うる星やつらテレビシリーズ第三期データ
7/5更新

第一期   第二期   第三期   第四期   第五期   第六期   第七期   第八期   第九期

※全て敬省略、すんません。
※原作の「1-1」表示は、小学館コミックス1巻1話目を表しています。
※「感想」は管理人deaconの独断と偏見によるものです。あしからず。

第67話 君去りし後
放送月日 1982.10.13
脚本 伊藤和典
演出 西村純二
原作 4-8
作画監督 やまざきかずお
独断評価
原画 やまざきかずお、平田智浩、福島喜晴、土屋幹夫
沢りつお(ラムの父)、池水通洋(温泉マーク)
内容
(67話)
ラムが地球に来て丸一年。これを記念して、メガネ、パーマ、カクガリ、チビの四人組+1名(謎の男)がラムを招待してパーティを開いた。しかし、ラムに誘われて一緒に参加したあたるの機嫌がよろしくない。無理矢理自分の元にやってきて、押しかけ女房を気取り、機嫌が悪くなると電撃を喰らわせるといったラムの一番の被害者は俺だと力説する。淋しげにあたるの愚痴を聞くラム。調子に乗ったあたるは更にラムを邪険にする。伏目がちに座を立つラム。「うちがいると邪魔?」こう健気に聞くラムに対し、あたるはこれ見よがしに暴言を吐く。とうとうラムはパーティの場所から去っていく。「バイバイ」と言い残して。夕方家に帰ってきたあたるは、ラムがまだ戻ってないことに気付く。机の上にはラムが作った自分のマスコットが。ちょっと言い過ぎたかな?と反省するも、もう遅し。その夜も翌日もラムは帰ってこなかった。ラムがいなくなって初めて知るこの心の空虚感。あたるは夜の町をただ一人、さ迷い歩くのであった。
感想
(67話)
うおおおおおおおおおおお!さいこーだよさいこー。この話がなかったら、私はここまでのめりこんでなかったかもしれない。それ程までに私に凄まじい印象を与えた一編。後に視聴者が選ぶうる星大賞にこれが選ばれていたが、当然だと言う気持ちが強く驚きはなかった。これを本放送で見たのが昭和57年10月。ちょうど放送が始まって丸一年が経った時。私が小学5年の時でった。よほど印象が強かったのか、その晩初めてうる星の夢を見てしまった。まさしく大馬鹿野郎である。ただ感動した反面、兄貴や弟と一緒に見ていたので若干の気恥ずかしさがあったのも事実。あたるが町をさまよう場面で、おもちゃのピエロの顔真似をするシーンや、ラスト、ラムの父が「小汚い音を出す婿どのやな」と呟くシーンで、大して面白くもなかったのに兄貴が照れ隠しで無理矢理笑っていたのを覚えている(当時兄貴は中一)。単に湿っぽいだけではなく、あたるの想像シーンでのコテコテ大阪弁バージョン面堂や、ラム捜索隊のシーン等爆笑必見シーンも盛りだくさん。また、あたる彷徨シーンでのBGM「心細いな」は、第44、45話の「スペースお見合い大作戦」と同様、物語の味付けに非常にいい効果を出していた。この話で一番印象に残っているのは、繁華街の裏道で倒れ伏しながら泣きじゃくるあたるの姿である。ラストシーンよりも何故か印象に残っていた。他にも色々書きたいことはたくさんあるのだが、言葉にならない。「うる星が好きで、この話が一番好き」となると、あまりにも当たり前すぎて面白くないかもしれないが、好きなのは仕方がないのですよ。まさしく初期うる星の金字塔といった感があった。当然原作の「君去りし後」も大好きでした。


第68話 ラムちゃんのクラス会
放送月日 1982.10.20
脚本 伊藤和典
演出 小島多美子
原作 12-5
作画監督 遠藤麻未
独断評価 ★★
原画 高橋資祐、山本直子
鷲尾真知子(さくら、プリム)、井上瑤(ラン)、玄田哲章(レイ)、小原乃梨子(お雪)、野沢雅子(金太郎)、三田ゆう子(弁天)、池水通洋(温泉)、西村知道(校長先生)
内容
(68話)
退屈さに耐えかねて温泉の授業を妨害するテン。そこに錯乱坊も加わって更に授業継続は困難となった。詫びながら錯乱坊を引き取るさくらに、えこひいき丸出しの対応をする温泉。その態度について生徒から糾弾を受ける温泉。ごまかそうとして「窓の外に美人!」と叫ぶが、偶然そこにはエアバイクにのった弁天がいた。さらにロッカーからはお雪が。何の連絡も受けていないラムは、自分がのけ者にされていると感じ、一人落ち込んでいく。しかし、これはラムに黙ってクラス会を開き、ラムを驚かそうとする弁天たちの計画なのであった。
感想
(68話)
冒頭流暢に英語の教科書を読む温泉マーク。本放送当時俺が「この声優さん英語うまいね。」とゆーと、兄貴は「馬鹿者、この部分だけは外人がしゃべってるに決まってるやろ!」と断言していた。間抜けなはなしである。またテンが黒板に悪戯描きをするシーンでは、何故かもともとかかれてた英語が消されていた。テン、わざわざ消したのか?律儀なやつ。その前に温泉、消してる時点で気づけよ!!中盤、あたるの所在を聞きに来たラムに対して、メガネが「あいつら人と話してるサイチューにいきなり机ン中に入っちまったんだよ。」と話すシーンがあったが、あたるは面堂と話していただけ。君とは何の話もしておらんかったぞ。物語的には、一周年を意識してかキャラクター総出演のオールスター祭のようなノリ。クラス会なのに何故、金太郎や、クラマがでてるのだ?という疑問もそういった理由ならわからんでもない。それにしても・・・。なんなんだ、このくささは!!あたるが、あんなにこれみよがしにやさしい素振りを見せる訳ないやないかい!!へたに視聴者を感動させようとした魂胆丸見え。「君去りし後」の後だけになぁ。きっついのう。(好きな人、すまん。これはあくまで私個人の好みの問題なので^^;)


第69話 買い食いするものよっといで
放送月日 1982.10.27
脚本 伊藤和典
演出 早川啓二
原作 12-5
作画監督 野辺駿夫
独断評価 ★★★
原画 森中正春、西島克彦、昆進之介
鷲尾真知子(さくら、プリム)、池水通洋(温泉)、西村知道(校長先生)、納谷六朗(花和先生)、西村智博(先生、警官)、松金よね子、伊沢弘、安達忍、TARAKO
内容
(69話)
授業を抜け出して買い食いに奔走する生徒に業を煮やした先生一同がついに立ち上がった。買い食いしようとする生徒を一網打尽に捕まえるべく大作戦を展開することにしたのだ。一方生徒達は、自分達の楽しみを奪われてなるものかと全面抵抗の構えを見せる。昼休みとともに一斉に学校をでる生徒軍団。それを阻止すべく立ちはだかる面堂を長とした影の生活指導部の面々。が、あっさりとのその結界を破られてしまう。しかし、生徒が立ち寄りそうな場所には全て先生が待ち伏せしていた。なかなか思うように買い食いができないあたる達。そして遂に先生、生徒の両軍が相まみえる時がきた。
感想
(69話)
結構原作に忠実でテンポも良く面白かった。ただ、影の生活指導部(♀)が発した「知恵と勇気よ♪」のシーンは、うる星にしてはギャグのレベルが低かったような・・・。それともなにか別の深い意味でもあったのだろうか?この時、海老屋のタイヤキは一個50円であった。ここ福岡の有名なタイヤキ、「野間のタイヤキ」は一個150円。時代よのう。友引商店街のおっさんが出てくるシーンであたるが呟くセリフ「あ、あのひもぉ」の意味はなんぞや?誰か教えてくれ!20年来の悩みだ。という事で、嫁に聞いてみると、「ただ単に、『喜んでるヒマがあったら、先にひもを外してくれ』と訴えてるだけじゃないの?」との冷めた意見。うそ。本当にただそれだけに意味か?俺の20年はなんだったんだぁっ!!また温泉が捕まった交番の名前は「練馬1派出所」。うる星の考証にとって非常に重要な描写だ。その他、「時として大を生かす為に小を殺さねばならない」シーンのメガネは彼の性格を如実に語っていて最高。物語中盤、作戦会議室にて他の先生の動向を検討する校長のシーンから西島克彦氏の手による原画。ほんっと、この人の絵柄は見やすい。腕時計の描写の細かいこと。彼が作画を担当すると俄然お遊びシーンが増える。今回は圧巻。めぞんの響子さんの義父や、郁子ちゃん、タバコ屋にいる響子さん、「ダストスパート」「ザ・超女」「元祖生徒会」といった高橋留美子先生の短編のポスター、ガンモ、肉丸(細野不二彦氏のファンだったのか?)等お遊びキャラ総出演。後半には「ダストスパート」に出てくるHCIA(ヒノマルシーアイエー)の本拠地である「ジパング」に炎上寺由羅が出ていた。スパイ活動はやめたはずなので、生活の為にジパングでバイトをしているものと思われる。今回の由羅は、西島氏の作画にあらず。全体的には結構笑えるシーンがあった。ただし、ラストがよけーだったような・・・(「ダーリン、『俺の』なんだっちゃ!?」のシーン)。尚、今回作画監督の名前が、アニメEDやサンデーグラフィックにおいて「野辺」としてクレジット。


