うる星やつらテレビシリーズ第五期データ
8/30更新

第一期   第二期   第三期   第四期   第五期   第六期   第七期   第八期   第九期

※全て敬省略、すんません。
※原作の「1-1」表示は、小学館コミックス1巻1話目を表しています。
※「感想」は管理人deaconの独断と偏見によるものです。あしからず。

第109話 逆上!みじめっ子終太郎!!
放送月日 1983.10.12
脚本 伊藤和典
演出 桜井利之
原作 17-10.11
作画監督 森山ゆうじ
独断評価 ★★★☆
原画 福島喜晴、小林明美、山下将仁
小山茉美(了子)、田中真弓(竜之介)、桜庭祐一、西村智博、大塚芳忠
内容
(109話)
夜な夜な邸内に響く面堂のうめき声。不審に思い、面堂直属のサングラス部隊に問い詰める了子の前にやつれた面堂が現れる。その後学校を休み続ける面堂。心配(?)したあたる達が見舞いに面堂邸に赴くも面堂は謎の特訓の正体を明かさない。不思議がるラムだけにその謎を教える面堂。実は暗所恐怖症、閉所恐怖症を克服すべく、壷の中に閉じこもっては恐怖のあまり壷を叩き割っていたのだ。そこへ現れたあたるしのぶ竜之介。あたると竜之介にさんざんからかわれた面堂は完全にいじけてしまう。そこでラムは面堂の暗所恐怖症、閉所恐怖症の起源を探ろうとタイムマシンで全員を面堂の幼少時代に連れて行ってしまうのだが・・・。
感想
(109話)
まったまた森山ゆうじ氏が作画監督としてクレジット。いや、本当この人の絵は見易い!内容的にも二話分がまとめられている為非常に原作に忠実だ。そこにアニメならではのテンポ動きが加わって申し分のない出来となっている。冒頭、面堂が壷の中にはいって特訓するシーンがあるが、その部屋自体が暗い事に終太郎は気付いていないようだ。終太郎を気遣って集まってきたクラスメート達の暴飲暴食シーン、過去のサングラス部隊に自分が面堂終太郎だと力説してリンチを喰らうシーン、子供終太郎に男扱いされて間髪いれずパンチをくらわした竜之介のシーン等爆笑シーンが盛りだくさん。本当に今回は絵とテンポがおもしろいくらいにシンクロしている。現代から過去の面堂邸噴水に飛び出すシーンでラムは一人だけはしゃいでいたが、尻を噴水の底に強打したほんの一瞬、愕然とした顔になっているのは見逃せない。その後あたるが子供面堂を抱えたラムに「見つかるとまずい」と忠告しているのに、ラムはこれ見よがしに面堂邸の上空をノーテンキに飛行していた。あたるの忠告を無視するラムもラムだが、そのラムに気付かない面堂邸の防犯システムはそれ以上に問題があるぞ。この後原作にはないが、めがねとパーマも過去へと運び込まれる。第90話の「キャンプ」と同様また置いてけぼりを食うカクガリ、チビ。しかしめがねパーマも物語的には殆ど用をなしていたかった。ラストの面堂を運ぶシーンに必要だっただけのような気がする・・・。後半、鎖につながれた現代面堂の口にあまたのガラクタを放り込むシーンがあったが、そこには戦車レオパルドの本の姿が・・・。こんな幼少時からレオパルドに固執していたのか。どーりで劇場映画版第二作「ビューティフル・ドリーマー」にて、プールに沈められたレオパルドみて意気消沈するわけだ。ラストは、こういった物語にありがちな、「原因を調べに行った張本人達が原因となる」オチで終わっているが、本放送を見た当時は非常に新鮮な印象を与えられた。いやホント面白かった!


