うる星やつらテレビシリーズ第四期データ
8/5更新

第一期   第二期   第三期   第四期   第五期   第六期   第七期   第八期   第九期

※全て敬省略、すんません。
※原作の「1-1」表示は、小学館コミックス1巻1話目を表しています。
※「感想」は管理人deaconの独断と偏見によるものです。あしからず。

第88話 ランちゃんのデート大作戦!
放送月日 1983.4.13
脚本 早川啓二
演出 西村純二
原作 15-4.5
作画監督 やまざきかずお
独断評価 ★★★
原画 平田智浩、藤川太、富田悦子、やまざきかずお
井上瑤(ラン)、田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、TARAKO、内樹葉子、安斉優子
内容
(88話)
女なのに変態親父のせいで男として育てられてきた竜之介。今朝も父によって縫われた「男」の文字入り学生服を無理矢理着せられてしまった。痺れ薬のせいで朦朧とする竜之介の前に一人の可憐な少女の姿が。その少女はラン。傷ついた竜之介を気遣ってハンカチをさしだしランは去っていった。そのあまりに女らしい物腰に竜之介は心を奪われてしまう。彼女から女らしさを学ぼうとした竜之介はランにラブレターを書く。それを読んだランは竜之介がどんな人物かを確かめる為に同じクラスのラムに会いに行く。そこでラムから竜之介が女であるということを教えられたランは、そのラムの言葉を信じようとしない。ラムの嫌がることが大好きなランは反対するラムの声を無視して竜之介とのデートを了承してしまう。女同士のデートなぞ言語道断だ!といきりたつあたるがそのデートを妨害しようとするが・・・。
感想
(88話)
今回の作画監督はもうお馴染みになったやまざきかずお氏。非常に絵が丁寧で、更に配色も素晴らしくまっこと見やすかった。前々回初登場した竜之介再登場。親父とともにすっかりうる星の世界に馴染んでしまっている。冒頭、徹夜した親父が五分五分で闘う為、竜之介に痺れ薬を飲ませていたが、どう考えても親父の方が有利。それなのに、購買部入り口まで投げ飛ばされてしまった親父って・・・。けっこー弱いんじゃないのか?次に教室の場面で、竜之介がランのハンカチを握り締め、ラムに「この子を知っているのか!?」と尋ねた事に対して、ラムが「うちの幼馴染だっちゃ。」と答えていた。こら!バラしてどーする、ランの正体を!!ラムの幼馴染って事は、宇宙人って言うことじゃないか。宇宙人ということをバラしたら、ランにネショーベンの話をバラされるんじゃなかったのか?なんと思慮の浅い・・・。この後、竜之介が女に興味がないという事を確かめる為に面堂が確認作業をさせられていた。原作ではこの後「よく考えてみるとなぜ僕が確認せにゃならんのだ!?」と頬をおさえ涙ぐみながら面堂が呟くシーンがあったが、アニメではカットされてた。この場面が面白いのに、なぜカットしたのだろう。物語中盤、ラムがランに竜之介が女であることを告げるシーンは爆笑物。ほんとランの豹変シーンはいつ見ても面白い。翌朝、午前8時55分、デートにそなえ姿見に映る自分を誉めまくるラン。「ランちゃん、かっわいい!」と言った瞬間に午前9時の時報が。「ランちゃん、かっわいい!」というのに5分かけるラン、君は紛れも無く超ど級のナルシストである。この他、竜之介の父のドアップシーン(「父は嬉しーんじゃよっ!」)、ランの独り言「こいつ意外とスケベやな」、喫茶店での追加オーダーシーン等見所いっぱい。公園の池では何故か「めぞん一刻」の四谷氏と朱美嬢がボートでデートしてたし。めぞんでは絶対ありえんシーンである。ところでこの竜之介とランのデート代、誰が出したのだろう?竜之介が持ってるわけないし。男とデートするから父が出してくれた可能性もなきにしもあらずだが・・・。


第89話 はっぴいバースディ マイダーリン
放送月日 1983.4.20
脚本 伊藤和典
演出 鹿島(押井守)
原作 12-6
作画監督 遠藤麻未
独断評価 ★★★★☆
原画 吉永尚之、金沢勝真、西島克彦、高木敏夫、山下将司
鷲尾真知子(さくら)
内容
(89話)
ラムが学校を3日続けて無断欠席した。不審に思っためがね達4人組はあたるをグランド裏に連れ出して真相を聞こうとするもいつもと様子がおかしいあたるから何も聞くことができなかった。一人思い悩むあたるにカウンセラーのさくらが相談に乗ることに。事の真相は3日前に遡る。あたるの誕生日をすっかり忘れていたラムに対して、あたるが必要以上にきつく当ってしまったのだ。その日からあたるとラムの間に不穏な空気が流れ始めた。お互いに素直になれないあたるとラム。顔を合わすたびに心にも無い事をいってしまうあたる。ますます深まる二人の溝。ついにはあたるまでも学校をさぼって繁華街へと繰り出すようになる。見かねたさくらは、今度はラムの相談相手になってあげることに。さくらとラムに若干の齟齬はあったものの、励まされ元気になったラムは自分に正直になる事を決意する。
感想
(89話)
うわああ。懐かしい!これも本放送時の事をよく覚えてる一編だ。小学六年になったばかりの私にかなりのインパクトを与えてくれた。冒頭のあたるとテンのほほえましい(?)追いかけっこ、何故か同じようなパジャマを着ている本当の妻のようなラム、自分の誕生日について嬉しげにラムに尋ねるあたる、さくらに相談する、元気の無いあたる、中華飯店でのさくらとラムの会話等々、未だに強烈に覚えている。作画も非常に丁寧で美しい。一応、原作コミックス第12巻「惑わじのバレンタイン!!」をベースにしているのだが、殆ど、否、99%はアニメオリジナル。原作と同じ所は、あたるがさくらに抱きつこうとするところくらいか?冒頭、温泉が出席を取りラムの欠席が発覚するシーンで、ラムの前の席のチビが「あれ?」と気付いていたが、てめーラムの前の席なら出席取る前にラムの欠席を気付かんかい!!まぬけにも程があるぞ。ラム探索の為、めがねから指示を受けたパーマがフェンスを登り、それをめがねが呆然と眺めるシーンは爆笑物。あたるとラムの喧嘩シーンで、あたるの部屋にギターが映っていたが、なぜか弦は4つだけ。ふつーのクラッシックギターやアコースティックギターなら弦は6本。弦が4本ということは、ベースと考えて間違いないだろう。しかしどうみてもエレキベースではない。するとこれはどうやらアコースティックベースらしい。あたる、渋すぎるぞ!!また中華飯店のシーンでさくらのうしろに映ったお品書きに、「チャーシューメン400円」の文字が。20年も経つとやっぱ物価もかわるなぁ。ラスト、ラムがプレゼント買った事をきいた面堂があたるの誕生日を思い出していた。面堂ですら覚えてたんだから。ラム、以後気をつけるよーに。今回も作画に西島克彦氏がクレジット。となるとお遊びシーンも充実。まずは高橋留美子先生の短編「笑う標的」のポスター。そしてなんと今回はその「笑う標的」の動画まで!この絵がまた原作に忠実で本編並に力が入っていた。尚「笑う標的」はこの4年後の1987年4月に、本当にOAV化した。因みに、この「ハッピーバースデイ」を録画したテープをまだこの話を見たことの無い同じうる星好きに見せたところ、返ってきた言葉は「暗い・・・。」の一言だけであった。カンド―すると思ったのに・・・。ま、確かに今までのうる星とは異質ではあるが・・・(あたるの極端な僻みや、ラムの暗い落ち込み方等)。でも私は好きだった。


第90話 地獄のキャンプに桃源郷を見た!
放送月日 1983.4.27
脚本 伊藤和典
演出 西村純二
原作 14-7.8
作画監督 高田明美
独断評価 ★★★☆
原画 土屋幹夫、河南正昭、栗井重紀
八奈見乗児(ウサギ)、飯島照(巨大仙人)、水島鉄夫、沢木郁也
内容
(90話)
暖かい春の日差しの中、キャンプにやってきたあたる、ラム、テン、面堂、めがね、パーマ一行。その中で一人浮かぬ顔をするあたる。そこへラムの食事の用意ができたという合図が。何かを思い出して脱兎のごとく逃げ去るあたる。しかしラムの鍋蓋ブーメランによって逃亡は阻まれてしまった。あのあたるが食事からにげようとしたことを不思議に思うめがね達だが、彼らはラムの手料理を前にして感激の面持ち。しかし、あたるは食卓にすらつこうとしない。そんなあたるを尻目に喜び勇んで料理の匂いをかいだパーマの動きが止まった。さらに一口すすっためがねと面堂の時間も止まった。そう、ラムの料理が想像を絶するほど辛かったのである。「ラムちゃんの星の料理が辛いとなぜ最初にいわんのだ!」とラムに隠れてあたるに食って掛かるめがね達。これ以上はとても食べられない面堂パーマは、「もうお腹がいっぱい」とラムの誘いを断るが、めがねは最初「あたるの分も食べる」と言った手前、断ることができず、静止するパーマを振り切ってラムの元へとかけていった。その間、残りの3人はリュックの中の非常食で空腹を満たそうとするも、野ウサギに根こそぎ食料を奪われたことを知る。その夜のテント内では、半死半生のめがねのかたわら、あたる面堂、パーマが空腹にあえいでいた。背に腹が変えられなくなった3人は略奪の為麓の村へ向う。その途中一匹のうさぎを発見。焼いて食おうとするとそのうさぎが人語を解する事に気付き、食べることに躊躇する。しかしそのうさぎこそが自分達の非常食を食ったうさぎだとわかった途端再びバーベキューの用意を始める。必死で命乞いするうさぎの言葉を信じてあたる達は村へとむかうが、様々なブービートラップの前に屈してしまう。極限状態のあたる達にうさぎが提案した最後の食卓は、何の事はない、キャンプで朝飯で作っているラムの食卓だった。その日空腹状態で釣りをするあたる達。そこに錯乱坊が登場。錯乱坊から果物と女人の桃源郷の話を聞き、果実をもとめて全員桃源郷へと向う。そこで悪い桃の為、人身御供にされる女人を発見。仙人たちに頼まれてあたる達は悪い桃退治へと向うのだが。
感想
(90話)
アニメシリーズキャラクターデザイン担当の高田明美嬢、初めて作画監督としてクレジット。いままで他の作画監督にさんざんキャラデザからかけ離れた絵を書かれ続けていた彼女にとって、この作品は特別なものとなったであろう。内容的にも原作2作分が1話分となっている為、非常に原作に忠実で、更にアニメらしくテンポもよく面白かった。匂いをかいで気絶しかけているパーマの首肯や、うさぎを捕まえる為あたるが面堂を投げるシーン、そのうさぎとあたる達のテンポの良い会話等、おおいに笑わせていただきました。特に、うさぎ役の八奈見乗児氏の演技は抜群。やっぱこの人は芸達者だわ。それと今回の見所は何といっても、ラムの激辛料理。あのマッカッカな料理群や、たったの一口食べただけでも腫れあがってしまう唇など、作画的にも非常に印象的だった。冒頭、ラムと一緒のキャンプに心を弾ませる、めがねとパーマだが、チビとカクガリはどーした?ラムとのキャンプを断らねばならない緊急の用事があったのだろうか?はたまた人数の都合上、やむを得ず(あるいはわざと)めがねとパーマがチビとカクガリに連絡しなかったのか?後者の可能性、非常に高し。しかしそのキャンプで二人は半死半生の目にあってるわけだから、まさに因果応報!チビとカクガリの怨念と言っても過言ではない。また原作では、面堂が暗くて狭い野ウサギの掘った穴に入っても怖がっていなかったが、アニメではきちんと怖がっていた。サンデーグラフィックFでの読者の指摘があったからか?(実際は指摘の前にアニメが放送されていたが) 