第70話 戦りつ!化石のへき地の謎
放送月日 1982.11.3
脚本 伊藤和典
演出 安濃孝志
原作 13-6
作画監督 遠藤麻未
独断評価 ★★★☆
原画 いのまたむつみ、影山楙倫、桜井利行、森山雄治、大塚伸治
安西正弘(チーフディレクター)、西村智博(AD)、大塚智子、TARAKO
内容
(70話)
混雑を避けて人気(ひとけ)のない僻地へハイキングにきた諸星あたる一行。面堂はそのローカルな雰囲気になじめない。彼らが来たそのすぐ後に、「裏番スペシャル」のスタッフ一同もやってきた。この僻地で謎の怪僧をテーマにした特番を撮影にきたのだ。ただし「やらせ」丸出しで。あたる達が弁当を食べ始めた頃、ラムが化石群を発見。海のものから山のものまでたくさんの化石を掘り起こす。その化石をあたるが出鱈目に組み立て、全く別の生物の模型を作り上げる。その出鱈目な化石に大喜びのテンとラム。気に入ったラムはその化石に光線を当て、不気味な怪鳥として蘇らせてしまう。偶然その怪鳥を見た裏番スペシャルのスタッフ達は、即座にテーマを「怪鳥」に変更し、「怪鳥」と、またまた偶然現れた「怪僧」(錯乱坊)を追って大追跡を始める。
感想
(70話)
これも爆笑編。テンポ、絵柄、効果等申し分なし。当時「うる星やつら」の裏番組に「水曜スペシャル」があり、その「水曜スペシャル」において、「川口浩探検隊シリーズ」なるものが放送されていた。子供向けのやらせ丸出し探検番組である。ただ、現在のような陰湿なやらせドキュメンタリーではなく、一種の御伽噺のような番組で、視聴者もやらせであることを承知しながら楽しんでみていた(私はやらせとは露疑わず毎回手に汗握りながら見ていたが)。その番組を、うる星がこの放送において思いっきりパロったのである。原作者の高橋留美子先生もこの川口浩探検隊が好きだったようで、原作でも、アニメとほぼ同じ構成で描かれていた。しかし、それを「裏番スペシャル」とまで銘打って、そのままアニメで流すとは。すでに高視聴率をキープしていたうる星スタッフ陣の余裕の遊びだったのかもしれない。頭、あたる一行が石段を登っていった数秒後、「裏番スペシャル」スタッフ一同も同じ石段のふもとに集合するシーンがあった。しのぶが石段を1秒間に約2段ずつ登り、10段目を上り終えてから、約3.5秒後にスタッフが同じ場所にきていた。つまりスタッフが来た時点でしのぶは早く見積もってもまだ20段目あたりを登り続けていた算段になる。石段は冒頭シーンの描写から見て確実に60段以上はあった。彼ら裏番スタッフは、たった20段上にいるしのぶ達に全く気がつかなかったのである。途中踊り場らしき場所もなかったから、通常の視力の持ち主なら絶対に見える場所にしのぶ達はいたのに。恐るべき近眼の集団!!チーフディレクターはメガネをかけていたが、恐らく老眼用だったのであろう。こんなやつらばかりで探検隊を編成するんじゃない!危なくってしょうがない。また、錯乱坊や怪鳥、ラムが湖を横切って再びあたるやスタッフ達のいる湖畔に戻ってくるシーンでは、錯乱坊以下2名が去っていった後、しばしの静寂があってのち、凄まじい爆風が吹いていた。つまり、錯乱坊達は完全に音速を超えていたと思われる。何かの資料で、「ラムは本気になれば軽飛行機並みの速さで飛べる」と書いてあったが、軽飛行機どころか、ジェット飛行機よりも早く飛んでいるぞ。凄まじい事実誤認である。軽飛行機の速度を100km/hとすると、その差はなんと最低でも12倍。体力テストで100mを10秒で走ったのに、記録には「100m走2分」と書かれてしまったようなものである。哀れラム。更にラスト、断崖絶壁の吊橋からあたる面堂しのぶ、スタッフ連中が墜落シーンがあるが、その落下時間を調べてみると10秒強かかっていた。すると高さおよそ500m。東京タワーよりさらに160m以上高い位置から彼らは落下したのである。いくら下は水であるといっても即死は免れない。それでも無事であったあたる達って。彼らの体の方を特番にしたほうが絶対視聴率がとれるぞ。
 でもほんとこの話は好きだった。以前第62話「どきどきサマーデート」の項で、私が高所恐怖症であったが為、プールの飛び込みシーンがトラウマになったことは書いたが、今回も吊橋シーンが小学生の私にとってのトラウマとなってしまった。あの恐るべき高さにおける身動き一つできない描写などはみていてほんとに息がつまるほどであった。更に錯乱坊と怪鳥の決闘シーンや追跡シーンは、アニメーション製作のスタジオピエロならではの素晴らしいスピード感と躍動感で描かれていた。ここも必見である。チーフディレクターの声は以前第53話「美少女は雨とともに」で雨森露子の父役を担当し、さらにこの後竜之介の父役として半レギュラーとなる安西正弘氏が担当。また、ADには、これまでその他大勢役として活躍し、今後こたつネコ役としても活躍する西村智博氏。しかし、何故かクレジットはなし。今回作画に森山雄治氏の名前が初めてクレジット。この後名前を「森山ゆうじ」とヒラき、テレビ版、劇場版の作画監督として大活躍していく。


第71話 クラマ姫 新たなる挑戦!
放送月日 1982.11.10
脚本 伊藤和典
演出 小島多美子
原作 14-1.2.3
作画監督 遠藤麻未
独断評価 ★★★
原画 高木敏夫、西川忠良、金沢勝真、石井邦幸
吉田理保子(クラマ姫)、池田一臣(長老)、西村知道(初代長老)、西村智博(カラス天狗)、島田敏(カラス天狗)
内容
(71話)
郊外でテニスを楽しむ、あたる、ラム、面堂、しのぶ達。その面堂の上に巨大な物体が落ちてきた。それは人生をもう一度やり直そうとするクラマを乗せたコールドスリープの本体であった。前回目ざめの口付けをあたるにされてしまい、カラス天狗一族の掟でどうしてもあたると契らねばならなくなっていたクラマだが、長老を締め上げ、特例として再度コールドスリープに入ることを許されたのだ。しかし出会ったのがまたも諸星あたる。カラス天狗はせめてハンサムな面堂に目ざめの口付けをさせようとするが、しのぶの抵抗にあってしまう。その隙に諸星あたるがクラマに口付けをしてしまった。先おこされた面堂が残念そうにクラマに近づいた時にクラマが目を覚ました。目を覚ますと目の前にいたのが面堂。てっきり面堂に口付けされたとおもったクラマは人生の賭けにかったと大喜びするのも束の間、実際の口付けの相手が諸星であることを知ってしまい落ち込んでしまう。二度と掟を破ることはまかりならんと諸星と契ることを薦める長老。しかし、掟を破った場合の根拠と罰則についてはまったく知識を持ち合わせていないことに彼らは気付く・・・。
感想
(71話)
原作のエピソードを3話分をアニメの1話分にした為、非常に原作に忠実な内容となった。カラス天狗(特に長老)が絶妙な間を駆使して必見シーンも盛りだくさん。特に歴代長老データバンクのシーンや、最後の初代長老回想シーンに対するクラマの反応は爆笑物。今回は特にクラマの突っ込みのセリフが秀逸(「よくもこんな下らぬ掟を120代に渡って受け継いでくれたものよのう!」や「路傍の砂利石に興味はない」等)。長老が歴代長老データバンクを使って歴代長老をモニターに移す場面において下っ端のカラス天狗が「みな同じ顔をしとる」と呟くシーンがあったが、てめーらの顔のほうが見分けがつかんぞ。また、彼らの体長は各場面から想定するに約20cm〜大きくとも25cmほどであるのに、冒頭ラムが彼らに「いちゃもん」をつけるシーンでは、長老の体長はどう小さく見積もっても1mを超えていた。こんなでかいカラス天狗がいたら相当圧迫されること間違い無しである。「遠近感のせいで近くにいる長老が大きく見えたのだ」という意見もあろうが、そーすると、ラムは全くあさっての方向を向いて喋っていたことになる。ラムの精神状態が非常に気になるところである。更に120代前の長老の回想シーンにおいては、120代前は女性タイプのカラス天狗は人間型ではなく、からす型として描かれていた。120代かかって見事な進化を遂げた女性。120代経っても全く進化しなかった男性。人間に例えるなら、カラス天狗の女性のまわりには猿人並の容姿をした男性しかいない事になる。そら、女性は人間型の男性を求めて宇宙に飛び出すわな。