第110話 壮絶!謎のまつたけなべ!!
放送月日 1983.10.26
脚本 伊藤和典
演出 上村修
原作 16-1
作画監督 林隆文
独断評価 ★★
原画 高木敏夫、林隆文
鷲尾真知子(さくら)、井上和彦(つばめ)、池水通洋(温泉マーク)、小山茉美(了子)、田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、西村知道(校長)、榊原良子(おたま)、肝付兼太(教師A)
内容
(110話)
授業中、温泉をふんじばって鍋パーティを始める2年4組の面々。そこへ謎のきのこをもった錯乱坊が出現。その色と香りと形からまつたけだとおもいこんだあたる達は大喜び。早速鍋にほうりこんで舌鼓を打つ。しかしそれは錯乱坊が自家栽培した正体不明のきのこ。いつのまにかクラスのメンバー全員がきのこの副作用である芸を始める。次第にディープな世界に入っていく生徒達。いつしか副作用の度合いも進み、ついには芸をみなければ我慢が出来ない体質へ変貌していってしまう。
感想
(110話)
林隆文氏作画監督。だからこの時期の氏の絵はディフォルメが凄まじ過ぎ。前回も指摘したが、この人の作画監督の時はなぜかあたるの声もひしゃげている。この絵をみればわからんでもないが。机を持ち上げて目の玉飛び出したしのぶは、もうしのぶであってしのぶであらず。別人だ。また今回は同じフィルムの使い回しがあまりに目についてしまう。同じシーンが連続してでてくるのだ。これは飽きてしまう。物語のエスカレートぶりも妙にしらけてしまっていた。しかし声優陣は凄い。EDのクレジットでは何故かかなりの人が省略されていたが、上記の人々が大挙出演、なんとか物語のクオリティーを保とうとしていた。冒頭、温泉マーク英語を喋っているようだが、良く聞くと一茶の「古池や 蛙(かわず)飛び込む 水の音」の俳句を読んでいる。Full it care cowards to be come meets noteだったっけ?もう忘れたわ。パーティ序盤、錯乱坊が出現するシーンであたるが「匂いをかぎつけてきたんだろうが」と怒鳴っていたが、大根、白菜等の生野菜がはたしてどれくらい匂うのか甚だ疑問である。しかし天晴れ2年4組。授業中鍋をする事に誰一人問題提起しないのだから。ところで教室をあげて鍋をしようとしているのに、それを注意しなくていいのか、影の生活指導部面堂終太郎!呑気にロッカーに入ってる場合じゃないぞ。その鍋にまつたけらしききのこを入れるシーンでは何故か先ほど小さかった鍋が巨大化していた。しかしでかい!画面手前の男の肩幅がテレビ上約9cm。その向うの鍋の直径は約20cm。日本人の平均的体質の私の肩幅は約48cm。これから計算すると鍋の実際の直径は約106cm。我が家のフライパン、直径21.5cmで約1050g。するとこの鍋、我が家の鍋の122倍の重さ、つまり128kgあったことになる。おーい。誰が持ってきたんだこんな化け物鍋。それよりなによりそんな重さの鍋をたった一つで支えるカセットコンロの強度がかなり気になります。今回の竜之介、何か違和感があるのでよく見てみると、制服のボタンをキチンと留めていた。いつも前をはだけているので、ちゃんと着ているだけで違和感がでるものである。盤、完全にイッっちゃってるしのぶが机を何段にも重ねその上から飛んでいた。机の段数を数えてみると最低でも13段。一段が60cmとするとその高さ7.8m。しのぶを見上げる生徒達の大きさを考慮すると10mはあるだろう。ビルの4F部分に相当する高さから飛び降りるしのぶ。それよりなんでそんなに高いのだこの教室の天井は!その後、カクガリが芸としてチビを泣かせるシーンがあったが、今じゃとても放送できんなぁ、この描写。


第111話 怒りのラムちゃん!
放送月日 1983.11.2
脚本 伊藤和典
演出 上村修
原作 16-9
作画監督 高橋資祐
独断評価 ★★★☆
原画 高橋資祐、山本直子
鷲尾真知子(さくら)、田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、沢りつお(ラムの父)
内容
(111話)
あたるの部屋で機嫌よくおもちゃで遊ぶテン。それをあたるが横取りしたことから相も変わらぬ喧嘩が始まった。そこへラムが手編みのマフラーをあたるに渡しにやってきた。ちょうどその時テンの炎が炸裂。哀れラムのマフラーは灰と消えてしまう。これ幸いとテンを非難するあたる。ラムは自分のマフラーを大切に思ってくれたあたるへの感激の気持ちでいっぱいでテンに対する怒りはなかったが、テンはラムが激怒してると勘違いし謝るタイミングを逸して部屋を出て行ってしまう。様々な人からの謝罪方法レクチャーも役に立たず途方に暮れるテン。そこへさくらがやってきて・・・。
感想
(111話)
ああ、懐かしい。本放送時の印象深きこの作品。テンの姿が非常にいじらしかったなぁ。しかしテン、あたるにちょっかい出されるの分かってるのに何故あたるの部屋で遊ぶのだ!?その後テンの怒りの炎がラムのマフラーを灰にしていたが、何故かセーターは全く無事。ラム、どんな素材でマフラーを編んだのだ!?はたまた、あたるのセーターが常識を逸脱して丈夫なのか。いにしえからの疑問である。自分の編んだマフラーを大切に思ってくれる(?)あたるに感動したラムが「うち、うれしいっちゃ!」とあたるに抱きつくシーンでは、ラムの顔が一瞬不気味な笑顔を浮かべている。その他、テンと錯乱坊のやりとり、面堂のテンへの謝罪指南、その謝罪方法の4人組への応用、ラムの怒りに対するテンの異常な反応等爆笑シーンが目白押し。あたるに殴られてもすぐに復活するテンだが、4人組にふくろにされた時は顔面をぼこぼこにされた後、更に気絶していた。あたる、結構容赦していたのか?はたまた4人組が鬼畜なのか・・・。自転車を倒したしのぶの一般市民に対する謝罪方法はどうみてもバカ丸出しである。今回は結構原作に忠実で、最小限のオリジナル部分も原作と遜色のない素晴らしい出来だった。しかし。またもや諸星あたるの性格が極悪に描かれているのだ。確かにこの話の原作におけるあたるもテンと好対照となるために結構性悪に描かれている。しかし、アニメ版はそれを遥かに凌駕する性格描写がなされているのだ。あたるファンの私としてはこれが解せないのである。残念残念。