第91話 花ムコの名は竜之介!
放送月日 1983.5.11
脚本 伊藤和典
演出 押井守
原作 15-9.10.11
作画監督 平野俊弘
独断評価 ★★★
原画 担野内成美、今渡雄一郎、小林明美、福島喜晴
吉田理保子(クラマ姫)、田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、池田一臣(長老)、島田敏、西村智博
内容
(91話)
掟の呪縛から解き放たれたクラマ姫、ムコ探しにも欲がでてくるようになった。しかしカラス天狗が候補にあげる男はブオトコばかり。怒りのあまり席を立とうとするクラマ姫に、カラス天狗が最後の候補者を映し出した。それはこともあろうに、竜之介の写真。その美男(?)ぶりを一発で気にいったクラマは、その写真の端に映る諸星あたるの姿に若干の不安を抱くも、カラス天狗に人格テスト実施を命じる。抜き打ち人格テストの結果も上々、カラス天狗は竜之介にクラマとの契りを申し込みに行くが、そこで竜之介が女であることを知らされる。これ以上、クラマ姫のムコ探しに付き合いたくないカラス天狗は、クラマ姫に知られる前に竜之介を性転換させようとする。しかしあろうことか諸星あたるを女へと性転換してしまい・・・。
感想
(91話)
またまた新しい作画監督誕生。今回は平野俊弘氏が初クレジット。また新たなうる星ワールドを作り出した。どことなく、美樹本晴彦の絵に似てるよーな。竜之介の顔も、これまでの2作品とは全く違った顔になっている。内容的には、原作3作分が一本にまとめられている為、今回も非常に原作に忠実な内容となった。原作も面白かったが、アニメもその面白さを余すところ無く描いていた。あたるの胸の感触に自分が病気になったと思うパーマや、自我が崩壊する面堂、息子の豊満な胸を目の当たりにしたあたるの母の狼狽振り等爆笑シーンいっぱい。特に自分の部屋でラムの服に着替えるあたるとラムとの掛け合いや、ラムがあたるの服を脱がせた瞬間に部屋に入ってきた母のリアクション及びその時のラムの表情は白眉のでき。腹を抱えて笑ってしまいました。冒頭、人格テストをするカラス天狗が空中で急ブレーキをかけるシーンで、何故か物凄いブレーキ音も鳴っていた。空中であれほどまでのブレーキ音が出るということは、空気が地面並みの密度を持っていることを示す。さだめし呼吸するのがつらかろう。また、カラス天狗が持ってきた性転換銃をあたるがいじるシーンがあったが、砲身を自分に向けて無闇にいじる奴があるかっ!あれはどう見ても銃器。こういったものを扱う時は必ず砲身を人のいない所に向けてからいじりましょう。更に、後半、竜之介の父が校内で竜之介を探索するシーンがあったが、親父、雪駄を履いていたのになぜか立派な靴音がなっていた。ありゃ実は鉄下駄か?ごっつ薄っぺらかったけど・・・。このシーンだけやや冗長気味だった。あと、カラス天狗のラストのセリフ、「目線そらすな!」もあまりいただけなかった。しかしそれ以外は絵柄テンポともに申し分なく面白かった。


第92話 ビンづめレター 海辺の怪!
放送月日 1983.5.25
脚本 伊藤和典
演出 西村純二
原作 14-4.5
作画監督 やまざきかずお
独断評価 ★★★☆
原画 やまざきかずお、吉永尚之、富田悦子、青木康直
榊原良子(美女)鈴木三枝(おかみ)、郷里大輔(大男)
内容
(92話)
海辺の町に遊びにやってきた、あたる、ラム、テン、面堂、しのぶ一行。夕暮れ時、テンが海で瓶詰めの手紙を拾う。その手紙には愛の告白が書かれていた。自分宛てにきたラブレターだと思い込みのぼせ上がるテンに対して、あたる面堂は冷めた態度をとる。しかしその晩、民宿の風呂で今度はあたるが瓶詰めの手紙を発見。そこに描かれていた電話番号を頼りに電話をかける。そんなあたるにも興味なさそうにしていた面堂だが、彼のもとにも瓶詰めの手紙が。その三通の手紙が誰宛であるか議論するあたる面堂テンの三人。決着は翌朝に持ち越すことに。翌日早朝、二人に抜け駆けをしてこっそり宿をでようとするあたる。しかし面堂、テンに露見、さらにラムしのぶにもばれてしまう。捨て鉢になりながらも手紙の主の家へと疾走するあたる。辿りついた家は、前日地元の民から「決して近寄ってはならない」といわれたシャコ貝の入り江にあるペンションだった。そこで働く美女に一目ぼれしたあたるは今晩の宿をこのペンションに決定する。しかし、瓶詰めの手紙も、美女も全て人喰い妖怪たちが仕組んだものだった。そんな事に気付かないあたる達に人喰い妖怪たちの魔の手が・・・。
感想
(92話)
絵、テンポとも申し分無し。特に作画が美しい。内容的にも原作に忠実な上、アニメの特性も生かされている。あたる、ラム、テン、しのぶ、面堂による旅行はこれがはじめて。この後しばしばこのメンバーによるお出かけが催されることになる。高校生の分際で保護者の同行無しに外泊なんぞするんじゃないっ!と放送当時やっかみ半分で思ったものだ。そんでもって、男女別々の部屋での就寝シーンを見るとなんか「ホッ」としていた。風呂上り、あたるが面堂に「これでラブレターをもろーてないのは面堂おまえだけだな。」とニヤつくシーンでのテンの表情がなんともいえない。久し振りのあたる、テンの意見の一致シーンだ。また就寝時、ちゃんとあたるの布団の中に入って眠っているテンの姿が可愛かった。面堂とあたるだったらやはりあたるを選ぶようだ。普通テンの性格ならばラムとしのぶと一緒に寝るはずだが・・・。この場合、あたるを監視する意味もあったのかもしれない。翌朝、シャコ貝の入り江へとダッシュするあたる達のバックのBGMにビートルズの「マジカル・ミステリー・ツアー」が流れていた。今回の声優陣を見てみると、ペンションしゃこ貝の美女の声を、「オンリー・ユー」のエルを担当していた榊原良子さん。この人、ほんと美人役が多い。同じくしゃこ貝の化け物女主人の声は錯乱坊担当の永井一郎氏。この人、ほんと醜男(女)役が多い・・・。この他、しのぶによってすまきにされる大男や、怒り狂って固まっているしのぶをあたるが「ホイホイホイ」と運ぶシーン等、爆笑シーンもいっぱい。しのぶの初期形「男なんてぇっ!」を見ることができる。それをちゃっかり利用するあたるのしたたかさも面白い。


第93話 激烈登場!水乃小路トンちゃん!!
放送月日 1983.6.1
脚本 星山博之
演出 関田修
原作 5-4、14-6
作画監督 遠藤麻未
独断評価 ★★★
原画 高橋資祐、山本直子
井上和彦(飛麿)、小山菜美(了子)、玄田哲章(面堂チームコーチ)、池水通洋(温泉マーク)、西村知道(校長)、西村智博、桜庭裕一、田中秀幸、
内容
(93話)
野球に青春をかける友引高校野球部。そこへ旧態依然な格好をした男がやってきた。彼の名は水乃小路飛麿。幼い頃からのライバル、面堂と野球での勝負をするため長い山ごもりから帰ってきたのだ。翌日の試合を控え、宣戦布告をして去っていく飛麿。一方、試合のために特訓に特訓を重ねてきた面堂精鋭部隊は、パイナップルの大量摂取による中毒により全滅。失意の底にある面堂にあたる達クラスメートが救いの手をだす。牛丼一か月分を条件に。しかし、飛麿を勝たせたい了子からも、あたるに八百長の申し出が。彼女の出した条件は牛丼2か月分に玉子とおしんこ付。飛麿を勝たせたいあたるがいる面堂チームと、牛丼2か月分の条件をしらない面堂チームを勝たせたいカクガリのいる飛麿チームによる世紀の凡戦の幕が切って落とされた。
感想
(93話)
キャラの動きがいっかにも高橋資祐氏らしい作品。バットに当ったボールが跳ね返るまで異常なまで時間を要する描写や、投球モーション中の面堂のあほづら、飢餓状態にある飛麿とコーチのすさまじい面相等、今作品は高橋流ディフォルメの一つの到達点を示す。飛麿の声はどうやらつばめの声もやっている井上和彦氏のようだ。また、回想シーンの幼少時の了子の声は、アラレちゃんそのもの。必聴に値するぞ。試合開始直前、飛麿がラムを指差し、「あの女はなんだ!」と面堂に抗議するシーンの背景にいる、素振りするラムの姿が非常にノーテンキで笑いを誘う。また、ラムのファインプレーに対して「あのぶぁか・・・。」と嘆くあたる、めがね、パーマたちの表情や、黒子によって奪い去られたベースを追いかけて疾走するめがねの姿も最高。報酬の牛丼が、一か月分、2か月分、3か月分とエスカレートしていくのも馬鹿馬鹿しくて面白い。この当時のうる星はすべてに勢いがあって抜群だった。ただ、木の上に登ってボールを返さない飛麿に向って野球部員が叫ぶシーンにおける、最後の「早く返さないと承知しないぞ」と叫んだ男の声だけしらけきってて妙に間抜けだったが・・・。その前に叫んでいる男達の声が真剣そのものだった分、この男の間抜けぶりがぬきんでていた。おまえは何者だ?それから、延長30回までやってて、制限時間ありとゆーのも、なんか解せんかったのう。ところで、了子は本当に飛麿を「初めての男」にしようと心に決めとるんだろうか?ま、「初めて」と言っても色々あるけどねぇ。