第72話 恐怖のムシ歯WARS!
放送月日 1982.11.17
脚本 押井守
演出 早川啓二
原作 13-7
作画監督 野部駿夫
独断評価 ★★★☆
原画 遊佐和重、桜井利行
西村知道(校長先生)、西村智博、安宅誠、松崎尚美、TARAKO
内容
(72話)
平日の諸星家の朝食の風景。何故かそこには錯乱坊の姿が。そこへ赤くなったほっぺをおさえたテンが登場。どうやら虫歯に侵されてしまっているようだ。ここぞとばかりに虫歯部分をつついてテンを苛めるあたる。怒ったテンは力任せにあたるの指を噛み付く。なんとかふりほどいて学校へ向うあたるを何故かラムが心配そうな顔をして見送る。学校についてテンの虫歯の状態を面白おかしく説明していたあたるだったが、あたるも突如虫歯の激痛に倒れてしまう。なんとラムの星の虫歯は噛むと相手にうつすことができ、更に人にうつせばうつすほど治りがよくなるという太刀の悪い物でだったのだ。事情を知った2年4組の連中はあっというまにあたるから離れてバリケードを築いていく。しかし敵はあたるだけではなかった。バリケードの背後からテンに襲われてあっという間に修羅場と化す2年4組の教室。しばらくすると、虫歯軍団と健常者軍団のふたつの集団が形成され、醜い争いの幕が切って落とされるのであった。
感想
(72話)
これも笑った笑った。この辺はほんと秀作揃いである。冒頭虫歯治療器のシーンは、確実に歯医者恐怖症の子供にトラウマを与えたことであろう。虫歯をうつす為に噛みまくるシーンの効果音は、単に皮膚に噛み付いているだけではすまず、筋肉を破って骨まで砕いていてもおかしくない音にきこえるぞ。ちょっとおいしそうだし・・・。「歯を治療してあげる」というラムに対して、あたるが物を投げて抵抗するシーンがあったが、あれ?ここでもラムはトラジマの下着ではなく、普通の婦女子の下着をはいているぞ?以前はこの回のように普通の下着をはいていたが、第65話の「酔っぱらいブギ」ではちゃんとトラジマビキニを着るようになっていたのに。逆に、こういったときにラムに梅干を食わせると、大変なことになっていたものと思われる。また、自分の虫歯が伝染性であることに気付いたあたるは、他のクラスメートに逃げる時間を与え、さらに、女性には一切手をつけなかった。しかし、テンにかまれたメガネは、テンに噛まれた瞬間何の躊躇もなくカクガリに噛み付いていた。さらに彼らに噛まれた男子クラスメートは、女性をも噛み付く対象としていた。こう見るとあたるという人物は結構ジェントルマンである事が分かる。というより、メガネが鬼畜なのか・・・。口中虫歯だらけになった温泉を治療台にのせ、ラムが「全部抜くっちゃ!」と叫び、巨大ドリルを取り出して虫歯に激突させるシーンがあったが、抜歯するなら削る必要なぞなかろうて。悪戯に恐怖感をあおり、麻酔すら与えず痛痒感を患者に与えるなんて、医者の風上にもおけんな、ラム。この話において気になるのは男子生徒の数である。物語前半(LD0:19:15前後)では、虫歯組11人、健常組22人の計33名だった。男子だけでである。これだけでも結構な数字なのに、その1分後には虫歯組が何もしてないのに2名増え、さらに後半(0:23:00前後)においては約70名に膨れ上がっていた。更に更に、その1分46秒後つまり、番組ラストにおいては、男子生徒の数はどう見ても90名を超えていた。一クラス男子生徒90名はあまりに多過ぎる。こうなると、別のクラスの男子生徒も虫歯の被害にあってると考えねば理屈に合わない。さては校長先生、2年4組の隔離に失敗したな。尚、今回作画監督の名前は、アニメEDでは「野部」に戻っていた(サンデーグラフィックでは野辺のまま)。


第73話 ザ・面堂兄妹!
放送月日 1982.11.24
脚本 伊藤和典
演出 早川啓二
原作 13-7
作画監督 遠藤麻未
独断評価 ★★★
原画 千葉順三、林隆文、鶴山修、小林一三、吉永尚之
小山芙美(了子)、寺田誠、松崎尚美、島田敏、伊沢弘、安達忍、TARAKO、西村智博、安宅誠
内容
(73話)
友引高校の朝の登校シーン。そこへ現代には似つかわしくない、牛車の姿が。牛車から落ちたハンカチを拾い、その匂いから持ち主が美人であると確信したあたるは、牛車に近づき、中の女性とコンタクトを取るが、中から出てきたのは女性の声をだす骸骨だった。腰をぬかすあたるやクラスメート達。始業前の2年4組では、この話題で持ちきりだった。「黒子が引いている牛車」との話をうけなぜか顔色を変える。面堂。昼休み、謎の女性が黒子とともに2年4組にやってきた。面堂のフィアンセであるといって女性徒を混乱させ喜んでいるこの女性はなんと面堂の妹、了子その人であった。面堂の妹だろうがなんだろうが美人には目のないあたるはラムの妨害にも関わらず了子にアタックを続ける。そして今度面堂邸にて逢瀬の約束を取り付けるのだが・・・。
感想
(73話)
ほんと、このあたりのうる星はノリにノリまくっている感じで秀作が多い。この回も例外ではなく爆笑シーンのオンパレード。了子が9日前の弁当を開けるシーンや、面堂のロッカー絶叫シーン、諸星のあっけない面堂包囲網突破シーン等見所たくさん。了子がでてくると、面堂のアホさ加減に拍車がかかるのでサイコ―である。あたるの誘いに、ほいほいついていくテンも子供らしくて可愛い。面堂邸において、あたるが出鱈目に投げたトンカチがヘリコプターの操縦士にあたり、ヘリが墜落するシーンがあったが、トンカチを喰らっただけなのに、何故か墜落直前に炎上していた。ヘリの構造上に問題があったと見える。面堂は製造メーカーへ即刻リコールすべきだ。でも当時はPL法なんかなかったしなぁ。ラスト、爆風に飛ばされたあたるが了子と手をつなぐ直前、ラムの妨害にあうシーンがあったが、あと少しであたると了子の手が繋がる所だったのに、ラムの妨害シーンに場面がかわると、何故かあたるの体は了子から離れた位置にあった。なんの手がかりもなく空中で場所移動をしたのか?あたる。テンが火でも吹いて、了子との抱擁を阻止した可能性も無きにしも非ず。前半、腐った弁当を食べようとするあたるにパーマが、「よせ、やめろって」と言うシーンから、林隆文氏の手による作画。まだ遠慮をしているのか、後年の顔面爆列ディフォルメ描写はまだ影をひそめて、おとなしいディフォルメに終始していたのが印象的。氏の表現方法の推移を知る上で貴重な作画であった。


第74話 階段に猫がおんねん
放送月日 1982.12.1
脚本 伊藤和典
演出 西村純二
原作 11-9
作画監督 やまざきかずお
独断評価 ★★★
原画 やまざきかずお、平田智浩、富田悦子、藤川太
鷲尾真知子(さくら)、西村智博(こたつ猫)、横尾まり(江戸時代女)
内容
(74話)
人通りのない廃墟の町。物思いにふける巨大な猫が一人(?)佇んでいると、そこへ秋風を楽しむテンが流れ着いた。テンにタイヤキをあげる巨大猫。その猫の雰囲気や出で立ちになにか感じるものがあったテンは、帰るところのない猫を自分の家(諸星家だけど)に迎え入れる。諸星家についた猫は廊下に出しっぱなしになっているあたるのコタツを見た途端表情が一変する。実はこの猫、化け猫であって、生前こたつに入れなかったうらみが残っている為、成仏できなかったといういわれを持っていた。必死で自分のコタツを取り返そうとするあたる、それを許さないこたつネコ。そんななか、怨霊の息吹を感じ取ったさくらと錯乱坊がお祓いの為、諸星家を訪れた。
感想
(74話)
やまざきかずお氏、作画監督2作目。これも面白かった!絵が綺麗だったし、全体を流れる独特のテンポが物語の不思議度を高めていたように思える。玄関の壁に埋没し白目を剥くあたるや、あたるの父母の痴話喧嘩、こたつを取られて号泣するあたる等見所シーンがいっぱい。一生を諸星家の二階で暮らそうとするラムも、あほみたいにノー天気でいい味出してました。初めての地球の友達に対するテンの健気の態度がいじらしかった。ところでこたつネコ登場シーンの廃墟は一体どこなのか?とても東京内の風景とは思えん。友引町は、まだ戦後の復興が行われてないらしい。また、さくらと錯乱坊の為に、あたるの父がうなぎを取るシーンがあったが、月賦で買うなそんなもん。それを許すうなぎ屋もうなぎ屋だが・・・。このこたつネコ、ストーリーからみるに、江戸時代生まれのようだが、その時代に死んで、この時代に化けて出るまで、何をしていたのだろうか?明治大正時代もひそかに化けていたが誰も気付かなかったのだろうか?ま、諸星あたるが物の怪を引き寄せやすい性質をしてたから、この時代にその姿を現したというのもなんとなく分からんでも無いが。この回、初期うる星のその他大勢役でほぼレギュラーだった西村智博氏、初めて役名付のクレジット。フライドチキンを取ろうと必死でこたつネコに訴える犬の声は緒方賢一氏が担当。ほんとにこの人は名優だ。冒頭、初めてビートルズの音楽がBGMとして流れていた(アルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」2曲目「フール・オン・ザ・ヒル」)。秋風のおもむくまま枯葉とともに流されていくテンのバックに流れていたが、非常に場面にマッチしていた。この後こたつネコは、諸星家や、友引高校に出没するようになり、雰囲気作りの要となっていく。