第112話 ラムとあたる・二人だけの夜
放送月日 1983.11.9
脚本 伊藤和典
演出 上村修
原作 18-4
作画監督 古瀬登
独断評価 ★★★★☆
原画 金沢勝真、小林明美、金子紀男、林隆文、高木敏夫
沢りつお(ラムの父)、山田礼子(ラムの母)、西村智博(福引の男)
内容
(112話)
執念で商店街の福引一等賞を当て、熱海一泊旅行にでかけるあたるの両親。ラムと二人きりになることを恐れるあたるに、喜ぶラム、さらにはラムの貞操を案じて狂乱する面堂や4人組。必死で二人きりのシチュエーションを阻止する面堂、と4人組、それを退けようとするラムとの攻防の幕が切って落とされた。
感想
(112話)
あああああああ!これも懐かしい!これも本放送時の思い出深き大秀作。冒頭、あたるの母の福引に対する鬼気迫る執念が見るものを震撼させる。当時のレジは価格を一個一個丁寧に打っていたんだなぁ。今のJAN(バーコード)に比べると隔世の感にたえない。あたるの旅行非難に対抗して夫婦で意味のない会話をするシーンでは、あたる父が「買うとはゆーとらんきに」と発言していた。どうやら高知出身のようである。この後、ラムと二人きりになるのを避けるためテンを頼りにするあたるの行動や、あたると一緒に風呂に入る為ずっとまっていたテンの態度は感動ものだった。特に前回の話の続きとして。下校時あたるはラムに発信機をつけられていたが、ラム、いつの間にあたるの背中に引っ付けたのだ?一瞬、前かがみになるシーンはあったが、ラムの両手はちゃんとカバンを掴んでいた。とすると考えられるのはただ一つ。口から吐いた?同じくあたるの下校シーンで面堂の部下による拉致シーンがあった。このときこの変態オカマ野郎は何と叫んでいるのだろう。「しねぇーこい」に聞こえるのだが。よく分からん。造りの牢屋に監禁されたあたるだが、ラムの発信機によって自宅まで強制帰還させられていた。必死で電柱にしがみつくあたるだが、まわりの住居を破壊させまくりつつ結局は諸星家までたどり着いていた。まわりの住居はその電柱によって破壊の限りをつくされていたのに、同じ勢いでぶつかった諸星家は玄関の破壊だけですんだ。日頃から破壊を繰り返している諸星家なので他の家より頑丈に出来ている可能性高し。ラムとテンとの夕食シーンで「麦茶じゃないか」とクレームをつけるあたるに対するラムの顔、前回同様一瞬不気味な笑みを浮かべる。しかしあたる、飲み干す前に、一口飲んだ時点で気付かんかい!!この後のラムによる「うちの体はダーリンのものだっちゃ」発言に対する面堂、めがね、パーマ、カクガリ、チビのパニック振りはまさに爆笑もの。何故かスターウォーズがパロディされていた。この場面と次のあたるが想像するラムあたるのディフォルメ画面の作画担当は林隆文氏。実に場面にマッチした作画だった。このように効果的な画面での氏の作画は注目に値する。こういった原作にないオリジナル場面でも今回は前回同様高い水準を保って見るものを楽しませてくれた。ラスト、重たい帯電スーツを身につつみ、必死でラムに近づこうとするあたるの姿がいじらしかった。しかしあたる、本当に一線を超えようと覚悟していたのだろうか?こんなあたるだが、たとえ電撃や帯電スーツという障害がなくとも、最終的にはあたるはラムに手をださなかったんじゃないかな。それこそあたるなんですよ。


第113話 レディー竜之介!
放送月日 1983.11.23
脚本 伊藤和典
演出 上村修
原作 15-6
作画監督 平野俊弘
独断評価 ★★☆
原画 平野俊弘、垣野内成美、篠崎としかつ、山中英治
池水通洋(温泉マーク)、田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、 井上瑤(ラン)、 鷲尾真知子(さくら)、西村知道(校長先生)、西村智博(花屋のおっさん)
内容
(113話)
完全に男らしく振舞う竜之介を気遣う温泉マークが、竜之介の女性への特訓を引き受けた。周囲の妨害に耐えつつ一週間という限られた期間、竜之介へ教育を施す温泉マーク。そして二人の努力の結晶を試す時が来た。闘争心をおさえる最後の試練に耐えるべくプロレス会場にやってきた二人だったが・・・。
感想
(113話)
今回は竜之介、温泉マークという異色の組み合わせ。一応原作はあるのだが物語の大半はオリジナル。しかし温泉の主役級の物語の多いこと。さらにそのセリフの多いこと。今回の作画なぜかはディフォルメがいびつになってしまっている。さらにモブシーンにおけるその他大勢のキャラが、うる星風ではなく、作画担当氏のオリジナル風になっている為(特に喫茶店内の描写)、うる星らしさが希薄。また竜之介の印象をよくする措置だったのか、他のキャラの性格描写が不完全。温泉に抗議文を読むしのぶは非常におせっかいなおばはんに見えるし、プロレス会場で竜之介をたきつけるあたる、面堂、しのぶ、ラムも全然魅力的に写らない。しかしテンポ的には結構笑えるシーンもあった事は確か。冒頭の温泉、校長、竜之介の父によるセリフの応酬、温泉のアパートに待ち伏せる竜之介に扮する竜之介の父と温泉のやりとり、喫茶店内におけるランの呆然振り等おもしろかった。語中盤、竜之介の父得意の出鱈目な物語が展開されていくシーンで、船員の「面舵(おもかじ)いっぱい!」のセリフに対し、船長は舵を左に切って・・・っておい、こらこら、面舵はだぞ!船長の癖にこんな初歩的な事もしらんのか!船員の不安、いくばかりか・・・。また、睡眠学習と称して温泉が自分の声を吹き込んだテープを竜之介に渡していたが、国語が苦手な竜之介が、温泉の口語的喋り口をどれほど理解できたことか。謎である。


