後まで非常にクオリティの高い作画を保っていて、物語全体の雰囲気を盛り上げていた。テンポも、先ほど書いたとおり、ラストの妙なシジマ以外は問題なく、視聴者をひきつけていた。


第207話 ダーリン大凶!恐怖の四次元おみくじ!!
放送月日 1985.12.25
脚本 柳川茂
演出 森脇真琴
原作 7-4
作画監督 河南正昭
独断評価 ★★★★
原画 富田悦子、津久井明子、川名久美、吉田雅一、福原恵次
鷲尾真知子(サクラ)、小宮和枝(ラン)、三田ゆう子(甘酒の女)、西村智博、兵藤まこ、大山尚雄、杉原康
内容
(207話)
悪夢をみたラム、ナンパに失敗したあたるがそろって厄除けとばかりに近所の神社へと出向いた。そこはサクラが巫女をしている神社。錯乱坊の誘いにのっておみくじを引くあたるとラム。しかし二人とも、自分の望みどおりのおみくじを引くことができない。そこで再び錯乱坊の誘いにのって、サクラのおみくじを引きに「おみくじ横丁」へと出かける。そこで引いたおみくじも二人にとっては最悪の結果。なんとしてでも良いおみくじを引こうと決意したあたるとラムは、片っ端からおみくじを引いていくも、どれもこれも不幸な未来を暗示するおみくじばかり。ちょうどその二人の前に四次元へのひずみがあらわれて、二人は4次元のおみくじを引くことにする。
感想
(207話)
番組もラストスパートに入ったこの時期、こんな当りに巡り合うとは。河南氏による作画は、前作同様、最後まで高い水準を保っており、内容的にも、原作の雰囲気を壊すことなく、アニメのオリジナリティも出していた。特に今回はテンポが良く、爆笑シーンのオンパレード。台詞も原作からの拝借が多く、原作の完成度の高さを窺い知ることができる。では内容へといきますか。
 冒頭、友引町上空を飛行するラム、体の質感が異常にリアル。それに対比して顔の質感が異常に平板。顔だけ動画になっていたので、こういうコンストランスが生まれたのであろう。それにしても体の色に比べて体が白い。かなりの厚化粧に見えた。このラムによる悪夢のシーンの不気味さは特筆もの。狂気じみた雰囲気があふれていた。こういうのもひっくるめてうる星のテイストなんだから、なんと厚みのあるアニメだったんだろう。ここでのあたる父によるコテコテギャグ、「孝行せぃ!(高校生)」には、不覚ながら笑ってしまった。これは緒方氏(あたるの父役)の演技力の勝利であろう。目の前であたるが婚約者を連れてきているという最悪のシナリオの中、尚も強気な姿勢を崩さないラムの姿が涙をさそう。一転電気が消え、薄暗闇の中でのあたる以下父母婚約者の常軌を逸した笑いが背筋を冷たくした。コタツで目が覚めたラム、テーブルの上に顔を横向けにして寝ていた。普通こういう格好なら、確実にテーブルにヨダレが落ちている。しかし一滴のヨダレも落としていないラム。さすが大和撫子(やまとなでしこ)!←いや、違うだろ。それより何より、ずっと寝続けるラムが入っているコタツの中で、ずっと身を潜めていた錯乱坊に天誅を。一方あたるは何をしてたかというと、例によって例のごとくナンパ三昧。最後にひっかけた女の子、(可愛い声をしている)と思いつつテレビをみていると、甘酒に酔っ払って態度が豹変する場面でいきなり弁天の声になった。なんだ、三田ゆう子さんだったのか!しかしこの人の声の豹変ぶりも凄まじい。ランに匹敵するぞ。ここであたる、錯乱坊から「どーでもいい女から徹底的に好かれる」と分析されていたが、ラムに対しての評価であるとすれば、それは大間違いである。どう思っているかわからんが、少なくとも「どーでもいい」とは思ってないことは確実だからだ。そしてこの後原作に沿った本編突入。これが本当に面白かった。あたるとラムの賽銭に対し、「死んだつもりで二人合わせて十円ですかぁ?」と突っ込む錯乱坊の口調とその表情、互いのおみくじの内容についてさぐりあい、乾いた笑いでごまかす二人の表情、そのくじを見ようと脚立を用意する錯乱坊と、それをどつきにいくあたる、ラム、公衆の面前で恥をかかされ、おみくじ屋に「おもしろかったでしょ?」と聞かれたあたるによる「ああ、見ていた奴がな」という台詞、全てが最高に面白かった。特に今回、ボケと突っ込みのコンビネーションが完璧。アニメならではの、躍動感あるテンポの良さが画面を引き締めていた。また、あたるとラムの神社へ向かう時の必要以上の腕の組み方や、神社のがらがらを二人一緒に鳴らすときにおけるホンの一瞬の互いの目を見た微笑、互いのおみくじを探り合って、二人仲良く木にくくりつける仕草、500円という割高なおみくじに対して、二人の未来を占ってもらおうとしたあたるの姿。全ていい雰囲気出てました。特に500円のカラクリみくじのエピソードは意味深。「高いから」と、あたるは二人で1回分の500円を払っていた。ということは、二人の未来を占ってくれと言ったこと。どういう心境であたるは二人の未来を占ってもらおうとしたのか。すこし興味深い。こういった、爆笑シーン、仲睦まじシーンとともに、今回目についたのは、二人の表情の豊かさ。さくら、しのぶ、ランからおみくじを出され、どれを取ろうか困っているあたるの表情や、「ライバルの心理に微妙な変化」というおみくじを引いた直後のラムの表情、怒ったサクラからの逃亡シーンにおけるラムの慌てた表情、トランプ占いにおける、「美女も浮気もいらないっちゃ」というラムの顔、その占いの結果を聞いたラムのあきれた表情、四次元おみくじであたるとの結婚をするため、無理やりあたるに結婚の宣誓をいわそうとしたラムの脅迫の顔、同じく四次元おみくじで病魔に襲われて瀕死の状態になったあたるの表情。全部が全部バラエティに富んでいて、その場の雰囲気にマッチしていた。すばらしい。それでは、恒例の軽い突っ込みを楽しみましょうか。最初の神社で、二人が賽銭を投げるシーンがあったが、ここのあたる、なぜか白目をむいていた。何か憑依したのか!?単に黒目塗り忘れという説も見逃しがたい。ほんの僅か黒を塗ってないだけで凄まじい違和感だなこりゃ。あたるのおみくじにかかれていた「出生時から引き続き運は最悪」という文章も意味深。もともとあたるは「宇宙一運の悪い男」というのが設定だった。しかしそれも相当昔の設定。自分が引き起こした悪行による報いは多々あるものの、それ以外は結構運のいい生活をしていた最近の彼。このおみくじを見て初心に返ろうと思ったかもしれん。サクラのおみくじにたかる人々の群れの中に、またまた「県立宇宙防衛軍」の下っぱ発見。この漫画のなかでも単なる脇役なのに、なぜか他のアニメでは存在感を出していた下っぱ。非常に分かりやすい顔をしていたのが勝因と思える。「巫女の衣装に触れるな!」とあたるがサクラに度疲れるシーンでは、一瞬「DOG」の文字が。更にこの場面で、非常に珍しいラムによる、あたるへの素手での突っ込みを見ることができる。ラストあたりからアニメによるオリジナルシーン突入。この四次元における地蔵(緒方氏担当)のキャラクターも爆笑もの。また、ラムとの結婚に対して動揺しまくり、心の底から逃げ出したがっていたあたるの描写は、3年前の劇場映画版第一作「オンリー・ユー」を髣髴とさせていた。なぜここまでラムとの結婚を嫌がるのか。というより、心の準備なしで、今すぐ結婚しなければならないというシチュエーションがいやだったのかもしれない。勝手にそう解釈しよう。無事四次元から戻ってきた二人に待ち構える出口の門のオチは原作どおり。またいつものどんちゃん騒ぎがあったものの、あたるとのデートができて大喜びするラムの表情が非常に印象的だった。あーおもしろかった。