第75話 タヌキは恩返しできるか!?
放送月日 1982.12.8
脚本 星山博之
演出 押井守(小島多美子?)
原作 13-10
作画監督 遠藤麻未
独断評価 ★★★
原画 高橋資祐、山本直子
菅谷政子(こだぬき)
内容
(75話)
晩秋の山道、サイクリングの帰途につくあたるとラム。そこに罠にかかった鶴の姿が。鶴を助けた後、去っていく鶴に恩返しをあからさまに示唆するあたる。家に戻って食卓に向おうとするが、テンの機嫌がよろしくない。サイクリングのおいてけぼりを喰らった為、スネてしまっているのだ。意地になって食事に向わないテン。あきらめたラムが去っていった後、あたるのリュックが突然動き出した。中から出てきたのは一匹のこだぬき。実はこいつ、さっきの鶴の原型で、あたるに恩返しをしようとして、あたるのリュックの中に忍んでいたのだ。なんとかしてあたるの役に立とうとするこだぬきのO(おー)島。しかし、どれもこれもピント外れでご期待に沿うことができない。
感想
(75話)
これも好きだったなぁ。ほんっとこの辺はハズレが無い。物語は、あたる、ラム、テン、O島の4人(少しだけあたるの父母登場)のみで進んでいく。その為か、物語の進行にいつものようなテンポの良さはない。前半のテンとO島の会話は、ボケとボケの会話みたいでやたら間延びをしていて非常に不思議な雰囲気を醸し出している。最初は、その間の悪さになじめなかったが、何回か見ていくうちに、この間の悪さが、なんとも言えないおかしみを生み出していることに気づいた。冒頭のシーンで、あたるとラムが二人でサイクリングに行っていたのは驚きだったが少し嬉しかった。これはアニメオリジナルではなく、原作でも、やはり二人でサイクリングに行っていた。「君去りし後」事件がなければ、あたるもこういった態度には出てなかったであろう。いじけたテンの姿もテンにしては珍しく子供っぽくてよかった。絵本なんか読んでるし。語中盤で、O島がお金を作るため、押入れに入るシーンがあった。押入れの物音を寝室で寝ながら聞くあたるの両親。その後3時間が経過してもO島は押入れから出てこなかった。時に22時30分。おい。ってことは、あたるの両親は19時半にはすでに布団に入っていたのか!?いくら「明日早い」といっても、これは異常とも言える早寝である。この回、天然ぼけのO島役を見事にこなしているのが名優菅谷政子さん。この2年後、劇場映画第三作「リメンバー・マイ・ラブ」においてもO島役として活躍する。尚、アニメ放送時のテロップでは演出が押井守氏になっていたが、サンデーグラフィックでは小島多美子氏のクレジット。


第76話 決死の亜空間アルバイト
放送月日 1982.12.15
脚本 伊藤和典
演出 早川啓二
原作 13-8
作画監督 野部駿夫
独断評価 ★★★★
原画 森中正春、西島克彦、昆進之介
小原乃梨子(お雪)、三田ゆう子(弁天)、TARAKO、水鳥鉄矢
内容
(76話)
理由はわからぬが、お金が必要なあたる。売店でアルバイト情報を購入する。しかしあまりにも高望みし過ぎて該当するアルバイトがみつからない。そこへ、自分の星のアルバイト情報誌を持ったラムが登場し、あたるの無謀ともいえる要求にこたえるアルバイトを見事に見つけ出す。それは銭湯での背中流し。美女の背中流しを想像したあたるは即断、アルバイト先へ向おうとするが、亜空間ベクトルの位置がわからないため、ラムに先導してもらうことにした。狭く薄暗い路地裏を抜けると、何故かそこは夏世界。全体的に流れる不気味な雰囲気。しかし目先の喜びに心を奪われているあたるがそんな雰囲気に気付くはずも無い。紆余曲折の末、漸く目指す銭湯に到着。無事面接も終え、早速背中流しに向うが。男湯は宇宙人や化け物ぞろい。当然ながらどこにも美女はおらず。へこむあたるの様子を見に、テンが女湯からやってきた。テンから、女湯の素晴らしさを聞いたあたるは、ラムの妨害にもめげずに女湯を目指すが・・・。
感想
(76話)
物語の白眉はやはり前半部分であろう。本放送を見た時、全編を流れるシュールで無感動な雰囲気に完全に圧倒された記憶がある。自分が初めて触れる世界に衝撃と畏怖を受けた。映像もさることながら、場面ごとの的確なBGMがこの物語の完成度を更に高めている。つげ義春氏の「ねじ式」のパロディであることは既に有名であるが、単なるパロディではなく、うる星のエッセンスも上手に盛り込まれていて、その効果を一層に高めていた。真冬の夕暮れの描写から、一転して真夏の描写への移行は、亜空間という現実離れした世界を視聴者に印象付けるのに非常に効果的であった。すだれの向うでお手玉しりとりを楽しむ表情の全く見えない老女、不気味な効果音とともに突然現れる駄菓子屋の主、無邪気な一つ目錯乱坊、全てを知り尽くしているラムの分身のような謎の少女。全てが視聴者を不安に陥れる一助を担っている。こうした不条理でシュールな雰囲気はこの後のうる星に多大な影響を与え、劇場映画第二弾「ビューティフル・ドリーマー」にて一つの頂点を築く。面白かった以上に、当時小学5年の私にいろんな意味での影響を与えた思い出深い作品だった。後半は一転してうる星独特のドタバタ劇。当然ここも面白かった。甘美な期待を裏切られたのに真面目にバイトするあたるの姿がいじらしかった(その後すぐ職場放棄してたけど・・・)。とか女湯を覗こうとあたるが洗面器を重ねて階段を作る場面があったが、風呂桶の形状から察するに、単に重ねていっても、凸凹面は絶対フィットしない(詳細は下図参照)。どうやらあたる、覗きたい執念から、一列置きに一番下の洗面器の半分をカットしていたようだ。職場放棄した上に器物破損。犯罪である。翻訳機も破壊してたし。テン登場場面から、西島克彦氏の作画。銭湯の底を徘徊する宇宙戦艦メカの描写や、女湯での女性描写等秀逸。尚テンの潜水時間は1分12秒、幼児にしては無謀といえる潜水時間である。あたるは全速で泳いでいて更に水中で叫びまくっていたにもかかわらず、2分弱。苔の一念だな。ラスト、テンがあたるを攻撃する為、湯船の中央にあるオブジェを魚雷で破壊していた。なんて事をするんだテン!みるからに高価そうだったが・・・。あとでラムが弁償したとみえる。今回、主要女性キャラがほぼ全裸になっていた。ただ、原作ではラムの胸の完全な露出は第一話のみ。その他の話では巧みに隠していた。物語のヒロインとして高橋先生が配慮していたようだ。 

※ただし、私の考える一個分が、実は上下逆さにした洗面器二個分の可能性も無きにしも非ず。さすればこの様な図解などむだ、むだ、むだ、むだ、むだぁっ!!(10年後の追記:確認したところやはり洗面器二個分の形状でした。とほほ。)


第77話 ラムちゃん主催大忘年会!
放送月日 1982.12.22
脚本 伊藤和典
演出 早川啓二
原作 13-8
作画監督 遠藤麻未
独断評価 ★★★
原画 千葉順三、鶴山修、金沢勝真、石井邦幸
池水通洋(温泉マーク)、西村智博(月光仮面)、島田敏、TARAKO、花咲ちよみ、大塚智子、諸 誠、桜庭祐一
内容
(77話)
クラス忘年会の幹事を頼まれたラム。忘年会を「何もかも忘れて馬鹿騒ぎする事」と解釈したラムの言動に不安を感じたあたるは忘年会エスケープを試みるもめがねとパーマに捕まってしまう。ラムが用意した忘年会会場入り口から中に入ると、その瞬間全員が自分の素性を忘れてしまう。そしてその場にあった衣装を着て、その衣装の人物になりきっていく。温泉マークは浦島太郎に、あたるは銭形平次に、面堂はシャーロックホームズに。そして浦島太郎の玉手箱を巡って大争奪戦が始まるのであった。
感想
(77話)
これも本放送時、ラストシーンをみた私に衝撃を与えた。何度も繰り返される堂堂巡り。いつになったらこの循環が終わるのだろうか?幼い自分に「永久」の概念が分かるはずも無く(無論今でも全然わからんが)、その結末を想像しようとしても想像できるはずも無く、相当な期間悪夢に悩まされた。幼少時の大事な期間に、こんなことで悩ますとはとんでもない番組である。この回、またも温泉マークが主役級。この人、相当扱いやすいキャラだったんやな。冒頭のあたるによる競亀推理や、面堂に鞭を食らわされながらも必死で走る馬車馬カクガリ等、爆笑シーンが盛りだくさん(面堂のキャバレー呼び込み推理はそーとー寒かったけど)。内容的には、ドタバタ劇の典型的なパターンで、そのせいかモブシーンも充実。ウルトラマンや、鉄人88(?)号、エリア88戦闘機、月光仮面、フランケンシュタイン、狼男等なんでもありの世界。フランケンや狼男達による西洋化物軍団の最後には何故か原作者の高橋留美子先生の姿が・・・。さらに、月光仮面、乗ってるバイクは何とスズキのカタナ。本家はスクーター乗ってたのに。私の手元にある月刊オートバイ(1993年7月号)によると、GSX1100S KATANAの発売は1981年の1月。ちょうどこの放送の2年前にすでに発売されていたようだ。スタッフの中にバイクマニアがいたんでしょうねぇ。後半、世界中の女(20人だけど)を前にしたあたるが「可愛い娘を前にして!」と叫ぶシーンがあったが、ごっつぶさいくやん・・・。めっちゃ太ってるし。この女性軍の顔は、あきらかに「うる星」の絵柄とは一線を画していた。どちらかというと、未来少年コナン系の顔をしていた。太ってたし。ラスト近くになると初代EDテーマ「宇宙は大変だ!」がBGMに。この曲が大好きだった私は、本放送当時この曲が流れてきた瞬間カンドーした事を覚えている。非常に場面にマッチしていたし。全体的に流れるスピード感が素晴らしかった。このスピード感は何故か前期(129話)だけの特徴となっており、後期(130話〜)においてはこれ程までのスピード感をみせる場面は殆ど無かった。