第114話 ドキュメント・ミス友引は誰だ!?
放送月日 1983.11.30
脚本 伊藤和典
演出 安濃高志
原作 18-7〜11
作画監督 高橋資祐
独断評価 ★★★
原画 山本直子
池水通洋(温泉マーク)、田中真弓(竜之介)、安西正弘(太陽の黄金のオムツ会員)、 井上瑤(ラン)、 鷲尾真知子(さくら)、西村知道(校長先生)、西村智博(生徒会役員)、榊原良子(ケツネコロッケのお銀)、
内容
(114話)
授業中クラスの女生徒の美人コンテストの集票を行うあたる達。その現場を温泉におさえられてしまい、証拠隠滅とばかりに投票用紙を飲み込んでしまうあたる。この事件をきっかけに校長は友引高校全体における美人コンテストの開催を宣言。その実行委員長として諸星あたるを任命する。しかし予備選から本選への候補者絞込み時からコンテストは単なるミスコンから、付近の高校の勢力争いを巻き込んだ醜い人間模様へと姿を変えていく。
感想
(114話)
これも原作は存在するも殆どがアニメのオリジナル。前半は結構オリジナルに忠実。冒頭こたつねことともに突如現れたまゆげのない校長の姿が無気味。女性の美しさを例える面堂とそれを茶化すあたるのやりとりや、白熱化して収集がつかなくなるや巧妙に責任転嫁をはかる校長の姿が爆笑物。しかし後半からは完全にアニメのオリジナル。これは政治選挙のパロディなのか?確かにオリジナルにはオリジナルの面白さがある。しかし、折角原作で5話分も使ってるのに、わざわざオリジナルにせんでもとの気持ちが強い。一回の放送におさまりきらないなら2週に分けて放送してほしかった。


第115話 奇怪!無我の妙薬!!
放送月日 1983.12.7
脚本 早川啓二
演出 上村修
原作 18-2
作画監督 大坂竹志
独断評価 ★★
原画 遠藤裕一、小林左希子、木川純一、北崎正浩
鷲尾真知子(さくら)、西村智博(コタツネコ)、大塚智子、能村弘子、向殿あけみ、安達忍
内容
(115話)
さくらの家で無我の妙薬を調合する錯乱坊。さくらに人体実験を申し出るがあっさりと拒否される。自分で人体実験をする気はさらさらない錯乱坊、動物実験でもいいとばかりにコタツネコに妙薬を差し出す。しかし錯乱坊からのプレゼントを相当警戒したコタツネコは諸星あたるにその妙薬を渡し、経過を確かめることに。薬を飲んだあたるはあっという間にその場にへたり込み、深い眠りへと突入していった。無我の妙薬失敗かと思った錯乱坊だったが、実は珍しくこの薬は成功しており、あたるは煩悩以外にパワーがないため、ひたすら眠りつづけるのであった。そこで活躍するのが煩悩部分の諸星あたる。無我の自分を抜け出して思い切り人生を楽しもうとするのだが・・・。
感想
(115話)
作画監督として大坂氏が初クレジット。頭、七輪にかけられぐつぐつ煮立っている鍋を鷲掴みにし全く冷ますことなく口の中へとかきこんでいく錯乱坊。さすがはあらゆる苦行を体験している名僧である、天晴。この後妙薬を手にたたずむコタツネコにあたるが声を掛けるシーンがあったが、あれほど(第74話)コタツネコに酷い目に合わされていたのに、そんなことを待ったく気にせず爽やかにコタツネコと言葉を交わすあたる。結構人間が出来ているのかはたまた能天気なだけなのか。能天気といえば今回のさくらもいつものさくららしくなくノーテンキで、声のテンションも異常に高い。そのあたるとコタツネコが対面する場所は、まだ舗装のされていない新開地らしきところ。大都市東京においてまだこんな場所があるとはさすがは20年前。その夜、あたるの父母の夕食シーンにおけるすき焼き、ご飯がやたらうまそうだった。父は何故かパーマンの茶碗を使用。親父の権威も形無しである。このあと煩悩部分のあたるが夜空を飛ぶシーンの効果音は、ラムの飛行時と同じ効果音が使われていた。後半、主要キャストが諸星家に集まって煩悩退散の祈りをするシーンから作画を大坂氏が担当。氏の絵のキャラクターは非常に幼く見えてしまう。同時に話の内容もオリジナルに突入し、同じく幼い内容となってしまった。「月夜でドンチャンパーティー」って・・・。なんとか原作のクオリティに支えられて進行していた話もこのオリジナルによって崩壊していった感強し。このあたりから第六期(130話)突入まで一部の例外を除いて、作画的にも物語的にも物足りない作品が続いていく。とほほ。