第94話 しのぶのシンデレラストーリー
放送月日 1983.6.8
脚本 伊藤和典
演出 西村純二
原作 オリジナル
作画監督 遠藤麻未
独断評価 ★★☆
原画 土屋幹夫、河南正昭、栗井重紀
玄田哲章(刑事)、曽我部和行、大塚智子、水島鉄矢、桜庭裕一
内容
(94話)
昼休み、弁当をめぐって繰り広げるあたるとめがねのやりとりにあきれつつ面堂は早退の準備をする。面堂家にゆかりのある小早川財閥総裁死去にともなう遺産相続に関してきな臭い噂が流れている為だ。その夜、両親が旅行に行ってたった一人留守を守るしのぶのもとに一人の青年が現れた。彼こそ小早川氏との血縁関係をもたない養子である三男、真氏であった。彼の上にいる、血縁関係のある長男、次男、長女が彼の命を狙っていて、明後日の遺言状公開まで自分の命の保証はないと真はしのぶに説明。翌朝、しのぶの気付かないうちに彼女の元を去っていった真だが、同じ日、刑事の尾行を受けるしのぶの前に再び現れた。正体無き殺し屋に命を狙われている真。それを助けるしのぶ。そして危うく命を落としかけた真としのぶは遺言状公開の朝を迎えるが・・・。
感想
(94話)
アニメ版完全オリジナル第二作目。94話まで完全オリジナルがたった二作しかなかったというのは驚きだ(第一作目は31話の「あヽ個人教授」)。この後アニメオリジナルの発表頻度は高くなっていく。内容の異色さ故、本放送時の印象が強かった一作。しのぶを主人公にするというオリジナルの目的自体は問題ないと思うが、内容的にはオリジナルの良さを活かしきれなかった感が強い。その理由の一つとして考えられるのはオリジナルキャラの多さ。この話だけでオリジナルメインキャラが6人ほどでている(小早川4兄弟、刑事2人)。これでは個々の印象が弱まってしまうのも無理はない。さらに推理を主眼においたサスペンスタッチのストーリーもプロットが貧弱で視聴者を完全に引き寄せる事ができなかったのではないか。最も大きい理由としては・・・。あたるとラムが全く活躍してない事。これに尽きる。しのぶの主人公に問題があるわけではない。ただ、折角のオリジナルだったら、本来の主人公であるあたるとラムもオリジナルにしかできないような活動をさせたほうが良かった。しのぶを目立たせる為だったのだろうが、あたるとラムの二人が変に間抜けだったのが残念。しのぶが留守番するシーンのニュースのナレーション、「顔面欠落症で入院中のアクション喜劇珍俳優フタタマカズナリ(チビ役二又一成氏のパロディ)氏」は笑ったが。


第95話 ラムちゃんの理由なき反抗
放送月日 1983.6.15
脚本 伊藤和典
演出 関田修
原作 8-9
作画監督 遠藤麻未
独断評価 ★★★★
原画 西島克彦、高木敏夫、林隆文
池水通洋(温泉マーク)、田中真弓(竜之介)、玄田哲章(ウンババの鉄)
内容
(95話)
廃墟の町に佇む少女(ラム)が一人。そこに彼女に脅迫をかける男も一人(パーマ)。男の過剰な要求に堪忍袋の緒の切れたラムは、男を再起不能にしてしまう。大変な過ちをおかしてしまったラムは、非行への道へとまっしぐらに・・・。実はこれ、あたる監督による映画の一場面。このシーンの撮影を終えたあたる、ラム、めがね、パーマ、チビ、カクガリの一行は昼飯の為、牛丼屋へ。そこであたるはめがねから、映画資金が底をついたことを伝えられる。ほんのわずかのシーンの撮影毎に牛丼やらなんやらを暴飲暴食しているうちに、金が完全になくなってしまったのだ。この映画はクラスカンパによって製作されている為、上映中止になれば監督兼プロデューサーのあたるはリンチを免れない。なんとか映画製作を続行しようと、あたるは面堂に資金援助を申し出る。あたるの映画に出す資金などないと一旦は断った面堂だが、主演女優ラム、主演男優面堂とのあたるの言葉に心を動かされ結局は援助することに。その後、しのぶ、竜之介にも出演を依頼し、遂に映画は完成する。そして関係者を集めた試写会が行われた。彼らの眼前に初めて公開される映画の全貌。その内容は彼らの想像を遥かに越えたあまりにも馬鹿馬鹿しいシロモノであった。あたるラムをのぞく激怒した関係者一同は映写機を破壊し、上映の禁止をあたるに通告。落ち込むあたるに同情したラムは一人UFOへと帰っていく。一方、資金をカンパした2年4組のクラスメートは上映禁止に納得しない。そこではじめて面堂たちは自分達の映画がもともと「ラブコメ」を主眼において製作されたことに気付く。しかし映写機が壊れてしまった以上、上映会はありえないと面堂は安心するが、そこへラムが自分の星の映写機をもってきた。必死で「上映禁止!」を訴える面堂をクラスメートが取り押さえる中、ラムは自分の映写機を地球の規格に合わせる為改造する。改造も完了し、プラグをコンセントに差し込んだ瞬間大爆発が。爆発のショックで映画の登場人物(不良のラム、面堂、しのぶ、竜之介、パーマ)が現実世界に現れてきた。そこへ隣の三隣亡高校からウンババの鉄達による殴り込みが。殴りこみの報を聞いた映画の登場人物たちは、校庭へと向って歩き出す・・・。
感想
(95話)
傑作。めっちゃ面白かった。これも前回と違った意味で本放送時の印象が強烈に強かった。冒頭の廃墟の町のシーンや、面堂への資金援助申し出のシーン、殴りこみのシーン等全て脳裏に焼き付いている。今回の作画にはあの西島克彦氏が参加。これまで野部駿夫氏作画監督作品の作画参加が多かったのだが、「仮面ぶとう会」以降、遠藤麻未氏作画監督への参加が増える。これほどまでに絵柄の違う作画監督の元、両者の絵を書き分けながら、自分の個性もだしている西島氏にはまさに脱帽。物語的にも爆笑シーンに次ぐ爆笑シーンのオンパレード。本番中、必死にすがりついてくるしのぶにあっけにとられる面堂の表情や、試写時の面堂のセリフ「これではまるで僕があほではないか!」、同じく面堂のセリフ「あ、ちっとも」「上映はんたーい!」等、面堂のいつも以上のあほぶり、爆発を心配するあたるに対してのラムのとぼけた表情、試写会をするまで内容を全く把握してなかったスタッフ一同のあほさ加減等全てが爆笑物だった。更にラスト、ウンババの鉄に攻撃を加える不良ラム、面堂、しのぶ、竜之介、パーマの描写の素晴らしいテンポはまさに秀逸。冒頭、めがねがラムに「イングリッド・バーグマンもローレン・バコールもラムさんの魅力にはかなわないでしょうなぁ!」とおだてていたが、今ではこの二人の名女優の名を知ってる人も少なくなってるであろう。ところでなぜクラスメートは自主制作映画の監督兼プロデューサにあたるを選んだのか?「ラブコメ」を期待してたのなら、わからんでもないけど。だいたい、他のクラスメートは映画のテーマが「ラブコメ」であることをしってたのに、当の映画出演者は何故そのことに気付いてなかったのか?HRをさぼってた疑いが強いぞ。さらに映写機から飛び出した登場人物のその後がかなり気になります。