第78話 ダメッコ武蔵風雲録
放送月日 1983.1.5
脚本 伊藤和典
演出 西村純二
原作 13-1.2.3
作画監督 野部駿夫
独断評価 ★★★
原画 遊佐和重、桜井利行、森中正春
池水通洋(温泉マーク)、三田ゆう子(かえで)、伊沢弘、西村智博、桜庭祐一
内容
(78話)
時は慶長5年、所は作州美作宮本村。一人の若者がメジャーになる為立ち上がった。そう、かの宮本武蔵である。修行の為山へ向う武蔵の元へ村人達が。自分の見送りかとかん違いする武蔵。しかしそれは、牛を盗んだ同じく宮本村出身の「悪たれあたる」を追跡する人々であった。自分の行き方を見つけにあたるも旅へと出かける。そしてある日の山小屋で武蔵、小次郎、あたるの運命の出会いが。この後、あたるは武蔵の名前を騙(かた)りつつ食い逃げ行脚へと出かける。小次郎はそのあたると武蔵を追って、吉岡一門と合流、芸を見せながら旅を続けていくのだが・・・。
感想
(78話)
ご存知「宮本武蔵」の壮大なパロディ。原作では3話分もあって読み応え十分であった。原作で3話分もあったので、時間の都合上、アニメも原作に非常に忠実であった。今回またも温泉マークが主役級。頭あたるが牛を背負って全力疾走するシーンがあったが、牛は小さくとも体重100kg、大きいと1tを上回るという。それをかついで全力疾走、さらにその後の場面でおよそ4m程の高さから飛び降りていた。常人なら両足の陥没骨折、複雑骨折、さらには腰部圧迫による頚椎損傷、骨盤破壊は免れぬところであろう。常人の想像を遥かに凌駕した量のカルシウムを日頃から摂取していたとみえる。骨粗鬆症なんぞ無縁であろうて。あたるを追ってラムとテンと沢庵和尚が旅にでていたが、なぜ沢庵も?あたるの為と、かこつけていたが、実はあたるとの悪行三昧がすべて露呈した為、村にいれなくなった説が有力である。ラスト、巌流島を離れた武蔵が水平線に向って船を漕いでいた。対岸の山口県なら、陸地が見えたはずである。陸地の全く見えぬ水平線を目指していたということは、日本海の向うにある韓国へ向っていたのかもしれん。ま、国内では山奥でも武蔵の手配書があったから、国外逃亡もやむを得なかったかもな。原作に忠実だったせいか、テンポ、間、とも申し分なく面白かった。「一生山篭りしてなさい」のセリフや、巨大化した丈太郎にあきれ返る小次郎、武蔵と小次郎の名をかたって食い逃げ行脚するあたる、丈太郎等、見所いっぱい。尚、この回からEDが劇場版映画第一作「オンリー・ユー」の主題歌であった「I・I・You&愛」に変更。


第79話 命かけます授業中
放送月日 1983.1.12
脚本 伊藤和典
演出 早川啓二
原作 12-7
作画監督 遠藤麻未
独断評価 ★★★
原画 小林一三、高木敏夫、多賀かずひろ、西川忠良、林隆文、吉永尚之、千葉順三
池水通洋(温泉マーク)、鷲尾真知子(さくら)玄田哲章(牛丼仮面)
内容
(79話)
厳冬の朝。友引高校教師の通称温泉マークは、朝から小魚をめぐって野良猫と闘争。結局ネコに奪われてしまい、食いっぱぐれた朝食分を取り戻そうと出前を取るも、錯乱坊に横取りされる。昼休み、牛丼屋へむかうと見知らぬ牛丼仮面に喧嘩を売られぼろぼろに。空腹感は怒りへと変化し、日頃から授業を壊されまくっている2年4組の生徒へ、「今度授業を壊したら休日登校の補習をする」と宣言する。一言でも言葉を発すると補習が即決定してしまう条件下、さきほどいじめられたテンがあたる達に仕返しをしようと教室に入ってきた。テンの執拗な妨害にもかかわらず完全沈黙を守る生徒一同。無視されたと思ったテンはさらに過激な手段を導入していく。
感想
(79話)
まったまた温泉先生主役級。どーした温泉。栗林や花和先生より登場が遅かったのに、すでに彼らを食いまくっている。ま、わかりやすいキャラクターだからなぁ。前半のオリジナル部分も原作部分に劣らず面白い。温泉に怒鳴られたと思った校長がネチネチと温泉を攻撃していくシーンや、メガネ並みの意味なし理論をまくしたてる牛丼仮面等爆笑シーン盛りだくさん。特に原作の持ち味を生かした校長先生の発言はサイコーだった。また、中盤のラムがあたるに「目と目で会話ができるなんて本物の夫婦みたいだっちゃ」と目で語りかけるシーンは何故か本放送当時かなり印象に残った。冒頭、温泉マークが野良猫と格闘するシーンで、窓ガラスの左上部分が割れてしまい、その割れた部分からネコが逃げてしまうのだが、温泉が窓を閉める直前のシーンではその部分は何故か修繕されていた。しかしその直後、力任せに窓を閉めた温泉によって窓ガラス全体が破壊された。一瞬の内にガラスを補習した温泉の手際の良さは賞賛に値する。が、その直後、今度は完膚なきまでに破壊してしまうとは・・・。器用だが思慮が浅いぞ温泉マーク。今回、温泉はグラマー(文法)の授業をしていた。しかし、前回(第68話)では、明らかにリーダーの授業を行っていた。高校では大抵、それぞれに担当教師がいる。それを一人でまかなっているとは、温泉が案外賢いのか、友引高校が極度の貧乏校なのか、PTAがいい加減なのか。また、テンのおもちゃの戦車が教室のドアをぶち破るシーンがあったが、通常あんな小さい戦車が扉をこじ開ける場合、扉の下半分の部分が破壊されるはずである。しかし、アニメでは上部分から倒れていっていた(下図参照)。どういう力学作用なのか!扉上半分部分に砲撃を加えてたようにはみえなかったが。

とにもかくにもひたすらドタバタを極めたうる星らしい作品となった事は事実。あー面白かった。


第80話 夫婦げんか 食うか食われるか!
放送月日 1983.1.26
脚本 伊藤和典
演出 西村純二
原作 13-9
作画監督 やまざきかずお
独断評価 ★★★
原画 やまざきかずお、平田智浩、富田悦子、藤川太
沢りつお(ラムの父)、山田礼子(ラムの母)、池水通洋(温泉マーク)、TARAKO、大塚智子、能村弘子
内容
(80話)
妻の夕ご飯を横取りした為、家を追い出されてしまったラムの父。煙たがるあたる一家の都合などなんのその、暫くの間居候を決め込んでしまう。翌日は暇をつぶそうと友引高校を訪問し、勝手に授業を参観。ここでも生徒や温泉マークから煙たがられる。しかしあくまでマイペースなラムの父は「男の道」ついて講義を始めるが・・・。
感想
(80話)
冒頭、焼き鳥屋のシーンがあったが、その焼き鳥の美味そうなこと。店の主の顔はどうやら「じゃりン子チエ」のパロディらしい。今回は作画が非常に丁寧で見やすかった。中盤のあたるとラムの照れくさいやり取りはアニメ独特のもの。たまーにこういうシーンがあると嬉しかったものである。意地張らんでいっしょにUFOにいけや!と恫喝した視聴者数名(including me)。しかし、諸星家、客用の布団くらい常時用意しとけよ・・・。ラムの父が読んでいた漫画はもろ「めぞん一刻」。おもいっきりコミックスを模写していた。また、ラムの父の回想シーンでは、ラムの母がはじめてまともなセリフを喋っていた。いっつも普通に吹き込んでから、逆回転させて放送されていたので、担当の山田礼子さんの感慨もひとしおであったろうて。作画的にはみやすかったが、全体を流れるテンポは若干の冗長を感じさせた。ラムの父はあいかわらず人一倍大げさだし・・・。