第116話 終太郎・不幸の朝
放送月日 1983.12.14
脚本 山本優、星山博之、中原朗、辻真先
演出 押井守、早川啓二、小島多美子、関田修
原作 オリジナル
作画監督 遠藤麻未、野部駿夫、古瀬登(本編)
独断評価 ★☆
原画 高木敏夫、越智裕、谷田部勇次、遊佐和重、西島克彦、青嶋克巳、石井邦幸、山下将仁、野崎垣仲、昆進之介、金沢勝真、吉永尚之、篠崎としかつ、山中英治、森中正春
小山茉美(了子)、玄田哲章(レイ)
内容
(116話)
過去、諸星あたるにコケにされた事を思い出し悪夢にうなされる面堂終太郎。錯乱坊を屋敷に連れてきて、勝てそうで勝てない相手、さらに恋敵である諸星あたるの弱点を見つけようとするが、錯乱坊の口からでてくるのは面堂のマイナス要因ばかり。錯乱坊は今までの面堂と諸星あたるとの軋轢を一つ一つ面堂に思い出させていく。
感想
(116話)
既存のフィルムによる寄せ集め的作品。物語中68.3%が使い古された映像によるもの。つまり今回作成された分はたったの7分のみ。その7分部分の作画監督は古瀬登氏が担当。こういった寄せ集めの中でも氏の作画は高いクオリティを保っていた。この中でまだ見れるシーンは、了子が終太郎を呼ぶシーンとラストの仲睦まじいラムとあたるの姿くらいか。面堂、爆撃機ですら数十分かかる友引高校に通っているのだが、97話でも指摘した通り帰りは徒歩であった。数キロ離れた屋敷まで一人とぼとぼ帰途につく御曹司の姿。体面を重んじる面堂家らしからぬ行動ではある。尚今回使われていた映像は以下の物語より抜粋されていた。第42、27、52、35、66、73、34、59、84、19〜20、85、44〜45、105、65、63話。ラスト爆撃機から落下した面堂30秒後に友引高校2年4組の教室に落下していた。落下ポイントからズレて飛び降りたにしては恐ろしいくらいの的中率である。しかし問題は落下時間。30秒だと!?空気抵抗を無視して計算してみると面堂が飛び降りた地点は高度4,410m、2年4組落下時のスピードはなんと秒速274.4mつまり時速1,058km。富士山よりも高い位置から飛び降りて音速に匹敵する速さで墜落したのに鼻血だけですんだ面堂、なんて非科学的な奴。その面堂にいつも勝利しつづける諸星あたる。彼の運動量は全くはかり知ることができない。


第117話 旅の雪ダルマ情話
放送月日 1983.12.21
脚本 安濃高志
演出 上村修
原作 12-2
作画監督 林隆文
独断評価 ★★☆
原画 高木敏夫、林隆文
池水通洋(温泉マーク)
内容
(117話)
雪が降り積もる友引町。その上空で降りしきる雪とたわむれるラムとテン。そこへ突然雪だるまが落ちてきた。もろに雪だるまの下敷になったテンは仕返しとばかりに火炎を雪だるまに浴びせようとするがかわされてしまい、行き場を失ったテンの炎は偶然行き合わせたあたるに直撃。あたるの逆鱗にふれてしまい、テンは遥か彼方へとぶっ飛ばされてしまう。雪だるまが動いたことを訝しがるラムはあたるに説明するが、当然あたるはそんなことを信じない。翌朝登校時、何故か諸星家の前に鎮座する雪だるまを発見したテンは今度こそとばかりに火炎を放射するが、またもや逃げられてしまう。さらにまたもその炎があたるに直撃。再びあたるの強烈のお仕置きをくらってしまう。またもや雪だるまが動く現場を見たラムは学校でその話題をクラスメートに提供し失笑を買ってしまう。その次の授業はマラソン。雪が残る学校周辺を不平顔で駆けて行く男子生徒の目の前に、諸星の後を一緒に伴奏する雪だるまの姿が・・・。目の前の情景を信じることが出来ずに一瞬に凍りつく諸星以外の男子生徒。休憩中、現場に居合わせたテンが雪だるまを発見、三度目の正直とばかりに炎を浴びせようとするもまたまた雪だるまによけられあたるに直撃。三度目のお仕置きを喰らうテン。その晩激怒するあたるにラムから無理矢理謝らされるテン。そこへ謎の美少女があたるの目の前に現れた。それはあたるに三度命を助けられた雪だるまの妖精だったのだが、あたる以外の目には単なる雪だるまにしか見えなかった。雪だるまの妖精に恩返しをされ悦にいるあたるはいつの間にか幻の世界へといざなわれていく。
感想
(117話)
でました林隆文氏。またまたまた各キャラの顔の壊れること壊れること。特にひどいのがテンと錯乱坊。テンなんか、前回の2分の1頭身を遥かに凌駕する3分の1頭身〜4分の1頭身状態になっていた。もはや体全体が顔と言っても過言ではない。。こうなると可愛さよりも不気味さの印象のほうが強い。冒頭、気象衛星ひまわり2号の映像に落下していく雪だるまが写っていた。いつのまに動画が撮影できるようになったのだ?ひまわり2号。たとえ当時動画を撮影できる状態があったとしてもテレビで放送することはなかったろうに。それより当時からひまわり2号が活躍していたのかと思うと感慨深い。現在は84年から使用されてる3号だったっけ?この後体育の授業でマラソンを行うシーンがあったが、なぜか指導教員は温泉マーク。リーダー、グラマーに引き続き体育まで担当か?なんてマルチ(死語)な教員だこと。はたまた友引高校、恐るべき財政難に陥っていたのか。この後の面堂、あたるによる「尻」問答は最高に面白い。夜、諸星家に訪れる雪だるまの妖精の声は島本須美さん。しかし何故かアニメのEDのクレジットにも、サンデーグラフィックの放映データにも彼女の名前はない。何故だ!?この雪だるま登場の後半、あたるが幻を見るシーンからアニメのオリジナル。めがねやチビ、面堂、パーマ、カクガリ、温泉、あたるの父の独白シーンが不気味。中でもチビの独白は結構笑える。このオリジナル幻シーン、第101話「みじめ!愛とさすらいの母!?」同様製作者側の独り善がりの感が強いが、今回はそれほどの押し付けがましさは感じなかった。翌朝雪の中にたたずむ明らかに衰弱しきったあたる。って、これが恩返しか雪だるま!!と思っていたら、あのラストシーン。なるほど、少し雪だるまの恩返しの意味がわかった気がした。