第208話 新春パニック!面堂家人間すごろく大会
放送月日 1986.1.8
脚本 土屋斗紀雄
演出 鈴木行
原作 12-1
作画監督 古橋一浩
独断評価 ★★★☆
原画 門脇孝一、石原典子、川口幸治、アニメ浪漫、ビッグ・バン
小山茉美(了子)、天地麦人(面堂の父)、兵藤まこ(面堂の母)、北村弘一(面堂の祖父)、島田敏、伊沢弘、西村智博、喜多川拓郎
内容
(208話)
面堂家の新年会に呼ばれたラムとしのぶ、そして呼ばれもしないのにノコノコついてきたあたるとテン。あたるだけ面堂から歓迎されないもののとにかく屋敷に入れてもらった。今回の新年会は、「盛大にもりあげるように」と指示しただけで、どういった内容になるかは面堂自身知らない。ベルトコンベアーとエスカレーターにのって新しく建てた屋敷にはいる5人。なぜか廊下には大きな矢印が。不審に思いながらも矢印の通りに進行し、指示された部屋にはいるあたるたち。そこには散乱した座布団が。そして床の間には「お好きな座布団にお座りください」の文字が。わけもわからず座布団にすわる一同だが、なぜかテンとあたるの座布団だけ、底が抜け、二人とも地下に落下していく。驚く面堂、しのぶ、ラムには、迫りくる壁が。パニックになった3人は部屋から脱出。どういうつもりなのかという詰問にも、終太郎自身知らないのだから答えようがない。実はこれ、面堂の祖父、父、母、妹(了子)が仕組んだ壮大なすごろくの一部だったのだ。
感想
(208話)
まったまた古い元ネタ(原作)のアニメ化。終了が近いため初心に戻ったのかアニメスタッフ。でも、個人的には原作のこのエピソードが好きだから大歓迎だったが。冒頭、了子を乗せたヘリのローターが終太郎の髪にかするシーンにおける彼の顔は、まるで第109話「逆上!みじめっ子終太郎!!」の幼少時の終太郎そのもの。だいたいあんなに近づいてたら、回転するヘリのローターの風圧で吹っ飛ばされるはず。なのにわざわざ危険な位置で必死で踏ん張っていた面堂。武士の気概を感じることができる。面堂の門の前にたつあたる、ラム、しのぶ。ここでまた、あたるが招待されていないことが判明する。原作ではちゃんと招待されてたのにねぇ。アニメにおけるこの扱いはなんたるこっちゃ。更にラム、またあたる抜きで行こうとしたのか!?冷てーよな、ラム。この後の、面堂対面シーンにおけるあたるの媚(年賀状うんぬん)とそれに対する面堂のリアクションが◎。面堂も知らん間に顔面巨大化の技を会得したものと思われる。この面堂の突込みに対する4人のリアクションも、オーバーアクションで笑いを誘った。特に異常なほど眼球が飛び出したラムと異常なほど蟹股になったしのぶ。そら面堂の顔が目測2.9mになればそれくらい驚くか…。あたるなんか、広げられた面堂の口に食べられそうだったし。また終太郎このあとサングラス部隊のしつこい「あけましておめでとう」攻撃(ほんと長すぎ)に対し、8人もの隊員を見せしめにぶっ飛ばしていた。上昇していった隊員の衝撃スピードは初速時速およそ46.8km。問題はこの力ではなく、彼ら8人を血祭りに上げた恐るべきスピード。その間わずか0.42秒。彼に与えられた時間は一人につき僅か0.05秒。一人ずつ律儀に殴っていったのなら、腕を引いてからインパクトの時間はそのうち半分くらいだろう。するとその時間0.025秒。この時間で腕を50cm動かしたとすると、そのスピードなんと…時速72km。あら?こんなしょぼいの?これじゃとっても隊員を時速47kmで飛ばすことはできんぞ。ならば彼らは若(終太郎のこと)のご機嫌を取るために、自分の力も加味して飛んでいたのかも。凄まじきは宮仕え。律儀な奴らである。この後の、動く歩道からエスカレーターへの移行時における、あたると面堂のやり取りは爆笑モン。自分で気をつけろといいながら、あたるの呼びかけに素直に応じエスカレーターに躓く面堂は、まさにドアホの真骨頂。あたるの口に日本刀を入れ怒り狂っていたが、半分は自分に対する不甲斐なさの照れ隠しの可能性もあり。この日本刀を齧るあたるの顔もマヌケで笑える。座布団の部屋に入り、「なんのこっちゃ」と呟くあたるの顔は、うる星初期の作画監督谷田部雄次氏の絵を髣髴とさせていた。一瞬だけど。座布団の罠にひっかかって地下に落ちるあたる、実に7秒近く落下し続けていた。最低でも6.7秒は落下していたので、その高さが220mであることがわかる。に、220mだぁ!?正月早々あたるに化せられた運命はあまりにも過酷である。それよりも、建物の高さ(目測15m)より15倍ほども深い地下なんて…。シェルターか?地下のベルトコンベアーに落下したあたる、何者かにどつかれて失神していた。失神する瞬間、乙女ばしか(原作「乙女ばしかの恐怖)と、錯乱坊バージョンの瞳を見せていた。また迫りくる針山の車と格子の間にはさまれてパニックに陥るしのぶの描写が秀逸。格子の間から顔を出すさまや、面堂に手をひかれて隣の部屋に逃げる瞬間、ふすまに側頭部を打ち、マヌケな顔になる場面が最高におかしい(音無しでみると更におかしさは倍増)。地下のベルトコンベアーから復帰したあたるとテン、仲良くふすまを開けるシーンがほほえましかった。そのときのジャリテンの顔はまさにあたるそっくり。長いこといっしょにおるからなぁ。どっちがどっちに影響を与えたのかは定かではないけど。この部屋でお茶をたてる面堂の祖父、どうでもいいが茶の量が多すぎないか?こういうのはおっきい茶碗に入れた三分目くらいのお茶をかき混ぜるものではないのだろうか(自信ないけど)?なのに、祖父は8分目ほどお茶を入れてかき混ぜていた。こぼれるって。このお茶をめちゃくちゃ苦そうに飲むテンの姿が可愛かった。池に落ちたあたる、原作どおり「松の廊下(四十七人士)」並みの着物に着替えさせられていた。この着物のすそを踏むサングラス部隊の描写と、その後の大喜びする彼らの姿が「馬鹿100%」といった感じで笑えた。同じく何度も着物のすそを踏んであたるをこかしてしまうラムの姿も◎。この後、面堂が父によって壁の部屋に閉じ込められる場面があった。原作ではまだ面堂の「閉所恐怖症」と「暗所恐怖症」がしのぶに発覚してない時期のことだったから、必死でごまかす面堂の姿が面白かったのだが、アニメではとっくの昔に彼の病気はバレているので原作ほどの効果をあげることができず。面堂を追いかけるため、ラムに「着物をすそをもってくれないか!」と叫んだあたると、それに応じたラムのコンビネーションが最高。さらにラムがすそをあげる前に走ったのでまたすっころぶあたると、それに対して「まだ早いっちゃ」と突っ込むラムのコンビネーションはもっと最高。いい味出してます。結局これは、面堂家の人々の、あたる達を駒に見立てたすごろくと分かるのだが、なんで了子は面堂にかけたのだろう。なんやかんやゆーて兄を信じてたのか?さらにくる予定のなかったあたるにかけていた面堂の母って一体…。ラスト、了子による「意外でしたわね。(最初にゴールしたのが)テンちゃんとは」と、母による「そーいえばテンちゃんは誰の持ち駒でもありませんでしたわね」には違和感たっぷり。彼女らによる「テンちゃん」発言は滅多になかったからねぇ。ところでラスト、錯乱坊はなんと呟いてるのだ?と思ってよく聞くと「一富士二鷹三茄子、謹賀新年錯乱坊」だった。最初、「テンが新年、錯乱坊」に聞こえたため、一人パニックに陥っていたdeaconでした。いやぁ今回も結構面白かった。作画監督は、いままで土器手氏や、アベ氏、河南氏の作画監督のもとで、作画を担当していた古橋氏。今回作画監督として初クレジットである。全体的に非常に綺麗で丁寧な作画で見やすかった。いたるところで、森山ゆうじ氏らしい作画も出てきたのだが、気のせいか?はたまた、森山氏の偽名工作か?謎である。ところで、今回注目すべきはラムの服装。原作では確か着物じゃなかったかな?でも着物じゃ動きをつけにくいから普段着にしたんだろうが、この普段着が本当地味な普段着だった。セーターにひざくらいまでのスカート、そして白いソックス。ものすごーく普通で逆に違和感。やっぱ、トラジマのブーツってものすごく存在感があったんだな。


第209話 夢みるテンちゃん!虹のはてに大冒険!!
放送月日 1986.1.15
脚本 井上敏樹
演出 関田修
原作 28-10
作画監督 アベ正巳
独断評価 ★★★
原画 佐々木敏子、箕輪悟、津野田勝敏、戸倉純、SUラオホ、ビックバン
熊倉一雄(妖精)、高田由美、小野健一、西村智博、立木文彦、大城まつみ
内容
(209話)
おもちゃの怪獣で遊ぶあたるとテン。なんどやってもあたるに勝てないテンは、更なる勝負をあたるに挑むも軽くいなされてしまう。その晩、夢の中でも、巨大なあたるの足にいじめられるテン。翌日、散歩しながら、あたるに勝つ方法をかんがえていると、水溜りになにか光るものを発見。のぞいてみると、そこには小さな妖精の姿が。助けを求める妖精に、テンは手を差し伸べるが、妖精のいるところが別次元にあるため助けることができない。妖精が元の世界に戻るには専用のパラソルが必要とのこと。そのパラソルをみつけてくれたら君の夢をかなえてあげるという妖精の言葉にテンは大喜び。サクラとの結婚、飛行速度のアップ等いろいろ考えているところにあたる登場。またまたあたるにからかわれたテンは、「打倒あたる」を夢の第一候補に。首尾よくパラソルを発見し、水溜りの世界に入っていくとそこにはハイデルマーデルという可愛い妖精の姿があった。
感想
(209話)
冒頭二人仲良く怪獣で遊ぶあたるとテンの姿がほほえましくて最高。私個人としてはこういう風景が大好きなのである。しかし諸星あたる、相変わらずおとなげないこと。その傍若無人な攻撃方法に対してテンが「一度も正々堂々と戦ってへんやないか!」と怒っていたが、こういう遊びで正式なルールなんてないだろう。どういうやり方が正々堂々なのかテンに説明して欲しかった。それでも尚あたるに勝負を挑むテンのいじらしさ。普通ここまでこけにされたらやる気なくなるのにね。それに対してあたる、あっさりと拒否し視聴者に冷たい印象を与えていたがちょっと待て。それまでに彼らは13戦も戦っていた事実を見過ごしてはならない。負けても負けても勝負を挑むテン。それに12回(注:負けて勝負を挑むのは2回目からなので実際は12回となる。注の注:我ながらこまけー)も答えていた、画面に出てないあたるの根気強さも与(くみ)してやらねばならぬ。自分自身が楽しんでいた可能性の方が高いけど。あたるとのオセロ勝負で回も受けてたったラムの方が根気強いか?眠たげなそぶりをみせるあたるに対して、「勝負や勝負や!」と何度も叫ぶテンの姿を見てると、普段喧嘩ばかりしてるけど、結構あたるに遊んでもらってたんだなあという感興が沸いてきた。その後のフライパンでどつかれる様はあまりにも哀れだけど。すぐ取り出したところから見ると、あたる、このフライパンはいつも部屋に用意しているようだ。テンを相手にするなら必需品であろう。殴られた瞬間の効果音と、一瞬浮かび上がる「バキ」の文字が彼の激痛を物語っていた。気絶し、渦巻状の目をくるくる回すテンの描写は、さながら60年代のギャグアニメを髣髴とさせる古典的手法であった。またテンの夢の中で逃亡するあたるの風呂敷包みも、さながら60年代のギャグアニメの泥棒を髣髴とさせるベタな表現であった。尚このテンの夢の中における一般市民の逃亡シーンに、昔週刊少年サンデーに連載されていた「炎の転校生」滝沢のぼるの姿が!原作者の島本和彦氏も大喜びであったろう。更にテンの乗った怪獣に踏まれたあたる、一瞬画面上に「あべし」という叫び声のフキダシを浮かび上がらせていた。またもや北斗の拳ネタ。すきだねー。翌日のテンと妖精の出会いシーンでは、水溜りの向こうの世界にいる妖精の姿が、非現実的雰囲気で描かれており幻想的で秀逸だった。この声を担当しているのは初登場熊倉一雄氏。なんと1958年からテレビに出ている超ベテランだ。鉄腕アトムの中でもクレジットされていたし。不思議なムード漂う妖精をすばらしい演技で演じておられた。この妖精から夢を実現してもらえることを聞いたテンの妄想シーンは、まさにテンの欲望を鮮やかにさらけ出していた。助手席にサクラをのせ、右ハンドルのオープンカーに乗りサングラスをつける彼の姿は、アホそのものといっても過言ではない。しかしなんだあのクラッチ、ブレーキ、アクセルの異常な高さは。あーでもせんとテンの足は届かないのだろうが…。完全に特注だな、トクチュー更にスーパーマンの格好をして超高速で飛行する、妄想の中のテンの背後には、スペースシャトル発射の描写が。尚この放送の13日後、1986年1月28日、スペースシャトル「チャレンジャー号」は離陸時に大爆発をおこし乗組員7人全員が死亡した。犠牲者ならびにその家族には本当にお気の毒だったと思う。当時の夕刊にものすごい白抜きの文字で「スペースシャトル爆発」と書かれていたのを思い出す。スペースシャトルの爆発の方が先なら、到底放送できなかったであろう。でもこの後の放送でも、確か温泉に火をつけて発射させ上空で爆発させるシーンがあり、相当クレームが来たという話を聞いたことがあるが。あとでLDで確認だ。妄想から覚めたテン、あたるのちょっかいを食らい思い切り頭を踏んづけられていた。この時の描写では少なくとも彼の頭の3分の1は潰れていた。脳挫傷確実である。それでもピンピンして、更にはあたるの去ったあと高笑いをしていたテン、精神的にも肉体的にもタフな奴。ここから再びテンの妄想シーンが始まるのだが、ここでのテンはなんかいつもより子供っぽい。3,4頭身ほどに描かれていたせいであろう。やっぱテンには2頭身が良く似合う。初期林隆文氏作画監督時における四分の1頭身は極端だけど。この後、トラジマにおける「貸さない」「傘無い」というどーしようもなくしょーもない洒落を聞くことができるのだが、トラジマ役の緒方氏のしゃべり方が面白くまたも笑ってしまい不覚。小鳥の雨よけとして使われてるパラソルをテンが取ろうとしたとき、ラムが顔を巨大化させながらテンをたしなめていた。おお。トンちゃんの母面堂に続いてラムまでも、顔面巨大化を会得したか。その大きさ横幅だけでも60cmは超えていた。確かドラえもんの顔の周りは129.3cm。直径にすると約41.1cm。げ。ドラえもんを超えてしまっとるぞラム。このときの全身像もみたかった。パラソルを持って水溜りに入ったテンを追って、あたるが水溜りに突入する場面は、予測はしてたけど、いざその画面をみるとやはり面白かった。しかし見た感じ非常に浅そうに見えた水溜りだが、あたるが激突したときは凄まじい水柱をあげていた。結構深かったと見える。友引町、道路にこんな穴をあけては、事故がおきたときの責任問題に発展するぞ。異次元における「ハイデルマーデル」の家は、「うる星」より30分早く放送されていた同局の「Dr.スランプ」における皿田きのこの家そっくり。更にハイデルマーデルは幼き了子にそっくり。ここで声が了子役の小山茉美さんだったら、確実にアラレちゃんの声が聞けたのだが…。この少女を見たテン、一瞬で一目ぼれ、即座に「かわいいなぁ!」と叫んでいた。おいおい、てめーは「ガキは相手にせん」主義やったと違うのか(第137話「テンちゃんの不思議な恋の物語」)!?それか小鳥ちゃんとの出会いが、彼を素直にしたのかもしれん。この二人のシーンがすこーし長くて、すこーし冗長。本放送当時、かなり恥ずかしい気持ちになりながら見ていた記憶がある。水面上を空中散歩するテン「足が地につかへーん」と喜びをあらわしていた。普段から地についてないと思うが…。落下するハイデルを捕まえたテン、彼女から「スーパーデリシャスキッド(第151話)みたい!」との言葉を受けていた。それって褒め言葉なのか?それに大して照れるテンの顔がやたら乙女チックで不気味だった。首尾よく妖精にパラソルを返したテンが突如水溜りから出てくる場面では、上から様子をうかがっていたラムがびっくりして地面に尻餅をついていた。おいおい!この格好相当はしたないぞ!他の人がこないうちにすぐさま立ち上がることを薦める。テンを追いかけて疾走するあたる、途中でひっかけたポリバケツの中からコスプレ少女が飛び出していた。誰だこいつは?ラスト、諸星家のロングショットで、窓ガラスの向こうで凄まじい暴食を繰り広げるあたる母の描写が笑える。音が無いから余計におかしい。さらにテンの夢によって諸星家は半壊するのだが、それでもなお暴食を続ける母の姿が更におかしみを誘っていた。そのテンの夢をみて腰を抜かすラム、なぜかお尻が半分出ている…。なんか今回露出度たけーなおい。尚今回のオチは、原作と同じオチ。ラスト空中を飛びながら歌う妖精の姿が印象的。とくにその歌のメロディと演奏が不思議な雰囲気をより一層高めていた。