第96話 大勝負!サクラVS錯乱坊!!
放送月日 1983.6.22
脚本 伊藤和典
演出 西村純二
原作 1-9
作画監督 林隆文
独断評価 ★★★
原画 土屋幹夫、河南正昭、栗井重紀
鷲尾真知子(さくら)、郷里大輔(錯乱坊背後霊)
内容
(96話)
絶えず繰り広げられる日常のドタバタに疲れを感じたあたるの両親は、あたるへ事前告知をすることなく二泊三日の旅に出た。この3日間、あたると二人きりになれると喜ぶラム。ラムの料理のまずさを身をもってしってるあたるはなんとかラムの管理下から逃げようとするも、家に閉じ込められてしまう。そして恐怖の夕食の時間が。そこでラムは材料の分量を間違えてしまい、調理器を大爆発させてしまう。すると調理器から大量のラジコン戦闘機やラジコン戦車が発生しだした。その時、テンから今日の諸星家はあたるとラムの二人きりだけであることを聞いたさくらと錯乱坊が諸星家にやってきた。そして頼まれもしないのに、二人の霊能力でこのラジコン戦争を終結させようと祈祷を始める。その結果現れたのは、ラジコンの持ち主ではなく、さくらの守護霊と錯乱坊の背後霊だった。
感想
(96話)
第65話「酔っぱらいブギ」より作画に参加していた林隆文氏、作画監督として初クレジット。今までは別の作画監督のもと作画をしていた為、ある程度おとなしかった氏の本領が、ここにきて大爆発。3枚目キャラの顔がつぶれまくり。今はそうでもないが、最初、このつぶれた顔を見たときは違和感がありまくりだった。この後、スタジオピエロ時代の「テンVSあたる」や「まつたけなべ」でさらにキャラのデフォルメが凄まじくなるが、130話以降のスタジオディーン期においてはそのディフォルメもだいぶおさまってくる。ピエロ時代の氏の絵は正直馴染むことができなかった。あまりにも個性が全面に出すぎていたため。なぜここまで作画監督によって絵が違うのだろうか?この作画監督の個性はうる星の特色でもあるのだけど。内容的にも今までのうる星とはちょっと違った雰囲気が全編に流れていた。今回もビートルズの曲がBGMに。温泉の下校シーンでは「Blue Jay Way」、あたるが家に閉じ込められるシーンでは「Mother Should Know」が使用されていた。どちらもアルバム「Magical Mystery Tour」収録曲。冒頭、錯乱坊による爆発の為、散らかった机を直すシーンがあったが、その直し方は、まさに往年の「8時だよ!全員集合」のコント「ドリフの国語算数理科社会」そのもの。また、ラムの料理の失敗をあらかじめ予測していたあたるがそばを二つ注文していたシーンで、ラムが「うちを信用してなかったのけ!」と激怒していたが、ラムの分もあわせてちゃんと二つ注文していたあたるが泣かせる。さらにあたるが両手にも持ってるどんぶりめがけて、ラジコンがミサイルを発射していたが、あたるが段違いにどんぶりを持っていたのに対して、二つの砲身は水平に並んでいた。砲身も段違いに狙いを定めない限りどちらか一方外れると思うのだが・・・。ロックオンしての誘導ミサイルなら問題はないんだろうけど・・・。ラスト、ラジコンの持ち主が登場。彼らに手に握られているラジコンコントロールはたったの二つ。って、おい、ラジコンは数十台あったぞ!その2台で全部のラジコンを自由自在に操っていたのなら、鉄人28号の超簡略コントロールに勝るとも劣らない性能である。今回幼少時のさくらが初登場するがその声も鷲尾真知子さんが担当。幼女の声を出す鷲尾さん、そーと-無理があったが、その熱演ぶりはカンド-もんでもあった。


第97話 怪談!柳のオジジ!!
放送月日 1983.6.29
脚本 星山博之
演出 吉永尚之
原作 13-4
作画監督 遠藤麻未
独断評価 ★★★
原画 金沢勝真、山下将仁、吉永尚之
池永通洋(温泉マーク)、富田耕生(柳精翁)、塩屋浩三、西村智博
内容
(97話)
珍しく妨害の無い授業が終わり、若干時間の余裕ができた温泉マーク。あまった時間を利用し、生徒の気を引こうと怪談を始める。自信をもって語った友引高校七不思議が思いっきりすべり、窮地に立たされた温泉は、校庭にある柳の木の怪談をその場ででっちあげる。そんな温泉の怪談を全然信用しないあたるは、その問題の柳の木に面堂を中傷する落書きをして下校する。しかし意外なことに、柳の精は実在していた。自分の体に落書きをされ怒りに燃える柳の精。老人の姿に身をやつし、下校中のあたる、めがね、ラムに宝の地図を渡す。じつはその宝の地図は真っ赤なニセモノで、宝の地図の指図どおり真夜中に友引高校にあたる達に仕返しをする為の罠だったのだ。無事地図をあたる達に手渡し、再び柳の元へと帰る途中、今度は面堂にからまれてしまう柳の精。その傍若無人な態度に怒りを燃やした柳の精は、同じく面堂にも仕返しをする為に罠をはるが・・・。
感想
(97話)
今回、作画が非常に丁寧。とくに陰影の描写が非常に細かい!セル画の色指定が相当凝っていたのだろう。テンポも軽快で冗長さもなく面白かった。久し振りにまともな授業ができた温泉の満面の笑みが印象的。しかし、普段授業を壊されてるからこんな時こそ遅れた分の巻き返しに利用すればいいのに、生半可な真似をして怪談なぞするから後々酷い目にあうのだ。アニメでは温泉の自作自演怪談はある程度の効果を表していたが、原作では完全に生徒から無視されていた。放課後、あたるが柳の木の幹に落書きするシーンがあったが、ささくれだった木の幹にあれほどかろやかに絵なんか書けんだろう。百日紅の木じゃあるまいし。それ以上に、マジックインキを常時ポケットに持ち歩いているあたるの方がある意味怖いわな。同じく放課後、柳の精の背中にある自分の中傷の落書きをみつけた時の面堂のりアクションは爆笑物だった。ところで面堂君、何故か歩いて下校していた。非常に目立つ登校時のみヘリコプターを使い、生徒がバラバラに帰る下校時はじみぃに徒歩で帰るなんて面堂らしいと言えば面堂らしい。夜中、宿直の温泉マークの校舎見回りシーンでの窓から入る月明かりは綺麗だった。懐中電灯のあかりより何故か月光のほうが遥かに明るかったけど。温泉、電池変えろよ!さらにへたりこんだ温泉の姿に影がない。すでに成仏か?また、柳の精においかけられ、温泉が夜中の校舎を疾走するシーンのスピード感は特筆もの。また、温泉が隠し持っていた梅酒をあたるとめがねが発見するシーンがあるが原作では梅酒ではなく焼酎だった。梅酒で清めのしぶきというのも・・・。その清めのしぶきをしようとした面堂、たった三口で完全に酔っ払っていた。しかも飲んだ直後。そーとー酒に弱いと見える。その後やけになった温泉が残った梅酒を一気に飲み干していたが、容器に残った梅をラムが食べていたら更に滅茶苦茶になっていただろうに。ラストの寝起きのラムのリアクションも傑作だった。


第98話 そして誰もいなくなったっちゃ!?
放送月日 1983.7.6
脚本 伊藤和典
演出 西村純二
原作 オリジナル
作画監督 やまざきかずお
独断評価 ★★★★★
原画 やまざきかずお、藤川太、富田悦子、青木康直
鷲尾真知子(さくら)、池永通洋(温泉マーク)、水島鉄矢(医者)
内容
(98話)
何者かの招待によって絶海の孤島に招待された諸星あたる一行11人。無人の屋敷の中で一週間の生活をすることになる。しかし用意されている食料や食器は全て10人分。誰か一人招かれざる客がいることを暗に示していた。風雨吹きすさぶ中不安な一夜をすごす一行。翌朝、冷蔵庫の食料が何者かによって食い荒らされているのをさくらが発見。周りを見回すと錯乱坊の姿だけ見えない。全員で錯乱坊の部屋へと向うが鍵がかかったまま返事も無い。ラムの電撃でドアをふち破って中に入るとそこには大量の食料を口に含めたまま絶命している錯乱坊の姿が。最初はつまみ食いをした食料が喉に詰まった事による窒息死との所見だったが、その後の調べで毒殺の可能性もでてくる。一行に走る衝撃。しかしその場に4人組の姿はない。あたるとラムが彼らを探しに倉庫へ向うが呼びかけに対する返事も無し。不審がるあたるの目前に、パーマの死体が・・・。さらにめがね、チビ、カクガリの死体も発見。全て他殺であることも判明。ここにきて全てがマザーグースの「誰がコマドリを殺したか?」に見立てた殺人事件であることに気付く。しかし時既に遅し。さくらが、そして翌朝、面堂としのぶが歌詞通りの死体となって発見される。残るは温泉とラムとあたるの3人のみ。動揺するあたるの頭に雫が落ちてきた。確か階上ではラムが風呂に入っていたはず。顔色を変えて風呂場へ駆けつけるあたる。しかしそこで彼を待っていたのは、浴槽の中で事切れているラムの姿だった。最愛のラムをなくし完全にパニック状態になるあたる。絶叫しながら屋敷の中を徹底的に破壊していく。疲れきって眠ってしまったあたるの耳に銃声が。ベッドのなか、胸に銃弾を浴びて倒れている温泉。「次は俺の番か・・・」。そう呟いた瞬間、時計台から鐘の音が。悟りきったあたるは、温泉の手の中にあったピストルをもって殺人者がいるであろう時計台に向う。しかし彼がそこで見たのは、他でもない、もう一人の自分であった・・・。
感想
(98話)
まさしく傑作。本放送当時の衝撃はいまだに忘れることはできない。本放送を見逃さなくて本当によかったと思っている。「うる星最終回か!!」とまで思ってしまった。「誰がコマドリを殺したか?」は、すでにパタリロの「誰が殺したクックロビン」で周知の言葉だったが、その意味を教えてくれたのがこの放送だった。たかだか本編22分の短い話しだが、映画並みのクオリティはあったと思う。クリスティのパロディであることは有名な事実。ラムを失って半狂乱になるあたるや、ラストの時計台のシーン、白髪になったあたるの姿が非常に印象的だった。錯乱坊、4人組と次々と殺されていくシーンがあったが、4人組が一気に殺されたのは、彼らの重要度の低さを物語る。これが押井作品だったら、めがねによる謎解きがあったんだろうけど。今回の謎解きは温泉。彼が最後まで残っていたのは、謎解きキャラという位置付けにあった為であろう。しかし、こんな事のためにわざわざ仮死状態になる薬を飲んだラムの覚悟は立派。仮死状態になるという事は、蘇生できない可能性も考慮に入れていただろうに。しかし、その仮死状態のラムをベッドまで運んだのは誰だろう?残った人物はあたると温泉。あたるとしては一人で運びたかったろうが、温泉が手伝った可能性も大。許さんぞ!温泉!!ラスト、病室の中ではしゃぎまくるあたるの頬を伝う汗が意味深で、「何か裏の意味があるのだろうか?」と小学生の私を悩ませた。頭、「10人分の食器しかない」といってたくせに、食事シーンではちゃんと11人分の皿やグラスがあった。これも小学生の私を悩ませる謎だったことはゆーまでもない!とにもかくにもオリジナル3作目にして、誰もが認める傑作が出来上がった。作画も非常に丁寧で美しい。まさしくこのあたりはうる星黄金期といって過言ではなかろう。