第118話 ラムちゃんの日本昔話
放送月日 1984.1.11
脚本 早川啓二
演出 網野哲郎
原作 オリジナル
作画監督 大坂竹志
独断評価 ★★
原画 小林左希子、木川純一、北崎正浩、高橋由美子
玄田哲章(レイ)、西村智道(コタツネコ)、高宮俊介、鈴木真由美、菊池正美(サンデーグラフィックでは菊地)、立木文彦
内容
(118話)
自分のお年玉の少なさをラムとテンのせいだと思い込み、少しでも還元しようと二人に迫るあたる。ラムは快くあたるの申し出を受け入れあたるとのデートを提案する。テンもデートに付いていこうとするが自分の取り分が減るのを恐れたあたるはテンの同伴を断る。どうしてもついていこうとするテンに錯乱坊が食事と引き換えにテンの子守りを約束。むずがるテンに錯乱坊創作の昔話を語ってきかせる。
感想
(118話)
2作品を挟んでまたもや作画監督は大坂竹志氏。うう、だから氏の絵は非常に幼く見えてしまうのだ。特にラム。なんなんだこの幼稚な顔は・・・。決して稚拙である訳ではない。ただ、既存のキャラクターのイメージがだいぶ変わってしまうことは確か。冒頭ラムと並んで部屋をでようとするあたるに怒りの炎を浴びせるテン。すぐ側にいるラムには火傷一つ負わせず、あたる一人全焼させる彼のテクニックは驚嘆に値する。あたるがラムとのデートの為にテンを邪魔者扱いするのは少し解せないが、それでも必死でついていこうとするテンの姿がいじらしかった。この後は錯乱坊による独自の昔話の世界。自分と同じくらいの容量のノリを煮込むテンすずめ。あろうことかそれを全部ねぶって食べてしまっていた。体重10kgの2歳児が、10kgの飯をかっ喰らうようなもの。米1合を炊いてその重さを量ってみると約350g。ノリ状になっているということはおかゆ状態になっていたのであろう。すると約4倍近い水で薄められている可能性が強い。するとたった2歳児の子供が7合ほどのお米を半日で食したと同じ割合のノリをテンは摂取したことになる。体重65kgの成人男子に置き換えるとその量はなんと46合。常人の一日の摂取量は少し多く見積もって2合くらいであろうから、約23日分の量にあたる。ブリの照り焼きがあれば何杯でも飯が食える筆者としてもこれは過酷な量である。さすが成長期。と驚いているとその後の一寸桃太の食欲はそれをさらに凌駕していた。あほくさいのでこの検証はカットする。その凄まじい食欲に対して怒ることもなく必死で耐えるあたる爺の姿が健気である。しかし、昔話のじいさんばあさんは何故いつも岡山弁をしゃべるのであろうか?ずっと昔TBSでやっていた「日本昔話」をみていた時からの疑問である。今回はある程度桃太郎がベースになってるからそれも納得できないわけではないが・・・。この後影に隠れたレイの出現シーンでは、その影部分がすすけていて異常に汚く描かれていた。なんかの効果を狙っていたのか?月面においては、体を小さくしたレイが久し振りに虎牛状態で日本語を喋っていた。また巨大化したテンとレイの、いにしえのジャイアント馬場物真似はかなり凍った空気を視聴者に与えてくれた。しかし、なんじゃ、この昔話のオチは!全然落ちてないぞおおおおお!現実世界のオチの方はわずかながらも爽やかな印象を残してくれた。しかしオリジナルとしてのレベルは決して高いものではなかった。この時期、劇場映画第二作ビューティフル・ドリーマーの製作で忙しかったのであろうか?115話でも説明したように、この後130話まではかなりつらい作品が続く。