第81話 ミス雪の女王 キッスを奪え!
放送月日 1983.2.2
脚本 伊藤和典
演出 早川啓二
原作 7-10
作画監督 遠藤裕一
独断評価 ★★
原画 遠藤裕一、宮尾岳、小林左希子
池水通洋(温泉マーク)、玄田哲章(大男)、島田敏、花咲きよみ
内容
(81話)
試験が終わって、虚脱感にひたるあたるの元にラムがやってきた。お好み焼きをおごってくれるという言葉に心を動かされたあたるは、4人組の誘いを断ってラムと密会する。そこでラムは二人きりのスキー旅行を提案。「二人きり」という企画にあまり乗り気でないあたるだったが、ラムの持ってきたパンフの中から「ミス雪の女王コンテスト」の記事を発見。コンテストが行われるゲレンデ限定でのスキー旅行を承諾。それを影で聞いていたチビとしのぶ。チビは他の3人にその事実を伝え、あたるとラムが二人きりにならないように4人組もスキー旅行を決行することに。さらにしのぶは面堂に情報をもらし、二人して同じくあたる達の行くスキー場へと向う。全員がスキー場に揃った頃、ゲレンデにおいて「宝探し大会」開催のお知らせが。雪の女王が目的のあたるは全く興味を持たなかったが、宝探しの賞品が雪の女王のキスであることを知った途端、俄然やる気をだす。一目女王をみようとステージへと向うが、あたるの前にはウドの大木が立ちふさがっていて、結局女王の顔を見ることができなかった。ただ、周りの人の上々な反応から、美人に違いないと察したあたるは必死で優勝を狙うのだが・・・。
感想
(81話)
作画監督として遠藤裕一氏が二度目のクレジット。この人はこの後劇場版映画第一作「オンリー・ユー」の一部や、130話以降のスタジオディーン時代にも作画監督として活躍する。しかし・・・。この当時の絵は・・・。特に「オンリー・ユー」の大切な冒頭部分の彼の作画は賛否両論の激論を巻き起こした。当然「否」の方が多かったのだが。ディーン時代になるとだいぶ見やすくなるが、この当時の作画はきつい。上手下手ではなく、絵が全然うる星らしくないのだ。ラムは異常な程より目だし(かなり猿顔)、面堂は昔の劇画の登場人物みたいだし。特にラムの顔だけは最後まで馴染めなかった・・・。個人的好き嫌いなんだろけど。内容的にも今ひとつ。テンポが良くない。途中西島克彦氏らしき作画も出てくるがクレジットは無かった。あたるが木にぶつかって倒れる部分のモブシーンには、めぞんの一の瀬婦人やミンキーモモ、サイボーグ009(島村ジョー)、さすがの猿飛にでてきた猿飛の彼女(名前忘れた・・・)等大挙出場。また麺子と汁夫も67話以来の久し振りの登場となった。相変わらず馬鹿である。面堂はゼッケン1をつけていたが、さすが面堂、いっちゃん先に出場申し込みをしたようだ。ぬかりなし。ショートカットをした4人組がリフトを登るシーンで、メガネが「早く登れ!」と前のやつをせかすようなセリフを叫んでいたが、先頭はテメーだ。お前が急げ。理不尽なやつである。


第82話 恐怖の聖バレンタインデー
放送月日 1983.2.9
脚本 伊藤和典
演出 西村純二
原作 7-11
作画監督 遠藤裕一
独断評価 ★★★☆
原画 高橋資祐、山本直子
大和田りつ子(マコ)、向井真理子(マコの母)、TARAKO(マコの友達)、大塚智子(タミコ)
内容
(82話)
2月14日、聖バレンタインデー。憧れの男の子を緊張しながら待ちつづける少女とその友達。そこへやってきたのは何とテン。テンに惚れてしまった幼稚園生マコは、意を決してテンにチョコを渡そうとするが、テンは全然気付かない。乙女に恥をかかすなとばかりに投げたマコの通園カバンがテンの後頭部に直撃。漸くテンはその存在に気付く。見知らぬ少女から差し出されたチョコを思わず受け取るテン。喜んで去っていくマコ。「バレンタインデーに女の子からチョコをもらった男の子は、女の子の愛を受け入れたことになる」という事をラムから聞いて血の気が引いていくテン。「ガキは相手にせんのじゃ!」とばかりに返しにいくもマコは受け取ろうとしない。それどころか、「チョコをもらうと相手の女性と結婚せねばならない、それが日本の法律、更にそれを破ると死刑になる!」とテンを脅す。絶望のどん底に落ちるテン。なんとかチョコを返そうとマコを追いかけてマコの家に到着。そこでマコの美人の母と出会う。母の方に惚れてしまったテンとあたる、それからラムとマコの壮絶なバトルの幕が切って落とされた。
感想
(82話)
テンポ絵柄等文句なしの爆笑編。テンとマコのどつき漫才的な絡みのシーンは抱腹絶倒間違い無しである。遠くにいってしまったと思い込んでいるマコとの遭遇シーンや、マコにキャンデーを渡してからあたるに騙された事に気付き呆然とするテンの表情はもちろん、ラスト近くのママゴトシーンのキレまくったテンの突っ込みは最高に面白かった。マコの母担当の向井真理子さんは同日19時から放送されていたDr.スランプの山吹ミドリ先生役で有名な人。だから、マコの母が出てきたとき当時小学5年の私は「あ!みどり先生の声だ!」とコーフンしてたのを思い出す。ラストシーン、何の脈絡の無いキスシーンは親兄弟の手前ソート―恥ずかしかった。語前半、チョコを返そうとするテンから逃げる為、マコが全速力で三輪車を漕ぐシーンがあったが、周りの建物と、それを通過する時間から計算するとこの三輪車、時速72Km/hは出ているぞ・・・。おもいきり遅く見積もって60km/hで走っていたとする。マコの三輪車の前輪の直径は、マコの母の足の長さから類推するに15cmほどか?ま、大きく見積もって20cmとすると、タイヤが一周する間に進める距離は20cm×3.14で62.8cm。時速60kmで走る為には一秒間に16.7m進まなければならない。すると一秒間における三輪車前輪回転数はなんと26.5回。三輪車は自転車と違ってタイヤの回転数と漕ぎ手の足の回転数が一致する為、マコも同様に両足とも一秒間に26.5回、回転させていることになる。一分間の回転数は約1,600回転。猿人、もといエンジン並である。これでタイヤの直径が当初の通り15cmほどで、時速も72kmであったならば更に回転数はあがる。おそるべき少女マコ。夏場はオーバーヒートに気をつけよう。


第83話 ラブラブキャッチボール!
放送月日 1983.2.23
脚本 伊藤和典
演出 早川啓二
原作 12-11
作画監督 森山ゆうじ
独断評価 ★★★
原画 桜井利行、昆進之介、金子康良
鷲尾真知子(さくら)、井上瑤(ラン)、井上和彦(尾津乃つばめ)
内容
(83話)
諸星家の電話を使ってしのぶやラン、さくらに集合をかけるテン。不審に思ったあたるが隠れてテンを監視する。その後テンはなにかをギターの中に隠して、ラムと二人で出て行った。ギターの中に入っていたのはなにやら不思議な雰囲気のするボール。偶然それをのぞいたあたるの父にはあたるの母が写った。あたるの母がのぞくと自分の後姿が。そこから推理するに、どうやら自分の将来の伴侶を映し出すボールらしい。あたるの持ってるのが男用。テンが持って出て行ったのが女用のボールなのだろう。男用のボールを持ったあたるはラムたちのいる喫茶店へさりげなく向かいそこで面堂と待ち合わせをする。一方ラムたちも女用のボールを囲んで和気藹々。自分の将来の旦那をみる若者の神経がわからんとさくら一人だけ乗り気ではない。昨今の若者らしくなんのこだわりもないしのぶは真っ先にテンからボールをもらい覗いて見ると・・・。そこには思いがけない人物が映し出されていた。次から次へとボールを覗いていく女性陣。誰一人として意に添う相手が写らなかった為、大騒動が起こってしまう。
感想
(83話)
森山ゆうじ氏初の作画監督作品。ただし後期の作品に見られるようなディフォルメはあまりみられない。個人的にはこの人の絵は大好きなのだが、この回の絵はちょっと雑だったような・・・。特に後半は作画担当がかわったのか絵柄が豹変、更に雑になっていた。冒頭、自分が買ってもらったラブラブキャッチボールを楽しんでもらおうとテンが女の子達に電話をかけて集合の約束を取り付けるシーンがあった。その後のシーンでテンは、UFOに戻っていたラムに、メーカーからボールが届いていたかどうか聞いていた。そういう確認は電話をする前にせんかい!万が一届いてなかったらどないするつもりやったんじゃ。またあたるに見つからないようにテンが男用のボールをギターの中に隠していたが、ギターの弦はあないにたわみません・・・。いくら力が強くともあそこまで引っ張ったら確実に玄は切れてしまう。そうすると切れた弦がテンの手に激しく打ちつけ、極度の裂傷、更には指の切断を引き起こしかねなかった。それでも切れなかった弦。この後一瞬あたるがまともにギターを掻き鳴らしていたと言う事は、ゴムではない事を物語ってるし。どういう素材なのか確かめてみたい。尾津乃つばめ、第57話以来の登場だが、更にアホに磨きがかかっていた。天然ボケ以前の問題だと思うぞ。最初に喫茶店に集うシーンから最後の大騒動のシーンまで喫茶店内の大量の時計の大半はずっと1時半を示していた。あんなにでかい喫茶店なんだから、時計の電池くらい換えて置けよ・・・。それとも、正常に動いていたというのであらば、あたる達の行動が恐るべき速さで行われていたことになるのだが・・・。その場合に引き起こされる喫茶店内の科学的状況の実証はあまりにもあほらしいので今回パス。