第210話 デートがしたい!あたるのテスト大作戦
放送月日 1986.1.22
脚本 柳川茂
演出 山崎友正
原作 5-3、11-2
作画監督 河南正昭
独断評価 ★★★★
原画 西村幸男、木内良子、川口栄夫、昆進之助、杉浦千里、薬師丸進
田中真弓(竜之介)、池水通洋(温泉マーク)、西村智博(コタツ猫)、大木民夫(菅原道真)、亀山助清、金丸淳一、大城まつみ、柿沼紫乃
内容
(210話)
今度の試験で一科目でもトップを取れば、しのぶと竜之介とデートができる!しのぶの些細な一言であたるの勉学意欲が一気に高まった。高まったけど勉強をする為のノートが無い。プライドを捨てて面堂に頼るもムゲに断られるあたる。そこで、今朝発見した面堂の白髪をネタに彼を脅迫。無理やり面堂から物理のノートを借りる。しかしその量は半端ではない。コピーをとろうにもこれでは莫大な金がかかってしまう。こういうときに頼りになるのがラム。UFOまで乗り込んで、ノートのコピーを依頼。ラムによるコピーは物質を丸ごとコピーするため、一ページずつコピーする手間が省ける。喜びまわりの状況をよく確認してなかったあたるは、ノートとともにコピーの機械に入ってしまい、ノートとともにコピーされてしまう。一度に二つもの物質を入れてしまった為、故障したコピー機。あたるも、体中に物理の公式が書かれたコピー人形と、物理のノートの中に閉じ込められた本体に分かれてしまう。開き直ったあたるは体の切り貸しをして金を稼ぐ。その後コピー機の復活とともに元に戻ったあたるは漸く試験勉強に本腰を入れ始める。しかしいかんせん付け焼刃。全然はかどらない。そこへ現れたあたるの母。あたるに大宰府天満宮で手に入れたお守りを渡す。このお守りを見てひらめいたあたる、これを使ってカンニングをしようとするが、試験が始まると中から出てきたのはカンニングペーパーではなく、菅原道真本人だった。
感想
(210話)
いよいよ残り9話となりました。今回の話はまたまた原作二作分をアニメ一話分として合体させたエピソード。その中でも成功した例の一つであろう。原作のエピソードはどちらも古く、初期のものに属するストーリーだ。さすが一作分を11分にまとめると内容が充実する。今回ほとんど冗長なシーンは見られなかった。だったら全話、初期うる星のように2話分放送すればよかったのにとも思うのだが、そうすると原作のストックはあっという間に底をついてしまうだろう。ではなぜこの時期、こういった贅沢な使い方をし始めたのか?思うに、アニメの打ち切りが決定的になったからではないか。3月までしか放送できないのだったら、出し惜しみする必要は無い。アニメ初期のストック豊富状態の如く、「残りの放送でいい素材を出しまくろうではないか」という雰囲気になったのかもしれない。あくまでこれは憶測。
 冒頭、あたると、しのぶ竜之介の絡み部分はアニメオリジナル。あたるが去った後の二人の会話は、視聴者に(もしかしたらあたるがトップを取るかも知れない、そうしたらこの二人とのデートはどうなるのだろうか?)との期待をもたせた。勉学の意欲に燃えたあたるが机で熟睡するシーンでの、あたるの背後で卓袱台に向かって勉強するラムの姿が◎。さらにその横で自分用の布団を引いて熟睡するテンの姿も◎。しかしラム、なぜ地球の服(オレンジのセーターに、青いジーンズ、白いソックス)なのだろうか?家にいるのに。あたるとラムの為にお茶を用意しているコタツ猫の姿もなかなかよろしかった。居候してるんだから、それぐらいサービスしてやれよ、あたるに。翌朝の登校下駄箱シーンで、あたるは面堂の白髪を発見し、それをネタに物理のノートをゆすっていた。原作では、まだ面堂の「暗所恐怖症」と「閉所恐怖症」が発覚してなかった時期だったので、あたるはこの二つの「恐怖症」をゆすりのタネにしていた。でもアニメではとっくの昔(第73話、3年前だ…)にばれていたのでそれを使うことができなかった。だからといって白髪って…。原作どおりもっと昔にアニメ化しとればこれほど無理もでなかったのに。ゆする前の、あたるの哀願に対する面堂の即答のタイミングは絶妙。とくに「血迷うな!」には爆笑した。また、面堂に物理の教えを乞いに来た女性のなかに、またまたあのおさげの子が!!おおい。すごい登場回数だな、相変わらず影は薄いけど。女性にやさしい面堂に対して、あたるが女装する場面があったが、あのセーラーは服はどこで手に入れたのだろう。普段からもってるとすると相当あやしいぞあたる。だいたい原作では「中身にしか興味はない!」と公言してたのだが…。この後あたる、ラムにコピーしてもらうべく、二人でUFOの中に入っていた。おお!あたるがラムのUFOに入るなんて滅茶苦茶珍しい!!第43話「スペースお見合い大作戦」で、お見合い会場からの帰り、ラムに隠れて(隠れたつもりで)UFOに乗っていたが、それ以来ではないか?テンのおまる宇宙船や、スクーターの方があたるが乗る頻度は高かったと思う。ところでこのUFOまではどうやっていったのか?ラムに抱えてもらった可能性大。みっともないのう。うらやましいけど←本音。ラムのコピー機のなかで悶絶するあたるの姿は、初期うる星のドタバタぶりを思い出させてくれた。ノートの中に埋め込まれてしまったあたるを見たラムの「ひえーっ!ダーリンなんて情けない姿に!」は爆笑もの。更にあたるの「学校に帰る…」も、哀愁が漂っていて必見だ。原作では「テストの点の悪い分、出席日数で稼がにゃならん」といってたが、アニメではそういった説明は一切無かった。ここから前半終了までのテンポの良さは特筆物。原作自身のクオリティも高かったが、アニメでもそれを見事に消化していたと思う。コピーあたるの、体の層がはがれた場面における、ラムの表情もグーであった。そして後半からは原作的には別のエピソード。机の前でうなる息子に対して、母は大宰府天満宮で買ってきたお守りを渡していた。彼女いわく、「バス電車を乗り継ぎ買ってきた大宰府のお守りだそうだ。彼女の口ぶりからすると、大宰府天満宮まで行って買ってきたようだ。なに?大宰府天満宮は福岡だぞ。当時だったら片道で最低6時間はかかったであろう、当然新幹線込みで。するとあたるの母、昨夜の息子のやる気をみて、翌日早朝家を出、バスにのり東京駅でおり、国鉄新幹線にのって一路博多まで、天神まで地下鉄にのり、そこから西鉄大牟田線に乗って二日市で乗り換え、漸く大宰府に到着、電光石火(これも古い表現だこと)お守りを購入し、来たときと逆の順序で家に戻ったと見える。往復12時間。途中の乗り換え等を考えるともっとかかった恐れがある。朝6時にでて、夜6,7時に帰ってくればまだいい方だ。普通ならこの強行軍に倒れていてもおかしくはない。なのに普段どおりあたるに突っ込みをいれる母。母は強し!なのにそれにカンペを入れたあたるって。ああ、親の心子知らず。翌日の学校シーンでは、試験直前まで勉強に苦しむ生徒の姿が描かれていた。懐かしいな、もう10年以上前の話だ、私にとっての高校時代の試験て。ここで生徒A、「話し掛けるな!」と後ろの生徒Bに怒鳴っていたが、おいおい、誰もてめーには話し掛けてねーよ。生徒Bは別の生徒に話し掛けていたのに。自意識過剰と見た。試験開始シーンにおける、あたる、温泉、ラムのやり取りも原作に忠実、アニメでもテンポよく描かれていた。いじけるフリをするあたると、良心に苛まれる温泉の対比が良かった。休み時間になって、カンペからでてきた菅原道真を取り囲む生徒達。「おもしろいものもってるなぁ」「かわいい!」と歓声をあげていた。誰一人驚いてないというのが、さすが友引高校。次の古文のテストには、あの昔懐かしい花和先生が登場。思いっきり茶髪になっていた。友引高校に入ってもう3年、だいぶ打ち解けてきたと思われる。ラムの答案をカンニングした道真が、ラムのラクガキをそのままあたるの答案用紙に書くシーンも原作に忠実。ラムのラクガキの中身まで原作に忠実だった。しかしこういう絵を一発で覚えて、再び自分で書くなんて、やっぱ頭良かったのかも、菅原道真。ただこの道真さん、1000年たって、アニメでパロディされてるなんて想像もしなかったであろう。結局カンニング失敗、いつもよりひどい状態で試験を終えたあたる、留年されたらこまると思った先生たちによって次の連休の追試が決まってしまった。10万くらいかけて九州までいったあたるの母が全く浮かばれない。ところで…。冒頭のしのぶと竜之介によるデートの前フリは一体なんだったんだ!!ただ単にあたるに勉強させるための前フリだったのか?それならそれでよかろう。ただ。それをタイトルに読みこむな!勉学に燃えるあたるに対して危機感をつのらせる二人の描写くらいはいれてほしかった。あのイントロの長さを有効に使うのなら。ま、それ以外は満足の行く今回のストーリー。作画監督は河南正昭氏。ここ最近の河南氏の頻度は驚愕に値する。ただこの人の作画は非常に丁寧で美しかったので、大歓迎だった。