第119話 かがやけ!あこがれのブラ!!
放送月日 1984.1.18
脚本 島田満
演出 鈴木行
原作 18-5.6
作画監督 古瀬登
独断評価 ★★★
原画 小林明美、金子紀男、高木敏夫
田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、肝付兼太(総番)、伊沢弘、桜庭祐一、能村弘子、大塚智子、石井成子
内容
(119話)
親父の目をかすんで必死で貯めた400円を握り締め下着専門店へとかけこんだ竜之介。長年の夢だったブラジャー購入を試みるもそのあまりの高さに仰天、失意のうちに帰途につく。そこへあやしげな人影におびえるしのぶと遭遇。その妖しげな人影とは隣の仏滅高校の不良3人組である事が判明。仏滅高校総番がしのぶに一目惚れをしてしまった為、しのぶの意向を聞きにやってきたのだ。総番の写真を一目見てその人間離れした容貌に完全に拒否反応をしめすしのぶ。その様子を見た不良三人組は、しのぶが別の男性とつきあっている写真を提出して総番にあきらめてもらう計画を立案。そのしのぶの仮の恋人役を、ブラジャーとの交換条件で竜之介が引き受けることに・・・。
感想
(119話)
折角原作が2話分もあるのになんで冒頭に2分半ものオリジナルを入れるのかねぇ。全然必要性を感じない内容だったし。脚本の島田氏は今回初クレジットだったので、自分のオリジナリティを出そうとしたのか?頭の場面で、ビルの屋上から学生服を放り捨て、さらし一丁のまま竜之介が佇んでいたが、この後どうやって家まで帰ったのかは全くの謎。コーフンすんのは分かるがもうちょっと冷静になりましょう。総番の写真をみたしのぶの感想、「こ、困るわ、私、人間がいいの!」。けだし名言である。之介の父が我が子のしのぶとのデートをしり、「竜之介が女の子と初めてデートする」と感動して多数の嫁の写真に報告するシーンがあったが、第88話「ランちゃんのデート大作戦」におけるランの立場はどーなるの!?88話においても似たような事を仏前に報告していた竜之介の父、その痴呆の度合いは深刻なようだ。竜之介としのぶのデートを撮影する不良3人組みの一人が写真撮影時「にっこり笑って、はい、フォーカス!」とのたまっていた。そのフォーカスも遂に廃刊の憂き目に・・・。時の経つのは早いものだ。しかし、しのぶ、あんなミニスカートで、竜之介に抱き上げられ、あまつさえ襲ってくるあたるから逃げ回りつつも、まったく下着を見せることがなかった根性は、まさに彼女の大和撫子魂を我々に感じさせてくれた。ラストおもいっきしブラをみせていてはいたが・・・。今回恐怖の総番が鮮烈デビュー。あの常軌を逸した狂乱振りをベテラン肝付兼太氏が見事に演じている。総番の登場シーンが見れただけでも今回は収穫があったかも。しかし、竜之介の父、今回はいつにもまして鬼畜であった。


第120話 決斗!弁天VS三人娘!!
放送月日 1984.1.25
脚本 伊藤和典
演出 上村修
原作 19-9.10.11
作画監督 大坂竹志
独断評価 ★★★
原画 遠藤裕一、小林左希子、木川純一、北崎正浩
三田ゆう子(弁天)、小原乃梨子(お雪)、坂本千夏(仏のじんじゃあ)、鵜飼るみ子(毒ヘビのぺっぱあ)、TARAKO(七色のしゅがあ)、伊沢弘(ラムお雪空想における弁天の彼氏)
内容
(120話)
中学生の現役スケ番の罠にひっかかり大事な鎖を奪われた弁天。その鎖を取り返すべく、ラム、お雪と協力して現役スケ番3人娘に勝負を挑む。しかしそのあまりのアホぶりにペースは狂わされっぱなし。空しい戦いの末ついに弁天は鎖を取り返すことに成功するが・・・。
感想
(120話)
またまた大坂氏による作画監督。お雪登場の場面で一つ分かったことが。この人の絵柄なんとなくドラえもんに似ている。お雪の声があたかものび太のように聞こえるし、ラムのほっぺの膨らみ加減もそれを裏付ける。だから幼く見えるのだろうか?お雪の家に三人が集結するシーンから遠藤氏の手による作画。この人の初期の絵柄は苦手なんだが、大坂氏のあとにみると随分救われる気がする・・・。この場面におけるラムとお雪の弁天への冷たい視線、後半の毒舌しゅがあに対するラム、お雪、弁天の表情はレアで非常に面白かった。特にお雪の表情は特筆モノである。また回想シーンにおける、かつあげ弁当をのほほんと食べるお雪の姿や、ラムとお雪における弁天の彼氏の空想シーンも爆笑物。原作は3話分あるのだが、今回は殆どその原作に忠実に仕上げられているせいか、この時期にしては珍しくテンポとギャグにうる星らしい面白さが出ていた。しかし作画がなぁ。しゅがあの毒舌に激怒するラムの顔はまさにひょうたんみたいでかなり痛いし、更にその後の弁天の顔がカバのようにディフォルメされていてさらに痛い。前半、怒りのあまりビデオプロジェクターを破壊し、弁天が掛けていくシーンにおける彼女のど派手な動きに対して、叫び声がやけに冷めていたのがおかしい。のビデオを破壊されたお雪が弁天に請求書を渡すシーンにおいて、ビデオ代とプロジェクター代は千の位にコンマがつけられていたが、合計の金額部分では万の位にコンマがつけられていた。これも広い宇宙に存在する一つの法則なのだろうか!?弁天達を待ち構えるスケ番3人娘、「弁天先輩一人でくるじゃろうか?」とつぶやいていたが、そんな心配するくらいならお雪にビデオを送るんじゃねえ!思慮の浅いことおびただしい。それとも弁天の家に送ったビデオが不在でお雪の家に送られてきたのか・・・。この三人娘の回想においてお雪を襲おうとした不良が凍らされた事件が判明するが、その不良、どうみても爬虫類系。それが人間型(ヒューマノイド)のお雪を襲おうとしたのはいかにも解せない話。トカゲが人間の娘に恋するよーなもん。生物学的に相当疑問が残る。またこの三人娘が落書型コンピューター「そると1号」の使用を決定するシーンで「もう二度と使うまいと思っていたんだが」とのたまっていた。って事は既に一回使っていたのか?どういう状況で使用したのか?というより、一回使用したのなら、その無能振りも知っておろーて。それを再び大事な戦いにおいて使おうとするこの3人の思考回路が理解できん・・・。この後友引高校屋上の決闘シーンより作画が変わる。またも幼くなる全キャラクター。とほほ。この時登場した諸星あたる、3人娘を必死で追って住所と電話番号を聞こうとしていた。しかしちょうど一年後の第168話「またもや三人娘!ダーリン誘惑大作戦!!」においては、諸星あたる、まったくこの三人に見向きをしようとしていなかった。成長したのか、より面食いになったのか。そのしゅがあをあたるが追っかける場面で、友引高校屋上から墜落していた。墜落シーンをコマ送りで見ると、通常屋根裏部分を除いて2階建ての友引高校が、なんと5階建てに増えていた。いつの間に増改築したのか校長!そんな金があるのなら、温泉以外の教師も雇うわんかい!ちなみにあたるの落下時間は5秒62。落下距離は約154.76mで、落下スピードは秒速55.076mつまり時速198km51階建てビルの屋上から飛び降りた計算になる。すると友引高校は51階建て?はたまた5階として、屋根裏部分も計算すると1階当りの高さはなんと約8.4m。こりゃ、階段が相当難儀だぞ。第106話で検証した通り階段の1段あたりの段差はだいたい19cm。すると途中の踊り場までの段数が約22段。二階まで行くのに44段もの階段を上らねばならん。友引高校が通常の二階建てなら、屋根裏を含めて1階当りの高さは約16.7m。すると踊り場までの段数は44段。二階にいくまで88段もの階段を登らねばならない。まさしく苦行に他ならない。あーあほくさ。ラスト、ラムの高熱電流とお雪の急速冷凍よって粉々になった鉄の鎖の横で無事な姿をさらしていた3人娘に関してはさらにあほらしすぎて検証する気なし。