第84話 面堂家 仮面ぶとう会
放送月日 1983.3.2
脚本 伊藤和典
演出 押井守
原作 13-11
作画監督 遠藤麻未
独断評価 ★★★
原画 高木敏夫、林隆文、吉永尚之、金沢勝真、西島克彦、千葉順三
小山芙美(了子)、池永通洋(温泉マーク)、玄田哲章(死神)、西村智博、桜庭祐一、TARAKO(CMの女)
内容
(84話)
屋根の上で風船に描いた悪党を退治するテンとトラジマ。そこへ了子の使いの黒子が現れた。面堂と了子の人形をつかって、あたるを面堂家仮面ぶとう会」へ招待する黒子たち。優勝者には了子からの熱いキッスがあたえられると聞いたあたるは「舞踏会に着ていく服がほしい!」と黒子にねだるも、何故か彼らは普段着でくることを薦める。不思議に思いながらもあたるラムテン、なぜかトラジマの4人は面堂家へと向う。舞踏会場を予想していたあたる達がつれてこられたのは殺伐とした野外。そこで仮面と武器を与えられるあたる達。訝しがるあたるに突然襲い掛かる黒い影。さらにひょっとこの仮面をつけた面堂も現れる。「仮面舞踏会」ではなく、「仮面武闘会」であることを面堂に教えてもらったあたるは面堂を倒して了子のいる塔へと向っていく。
感想
(84話)
今回もテンポ絵柄申し分なし。とくに作画の適度なディフォルメと細かいかきこみが好印象。了子の特異なキャラクターが作品中如何なく発揮されており、また面堂もいつも以上に馬鹿丸出しでおかしさを醸し出していた。作品の都合上、今回の話はモブシーンのお遊びにはうってつけの内容となった。画面所狭しと暴れるガンダムキャラや、懐かしのマジンガ―Z、公開中の「オンリー・ユー」の登場人物エル、同じく公開中だったであろう「ET」や「エイリアン」、「スターウォーズ」のダースベーダ等。それが一つ一ついい加減ではなく、丁寧に書かれていた。番組最後のテロップを確認すると案の定西島克彦氏の名前が。好きだねぇ、この人も。私も好きだけど。錯乱坊の「ぶどう狩会場」ギャグはそのしょうも無さとリアクションの凄まじさの対比が面白かった。死神の舞のリアクションもサイコ―。中盤、面堂がテレビに出るシーンで、「丈夫で長持ち、面堂印のトイレットペーパー」のCMがあったが、「丈夫」はいいとしても、「長持ち」はちょっと・・・。再利用するつもりか?ラストで、了子のヌンチャクを喰らった面堂が「あたっ!」と叫んでいたが、この後面堂役の神谷明氏が北斗の拳にてケンシロウ役に抜擢されることを予見しているようであった。


第85話 宇宙かぜパニック!
放送月日 1983.3.9
脚本 伊藤和典
演出 関田修
原作 10-9
作画監督 古瀬登
独断評価 ★★★☆
原画 土屋幹夫、河南正昭、栗井重紀
池永通洋(温泉マーク)、沢りつお(ラムの父)、佐々木るん、西村智博、桜庭祐一、立木文彦
内容
(85話)
久し振りにラムの顔を見に来たラムの父。すこし風邪気味のようだ。健康が取り柄のラムだったが、ラムの父が帰った後、風邪をうつされた事に気付く。翌日の教室には風邪の為マスクをつけたラムと、それを慰め続ける為自己陶酔に浸っていく面堂の姿が。そのラムのマスクに目をつけた4人組はあたるに交渉して1人500円でラムのマスクを譲り受ける約束を取り付ける。金儲けになるとさとったあたるは急にネコ撫で声を出してラムに接近。「地球の学説では人に風邪をうつした方が治りが早い」と大嘘をつきながらラムからマスクを奪う。あたるからマスクを買い上げた4人組は男子便所で争って自分だけラムとの間接キスを果たそうと争い始めるが、そこに男子生徒の一群が。彼らもみなあたるに500円ずつ払って間接キスをする権利をもらったのだ。間接キスという幼い発想を嘆きながらもちゃっかりと行列に並ぶ面堂。一方教室では、ラムはあたるの額に手をつけて熱の有無を確かめるが、ラムの風邪がうつった気配がないためがっかりする。授業が開始してもあたる以外の男子生徒が教室に帰ってくる気配がない。業を煮やしたあたるが男子便所に呼びに行くとそこには、マスクからラムの風邪がうつり、ピンクとミドリのストライプ模様を気味悪げに口のマスク部分に彩った男子生徒の一群が。その異様な姿を見たあたるは腹を抱えて笑い転げるが、じぶんもまた、さっきラムに触られたおでこ部分に同じ模様がある事を知り愕然とする。
感想
(85話)
これまた前期うる星を代表する爆笑編。特に全体を流れるテンポが素晴らしい。笑いのつぼをおさえていた。前半のラムを気遣う面堂に対するラムのコメントや、ちゃっかり間接キス列に並ぶ面堂、顔の崩れた面堂を見捨てるしのぶ、さらに凄まじいラストシーン等、抱腹絶倒シーンが目白押し。前半、ラムのコメントに対して面堂が「あたっ」とこけるシーンがあったが、さすが神谷明氏、ケンシロウ役の練習に余念が無い。また、ラムとの間接キスを果たす為に面堂が長蛇の列に並んでいたが、あそこまで前に男がいると、面堂の順番がまわるころには、ラムとの間接キスよりもそれ以前に並んでいた男達との間接キスになる確立のほうが高いぞ。それでも並ぶずばいられなかった面堂。いじらしい。しのぶの面堂に対する「あなたから顔の良さをとったら何が残るというの?」発言は、全ての女性徒の意見を代弁している物と思われる。しのぶ、彼にはまだがあるぞ。丁度この放送の1年前に500円硬貨が流通しだした。だから、あたるが男子生徒からもらったお金を数えるシーンには500円玉以外に多数の500円札も映っていた。懐かしい。


第86話 竜之介登場!海が好きっ!!
放送月日 1983.3.16
脚本 伊藤和典
演出 押井守
原作 15-1
作画監督 遠藤麻未(高橋資祐)
独断評価 ★★★
原画 高橋資祐、山本直子
田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、池永通洋(温泉マーク)、TARAKO、大塚智子、花咲ちよみ
内容
(86話)
春まだ遠き海辺の砂浜。開いている浜茶屋を目指すあたる、ラム、面堂、しのぶの4人。そこに海に向って罵声を浴びせる奇妙な親子を発見する。彼らは浜茶屋「海が好き」を経営する藤波親子。4代目の主になることをかたくなに拒む、子供の竜之介。なんとしてでも、竜之介に跡を継がせようとする父。その暑苦しい関係に一時は身を引いたあたると面堂であったが、竜之介が実は女であることを知ってから態度が豹変。竜之介の気を引こうといろいろ画策するも、男として育てられた竜之介にとってはまったく効果があがらない。周りを無視して親父と喧嘩を続ける竜之介に愛想が尽きたあたる達は彼らを背に家路につく。後日、登校しているあたるラムの前にまたあの変態親子の姿が。浜茶屋が崩壊してしまった今、浜茶屋再建資金調達の為、竜之介の父が友引高校の購買部で働くことがきまったのだ。男として転入手続きをされたことに激怒した竜之介は父に戦いを挑むのだが。
感想
(86話)
原作二作分のせいか、結構原作に忠実。父の行状に対し、竜之介が「付き合いきれねーよ。」とこぼすシーンがあったが、冒頭の「海のバカヤロー!」シーンにおいては十分すぎる程、父に付き合っていたと思うぞ。とても嫌がっていたようには思えん・・・。当初、淡白だったあたると面堂が、竜之介が女だと知った瞬間に口説き始めていた。一瞬でも男と思った相手を何の躊躇も無く口説ける彼らはソンケーに値する。「帰らないの?」と聞いたラムに対して、全く同じ奇妙な動きをするあたると面堂の姿(高橋資祐氏独特の動き)や、竜之介に殴られお星様になる温泉マーク等、爆笑シーンも多々あった。この後、包帯だらけになりながらも、全く遺恨を残さず竜之介をクラスメートに紹介した温泉マークはまさに教師の鑑であった。前半終了間際、浜茶屋が崩壊するシーンがあったが、あたる達の逃げ方が妙だった。検証してみるに、一旦浜茶屋を脱出した彼らは画面左端まで逃げた後、わざわざ浜茶屋を横切って画面右端まで逃げていた。なぜ素直に逃げんのだ?唯一考えられることは、彼ら全員目立ちたがりやの性分を持っているため、そのまま逃げたのではカメラに映らないと悟り、カメラの正面に映るよう危険を冒して浜茶屋を横切ったものと思われる。でも彼らにしてみれば危険を冒した甲斐があっただろう。この第86話は、うる星放送史上ナンバーワンの視聴率を誇ったのだ(実際は視聴率調査会社がビデオリサーチ、ニールセンと二つある為、ナンバーワン視聴率は2つあった。もう一つは第21、22話の「あたる源氏平安京にゆく」)。よかったのう、あたるよ。また後半近く、あたる達のもってきたセーラー服を受け取らず竜之介が席を立つシーンがあったが、なぜかそのシーンではあたるが異常なほどチビになっていた。ちかくにいたチビ(ああ!ややこしい名前だな!)とほぼ同じ身長。パーマとの身長差をだしたかったんだろうがあまりに極端すぎ。画面(21型テレビ)を定規で測ってみると、あたるの身長が155mm、パーマカクガリは175mm。理科年表によると1980年当時の17歳男子の平均身長は169.7cm。パーマはこれより少し高かったようなので175cmとする。するとあたるの身長はたったの155cm!小学生並である。逆に、あたるの身長を当時の平均身長169.7cmにすると、パーマカクガリの身長は、ななんと191.6cm。何度も教室の鴨居に頭をぶつけたことであろう。尚、サンデーグラフィックでは作画監督のクレジットが高橋資祐氏になっていたが、放送時のEDでは遠藤麻未氏となっていた。また、放送日もサンデーグラフィックでは3月30日となっていたが、他の資料では全て3月16日となっていた為、16日を選択した。