第99話 火消しママ参上!
放送月日 1983.7.13
脚本 星山博之
演出 押井守
原作 16-3,4
作画監督 森山ゆうじ
独断評価 ★★★☆
原画 桜井利之、奈良みつ子、もりやまゆうじ
横沢啓子(テンの母)、池水通洋(温泉マーク)、西村知道(校長)、TARAKO
内容
(99話)
スイカをめぐって今日も喧嘩三昧のあたるとテン。そのあまりの悪童ぶりに、自分の事を棚に上げたあたるが激怒。勝手に子供を預けて全然挨拶にこないテンの両親に怒りの矛先をむける。その矢先、テンの母の飛脚ロボがやってきた。地球のそばまできたので近いうちにあたるの両親に挨拶にいくとの事。ちょうどその手紙を読んだ直後、テンの母があたるの部屋に突入してきた。普段あたる達の前では、悪がきぶりを如何なく発揮するテンも、母親の前ではいい子にしてると思われたい一心で猫かぶり。そこであたるは、テンの母の職業が火消しで、放火魔に対して凄まじい嫌悪感を持ってることや、テンがそういう母親の前では火を吹くことができないことを知る。これ幸いとばかりにテンを苛めるあたる。手持ちの半鐘を鳴らせば、テンの母が即参上するシステムを知ったあたるは、テンが火を吹く素振りを見せるたびに半鐘を鳴らしてテンの炎を封じることに成功する。欲求不満が嵩じたテンは翌日あたるへの復讐を開始する。
感想
(99話)
再び作画監督を森山ゆうじ氏が担当。今回の作画は第一回(ラブラブキャッチボール)、第二回(さよならの季節)よりも更に丁寧で美しく、一つの到達点にたった感じ。また作画にあいまって演出テンポも非常に秀逸だった。冒頭、スイカ争奪戦のシーンでは、完全にこたつネコが諸星家の一員になっているのがほほえましかった。そのスイカの蒸発するシーンの描写や、飛脚ロボに説教するあたるの姿等爆笑シーンのオンパレード。テンの赤ん坊時代のエピソードも面白い。赤ん坊時代といっても今と殆ど変わらんが・・・。その夜、テンと、テンの母とラムが押入れで仲良く寝ているシーンがあったが、3人が寝てもまだスペースにあまりがあった。押入れとしてはかなりのスペースを誇っているようだ。ま、海王星に繋がってるくらいだからな。ラムのUFOではなく、あたるの部屋の押入れで寝ているという事実がなんだか嬉しくなる。またテンの母によってぶち破られた二階部分が、翌日の諸星家俯瞰シーンで律儀に壊れたままになっていたのが笑えた。後半も爆笑シーンであふれている。特にテンの「俺の方が成功して驚いとるんじゃ!」のセリフと、あたるの「神よ、我を脱肛から護りたまえ!」のセリフ、ラストの校長の引きつった表情はまさにサイコーと言えよう。更にテンの母による友引高校放水シーンの迫力は特筆もの。ただ、あれだけの大量の水、どうやって採集してるのだろう?画面で見る限り、大気中の水分を手持ちのスプリンクラーに集結させているようだが。物語中盤の描写で、友引高校の敷地内が水であふれているシーンがあった。画面から推測するにその敷地面積は低く見積もっても約150m×111mで16650u。さらに最低50cmは水に浸かっていたので、浸水容積は8325m3に及ぶ。確か水は0.001m3で1リットルだったはず。すると友引高校を覆った水の総量は8,325,000リットル!水1リットルは1kgなので重さに直すと8,325トンの水があふれていた訳だ。これだけの水をテンの母は30秒で放出していた。つまり8,325トンもの水が約30秒の間に大気中から奪い去られていたことになる。通常、1m3の大気中、温度30度において、水蒸気は約30g含んでいるという(インターネット資料)。30秒で8,325トンと言うことは、1秒で、277.5トン。つまり、たった一秒間で9,250,000m3の大気が一瞬にして奪われたことになる。縦210m、横210m、高さ210m部分が一瞬にして真空状態になるのだ。しかもそれが30秒間続く恐怖。これは凄まじいことだ。理論的にいくと、1秒後に友引高校の敷地面積を遥かに超える地域で温度が絶対零度(マイナス273.15度)近くまで到達。そして30秒後には友引高校周辺277,500,000m3(縦652m、横652m、高さ652m)地域が真空状態になり、極寒地獄に襲われていたと思われる。これは寒い!というより全員即死間違い無し。たかだか放送室のボヤを消す為に、多くの命を犠牲にしてしまったテンの母。その所業はあまりに罪深い。


第100話 ダーリンが死んじゃう!?
放送月日 1983.7.20
脚本 伊藤和典
演出 押井守
原作 16-5
作画監督 遠藤麻未
独断評価 ★★★☆
原画 高木敏夫、福島喜晴、今渡勇一郎、小林明美
井上瑤(ラン)、玄田哲章(レイ)、西村智道(ロボ医者、ポスト)、丸山裕子(花札女王)、飯塚昭三(チャン)
内容
(100話)
妖しげな雰囲気の中、黒魔術を使ってカップケーキを作り、謎めいた微笑をうかべるラン。そのカップケーキを偶然あたるが食べてしまった。ひとかけらを嚥下した途端、意識不明の重体に陥るあたる。木陰で倒れ伏すあたるの姿を発見し呆然とするラム。どうやらそのカップケーキには毒が入っていたようだ。そのケーキを包んでいた包装紙から、ケーキの製作者がランであることを知ったラムは、解毒の処方を聞く為、すぐさまランを探しにいく。ランがいるであろう異次元の森を必死で探すが、そこにはおかしな奴ばかりいて誰一人ラムの問いかけに真面目に答えてくれない。あせりから絶望感に陥るラム。そのラムを打ちのめすかのように「あたる死す」の報が・・・。
感想
(100話)
これもおもしろかった!全編を流れる不思議な雰囲気。特に異次元へ抜けるトンネルのシーンや、ラムの号泣シーンは、1年半後の劇場版映画第3作「リメンバー・マイ・ラブ」を髣髴とさせた。BGMも大幅に変わった感がある。冒頭、ランがカップケーキにクリームを塗るシーンの描写は子供心に食欲をそそられた記憶がある。一瞬だけど美味そうなんだこれが!同じく冒頭、あたるがあまりの暑さに冷蔵庫をあけて涼もうとしていたが、開けっ放しにすると今以上にサーモスタットが内部を冷やそうとして後部からもっと熱い空気を放出し、室内温度は更に上昇するので良い子は決して真似をしてはいけません(ああ、気持ち悪い文章・・・)。その後、あたるはランのケーキを拾って咀嚼していたが、そのシーンで彼は何と呟いていたのだろう?「にゃくしょくしてうまいだーりん」と聞こえるのだが・・・。誰か教えて下さい。ぶっ倒れたあたるをラムが発見するシーンでは何故か映画第一作「オンリー・ユー」の冒頭影踏みシーンのBGMが流れていた。この後、ラムが倒れたあたるを布団に寝かし、押入れの中から巨大な脳波形と脈拍計を取り出していた。普段からそんな大層なもんが入ってるんかい、押入れに!準備のいい事おびただしい。というか、確かに諸星あたるの日常をみていると、そういった医療器具は絶えず必要に思えてくるから不思議である。瀕死のあたるが寝言でラムの名前を呟くシーンは感慨深いものがあるが、その後の女性の名前のオンパレードシーンは爆笑物。ま、最初にラムの名前を出したことに価値があるのかも知れんが。ラムがランの家に押し入る場面では久し振りにラムの歩行シーンを見ることができる。殆ど地面に接地してない割には結構でかい足音を立てていた。実は結構重いのか!?そこでのラムのつぶやき、「まさか」のイントネーションが異常に妙。どこの訛りだ?この後の異次元シーンはまさにアニメ版うる星の世界そのものだった。「子連れ狼」の爆笑パロディや、トランプならぬ花札兵隊によるラム包囲シーン描写等、素晴らしいの一言。ラスト、ぶた牛になったレイの上にのっかるランの姿は、どうみてもレイの恋人というより猛獣使い。また今回は全体を通してラムの表情が非常に豊かで、バリエーションに富んでいたのが印象的だった。


第101話 みじめ!愛とさすらいの母!?
放送月日 1983.7.27
脚本 押井守
演出 西村純二
原作 オリジナル
作画監督 やまざきかずお
独断評価 ★★★
原画 やまざきかずお、藤川太、富田悦子、青木康直
鷲尾真知子(さくら)、池水通洋(温泉マーク)
内容
(101話)
一介の主婦として一日一日限られた条件で必死で生きているあたるの母。少ない予算で衣食住を満たす為、今日も大狂乱のバーゲンで死闘を繰り広げる。その争奪戦で彼女は不覚を取り気を失う。デパートの医務室で目を覚ます母。さくらに良く似た医者から「自分の戻る場所をしってるか?」ときかれ不審に思いつつ部屋を出る。いつのまにか既に夜。静まり返ったデパートを出て、電車に乗るあたるの母。説明しがたい違和感を肌で感じ、不安感で苛まれながら家へと向う。普段と変わらぬ佇まいの我が家をみてホッとする母。しかし、そこでみつけたものはあたるの子供もこける、ラム、そして遺影の中の夫の姿であった。絶叫とともに目を覚ます母。今度は別に違和感を感じずに再び諸星家へ。しかしそこにはもう一人の自分がいた・・・。
感想
(101話)
押井ワールド炸裂!!オリジナル4作目にしてチーフディレクター押井氏がやってくれた。この人お得意の夢・夢・夢のオンパレード!!全編を流れる不可思議な雰囲気、何度目覚めても続く夢の世界、テンのセリフ「夢ン中で墜落すると目が覚める」、面堂医者が唱える「自分が他人の夢の産物である可能性」説、さらにはあたるの母のセリフ「大洗海水浴場!」等、まさに半年後の劇場映画版第二作、傑作のほまれ高い「ビューティフル・ドリーマー」のプロローグと言っても過言ではない。ただ、あまりに実験的要素が強く、「ビューティフル・ドリーマー」ほどの完成度はない。冒頭、諸星家のリビングの描写があったがそこの電化製品の種類を見ていると諸星家は結構裕福な生活をしているようだ。朝食のシーンで、あたるがテンのおかずをつまみ食いしようとしていたが、たしか彼らの食事はモーレツに辛いのではなかったか?つまみ食いしようとしていたあたるを母が制止していたが、卑しさゆえではなく、危険防止の為に止めていた可能性大。全員が出て行った後、一人居間でのんびりと食事を取るテン、あたるの母と仲睦まじくトレーニングする姿や一緒に昼寝する姿とともに非常に可愛らしかった。夜の風呂のシーンで、あたるやあたるの父、ラム、テンのあと錯乱坊やましては化け猫のこたつネコまで先に風呂に入れてあげていたあたるの母。我々の想像を超越した寛容心の持ち主と言えよう。また戦闘シーンで目が覚めた母の後ろには破れたうる星のポスターが。どんな絵が描かれていたのだろうか。ちょっと興味がある。更に、「さだめじゃ!」を連呼して突撃する錯乱坊の姿が壮観だった。ラストのかごめかごめシーンは「決死の亜空間アルバイト」を思い出させるシチュエーション。確かに不条理的な面白さはあったが、わざと難解さを装ってるようで、それが製作者の独り善がりの感を一般的視聴者に与えたのが残念。