第211話 ダーリンがうちを好きだと言ったっちゃ
放送月日 1986.1.29
脚本 井上敏樹
演出 鈴木行
原作 11-1
作画監督 今井正彦
独断評価
原画 高橋義則、芝田和子、石井和子、宍戸久美子
鷲尾真知子(サクラ)、田中真弓(竜之介)、池水通洋(温泉マーク)、大城まつみ
内容
(211話)
早朝の公園で偶然であったラムとサクラとしのぶ。焚き火をしているサクラに近寄ると、彼女はイモリを焼いていた。そのイモリからほれ薬も作る事ができると知ったしのぶとラムは二人そろってサクラの家へお邪魔する。怪しげな場所、怪しげな格好で薬を作るラム達三人。錯乱坊の妨害も乗り越えてついに「惚れ薬」が完成。早速ラムはあたるに与える。飴玉をなめ待つことしばし。突然顔色の変わったあたるは、真剣なまなざしでラムを口説き始めた。(惚れ薬が効いた!)そう思って喜ぶラム。そこへあたるの母が登場。「買い物にいってほしい」という母を捕まえてあたるが告白。いわく「実は俺は母さんの子供ではなかった」と。そこから始まるあたるの荒唐無稽な物語。あっけにとられる母とラム。一方しのぶは、翌朝学校で面堂に飴を差し出した。咳止めと思って飲んだ面堂、一瞬の沈黙の後、真剣な顔でしのぶに迫り始めた。しかし何か様子がおかしい。面堂いわく「君は僕の妹なんだ」と。そこから始まる面堂の荒唐無稽な物語。それにあたるも加わって話はより複雑化していく。この二人のおかしな様子を不審に思ったラムとしのぶはサクラに相談。サクラいわく「すまん、惚れ薬とホラ薬を間違えた。」と。
感想
(211話)
あいたたたたた。たた。なんなんざんしょ、この作画。冒頭のラム、しのぶ、サクラの顔は、まさに別人。スタジオピエロ時代の作画監督大坂氏に非常にテイストが似ている。全員のほっぺがふくらみ、そしてその顔が異常に幼いのだ。最近作画のグレードが高かっただけにこれは痛い。はっきりいってみていて苦痛だった。この絵が好きな人、まことに申し訳ない!個人の趣味だからいかんともしがたいのです。更に内容もトホホ状態。今回文句ばっかりになりそうなのでどうかお許しを。
 ラム、しのぶ、サクラによる公園遭遇シーンは原作と同じ。この後三人はサクラの薬調合室のような所に入るのだが、内部の雰囲気は非常にオカルトチック。薄汚れた包丁や鍋はまだわかるが、壁にかけられていたヤリは何に使うのか不明。また大量の水でつくられた惚れ薬だが、完成品はカチカチに固まっていた。わずかな氷砂糖とゼラチンくらいであそこまで硬くなるはずないぞ。煮詰めたか?でも煮詰めるとゼラチンは駄目になる。あーわからん。どーでもいいけど。家に帰ったラム、完成した飴を寝ているあたるに無理やり投入しようとしてあたるを起こしてしまっていた。あんなけ大口開けている時点で放りこみゃ良かったのに。なんであんなにいじくりまわしてたのかは謎である。あたるに「なんて可愛いんだ!」と告白されたラム、「うれしい!」と喜んでいた。その顔がまた…。いびつなんだよねぇ。前半ラストにおける、あたるの母の「わたしはかぐや姫だったのね!」と、ラムの「ちゃ!、更に「ジャンジャン」という効果音、すーべーてテンポといい、ギャグといい、効果音といい、古(いにしえ)のギャグアニメの如し。全身を冷気が襲った。友引高校における面堂の作り話は、アニメ中期、竜之介の父によるホラ話を意識して作られていたと思われるが、その完成度は竜之介の父に遥か及ばず。物語の壮大さ、荒唐無稽加減、暴走加減全てが劣っていた。中途半端だったんだよね。授業開始直後、あたると面堂にだまされた温泉マークは、体にロケットを装着され、凄まじい勢いで発射された後、遥か上空で爆発を起こしていた。スペースシャトル、チャレンジャーの大爆発は1986年1月28日。つまり前日のこと。いや、1月28日はアメリカ時間なので日本で報道されたのはこの放送された日ではなかったか?新聞やテレビがチャレンジャーの大爆発シーンを我先に報道する中放送されたこの温泉の場面。そうとうクレームがあったそうである。アニメをつくった時点ではそんなこと知る由もないのにねぇ。なんという間の悪さ。でもこういったフィルムを自粛せず放送したことが凄い。私はこの放送を、本放送時見逃していたのだが、見ていたらどういう感想を抱いたことだろう。すこし考えてしまった。その後の二人による「ホラ吹き」合戦も、独創性、意外性共に欠いており、見るべき所はない。笑えた所は、竹の中にいたあたるの両親の描写、面堂による「ラムさんのくちびるは紅ショウガの味がした」とそれに対するめがねの「するか!」くらいか。なんか全体的に「やっつけ仕事」的印象は免れなかった。


第212話 決死の家庭訪問!教師稼業も命がけ!!
放送月日 1986.2.5
脚本 島田満
演出 関田修
原作 11-1
作画監督 大森英敏
独断評価 ★★
原画 矢木正之、辻清光、山下明彦、河上裕、大森敦子
池水通洋(温泉マーク)、鷲尾真知子(サクラ)、田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、西村知道(校長)、沢りつお(ラムの父)、天地麦人(面堂の父)、西村智博、立木文彦、大城まつみ
内容
(212話)
自分の人生に暗い影を落としているあたる、面堂、しのぶ、竜之介。彼らの根性をたたきなおすためにはもとから矯正しなくてはならない。そう結論付けた温泉マークは、彼らの家庭訪問を決意。あたる達生徒と、校長にその旨を伝える。初日の対象は、まさしくこの4人。初日からあまりにハードではと心配する校長の言葉もなんのその、まずは竜之介の家を訪問。折りしも竜之介とその父は喧嘩の真っ最中。話をしようとしてもすぐ乱闘が始まってしまい、温泉もその煽りを食らって大怪我を負ってしまう。保健室で目が覚めた温泉は、サクラの静止を振り切って二軒目へとその歩を向ける。二軒目は面堂家。いくら大財閥といえども、教師の方が立場は上!と意気込んで向かった温泉だが、早くも玄関でその巨大さに圧倒される。卑屈な態度で中へ入る温泉。このままではいけない、威厳をもって、面堂の父と話さねばと心に誓いなおすも、今度は面堂の父をとりまくサングラス部隊に圧倒されてしまう。そこへ現れた面堂終太郎、ほっとした温泉は彼に向かって歩き始めるが、その温泉の行動を終太郎への攻撃とみなしたサングラス部隊にまたも半殺しの目に。杖をつきながら向かった三軒目はしのぶの家。なんだかんだいってもしのぶは優等生。今日のオアシス的存在の彼女の家に向かう温泉の心は少しずつ和らいでいく。しかし折りしもしのぶは、教師に襲われる女生徒を描いたドラマをみていた最中。ちょうど両親が不在の時にやってきた温泉の、何気ない行動に勘違いしたしのぶは、温泉をぶっ飛ばしてしまう。半死半生で向かった4軒目はあたるの家。ちょうどあたる一家は温泉来訪にあわせ、スキヤキを準備している最中。漸く玄関までたどり着いた温泉、自分の訪問を彼らに伝えるが、死にかけてるため声が届かない。温泉がやってこないと判断したあたる一家は勝手に食事をはじめてしまう。身も心もぼろぼろになった温泉、雪の降る家の外へと何も言わず出て行ってしまう。力尽き倒れたその彼のもとにラムがやってきて…。
感想
(212話)
一人さびしくラーメンをすする温泉の部屋は、第79話「命かけます授業中!」から全然変わってないようだ。あいかわらず異様に汚いが、なぜか親近感がわくのは、結婚前の私の部屋に似ているからか?しかし独身で、30代半ばあたりに見える温泉ならば、もっといい部屋に住むくらいの給料はもらっていてもおかしくない。なのになぜ4畳半、風呂無し、トイレ共同なのだ?友引高校がわれわれの想像を越えて薄給なのか?まぁ、あれだけしょっちゅう校舎を破壊されていれば確かに教員の方まで金は回らんわな。だから温泉、前回異動を申し出たのだろうか?タイトルは「教師稼業も命がけ」となってるが、教師稼業じゃなくて、あたる達と付き合うだけで命がけなのに、これほどひどい待遇を受けているとは。そりゃ性格も捻じ曲がるものである。汚いこの部屋で、温泉は「一生あいつらにコケにされる!」と叫んでいたが、少なくとも高校三年間のみだろう。はたまた連載終了までか?彼にとって3月での放送終了は朗報だったのかもしれん。2年後の映画(完結編)では相変わらずひどい目にあってたけど。彼らへの家庭訪問を決意し、校長にその旨を伝えた温泉、心配する校長に対して「たとえば食事の場合、まずいものから先に食べ、そのあと落ち着いておいしい料理にとりかかります」と説明していた。あたる、面堂、しのぶ、竜之介がまずい料理に例えられた訳だ。この後の校長による「わたしならキライなものは食べずに残しますけどねぇ」には爆笑。一見消極的意見にも聞こえるが、結構真理ではないか。最初に竜之介のいる購買部に向かった温泉、あっというまにぼろぼろになっていた。ここでの温泉による「一度だけでもサクラさんをこの胸に!」という台詞に対して、「一度だけなんて、男ってやーね!」と呟いていたのがのおさげの女の子。なんでこんなに頻繁にでていたのだろう、この放送終了間際に。ひょっとして放送後半のチーフディレクターやまざきかずお氏が、前半のメガネの如き独自のキャラとして育てようとしてたのか?だとするとあまりにキャラが弱い…。竜之介の父と、温泉が向き合った時点で、その後方に転がっていたマイクがなにやら意味ありげにみえたのだが、これが校内放送用のマイクだった。なぜ購買部に!?親父、校内放送も担当してたのか?だとしたらやかましいことこの上なし。この後の、竜之介が間違って温泉を殴るシーンでは、一瞬画面に「阪神V1」の文字が。その阪神のその後の低迷振りはみなさんご承知の通り。今年も相変わらずストーブリーグでやってくれました、野村監督解任。ああ、古(いにしえ)の感に堪えない、このスタッフのお遊び。竜之介に殴られて天井に頭を突っ込んだ温泉、顔だけ天井にめりこんで宙ぶらりんの状態になっていた。普通このような状態になると、頚動脈が切れて即死だけどね。あの体重だし。それでも生きてる温泉、強運なのか、悪運なのか。保健室で目が覚めた温泉の長い独りごとと、「えーいやかましい、さっさといかんか!」と彼を蹴飛ばすサクラの描写のテンポが最高。サクラ、それまでやさしい言葉をかけていただけに、そのギャップが笑えた。それにしてもちょっとひどくないか、サクラ。また、自転車にのり、自信たっぷりで面堂家に向かう温泉の姿と、巨大な玄関を見て圧倒される同じく温泉の姿のギャップもまた◎。ビクつきつつ父の登場を待つ温泉に対して、面堂の父は紙風船を破裂させ、温泉を脅かしていた。この紙風船、何度も割ってはすぐもとの姿に戻っていた。地味ながらマジシャン並みの手腕を披露する面堂の父であった。しかしこんな大財閥の当主の家に、ほとんどアポ無しで訪問する温泉も温泉だが、それよりなにより、そういった状態にもかかわらずほいほい面接できてしまう面堂の父の方に問題はないか?財閥の当主にしては異例な腰の軽さである。緊張しまくる温泉が、面堂の方に向かって走っていく場面があったが、ありゃどうみても終太郎に抱きつくつもりだったようだ。そりゃサングラス部隊も突っ込みをいれよーて。だいたい抱きつく直前に面堂から日本刀で切られる可能性も高いわけだから、温泉にしてみりゃサングラス部隊に止められて九死に一生を得たとも言える。良かったな!温泉!この場面における面堂の「ボデーガード」発言は、終太郎のアホさ加減を示してるようで地味ながら面白かった。また温泉をなぐり終えたサングラス部隊の姿は、初期うる星(特に第43話あたり)を髣髴とさせる懐かしいディフォルメ描写だった。次に向かったしのぶの家では生憎両親は不在。ほら。しのぶの家ですら突然の来訪に不在なのに。きっちり家にいてしかも面談ができた面堂の父って。結構なのか?しのぶの肩に止まったゴキブリを取ろうとして、勘違いしたしのぶに凄まじいぶちかましを食らった温泉、もはや哀れすぎてかけてあげる言葉も見つからない…。だいたい肩の上にゴキブリが這いずり回る状況のしのぶの家って相当問題があるぞ。それよりそれに気づかないしのぶの方が問題か?最後に訪れた諸星家は、なんと温泉の為にスキヤキを用意していた。なんて珍しい。そういう珍しい幸運にも見放されてしまう温泉。玄関で静かに涙を流す彼の姿は、万人の心を打ったことであろう。温泉のか弱い「ごめんくださあ…い」の言葉に、テレビの「ごめんください!」がかぶさる場面は爆笑モノ。まさしく温泉天中殺(くわ、ふっるー)。雪の降る中における、温泉のマッチ売り幻想が少しだけ冗長。何度も火をつけるシーンが特に。この後、ラムに連れ去られて、ラムの実家を訪れ、初めて人間らしい扱いをうけて舞い上がる温泉の姿が最高。尻振って踊る様なんかまさしく馬鹿丸出しという感じだった。もりあがる温泉を見たラム、母に「うち先に帰ってるっちゃ」と伝えていた。先に帰ってどーする。温泉をどうやって連れて帰るつもりだったのか。それより温泉、ラムのUFOに乗ってるではないか!あたるですら二回ほどしか乗った事ないのに。うーこの幸せもの!ではないよね、結局最初から最後まで浮かばれない温泉先生でした。折角最後の主役級のエピソードだったのに。