第87話 さよならの季節
放送月日 1983.3.23
脚本 押井守
演出 押井守
原作 7-3
作画監督 森山ゆうじ
独断評価 ★★★☆
原画 桜井利行、森山ゆうじ
池永通洋(温泉マーク)、玄田哲章(ウンババの哲)、榊原良子(ケツネコロッケのお銀)、TARAKO、大塚智子、花咲ちよみ、能村弘子
内容
(87話)
面堂邸の桜園。男の散り際について持論をのべる面堂の傍らではなぜかあたるが深刻な顔をしていた。そう、彼は今の自分に置かれている異常な立場から身を引こうと決心していたのだ。放課後、用のあるめがねを無理矢理デパートの屋上に連れ出して自分の考えを吐露するあたる。(あたるがラムさんから身を引く!?)そのあまり重大な告白たじろぐめがね。しかし真の驚きはその後にあった。あたるは自分の後任としてめがねを指名したのだ。夢にまで見ていたラムの恋人に地位が目の前に迫っていると知っためがねは狂喜乱舞。あたるの気が変わらないように様々な食べ物をおごり続ける。そして喫茶店での最後の打ち合わせ。明日の休日補習の終了時にあたるがそのことをクラスメートに報告することで話しがまとまった。あたるの姿が消えた瞬間、理性のたがが外れ、絶叫し喜びをあらわすめがね。しかしこの二人の密談を影でこっそり聞いている人物がいた。しのぶである。彼女はめがねが狂喜する傍らの四角となるテーブルにて必死にクラスの相関図を描きつづけ、あたるが離れてフリーになったラムに一番近い位置にいる男が面堂になると断定。面堂がラムとひっつくと、自分にはもうチャンスが巡ってこないと悟ったしのぶは近隣高校のナンバー1、2女性(当然面堂との玉の輿を狙ってる連中)と連絡を取り、当日あたるが学校に現れないように画策する。翌日ラムの同伴を断り一人で登校するあたる。そこへ今回の妨害因子であるウンババの哲、フランケン1号、2号につかまってしまう。それを予想していためがねは徹夜で作った重モビルスーツをきて、自分はぼろぼろになりながらもあたるを救う。舞台は遂に教室へ。並々ならぬ緊張感に、面堂は何かを気付く。そして補習終了のチャイム。ついにあたるの口から引退の言葉が・・・。
感想
(87話)
第二期のラストにふさわしい面白い話だった。作画監督は2作目森山ゆうじ氏。今回は原画担当も森山氏と桜井氏の二人だけだったせいか、全体的に絵柄が統一されていて非常に見やすかった。内容的には原作の「あたるの引退」をベースにはしているものの、殆どがアニメのオリジナル。そして実質めがねの主役第一作であった。めがねが活躍する陰に押井守氏あり。今回はなんと脚本演出の両方を担当。アニメにおけるめがねの特異なキャラクターを如何なく発揮している。突然の後任指定に顎が外れかける場面や、喫茶店での絶叫シーン、更には自宅の部屋における狂態、翌日の重モビルスーツに身を固める姿、ぼろぼろになりながらも意識を失わんと鉛筆を腿に突き刺すシーン、そしてラストの崩壊。どれをとってもめがねの真髄であった。物語前半、帰ろうとするめがねの手を握り「大事な話があるんだ」とあたるが呟くシーンにて、めがねの右となりにパーマらしい人物がいるが、よく見ると白井コースケ。原作では結構活躍するのになぁ。何と小さな扱いか。因みにラストの教室シーンでもめがねの後の席にコースケの姿がみられる。デパートの屋上シーンで、ガンダムらしき特撮物の催し物が行われていたが、版権のせいか、そのガンダムの姿は異様にまぬけなデザインで笑けた。この後、牛丼、ハンバーガー、焼蕎麦、お好み焼き、クレープ、焼き鳥、蕎麦を暴食するあたるとめがねの姿は壮観であったが、真に恐ろしきは、その全ての影においてほとんど同量の食べ物を摂取していたしのぶである。彼女の怪力の源を垣間見た気がした。喫茶店においてしのぶが必死にクラスの男女の相関図を書いてる場面があったが、わざわざ色ペンつかって彩色までせんでも・・・。しかも彼女の使ってたペン、どうみても3色しかでないペンだったぞ。どうやってあんなカラフルな図を書いたのか謎である。回初めてめがねの部屋が公開されたがこれがまた恐ろしい。銃の本に始まり、軍関係の本、占いや忍者、魔法に錬金術の本にくわえ、ラムの人形に同じく大量のラムのポスター。更にはダーツまで。今の世なら、即刻精神鑑定を受けさせられても仕方が無い部屋である。そして部屋の隅にはこの後のシーンで使われる拡声器が、伏線の為きちんと置かれてるのには笑わせてもらった。その拡声器のシーンでは、第74話に続いてビートルズの曲が。今回はアルバム「Magical Mystery Tour」より同名タイトル曲の「マジカル・ミステリー・ツアー」が流れていた。物語中盤から各近隣高校のナンバー1,2が出演するが、これらの登場人物はこの後の第114話「ドキュメント・ミス友引は誰だ!?」にて再登場、さらにケツネコロッケのお銀は、第122話「必殺!立ち食いウォーズ!!」において主役急の活躍を果たす。声の担当は劇場映画第一作「オンリー・ユー」のエルを担当した榊原良子さん。この喫茶店のシーンにおいて女子生徒全員が立ち去ったあと一人残されたしのぶのテーブルの上に支払いの紙が置かれていたが、全員の分をしのぶが負担するつもりなのだろうか?最初の喫茶店俯瞰図で見たところ女子生徒だけでもしのぶを含めて最低29人が映っていた。それにウンババの哲とフランケン1号2号を含めると少なくとも32名はいたはず。それに全員が一番安いコーヒーを飲んでくれればまだましだったが、ウンババ達はチョコレートパフェを、しのぶでさえオレンジジュースを飲んでいた。一人頭平均350円としても11,200円。しかしこれは画面に映ってた人の分だけだからなぁ。面堂を引き止めるためならこれでも安いほうだったのかもしれんが・・・。翌日のあたる登校シーンでは、またもラム、トラジマの下着ではなく、普通の黄色い下着を着用していた。空飛ぶ時はトラジマの下着を着用せい!!つつしみがないぞ。あたる一人の登校シーンでは、あたりに監視役のきれいな女子高生がうようよいるのに、あたるは全く反応しなかった。よほど集中していたのであろう。この監視役の女子高生、連絡用にトランシーバーや、公衆電話を使っていた。この頃は携帯電話なんてまだまだ夢の話だった。隔世の感に堪えない。この後のウンババの哲達とのやりとりは必見。哲による奇想天外な論理な飛躍と、それに過剰反応するあたるの姿はまさに爆笑物であった。一応めがねに助けられたんだろうが、あんな逃げ足があったら、めがねの助け無しでもよかったよーな。今回の温泉の補習は誰の妨害も無いまま無事に終わっていた。この補習がつぶれたら全員赤点のお達しがあったと見える。ラストあたるがラムから身を引いたと勘違いした男子生徒がラムに殺到するシーンがあったが、おいっ、50以上はいるぞ!?休日割いての補習授業だから、出席してるのは2年4組の生徒だけだろうに。こんなにも男子生徒がおったら教室の息が詰まること間違い無し!その中で約一名、ラムに興味をもたない男がおったがこいつは何者だったのか?姿、形からみて竜之介ではなかったし・・・。ラストシーンの燃え尽きためがねの涙からながれおちる一筋の涙があまりに哀れであった。なんにしても、絵柄といいテンポといい全く申し分ない作品だった。そしてこの作品で第三期が終わりを告げ、これから更にパワーアップした第四期へと向っていくのである。

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