第102話 面堂家サマークリスマス
放送月日 1983.8.3
脚本 岩崎弘
演出 上村修
原作 オリジナル
作画監督 林隆文
独断評価 ★★★☆
原画 山下将仁、金沢勝真、高木敏夫、林隆文
小山茉美(了子)、鷲尾真知子(さくら)、池水通洋(温泉マーク)、井上瑤(ラン)、田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)
内容
(102話)
面堂終太郎の妹、了子がサマークリスマスを企画。男女ペアを条件にたくさんの人を紹介する。そのサマークリスマスにおいて高さ200mを超えるクリスマスツリーの登攀が余興として行われることに。トップの男性には了子からのキスが、トップの女性には面堂からのキスが、更に屋上には豪華四川料理が振舞われることになったため、招待客全員が余興の参加を決意。了子のキスを勝ち取る為に必死にのぼるあたる、それを阻止しようとする面堂との間に決死の戦いの火蓋が切って落とされた。
感想
(102話)
まさに爆笑物。再放送時、高校の文化祭と重なった為、催し物として持ってきていたテレビでうる星をみてると、段々人だかりが増えて全員でその面白さに腹を抱えて笑っていたのを思い出す。もう12年も前の事だ・・・。今回はテンポと、間のタイミングが絶妙だった。特に2,3秒のしじまが訪れるこれまでのうる星にない「間」は十分に笑いの効果をあげていた。めがねとのペアを組む為、オカマ言葉で争う3人組の姿や、チビに口づけしようとするめがね、たこに話し掛ける了子、回顧する竜之介の背後で落下していく面堂等今回も爆笑シーンが目白押し。しかしチビ、車が急停車しなかったら本当にくちづけをしていたのだろうか?ロリコンの上にホモ。当時としてはかなり革新的な人間だったよう。巨大クリスマスツリーを面堂が眺めるシーンで流れていたBGM(不協和音がメイン)は、何故か当時の私の心に強い印象を与えたようで、いまでもその音楽が夢に出てくることがある。今回の作画監督は林隆文氏。全員の顔が崩れること崩れること。特にあたるは、顔と一緒に声までつぶれていた。さてさて。今回くらい科学的検証がやりやすい回も珍しい。そしてその結果も私の期待を裏切らずめちゃくちゃだった。まず了子記念館の建物について。前半了子はその高さが207.5mであることを明言していた。他の場面で出てた記念館の階数は高く見積もっても約45階。すると1階あたりの高さは約4.6mとなる。日本の建物の平均的高さは1階につき約3m。この了子記念館はかなり余裕を持って作られたと見える。しかしそれほど常軌を逸しているようでもない。問題は飛び降りた面堂のその降下スピードの遅さである。最初、207.5mの高さから飛び降りて、100mエリアにいるあたると接触するまで約8秒かかっていた。物が落下するスピードは重さに関係なく1秒間に秒速9.8mずつ加速されていく。すると面堂は約4.684秒後にあたると交差していたはずなのである。なのに画面では8秒後。たしかにこの数字は空気摩擦を無視した数字である。しかしそれにしても1.71倍もの開きがあるのはどー考えても解せん。考えられる原因としては面堂の体の形が非常に空気抵抗を受けやすい形状だったということ。体をヒラメ状にしてムササビのように飛び降りたとしか考えられない。しかし画面では縦向きに落っこちてるでないか!よりによってもっとも空気抵抗を受けにくい体勢をとるとは。更にそのあと、130mエリアにいるあたるめがけて面堂が飛び降りるシーンで「若、時速80km/hにて降下中。8秒後に諸星あたると接触します」との報告があった。面堂のスピードが80km/hと言うことは落下してから約2.26秒たっていて、すでに25.02m落下していることになる。その8秒後となると、計算によって導かれる落下距離はなんと約515.8m。207.5mの建物から飛び降りて500mも落下してどーする面堂!実際にはその報告の4.25秒後に時速229.58km/hにて地面に激突している公算たかし。時速200km/hを超えるダンプカーにはねられる衝撃。まさに痛いではすまないのだが、面堂君、このあと腰をさすりながら再び最上階へ姿を現していた。なんという強靭な体。いずれにせよ、面堂のからだは我々が想像しているよりはるかにひらべったい事が判明した。めでたいめでたい。さらにパーティー冒頭で「13組脱落、87%残存」という報告があったが、この計算でいくと参加者総数は100組200人となる。しかし後半、「89%が脱落、残り11名」との報告が・・・。ここから導き出される参加者総数は50組100人。どっちが正確なのだ?面堂、もっと頭のいい部下を雇え!!またラスト、あたる達10人の体重を竜之介の父がたった一人で更に両足だけで支えているシーンがあった。彼らの平均体重を45とするとその重さ450kg。さらにさくらはある程度、食料摂取していた。この人、食べた分確実に体重が増えるので総計480kgはあったであろう。その480kgを両足で支える竜之介の父。彼は小錦ですら片足で持ち上げられる脚力の持ち主のようである。そら、竜之介が勝てんわ。ところでこの科学的検証、ちゃんと読んでいる奴はいるのか?読者不在で波に乗るdeaconでした。


第103話 パニックイン幽霊民宿
放送月日 1983.8.10
脚本 小西川博
演出 西村純二
原作 10-4.5
作画監督 やまざきかずお(!?)
独断評価 ★★☆
原画 土屋幹夫、河南正昭、粟井重紀
肝付兼太(すだま亭主人)、榊原良子(おたま)、鷲尾真知子(さくら)、井上和彦(つばめ)
内容
(103話)
残り少ない夏を楽しむ為海にやってきた諸星あたる、ラム、面堂、しのぶの一行。今回の民宿はあたる推薦の「どの観光ガイドにものってない海の穴場」、すだま亭。確かにどの観光ガイドにものってないのがうなずけるほどのボロ家。ブツブツ文句を言う面堂の前に民宿の娘らしき美女が出現。面堂はあっという間に機嫌が良くなる。そのあとすだま亭の奇怪な夫婦が登場。彼らにさっきの娘の事をきくと、どうやらその娘は「お玉」という、すだま亭にいつく幽霊である事が判明。更にそのお玉が毎夏、この化け物夫婦に驚かされていることも判明。気の毒に思ったあたる達はお玉に協力して化け物夫婦にリベンジしようとするも返り討ちにあってしまう。翌日この民宿に愛想をつかして去っていくあたる一行。そこにお玉がついてきた。なにやらこの世に未練があるような様子。あたる達はお玉の望みをかなえてあげて成仏させてやろうと画策するのだが・・・。
感想
(103話)
当時は夏になるとアニメでも特撮でもかならず怪談ものが放送されていた。うる星も例外ではない。ただうる星らしく単なる怪談ものにおわらせず一種独特の雰囲気を作っていた。しかし。どーもテンポが変。物語全体的にズレが顕著で笑いのツボをほとんど外していた。折角前回の「サマークリスマス」で沈黙の間が成功したのに、こちらではその沈黙の間が逆効果になっている。後半冒頭のセリフ、あたる「おい早くしろよな」 ラム「うん」 面堂「もういいぞ」なんか声優陣もろ「素」状態。またあたるの「いきましょう、いきましょう」、「やーいふられんぼ、ふられんぼ」のセリフにおけるリアクションが、違和感丸出しでイジョーに寒かった。でも面白いシーンもいくつかあったの事は確か。幽霊の格好をしてあたる達をおどろかせにきた化け物夫婦のシーンでは、あたる面堂しのぶのレアな表情が見れるし、同じ場面であたるに抱きつかれて大喜びするラムの姿も一瞬だけ見ることができる。またあたるがお玉に「さあ、今です、でなさい」と誘うシーンでは何故かあたるは明後日(あさって)の方をみていた。だれと話してるのだ?お前は。化け物夫婦から逃げるシーンでは、お玉とあたるとしのぶは六畳間を5つほど通過していた。案外広いぞこの民宿。更にラスト近く、喉が乾いたお玉に面堂がコーラらしき飲み物を差し出し、お玉に拒絶されるシーンがあったが、スポンサーがコカコーラだったら、このときの飲み物はペプシであった可能性大。ところでテレビのEDで作画監督のクレジットがやまざきかずお氏だった。うっそ!どうみても遠藤麻未嬢の絵柄だが・・・。しかしサンデーグラフィックもLDジャケットもクレジットはやまざきかずお氏。ううむ。謎だ。