第213話 ハチャメチャ!ランちゃんの巨大人形!!
放送月日 1986.2.12
脚本 土屋斗紀雄
演出 阿部司
原作 27-11
作画監督 河南正昭
独断評価 ★★★☆
原画 富田悦子、山本哲也、佐藤江美代
小宮和枝(ラン)、池水通洋(温泉マーク)、田中真弓(竜之介)、西村知道(校長)、西村智博(コタツ猫)、大城まつみ、清水祐子、石田美鈴
内容
(213話)
諸星あたるの早弁に端を発した友引高校半壊事件。温泉があたるに投げた教壇がテンにあたり、怒ったテンが四人組に炎を浴びせてしまい、どさくさにまぎれたあたるが他の女にちょっかいをだし、それを見たラムが電撃を放電しまくり、その煽りをくらった面堂が日本刀を持って大暴れし、その喧しさにキレてしまったしのぶが教室中の机を放り投げてしまい、ラムの電撃の煽りをくらったランが、仕返しにメッセンジャードールで大爆発を起こし…。つもりつもったアクシデントの結果が友引高校を半壊させてしまった。校長の命令により、関係者一同が反省の庵に終結。ここで校長監視のもと、温泉マークからの座禅指導をうける、あたる、ラム、面堂、しのぶ、ラン、テンの6人。初めの内はおとなしく座禅をしていた彼らだが、竜之介の登場から再び不穏な空気が流れ始め、ついには先ほどと同じ程度の暴走を始め、最終的には反省の庵をも全壊させてしまう。そこへ、ランが前々から準備してた巨大人形が始動を始め・・・。
感想
(213話)
うわーっ!懐かしっ!本放送の印象強き好一遍。冒頭騒がしい教室の中から聞こえてくる温泉の「Please Listen To Me!」は、まさに彼の魂の叫びであろう。しかし前回無断欠勤を繰り返していた温泉、よくぞ元の職場に戻れたものだ。校長の温情ある処置には尊敬の涙を禁じえない。温泉の叫びで教室は一瞬静まり返ったものの、あたるの早弁から再び騒動開始。この一連の騒動の連鎖は、まさに「風が吹けば桶屋が儲かる」式であるが、いかにもうる星的世界に満ちていて大好きだった。各人の個性が生かされなければ、これほどまでに全員がいきいき(?)と動くことはなかっただろう。やはり高橋先生の作るキャラクターは魅力的である。今回メガネ、なぜか色付メガネを装用。生活指導部からお咎めはなかったのだろうか?しかし趣味の悪いメガネだこと。2年4組の騒動の中、化学実験器具をもって鼻歌交じりで廊下を歩くラン、完全に地球の、いや、友引高校になじんでいて、なんかうれしかった。必死で謝るラムに対して、「全然気にしてないわよ」とこたえるランのが怖い。こいつには何をしても逆恨みされるんだろうな。でもその性格の土台を作ったのはラム。その責任を取らねばなるまい。この騒動の中、温泉、あまりの騒々しさに他の生徒をたしなめるしのぶに向かって、「よくぞ言ってくれた三宅!」と叫んでいた。「しのぶ」なのか「三宅」なのかはっきりしてもらいたい。メガネにおける「あたる」「諸星」に匹敵する曖昧さだ。ここから物語は爆笑シーンのオンパレード。あたるの頭を小槌で楽しそうにたたくテンや、しのぶの脱出方法をみて手をたたくあたる以下5人の姿、面堂による「諸星の蟻んこが僕の足の裏にも」という台詞、竜之介の自転車の後ろに乗って不覚にも反省の庵に戻ってきたしのぶのリアクション、同じくあたるに片足抱きつかれ飛び回るしのぶの描写等全てが大笑いできた。「座禅を解いたらお前ら全員退学だぞ!」と啖呵を切る温泉の横に移ってたテンの姿も◎。いつの間に友引高校の生徒になったのだ?テン!それでも律儀に座禅を組むテンの姿は崇高だった。空中に浮いてたら、全体重が足にかからないので痺れの恐れはなかったろうけど。これはラムにもいえることだが。退学になるのを恐れつつ、座禅を組んだままちょこまか動き回る全員の描写も秀逸だった。よく両手二本だけで体を支えて移動できるものだ。あたるや面堂なら分かるが、あの非力なランまでも同様の移動方法を取っていたのが驚き。結構体力あるではないか。更に驚くべきは、両手と刀の力だけで空中2mほど飛び上がる面堂の腕力。足ですら2m飛ぶのは至難の技なのに。そこでの彼の雄たけび「うわちゃー!」と「しょおっ!」は、もろ「北斗の拳」のケンシロウ。この面堂による「反省の庵」一刀両断シーンにおける、目が点になったランの表情は必見である。ずり落ちた制服から露出していた肌から考察すると、ラン、ノーブラの可能性あり…。いかんなぁ、ラン。そしてこの後、タイトルによみこまれているラン巨大人形出現。このシーンの印象は凄かった。巨大人形における回転速度の落ちたランの不気味な声の繰り返しが、本放送当時私の心に直撃した。一緒にみていた兄弟三人で大笑いしたものの、不気味な印象がぬぐえなかった。このあと、同じ台詞を繰り返しつつ、友引町を徘徊するランの巨大人形は、ユーモアラスな印象とともに、言葉にはあらわせない恐怖というものを醸し出していた。いやぁ本当に面白かった!今回の作画監督はまたまた河南氏。末期うる星のすばらしい作画の印象は、この人の貢献無しには考えられなかったであろう。それほど美しく見やすい絵だった。


第214話 恋ひとすじ!命かけます純情ギツネ!!
放送月日 1986.2.19
脚本 柳川茂
演出 坂田純一
原作 28-11
作画監督 的場敦
独断評価 ★★★☆
原画 島崎克実、河村明夫、前島和子、TOYOMI
菅谷政子(子ギツネ)、肝付兼太(総番、電気屋の主)、麻生美代子(ばあちゃん)、木藤聡子、原えりこ
内容
(214話)
とあるキツネの住む里。今日も子キツネは、村のばあちゃんを訪れ昔話をせがむ。今日のばあちゃんの話は鬼にまつわる物語。昔、とあるキツネが野を歩いている時のこと、どこからか女性の語りかける声がした。振り返ると、そこには絵のなかに閉じ込められた庄屋の娘の姿があるではないか。悪い鬼に閉じ込められたとの事。この呪いを解くには、うんと怒らせた鬼の角をつかむしかない。そこでキツネは、原っぱに鬼を呼び寄せ、言葉の限り鬼をののしり、十分怒らせた所で鬼の角をつかみ、無事娘を救出することに成功。キツネは娘から力いっぱい感謝されるのであった。この物語を聞いて自分の家に帰る途中、偶然友引町行きのトラックに遭遇。黙って荷台に飛び乗ったキツネは、翌朝無事友引町に到着。そこで総番と遭遇。偶然総番が落としたしのぶの写真を発見。写真を見たことのないキツネは、しのぶが絵に閉じ込められたと勘違い。そこに偶然(またぐーぜんかよ)現れたラムを怒らせて角をつかもうとするも、ラムは全然怒ってくれない。何とか怒らせようとする一身で町を駆け巡るキツネはあたると遭遇。またナンパするあたるを見て、ラムは激怒。怒ったラムの姿を見、大喜びしたキツネは、ラムの角をつかもうとするも、後一歩及ばない。すると今度はテンが登場。トラジマと喧嘩するテンの角を掴もうとするもこれも後一歩及ばず。この乱闘にあたるが加わり、大乱闘になるが、そのどさくさに漸くキツネはテンの角を握ることができる。
感想
(214話)
ラストのキツネエピソード。冒頭、ばあちゃんの家に訪れるキツネ、「ああ、坊、又きてくれたのかい」と歓迎されていた。しかしその顔はどう見ても前回とは違うばあちゃん(声は同じ麻生さんだけど)。さてはキツネ、あちこちに顔を売ってるな。でもこういう子供にきてもらうのが、老人にとってのなによりのプレゼントなのであろう。いいやつだなぁキツネ。このばあちゃんの昔話における、青鬼が怒りによって赤鬼に変わる描写は秀逸。単純だけど大笑い。なぜか目からウロコという感慨も湧いた。自分でも良く分からんが。またこの昔話が原作に忠実な作画なんだ。更にこのキツネ、ラストではおなじみの台詞「我が青春にくいなし!」と叫んでいた。第157話の昔話におけるキツネと同一キツネと思われる。ボキャブラリーの少ないことおびただしい。キツネならしゃーないか。その帰り、キツネは友引町行きのトラックに乗っていた。その運転手の会話の中には、「翌朝には着くだろう」との発言があった。運転手にたずねていた人の口調(「今から友引町にいくのか?」という台詞)からいくと、時間は夜の11時頃か。そして翌朝7時頃には着いたと思える。その間8時間。2時間を高速、2時間を仮眠、残り4時間を一般道で走ったとして計算しよう(かなり田舎だったし)。高速の平均時速は80kmほど。一般道は信号とかもあるしせいぜい40km/hほどだろう。すると走行距離は320kmほどか?つまり東京都内から320km範囲にある人里はなれた村が、このキツネの故郷だと思われる。しかしどこなんだろう。そのヒントが翌朝の、総番登場シーンにある。一瞬映ったとある家の標識の名前は「新賀田」。なんてよむ?ん?「にいがた」か?そこで時刻表を取り出し、上越新幹線における、東京、新潟間の営業距離を調べてみると。なんと333.9km!ドンピシャじゃないか!おお!俺は今猛烈に感動している!!新潟は原作者高橋留美子さんの出身地でもあるからねぇ。ま、これが決定じゃないけど、可能性としては考えられるんじゃないか?友引町についたキツネ、トラックから降りたとたん、坂道を転げ落ちていた。もっと場所を吟味してから降りんかい!そして総番と遭遇するのだが、当然総番の声は肝付氏。この人も、うる星第一話から、頻繁にではないけど、結局最後まで残っていたなぁ。写真の中のしのぶの表情も興味深い。あの表情から推察するに、突然声をかけられ、振り向いた瞬間に撮られたものと思われる。そうでもしなきゃ、普通には撮らせてもらえそうにないからな。この後、偶然ラムに出会ったキツネが、ラムを怒らせようと苦心する所も◎。最後の手段とばかりに噛み付こうとしつつも、ラムの笑顔をみて断念するところなんかいかにもキツネらしい。そんなキツネを「うちのところに遊びにくるっちゃ」と行って、諸星家につれていくラムもまたよろしい。諸星家を「うちの家」という、そういう些細な言動ですら何かうれしくなるものである。コタツの中で寝るラム、後ろ髪部分にいつもの影の描写が無い為、やや質感が平坦になっていた。珍しい。そんなラムを起こさずに、静かに部屋を出て行くキツネ。控えめながら、「ガチャ」という音を立てて扉を開けていた。ん?あの音を出す為には、必ずノブを回さなければいけない。なのに、押しただけで扉を開けていたキツネ。さては壊したなおぬし。この後の、キツネと錯乱坊のやり取りも面白かった。餅を焼く為に、大量の七輪を用意していた錯乱坊。他のモノは無いくせに、七輪だけは人一倍持っているようだ。しかし狭い雪の鎌倉内においてあれだけの七輪で火をおこすと、一酸化炭素中毒になる事間違いなし。キツネが餅を持ってこなかった事が、結果的に錯乱坊の命を救ったようだ。よかったな!錯乱坊。また、ラムの作ったご飯を食べた、キツネのリアクションも◎。無知とは恐ろしい。普通の人間ですら一個食べたら死にかけるのに、あんな体の小さなキツネが食べたらどうなることやら。匂った時点で危険な食べ物とわかっていながら、一気食いをしたキツネ。思慮の浅いことおびただしい。町であたるとあったキツネ、あたるの要望どおり握手してあげるリアクションも可愛かった。このあたるの真似をしてラムを怒らそうとしたキツネ、あたるに変身して「ねーお茶飲もうよ!」を連発していた。なぜかこのシーンは本放送時の印象が非常に強い。多分、兄貴が爆笑してたからだろう。俺も笑ってたけど。また、コタツ猫がもっていたポラロイドカメラ、ファインダーが左にあった。ふつーのポラロイドカメラのファインダーはだけどね。そのポラロイド社もついこの間倒産してしまった(注:アメリカのポラロイド。日本のポラロイド社は健在です)。時の流れを感じる。乱闘をするテン、あたるの指に噛み付いていた。たかだかこれだけの映像で、第72話「虫歯WARS」と第106話「テンVSあたる」を思い出す私は異常?あたるも「すっぽんかお前」って言ってたし。ラストではキツネとしのぶによるお決まりの幻想的なシーン。いつものこういうキツネによる冗長シーンは、個人的には好きではないのだが、アニメも終了間近、そういった状況で見る(あるいは聴く)、このラストシーンと「リメンバー・マイ・ラブ(劇場映画版第三作」)のBGMは、何か私の心を打ったものである。