第104話 ああ まぶたの母
放送月日 1983.8.17
脚本 伊藤和典
演出 上村修
原作 17-8.9
作画監督 森山ゆうじ
独断評価 ★★★
原画 今渡雄一郎、小林明美、山下将仁、福島喜晴、奈良みつ子
田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、TARAKO、大塚智子
内容
(104話)
木の枝で引っかかって眠りこけているテンを諸星家まで連れて帰った竜之介。そこで晩御飯を誘われる。その料理のあまりの美味しさに「おふくろの味」というものを初めて知る竜之介。家に帰り、父に幼い頃に死んだという母の事を詳しく聞こうとするが、父は話しをはぐらかせてまじめに教えようとしない。そしてその影には死んでしまった妻を思い出して苦悩する父の姿があった。その姿をみた竜之介は親父に同情し、自分も母の事を忘れようとする。しかし。その後、実は母に逃げられていたことが発覚、竜之介の堪忍袋の緒が切れる。翌日なんとか母の面影をしろうとアルバムをさがす竜之介やあたる達。しかしやっと見つけたアルバムには多数の女性の写真が。「どれか一人が母であろう」とすます父。訳をただす竜之介。そこで父は逃げられた母を忘れよう忘れようとして遂に綺麗さっぱり忘れてしまったことを竜之介に告白。更に堪忍袋の緒が切れる竜之介であった。
感想
(104話)
またまた森山ゆうじ氏による作画監督作品。絵が非常に綺麗。とくに様々な衝突シーンにおける細かいコマ割技術が功を奏している。内容的にも原作2話分がまとめられている為かなり原作に忠実。目立つオリジナルシーンといえば、竜之介親父の回顧場面であろうが、この滅茶苦茶荒唐無稽な回顧シーンはアニメうる星の特性が生かされていて面白かった。なかでも戦争シーンの劇画タッチの絵は、劇場版映画第二作「ビューティフル・ドリーマ」のさくらが夢邪鬼の所業を説明するシーンを髣髴とさせた。同じ作画監督だから当然なんだろうけど。その他、妻の夢を見て音ながら号泣する父の姿や、その後の親子の追いかけっこシーンもアニメならではの動きで非常に面白かった。竜之介が父に母の事を聞くシーンで「足の文数は!?」と尋ねていたが、私は後年になるまでずっと「足の本数は!?」と言っているのだと思っていた。自分の母の足の本数を聞くとは、人間で無かった可能性も考慮していたのかと妙に納得していたのだが・・・。半、父のアルバムを見るシーンでは、父の出征写真も写っていた。出征したと言うことはその写真を取った時代は遅くとも終戦時の昭和20年。さらに学徒動員として16歳を下回っていたということは無いだろう。となると父の出生年はどんなに遅くとも昭和4年。放送時は昭和58年。ああみえても53,4歳だったわけだ。竜之介、父を大切にしろよ。また、今回も本編以外のお遊びが豊富。冒頭のコンビニシーンでエロ本を買う青年のモデルはスタッフだろうか?また、竜之介が手に取ったカップヌードルにデザインされていたロボットは「ザブングル」のパロディーであろうか?にラスト近く、竜之介の幼児時代の写真に、めぞん一刻の響子さんや一の瀬さんが写っていた。この時の竜之介はたぶん1歳。この時点よりおよそ16年は昔であったろう。するとこの写真をとったのは昭和42年あたり。さすれば響子さんは昭和58年時点で40近く・・・。つまり平成13年時点でごじゅう・・・な訳ありえませんね。とんでもない結論をだして一人ブルーになるdeaconでした。尚、今回より中間部分のアイキャッチが「ラブ・ミー・モア」編に変更。ついにあたるが消えてラム一人だけになってしまった。本編でも99話から目立った活躍をしてない諸星あたる。頑張れあたる!一応は主人公じゃないか!


第105話 大陽がいっぱい 浮気がいっぱい
放送月日 1983.8.24
脚本 伊藤和典
演出 西村純二
原作 14-9.10
作画監督 西島克彦(前半)、遠藤麻未(後半)
独断評価 ★★★
原画 土屋幹夫、河南正昭、粟井重紀
鷲尾真知子(さくら)、井上和彦(つばめ)、TARAKO、大塚智子、能村弘子
内容
(105話)
とある海水浴場で偶然さくらと出会うあたる、ラム、しのぶ、面堂、テンの一行。水着のさくらに欲情するあたる面堂テンだが、当然ながらさくらに手を出すことはできない。そこであたるはテンのおもちゃ「コア」をつかって自分用とテン用のさくら砂人形を作る。さらに作った人形を動かすことができると知った面堂は自分用のさくらを作る。こうして三人は自分専用のさくらを砂で作って思い思いのデートを始めて周囲をパニックに陥れる。ラムによってコアを取り上げられたあたるは、ラムを無視して他の女の子グループと遊び始めた。そのあたるの態度に怒ったラムは、人語を解するイルカを人間の美男子にしたてあげ、あたるの嫉妬心をあおろうとする。
感想
(105話)
西島克彦氏、作画監督として初クレジット(前半部分のみだが)。やはりこの人の絵はすばらしい。デッサン力はもちろん、その作画の丁寧さは群を抜いていた。頭しのぶがさくらに「誰ときたのか?」と聞くシーンでは、あたる面堂テンの耳が好奇心の為大きく描かれていた。その表情は当時のジャイアンツのエース、江川そのもの。現代の子供達がこのシーンを見ても多分ピンとこないだろうなぁ。そのさくら、パラソルの下、日焼けに努めていたが、肩から上部分はパラソルの影に隠れていた。あんな焼き方をしていたら、背中の上下部分がまだらになること間違いなし。しのぶ、オイルを塗ってあげてるときに気付かなかったのか?また砂浜でテンがつくっていたお城を破壊させるべく、あたるが溝をつくるシーンがあったが、あんな物凄い勢いの波だったら、溝を掘るまでもなくテンの城は崩壊していた。テンは「人災や!」と激怒していたが、どーみても「天災」である。ラムとしのぶがジュース購買の為いなくなった後、あたる面堂がさくらの砂人形をつくっていたが、その出来栄えは完全に素人の域を越えていた。まさに怨念のなせる業である。しかしその人形、髪の毛等、別に本人に関するものが入っているわけでもないのにちゃんとさくらとして機能していた。似てるだけでその人物になるというのも解せない話しで、世の中には自分にそっくりな人が最低3人はいると言われているが、その残りの二人として機能しなかったのはまさに僥倖といえよう。その砂人形さくらと本物さくらが対峙するシーンにおいては黒髪のミンキーモモが画面の端に写っていた(実は私、ミンキーモモは見たことなし)。後半はおなじみ遠藤麻未嬢が作画監督。その後半の主役、イルカの声は通常チビの声を担当している二又一成氏。この人本当に芸達者だ。その人語を解するイルカを見て、驚愕した若い女性が猛スピードで泳いで逃げるシーンがあったが、そのスピードがすごい。画面で見る限り、約6.85秒で水平線の端に消えていった。その画面の目線の高さは約50cm。すると最低水平線まで2kmはあったはずだ。2kmを6.85秒で泳いだとしたらそのスピードは約時速1,051km/h。こらこら、海上でマッハ近いスピード出すとはなんて非常識な奴ら!先月福岡で行われた世界水泳の50m記録はアンソニー・アービン(アメリカ)が出した22秒05。これを時速に直すと8km/h。世界水泳金メダリストの131倍ものスピードで2kmを泳ぎきった少女たち。その筋肉、肺活量は計り知れない。更に、嫉妬に燃えるあたるがイルカが変身した男にフリスビーを投げつけるシーンがあったが、その距離はラムの歩幅と歩数から計算して約5.6m。この距離を、フリスビーという行先不正確な物体を投げつけて対象物にあてるあたるの技術力には脱帽せざるを得ない。ラスト、女に変身したイルカにあたるが抱きつき、ラムが激怒していたが、これは一時の激情に駆られてラムの前で嫉妬をしてしまったあたるの照れ隠しの表現ともいえよう。


第106話 大激突!テンVSあたる
放送月日 1983.9.7
脚本 押井守
演出 上村修
原作 14-9.10
作画監督 林隆文
独断評価 ★★★☆
原画 山下将仁、高木敏夫、遠藤麻未、小林明美、金子紀男、林隆文
池水通洋(温泉マーク)、西村知道(亀)
内容
(106話)
あたると闘う度に連戦連敗のテン。筋力をつけてなんとかあたるに仕返ししようとトレーニングを始めるもすべて逆効果。意を決したテンは、最後の手段の必殺技を繰り出してあたりに致命傷を負わすことに成功するのだが・・・。
感想
(106話)
またまた林隆文氏による作画監督。何故か今回は作画のなかに遠藤麻未氏の名前が・・・。いままでと逆パターンである。前半のラムの顔は遠藤嬢の手によるものであろう。しっかし、林氏、何故ここまで顔をディフォルメするのか!テンなんか2頭身を遥かに超えた1.5頭身ほどになってしまってる。さらに各キャラクターの驚愕時における顔面破壊度はほんと目を覆うばかり。男性キャラクターだけに限られているというだけましだけど。冒頭諸星家朝食シーンであたるはプロレスを見ながら食事を取っていた。朝っぱらから何をみてるのだ?どーやらビデオらしいが、そのビデオも物凄い年代物。ボタンの配置やデザインがそれを良く物語ってる。同じく朝食シーンにてあたるがテンの分をつまみ食いしていたが、やめろっていっただろ!101話の解説で。全く進歩のないあほうである。あたるに仕返しする為、テンが校舎の廊下でロープを引っ張るシーンにおけるカクガリとチビの行動は背筋が寒くなるくらい気色悪い。ホモと断定されても仕方のないことであろう。このチビ、102話ではめがねを相手にしていたが・・・。テレビには写らないところで、チビをめぐってのめがねカクガリによるバトルがあるのかと思うと果てしなくとほほな気分に陥ってしまう。放課後、暴走するターボおまるの上からテンが「誰か助けてくれ!」と絶叫していたが、飛べるんだからバイクから降りたらいいやんと思ったのは俺だけ?チューンアップしたおまるを手放す気になれなかったという説もあるけど。また鉄下駄をはかされたテンを陥れようとしたあたるが、「絶対に脱がない!?」とテンが言ってもないことを聞いた振りをして皆に伝え、テンが鉄下駄を脱ぐタイミングを逸するシーンがあったが、あたると同じ距離にいたしのぶ、それがあたるの空言だと何故気付かんのだ!!気付いてて言わなかったのならまさにあたると同罪である。テン、さぞかし恨めしかったろうて。テンの受難はさらに続く。その後鉄下駄に加えラムから与えられたギブスを装着して諸星家の階段を1時間25分かけて上っていた。階段を一段上るスピードはその鉄下駄の音から計算して約5秒。あの体勢から見ると普通に階段を上るように片足で一段ずつ登っていくことはできなかっただろう。片足が一段登ればもう片足は最初の足と同じ位置にのせるので精一杯だったと思う。すると一段のぼるスピードは10秒となる。それでも全部上りきるのに1時間25分も費やしていた。以上の事実から計算すると、諸星家の階段の段数はなんと510段!因みに我がアパートの階段の段差は19cm。諸星家の階段の段差もこれと同じだったとするとその高さは驚くなかれ、96mにも達する。高さ100mに届こうとする諸星家。まさに地上の楼閣として友引町のシンボルとなっていたであろう。しかしこの回の諸星家の俯瞰図をみるとどうみても通常の2階建て家屋の高さしかなかった。となると階段の段数が極めて低かったとしか考えられない。1階から2階の高低差が2.5mだったとしよう。するとその段差はたったの4.9mm。それを律儀に一段ずつ登っていったテン。君は間違いなくどあほうである(※1)。翌朝、上機嫌のあたるが朝食を食べるシーンは爆笑物。そのテンポ、動き、しゃべり、全てがおかしい。非常に汚い食べ方をしているのだが、ミョーに美味そうなんだこれが。また、怪我をしたあたるを見たクラスメートが、あたるの生命力を執拗に説明するシーンも、そのひつこそがミョーなおかしさを醸し出していた。
(※1)・・・10秒かけて1段のぼり、数段登ったところで長い休憩を取っていた考えることもできるが(というよりその方が自然か?)、あえておかしい方を選んでしまった。)