第215話 早く来てダーリン!ラムの危険な結婚話
放送月日 1986.2.26
脚本 島田満
演出 鈴木行
原作 29-1.2.3.4
作画監督 中島敦子
独断評価 ★★★★
原画 じゃんぐるじむ、武藤稔、箕輪悟、橋本敬史
古谷徹(真吾)、北村弘一(真吾の祖父)、田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、佐々木優子、清水祐子
内容
(215話)
久しぶりのあたるとのデートに、めかしこんで心躍らせるラム。一方あたるはというと、4時の待ち合わせもなんのその、ガールハントに精を出す。これで最後と思った女の子から思いもよらぬOKの返事をもらったあたる。ラムとの約束を思うと素直に喜べない。再び画面は変わってラムの方はというと、いつまでたっても現れぬあたるに対して完全にお冠状態。そこへ現れた一人の謎の少年。一頭の象を従え、ラムに求婚する。突然の出来事に呆然とするラムだったが、正気に返って、この少年に電撃をくらわす。しかし全然動じない少年。おかしいと思ったラム、今度は超ド級の電撃を食らわすが、ダメージを受けたのは、ラムの私服だけ。相変わらず全然平気な少年、電撃が通じないことを良い事にラムに抱きついてきた。ちょうどそこへ現れたあたる。ラムの言い訳にも耳を貸さずそこを立ち去ろうとする。少年(真吾)から開放されたいラムはあたるに助けを求めるも、あたるは意地を張って完全無視。そのあたるの態度にラムも怒り心頭。真吾の象に乗って立ち去ってしまった。その晩諸星家に帰ってこなかったラム。翌朝のテンの言葉によるとUFOにも帰ってこなかったようだ。突然血の気が引くあたる。そこへ荷物を抱えたラムが登場。自分は囚われの身であるからして、あたるの助けがないと逃げられないと説明して再び真吾のもとへ立ち去っていく。真吾のいる所は謎の電飾魔境。全てに電流が通じているため生身の人間は入ることができない。そこで面堂家より借り受けた耐電スーツをきて電飾魔境に乗り込む、あたる、面堂、しのぶ、メガネ。自分を助けにきたあたるの姿を見て感激するラム。その頃真吾は、着々とラムとの祝言(結婚式)の準備を続けるのであった。
感想
(215話)
こんな土壇場になってまたまた新キャラ登場。それも相当強烈な。そしてこれが、原作からテレビアニメ化された作品の中では最晩年のエピソードとなる。しかも原作4話分の濃縮版。更に作画監督は、あのすばらしい映像を作り上げてきた中島敦子さん。いやがうえにも期待は高まる。
 冒頭、噴水前のラムの私服姿が原作通りで、さらにイメージどおりの彩色をされていて最高。そのラムの前を横切っていくカップルの、男の方の声はチビ役の二又一成氏だ。だいたいこういう第三者の幸せそうなカップルがでてくると、男役は決まって二又氏だった。4月から始まる「めぞん一刻」の五代裕作役としても有名だが、これはその伏線だったのか。この時の声は、チビバージョンじゃなくて、、モロ五代バージョンだったし。ラムとの4時の約束を15分過ぎてるのにまだガールハントを続けるあたる。最後の女の子で、意外にも成功してしまったときの彼の凍りついた笑顔は見ものである。原作では、この後喫茶店で優柔不断にオーダーを決めきれない女の子に痺れを切らしたあたるが、通りがかりのコースケにその場をあずけラムの元へと走っていくシーンがあったのだが、アニメではカット。ま、4話分もあるなら仕方ないか。本放送時、電飾魔境でテレビを見る真吾の声、そして突如ラムの前にあらわれモーションをかける真吾の声を聞いたとき、「あ、アムロだ!」と感激したのを覚えている。念のためにいっておくがこのアムロはガンダムのアムロであって、いまや子持ちとなった沖縄出身のアムロではない(いや、冗談じゃなくてそれほど世代交代の波は激しいのである)。それほど彼(古谷徹)の声にはインパクトがあった。ただしこのとき気づいたのはアムロの声だけであって、その人が巨人の星の「星飛雄馬」の声もやっていたことをしったのは後年である。閑話休題。この真吾に出会い、手を振り解こうとしたラムは、超ド級の電撃を食らわしていた。このシーンにおける、四散していくラムの服の描写は秀逸。ああ。私はあの服を着たラムを気に入っていたのに。ものの見事に敗れ散ってしまった。惜しい。意地を張るあたるに愛想をつかし、真吾についていく決心をしたラムは、真吾の連れてきた象の後ろに乗っていた。ラムの前に座って大喜びする真吾の姿が馬鹿丸出し。普段見るものといえばテレビしかなかった真吾にしてみれば、あーゆーベタなリアクションしかとれなかったのであろう。二人の去ったあとに、一人残されたあたるは、自分勝手な言い訳をしつつ独白でラムを攻めていた。それに対してラム、「黙って聞いていれば勝手なことを!みんなダーリンが悪いっちゃ!」と怒鳴っていたが、本放送当時隣でこれを鑑賞していた我が兄貴(当時高校2年)が「ラムのゆーとーりだ」と敢然と頷いていたのを思い出す。それを聞きつつ、(兄貴がそういうならそうに違いない)と驚くほど主体性の無い結論に達していた自分が懐かしい。夜の諸星家、ラムの帰りを待ちつつひたすら一人でいじけるあたるの姿が笑いを誘う。また隅っこでいじけている為、哀愁100%だった。また、翌朝テンから、ラムの無断外泊を聞いたときのあたるのうろたえようも最高。更に、去ろうとするラムを呼び止めようと「ま…」と口にしたあたると、その直後「まさこぉおおおおおっ!」と絶叫し現れる竜之介父と、それに突っ込みをいれる竜之介の、三者のコンビネーションが絶妙だった。あまりといえばあんまりにも根拠のない父の登場だったが、物語に一服を入れるという意味ではかなり功を奏したのではないか。二人が去っていったのは普通の人間が入り込めない電飾の魔境。この魔境へのアプローチの仕方で議論するあたると面堂のやりあいが爆笑モノ。構図、絵柄とも非常に原作に忠実だった。結局電飾魔境に入っていったメンバーは、あたる、面堂、しのぶ、メガネ。原作ではメガネのかわりにコースケだったのだが、まさかメガネのかわりにパーマ一人行かす訳にはいかなかったのだろう。今回もメガネ、相変わらず意味の無い屁理屈を演説するシーンがあるのだが、なぜか今回はいつもよりも短めで、パワーもなく尻すぼみ。思うに原作四話分という濃厚な物語にオリジナルを入れる余地が無かったのであろう。更に原作のテイスト濃い今回のエピソードに、アニメ色の濃いメガネも入る余地が無かったと思う。だから彼の演説も尻すぼみにならざるを得なかったのだ。また、原作では電飾魔境に入るしのぶが「なぜ私までも…」とブツブツ呟くシーンがあったのだが、アニメではカット。この後、あたるが自分で真吾に向かうと見せかけて、面堂を先に行かせるシーンのテンポも非常に良かった。また、電飾大根にやられて倒れ「僕にかまわず先にいけ」という面堂の頭を踏みつけるあたるの描写もさることながら、あたるにふまれて痙攣をおこす面堂を、チラと見ただけで見捨てていくしのぶの姿も爆笑モノだった。しのぶもだいぶ面堂の本質を分かってきたものと思われる。あたるに踏まれ、激怒する面堂をみて、「元気でよかった」とフォローは入れていたけど。次のシーン、朽ちかけた小屋の中で、この電飾魔境が実は面堂家の庭であることが発覚。「ルーズな開発計画たてやがって!」と木槌で面堂に突っ込むシーンもテンポがよく小気味良い。結局あたるが、真吾の手からラムを救い出し、真吾も実の祖父と出会い、原作ではここでハッピーエンドに終わるのだが、アニメでは、再びあたるの意地がラムを怒らせ、また、真吾もしのぶにモーションをかけ、面堂は真吾の祖父に抱きつかれていた。あたるとラムのシーンだけは、原作どおり、あたるの「もおいいわい」で終わらせて欲しかったと思ったのは私だけ?
 今回の作画監督は冒頭でも説明したとおり中島敦子さん。んもう、最初から最後までハイクオリティのすばらしい作画を我々に提供してくれていた。内容も原作に非常に忠実で、さらにアニメ独自のテイストも加わり面白さを倍増させていた。番組も放送終了間近だというのにこういう素晴らしい作品を見せてくれたアニメスタッフに感謝の言葉をおくりたい。


第216話 たまらないっちゃ!ランの意地悪大作戦
放送月日 1986.3.5
脚本 井上敏樹
演出 山崎友正
原作  
作画監督 古橋一浩
独断評価 ★★★☆
原画 スタジオムサシ、昆進之介、木内良子、川口栄夫、杉浦千里、西村幸男
小宮和枝(ラン)、田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、西村智博(コタツ猫)、梨羽由記子(ランの母)、青野武(パソコン)、松谷祐子(ラーメン屋のお蝶夫人もどき)、藤本恭子
内容
(216話)
放課後偶然一緒になったラムとラン。久しぶりに一緒に帰ろうとのランの言葉に、一度は断るラムだが、泣きじゃくるランに抵抗できず結局は一緒に下校することに。「そーいえばこういうことがあったわよね」と切り出すラン。昔の事をおもいだしませんよーにというラムの祈りはもろくも崩れる。そこでランは、ラムから花飾りをもらった後、ラムが蜂の巣にいたずらした為、大量の蜂に襲われたことを思い出す。まだその時の傷が癒えぬランは、「思い出し激怒」。そのランをなだめるべくバースディパーティーの楽しかった事を思い出させるラム。しかしその後、ラムからもらったペンダントのせいで落雷を受けたことも思い出してしまい、完全にランはキレてしまう。家に帰っても腹の虫がおさまらないランは、再びラムに意地悪することを決意。バッチ型の人格操縦機、パーソナルコンピューターを取り出す。そのPCに「あたるに取り付いてうんといやな性格にしろ」と命令するラン。一回目は間違って竜之介に取り付いてしまい、父と子の争いの種を作ってしまったPCだが、二回目にしてあたるにとりつくことに成功。PCに取り付かれたあたる、ラムに対して昔の自分に対する仕打ちを思い出させようとする。思い出させた後突然キレてガールハントに行こうとするあたる。このあたるらしくない行動を不審に思ったランは、あたるのセーターに張り付いているPCを発見。お茶とイモ羊羹による懐柔に成功。依頼主がランであることを白状させる。
感想
(216話)
最終回前の実質的ラストエピソードとなる今回の話。そのラストエピソードをかざる主人公はラン。いいですねぇ。個人的に私はランちゃんの大ファンなので、第213話に引き続いて活躍する彼女の姿が見れるのは、非常にうれしいことだった。番組冒頭、丘の上から友引高校を眺めるランとこたつネコ。スーパーノヴァ騒ぎで友情を深めたと思ったら、おでん騒動では一方的にこたつネコを避けていたラン。結局仲直りをしたようだ。ここでのあたる、ラム、ランの絡みは、なかば恒例化された行事の如く展開しており、あたるの言い訳もラムの怒りも切羽詰ったものはなく、平和な自分達の関係の喜びを、こういった行動によって噛みしめている様な印象を受けた。深読みしすぎ?また、ランの背後にしのびよったあたる、突然ランちゃんに目隠しをして遊んでいた。ふつーの女子ならば、あたるのこういった態度には即、張り手や蹴りで対応するのだが、ランはちゃんとあたるの目隠しに付き合ってあげていた。結構いいやつじゃないか、ラン!それから直後にラムからの目隠しを受けたあたる、別の女の名前を連呼して、更にラムの怒りを買っていた。あたるは本気でラムと気づかなかった訳ではないだろう。ラムへのからかいが含まれていたと思われる。実際ラムの顔を見たときもそれほどのリアクションを見せてなかったし。だから、このあたるが去るまでの三人のリアクションは、ほのぼのとした雰囲気を感じさせ大好きだった。この後、一緒に下校をしようと持ちかけたラン、一度ラムから断られ号泣していた。このランの激しい号泣シーンと、それに対してハンカチを振りかざしながら必死でなだめるラムの描写が最高に面白かった。そして下校シーンには、私の大好きな二人の幼少時思い出シーンが。お花畑でラムがランのために花飾りを作りシーンがあったが、あの不器用なラムがよくぞあれほど(大したこと無いと言えば大したことないが)の花飾りを作ったものだ。ラムより数百倍は器用と思われるランから、「ラムちゃん上手!」と言われたことなんて、17年の人生であの時だけだったのかもしれん。この回想シーンから現実に帰ったランの「そういえばその後なんかあったわよ、なんか」「…そや思い出した…。」は最高。テンポ、構図、演出全てががっちり組み合わさって抱腹絶倒の爆笑シーンとなっていた。思い出そうとするランの後ろに映るラムの不安100%の顔も見逃せない。またこの後展開される蜂の巣エピソードも◎。ほんとひでーよな、ラム。必死でやめさせようとするランの姿は画面になく声だけ。この声だけというのが、よりランの悲壮感を煽っていたように思える。大量の蜂に追われ、パニックになりながら必死で逃亡するランと、そのランを遠くから傍観するだけのラムの背後の描写が非常に対照的。その傷がいまだに残っているラン。そらラムへの恨みも残るだろう。このランの怒りを静めるため、もうひとつのエピソードを思い出させたラム。実際それで一瞬怒りをおさめていたランが凄い。あれほどむごい目にあってるのに。案外心が広いぞラン。しかしここでもラムの悪事が露見。さっきと同じ、「そや、思い出した…」が、[繰り返しのおかしさ]を顕著に引き出せており、ここでも大爆笑だった。今回のペンダント落雷事件は、ある程度偶然の事故という気がしないでもないが、蜂の巣の場合は、明らかにラムの過失。ラムは、ランの性格の捩れに相当困惑しているが、誰だってラムからあないな目に合わされると、確実に性格は捻じ曲がると思われる。しかも一度や二度じゃないんだから。可哀想なランである。激怒したまま家に帰ったラン、久しぶりに、ピンクのビキニコスチュームを見せてくれる。最近、エプロン姿や、セーラー服姿が多かったので、何か新鮮だった。ランが取り出したパーソナルコンピューター(略称パソコン)の声は、「スーパーデリシャスケアキッド」や、子キツネが通ってた「ネコの先生」の声も担当していた青野武氏。「宇宙戦艦ヤマト」の真田役で有名。番組後半では、竜之介親子の珍しい和気藹々シーンを見ることができる。一瞬で崩壊するけど。パチンコで景品をもらった竜之介、「玉転がすだけでこんなのもらえるのか」と驚き、それに対し父が「さらにこの景品を闇市で売れば大もうけできる」と答えていた。さすが公共のテレビ放送だから、「一度ライターの石等にかえてから、それを現金に換金できる」とまであからさまに説明はできなかったと見える。この後、パソコンにとりつかれた竜之介の思い出話がまた最高。親父の命令で動物園のきじを盗み、それが警備員に見つけられた途端親父に裏切られ、更に「わしには子供おらん」とまで言われた竜之介。「だだだだだだだって、父ちゃん…」と半泣きで訴える幼き竜之介の姿が哀れ百倍。鬼畜だ。鬼畜すぎるぞ竜之介の父!前にも書いたけど、アニメの竜之介の父は原作をはるかに凌駕するひどい性格。原作も確かにひどいけど、アニメ版は、それすら可愛く見える鬼畜ぶりだった。この竜之介と、ランに共通して言えることは、幼少時は他のどんな子供よりも純情で純粋だったということ。ふたりともいつからああいう性格になったのか相当興味がある。場面は変わって諸星家。双眼鏡を逆さにもってあたるから突っ込まれるパソコンの、「めんぼくない」という台詞と、そのときの指を交差させる描写がなんともユニーク。とくに指の交差シーンのいじらしい描写は見事。パソコンに精神をのっとられ、椅子とともに転倒するあたる。それを心配そうにみつめるラムの姿が、後ろから映されてるのだが、四つん這いになったラムの尻がかなりグラマー。更にその右に浮遊するテンの顔が非常に乙女チック。また、あたるの回想シーンにおいて、一人でラーメン屋のカウンターでラーメンを食う、お蝶夫人まがいの女生徒の描写が爆笑モノ。思いっきり少女漫画っぽいキャラクターが、商店街内と思われるラーメン屋で、しかもカウンターで、更に一人でラーメンを食うというシチュエーションが馬鹿馬鹿しくて面白かった。また、回想シーン終了後の、あたるとラムによる馬鹿笑いも最高。特にラムの笑い声が◎。ちなみにこのお蝶夫人もどきの声を担当してたのは、松谷祐子さん。あの、アニメの最初のOP.ED「ラムのラブソング」「宇宙は大変だ」や劇場映画版第二作「ビューティフル・ドリーマー」の主題歌「愛はブーメラン」を歌っていた歌手である。そういや劇場映画版第一作「オンリー・ユー」にもエルの家臣の声を担当していた。残り3話の段階で端役で登場するあたり、番組終了の雰囲気が漂っていた。ラスト、イモ羊羹で懐柔されたパソコンのリアクションと、一度イモ羊羹を取り上げたラムの、物問いたげな目つきよかった。今回の作画監督は古橋一浩氏。第208話に引き続き二度目の作画監督。全体的に非常に綺麗で美しい作画。とくに全員のキャラの表情が非常に豊かであった。


第217話 お別れ直前スペシャル 輝け!!うる星大賞
君去りし後
放送月日 1986.3.12
脚本 伊藤和典
演出 西村純二
原作 4-8
作画監督 やまざきかずお
独断評価 -
原画 やまざきかずお、平田智浩、福島喜晴、土屋幹夫
沢りつお(ラムの父)、池水通洋(温泉マーク)
内容
(217話)
第67話参照。
感想
(217話)
これまで放送された作品の中から、視聴者が選んだトップの作品の再放送。当時こんな企画があったとは。本放送時216話を見ていたわたしは、次回予告が無かったため、これを見逃してしまったのだ。あとからこの日、私の一番大好きな「君去りし後」が放送されたことを知った私は、気も狂わんばかりに悔しがったのを覚えている。この日発表する予定の作品を次回予告するわけにはいかなかったんだろうが…。ま、感想は、上記にリンクしている67話で確認してください。ここでは、当時発表されたベストテンを列挙して終わりたいと思います。尚、このベストテンにおける各作品の感想も、今度まとめてアップしますのでお楽しみを。

第10位…「うわさのラムちゃんだっちゃ!」(第1話)
第 9位…「ニャオンの恐怖」(第66話)
第 8位…「美少女は雨とともに」(第53話)
第 7位…「異次元空間ダーリンはどこだっちゃ!?」(第130話)
第 6位…「またまた純情キツネ!しのぶさんが好き」(第181話)
第 5位…「ダーリンのやさしさが好きだっちゃ」(第180話)
第 4位…「ときめきの聖夜」(第19,20話)
第 3位…「スクランブル!ラムを奪回せよ!!」(第128話)
第 2位…「そして誰もいなくなったっちゃ!?」(第98話)
第 1位…「君去りし後」(第67話)

納得できるものアリ、できないものアリ。それぞれがそれぞれの感慨をもつであろう。ところで、もし「スクランブル」が一位になったらどうするつもりだったのだろう。「つづく」で終わってしまったら見ているものはさぞかし消化不良だったことであろう。