第107話 恐怖!トロロが攻めてくる!!
放送月日 1983.9.14
脚本 伊藤和典
演出 上村修
原作 オリジナル
作画監督 高橋資祐
独断評価 ★★☆
原画 高橋資祐、山本直子
内容
(107話)
面堂の別荘で休暇を楽しむあたる、面堂、ラム、しのぶの一行。どんな料理にも香辛料をいやほどかけまくるラムに対して、あたるは料理は全てしのぶにまかせ、トロロ芋でもすっておくように命じる。不満げながらもラムはあたるの言う通りトロロ芋をすろうとしたが、目前にあった芋はいつのまにかその姿を消していた。そんな些細な事に誰も関心を払わなかったが、その夜突如トロロ芋の大群があたる達を一斉に襲ってきた。不条理な現象にパニックに陥る一行。いつのまにか別荘は完全にトロロ芋に包囲されていた。必死で別荘からにげる4人。彼らが脱出したその瞬間、面堂の別荘はトロロ芋によって完全に破壊される。その破壊された別荘からまたトロロ芋が彼らに襲い掛かる。そして巨大トロロ芋が出現し、あわやという場面で夜が明ける。夜が明けたとたん、芋はまるで何事もなかったのように静かに佇んでいた。どうやらこの芋群は夜しか行動できないようだ。そうとわかったあたる達はなんとかその日中に町へ脱出しようと試みるが・・・。
感想
(107話)
第一話からかかわっていた作画の高橋資祐氏が今回作画監督として初クレジット。絵コンテも担当している為、彼独特の動き、テンポが楽しめる。物語全体に流れるBGMも雰囲気にぴったりで不気味なムードを高める一助をなしている。しかし。何ゆえトロロ芋?そしてシャワーシーンが何ゆえ面堂?一人でシャワー浴びる時に腰にタオルをまくんじゃないっ、この軟弱者が!この面堂のシャワーシーン、及びあたるのスイカトロロシーンから巨大トロロ芋に遭遇するまではどう遅く見積もっても1時間はかかってなかった。なのに、巨大トロロ芋遭遇時は日の出を迎えていた。この時期の日の出は多分5時半か6時くらいであろう。すると、面堂は夜中(或いは早朝か?)4時半頃に風呂に入っていたことになる。さらにラムしのぶあたるは面堂の風呂あがりにスイカを食べようとしていた。彼らもその時間、あたりまえのように起きていたのだ。いかんなぁ。高校生だけで一泊旅行するのも問題だが、そんな夜中まで起き続けているなんて。教育上非常に良くない!と憤ってしまうのは30を目前に迎えたおっさんの僻みか?また川くだりシーンにおいて8本の同じ大きさの丸太が綺麗に切断されたイカダが作られていた。どうやって作ったのだ?どうみても彼らは手ぶら。斧なんて持っていなかっただろう。持っていたとしてもポケットに入るくらいのサバイバルナイフくらいなものだ。つい2,3週間前、筆者は山のなかで直径40cmほどの木を友人と切り倒した。使用した工具は刃渡り20cmほどのサバイバルナイフ。このナイフで直径40cmの木を切るのに大人二人がかりで約40分を要した。彼らのイカダをもう一度画面で確認してみた。横幅は寝転んだあたるの身長とほぼ同じ。つまり約170cm。8本で170cmの横幅になっているという事は1本あたりの直径は約21cm。伐採時間は一本につき20分くらいか?途中休憩も入るだろうが、5,6本目になるとコツもつかんでだいぶ慣れてくるだろうから、8本の伐採時間は2時間半くらい。それに丸太をしばる縄のかわりになる木のツルも発見せねばならんし、丸太を縛る時間も相当かかったであろう。全体の工程時間は5時間くらいか?すると、この後すぐ日暮れがやってきたという描写と何ら矛盾を起こさせない。素晴らしい!と思ったのも束の間、この後のシーンで、この丸太の倍はあろうかと思われる大木をしのぶがわずか6秒半ほどで引っこ抜いているではないか!!するとイカダに使用した丸太伐採時間は1分にも満たない。文字通りしのぶにとってこのような労力は「朝飯前」だったのだろう。ああ。折角時間的矛盾が解消したと思ったのに。このオリジナル第5作目はこのあと恐怖の堂堂巡りを示唆しつつ幕を落としている。物語的には不条理な雰囲気に満ちていて製作サイドの目論見は達せられているように思われる。がしかし!あたるの性格描写があまりにもひどすぎる!!確かに彼の性格は誉められたものではないだろう。でもこの回のあたるの言動は度を過ごしている。しのぶの問いかけに「生憎今耳塞がってます」と捻くれたように答える様や、別荘に招待してくれた面堂への誹謗中傷等魅力のかけらもなし。初めてうる星を見た人や、或いはまだ見初めて日が浅い視聴者は、確実にあたるの性格を誤解してしまうであろう。脚本は数々の名作を手がけてきた伊藤和典氏。なんでこの回に限ってこんなひどい性格描写をしてしまったのか。残念である。


第108話 惑星教師CAO−2の復讐
放送月日 1983.9.21
脚本 伊藤和典
演出 上村修
原作 18-1
作画監督 平野俊弘
独断評価 ★★★
原画 高木敏夫、垣野内成美、平野俊弘、吉永尚之、板野一郎、金沢勝真、古瀬登
小原乃梨子(お雪)、井上瑤(ラン)、三田ゆう子(弁天)、池水通洋(温泉マーク)、西村智博、桜庭祐一、塩屋浩三
内容
(108話)
小学生時代、いたずらばかりして惑星教師CAO−2からお仕置きを喰らってばかりいたラム、ラン、弁天。それにお雪を加えた4人組が、CAO−2を偏狭惑星であるウニ星に閉じ込めてからはやウン年。彼女達の記憶から完全に忘れ去られようとしていた現在に、ウニ星での開拓が始まったというニュースが。当然CAO−2も発掘されたであろう。恐怖に戦くラム、ラン、弁天の元に復讐心に駆られたCAO−2が現れ、彼女達に久し振りのお灸を据えすっきりして去っていく。しかし彼は地球を去っていなかった。虐げられている点で意気投合したのか、なぜか温泉マークと仲よさそうに歩いている姿をランが発見。それを聞いた弁天、ラムはこれがCAO−2と戦う最後のチャンスになると判断し、再びCAO−2に宣戦布告をするのだが・・・。
感想
(108話)
第90話に引き続いて平野氏が再び作画監督としてクレジット。どこか少女漫画っぽい。そしてやはり絵柄が美樹本晴彦氏に似ている。特に後半冒頭のランの顔。そんな事は抜きにしても作画的には非常に丁寧で美しいことは確か。冒頭のSFチックなシーンがいつものうる星と雰囲気を異にしていた。しかし監督らしきロボット、金属製の顔に汗をかくんじゃない!回の主役CAO−2氏、少なくとも10年はウニ星で孤独に過ごしていた事であろう。身動き一つ取れずに。それでも一回ずつのお仕置きで全て笑って許してやるなんて実は物凄く心の広いおっさんなのではなかろうか?それより何より10年もほったらかしにされてたらバッテリーも切れようて。メモリーがクリアーされていてもおかしくないのに、彼の記憶は正確だった。バッテリーは切れても、微弱な電波でなんとかメモリーは保護されていたようだ。ウニ星に取り残されて長くても1ヶ月くらいでバッテリーが切れ、10年後見つかってから充電されたというのが真実であろう。すると彼にとって寂しい思いをしたのは1ヶ月のみ(或いはもっと短い期間)だった可能性が高い。だからそれだけのお仕置きで許したのかも。番組前半のお馴染み幼少時ラムの回想シーンは相変わらず抱腹絶倒もの。それから幼少時の4人の性格描写が見事である。嫌がりながらもミサイル発射砲をガニ股になりつつ支えているランがサイコーにおかしい。後半、ラムが「このままでは一生負け犬だっちゃ!」と叫んだ後、弁天とランが「OK!」と同調しているシーンがあったが、なんか一昔前の少女漫画の雰囲気を髣髴とさせていた。ちょっと違和感。CAO−2が持ってきた強制学習チェアらしき椅子が爆発するシーンでは、たかだかマッサージチェア並の椅子の癖して教室10個分以上を破壊していた。核か?さらにその後弁天がCAO−2に発射したたかだか一発のミサイルは、町の100m四方以上部分を灰燼に帰していた。核か?さらにさらにその後、ランが反物質爆弾を爆破させようとしていた。大きさは直径が約12cmほど。小さい。確かに小さい。しかし、問題はその名前。「反物質爆弾」だぁ?そんなもん爆発させたらたとえ直径12cmほどの大きさでも友引町が消えてなくなるぞ!なんちゅーものを持ち歩いているのだ、ラン!!ところで今回CAO−2の声を担当していたのは永井一郎氏。普段でも錯乱坊という重要キャラクターを担当しているのに何故今回CAO−2の声を担当したのだろう?謎である。


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