第218話 オールスター大宴会!うちらは不滅だっちゃ!!
放送月日 1986.3.19
脚本 柳川茂、鈴木行
演出 鈴木行
原作 11-3
作画監督 土器手司
独断評価 ★★★★☆
原画 中島敦子、富田悦子、青木康直、藤川太、門脇孝一、丹沢学
小山茉美(了子)、西村知道(校長)、池水通洋(温泉)、肝付兼太(総番)、鷲尾真知子(サクラ)、三田ゆう子(弁天)、島本須美(飛鳥)、小宮和枝(ラン)、田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、島田敏(トンちゃん)、天地麦人、西村智博、木藤聡子、大城まつみ
内容
(218話)
いつもの友引町、そしていつもの朝。いつもの日常を始める彼らの前に、それぞれの方法で封筒が届く。あるものはエロ本の中から、あるものはパチンコの中から、あるものはプラモの中から。その封書によると来る3月19日友引高校大運動場において、仮装大会が催されるとの事。この仮装大会に向けて面堂家において2年4組の出し物の準備をする面堂、あたる、ラム、4人組その他。しかし相変わらずのドタバタ騒ぎの為なかなか話は進まない。それでもやってきた3月19日。2年4組の出し物は「高天原」。ラムがうずめを、お雪(なんでや)が「天照大神」を演じることに。しかし持病の癪のため、天照役の降板を余儀なくされたお雪(更になんでや)。困りきったあたる達の前に、テンが本物の天照大神を連れてきた。そのあまりの美人ぶりにあたるも面堂もあっという間にまいってしまう。そのあたるの態度に怒り狂ったラムは恒例の電撃をあたるに食らわす。そこへ仲裁に入った天照大神に対してもラムは挑発的な態度をとってしまう。怒った大神は携帯用天の岩戸の中に閉じこもる。途端に暗くなる天地。これも2年4組の演出と思った他の観衆は、この大仕掛けに驚嘆の声をあげる。天照大神を外に誘うため歌を歌いだすあたる達。でもラムは「誰があの女の為におどるか」という態度をとっているため、いまいち盛り上がらない。するとそこへ本物のウズメが現れた。絹の衣一枚だけをまとっておどるウズメの姿は衆目の注目を集める。騒然となった外の様子を見ようとした天照大神、空けた瞬間、タジカラオに携帯用天の岩戸の空気を浮かれてしまい遥か上空までぶっとんでしまう。盛り上がりに盛り上がる友引高校大運動場。そこへ空から巨大な岩が落ちてきてあたるとラムを閉じ込めてしまった。真っ暗闇の中、放電直後のためうす青く光るラム。そのラムの姿に見とれ、また心配したあたるの態度にラムは大感激。閉じ込められ誰の干渉も無いのをいいことに顔を近づけていく…。突如鐘が持ち上がり、全員の注目を浴びるあたるとラム。その二人の姿に激怒した面堂と4人組は、あたるめがけて突進。それを合図に、あちこちから今まで登場したゲストキャラが大挙登場。友引高校を中心とした大宴会は更に盛り上がっていくのであった。
感想
(218話)
遂に。遂に最終回がやってきた。昭和56年(1981年)10月から始まったアニメ放送もすでに4年半。話数として218話、放送回数にして197回。私の個人的な体験から行くと、小学4年から、中学2年の終わりまでの多感な時期における放送だった。その日の新聞のテレビ欄に書かれた「うる星やつら(終)」の文字。万感の思いを込めて、静かにテレビの前に座ったのを良く覚えている。
 番組前半の、各自に配られていた案内状の光景は、劇場映画版第一作「オンリー・ユー」の冒頭シーンを彷彿とさせた。各キャラクターがそれぞれ各キャラクターの個性を光らせながら手紙を発見していく様が、見ていて面白くもアリ、また(ああ、もう終わるんだな)といった寂寞とした感情を起こさせていた。今回、カクガリがはじめての一人だけのエピソード。チビにも増して目立ってなかったカクガリ、最後の最後で浮かぶ瀬もあったようだ。他の三人のエピソードもきっちりあったけど。144分の1プラモ「ステテコサウルス」の中から封書を発見するチビや、未成年の癖にパチンコするパーマに対して、彼はエロ本の中から封書を発見してたけど。やっぱキャラが確立してなかったからか?それにしてもエロ本て。可哀想なカクガリ。ところで本屋で彼がぶつかっていたガラの悪い大柄なキャラはなんやったっけ?見たことあるけど忘れてしまった。誰か教えてください。また、何者かにUFOの階段を取り外され、家に入れないランのパニック振りが最高。はるか上部の入り口に向かって必死で手をのばし、「うんしょ、うんしょ、あーんランちゃん届かない♪…なんてやってる場合か!」と一人ボケ、一人突っ込みする彼女の姿は、もはや芸術でさえあった。爆弾で脚部を壊すくらいなら、ラムに頼んで開けてもらえばよかったのに。それともラムに負い目を作るのは、我がUFOを破壊するよりもプライドが許さない事柄だったのか?またつばめとサクラがでてくる映画館のポスターには、4月から始まる新番組「めぞん一刻」のポスターが。更に夕日をバックに抱き合いながら接吻をする(多分している)彼らの姿は非常に印象的だった。漸く結ばれそうになったようだ、長く苦難の歴史の後に。この後の、面堂による手紙開封シーンは、彼の性格が顕著に現れており、そのあまりの馬鹿馬鹿しさに大笑いした記憶がある。そしてメガネの私室シーン。あの、「さよならの季節」や、「ルージュマジック」でみせたラムのポスターが全て何者かによって剥ぎ取られていた。それにアルバムの写真も全て。このシーンは非常に象徴的だった。メガネというのは、旧チーフディレクター押井守氏や、うる星マニアの化身として、ある程度描かれていた可能性がある。そのメガネの部屋の、ラムに関する資料が全て消え去ったのである。もう祭りは終わった。現実に目をむけよ。というスタッフからのメッセージがこめられているような気がした。そして次から始まる「めぞん一刻」への変換というメッセージも入っていたのかも。あくまで私個人の仮説、または感慨だけど。夜の空き地、錯乱坊の鍋をつつくサクラと錯乱坊、そして婚約指輪を指摘され、ごまかし笑いするサクラの表情が印象的。サクラ的笑いじゃなく違和感たっぷりだったけど、なんか面白かった。また、贈られてきた封書に警戒しまくる温泉の行動も◎。普段から虐げられてるから素直に受け取れないんでしょうなぁ。ま、ここ最近生徒から相当ひどい目に合わされてきた彼にとってみれば無理も無いこと。
 後半からは一転して仮装大会のお祭り騒ぎ的雰囲気にあふれていた。面堂家で、この仮装大会について真剣にあたると相談しようとする面堂の姿が良かった。あれほどコケにされながらも素直にあたると会話をしようとする面堂。なんていじらしい。結局やっぱりまともに聞いてはもらえなかったが。あわれ。また、テンと錯乱坊の暴食シーンは見ていて爽快。錯乱坊はともかく、テンはあれほど食うと腹を壊すと思うぞ。そして翌日の友引高校仮装大会の始まり。校長最後の独自理論による長台詞を聞くことができる。しかし趣味の悪い面をつけてること。仮装大会で運動場にたむろする生徒の中に、前回あたるが着ていた服と全く同じコスチューム(モスラ?)をきている生徒発見。今回あたるは別の格好をしてるので、こいつはあたると別人物のようだ。さては今回の仮装大会にあたってあたるから高く譲ってもらったな。テンから聞かれて「うちすずめ!」と答えたラムに対する面堂の「ウズメですよラムさん!」の表情、目、しゃべり方が爆笑モノ。ところで何故天照大神がお雪!?しかも何故持病の癪で降板?これまで長い放送の間で一度も発作を見せたことの無かったお雪。最後の最後で発作を見せるとは哀れな。というより、もうちょっと自然にお雪を出すことができなかったのかと思ったもんだ。また、天照大神にあったテンの「なんて綺麗な歯医者さんや」と、それにたいする「誰が歯医者じゃ!」の突っ込みが絶妙。更に携帯用天の岩戸を膨らませ、力尽きて倒れるあたるの姿が原作に忠実でこれも爆笑モノ。天照大神が岩戸に隠れて、天地が一気に暗くなったというのに、「多少は違うが大体は脚本どおり」と平然とする面堂以下2年4組生徒一同。もうこんな騒ぎには慣れっこか。そしてあたる達による「でてこいでてこい天照」コール。懐かしい!このフレーズ、このメロディ。本放送当時相当印象に残り、長く記憶に残った。特にチビ「あ、どした!」という合いの手が絶妙だった。この後、天照大神、タジカラオに空気を抜かれてはるか天高くまでぶっ飛んでいた。人(?)一人をのせて、さらに上空まで飛んでいく携帯用天の岩戸。凄まじい量の空気が入っていたものと思われる。そらあたるもぶっ倒れるわな。そして問題の岩戸に閉じ込められたあたるとラムの場面。このキスシーンはかなり賛否両論が渦巻いた。ただ、それがどういう事を意味してたかはともかく、ここはひとつ暖かく二人を見守ってあげたかった。ただ、本放送当時、私は家族全員で観てたものだから相当恥ずかしかったことだけは良く覚えている。ところであたる、電撃を出した後、余熱で青く光るラムに4年半も気付かなかったのか?全くとほほな奴だ。突然開かれた岩戸のシーンから弁天登場。そしてここから始まるBGMは、あの「宇宙は大変だ」!やっぱこの歌は最高である。まさしく最終回にふさわしい曲だった。当時の私もこの曲が流れてきた途端、感動のあまり体が震えたものである。ここから、うる星やつら歴代ゲストキャラ大挙出演。あの肝付兼太氏も総番として登場。結局この人、第一話も、最終話も出演するという栄華に浴していた。そして、アニメ当初準レギュラーだった金太郎の姿も。真子なんて出てきた日にゃ、懐かしくて言葉もでなかった。更に画面を横切る化石怪獣と、すでに番組は打ち切られたであろうと思われると特番スペシャルの姿が。同じく画面を横切る原作者の高橋留美子さんと、直接うる星には関係のないピヨピヨ仮面。また4月から始まる「めぞん一刻」の響子さんも、ご挨拶に箒で地面を掃きながら器用に移動していた。安永航一郎氏「県立宇宙防衛軍」の下っぱまでいたのには笑った。電撃を浴びせすぎ、気絶してしまったあたるを抱き寄せ何か呟くラム。なんて呟いていたのだろう。それぞれがそれぞれの想像を働かせたものである。また、飛んでいった天照大神を連れて帰ってきたのはテンの母。まさかテンを連れ帰りに来たわけじゃないだろうな。もう少しあたるの元に預けてくれよ、テンの母。そしてラスト。地球によるクスダマの後、画面いっぱいに「またね!」の文字が…。こうして長い年月視聴者に多大な夢を送り続けたアニメ版「うる星やつら」はここにその使命を終え幕を閉じたのである。この後、OVAや、劇場映画「完結編」、10周年映画「いつだってマイダーリン」の発表はあったものの、実質テレビのアニメ放送はまさにこれが最後であった。アニメーション製作のディーンにとっては、このあとめぞん一刻がこのままの形で踏襲されるわけだからそれほどの感慨は無かったかもしれない。ただ、当時の私にとって、このうる星の放送終了は、本当に心の中に大きな穴がぽっかり空いたような喪失感を与えたものである。まだまだ書きたいことはたくさんある。しかしそれは、今後の新しいコンテンツへの論文として残しておこう。高橋先生、スタジオピエロ、ディーンのスタッフの皆様、そしてキャラクターに命を吹き込んでいった多くの声優さん。本当に長い間、夢をありがとうございました。


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