第121話 ラムちゃんがいっぱい!
放送月日 1984.2.1
脚本 しんばやしみのる
演出 網野哲郎
原作 オリジナル
作画監督 大坂竹志
独断評価 ★★
原画 小林左希子、木川純一、北崎正浩、高橋由美子
井上瑤(ラン)、池水通洋(温泉マーク)、
内容
(121話)
ラムに対する復讐心に燃えるランは、ラムを拉致してそのコピーを取る。自分に服従を誓うコピーラムに諸星あたるとの決別を指示するラン。しかし途中までうまくいっていた計画も、コピーラムの不可解な行動で水の泡に。それでもめげず再び本体からコピーを取り同様の作戦を実施しようとするもすべて失敗。いつのまにかコピーラムの数は本体を含めて7体に。そのランの悪行についに怒髪天を突いたラムは縛めと解き放ち、ランの幽閉より脱出する。その7体のラムに仰天する友引高校の面々。しかしラムが増えたことに対して4人組と面堂がよからぬ事を考え初めて・・・。
感想
(121話)
まったまたまた大坂氏の作画監督。なんなんだこの頻度は!ビューティフルドリーマーのラッシュの為、このあたりの作画は外注にしてたのかと疑ってしまうほど。ああしかし、4人組、面堂の顔のなんと幼いことか・・・。冒頭、ラムのコピーをとる為巨大コピー機を使用していたランだが、そんな大仰なもの使わんでも、第61話で使用していたコピー銃を使えばよかったのに。の教室の場面で、あたるがメガネの報われぬ行動をからかったことに対して残りの3人が大笑いするシーンがあったが、いいのかぁ、そんなに笑って。メガネの復讐の相当陰湿な事は誰よりも良く知っておろうに。それに、あたるの発言はメガネだけに対してモノではない、君達3人に対しての発言でもあるのだぞ。それをノーテンキに笑うとは哀れとしかいいようがない。この後コピーラムがあたるに平手を食らわせようとするシーンで、あたるが「ラム、ごめん」と謝っていた。普通のあたるなら謝らんぞ。なんか各キャラクターの性格描写が不自然。その後やたらあたるがラムにやさしく対応してるのもかなり不自然さを感じた。なんか薄っぺらいんですよねぇ、描写が。教室のシーンではあたるの背後に前回登場の、しゅがあ、ぺっぱあ、じんじゃあと「そると1号」の姿が。てめえら中学生だろうが!この後、コピーラムがランの指示に従わない事を如実に示す例として、ラムが、あたる、4人組、面堂に鍋料理をご馳走するシーンがあった。感極まったメガネがラムの料理を絶賛していたが、ちょっと待て。ラムの料理は超激辛の味付けのはず。更にメガネはその一番の被害者だったはず(第90話)。そのラムのアイデンティティーと言っていい激辛料理がおざなりにされて、普通の料理を作っているのなんて。一体どうなってるのだ今回の各キャラクターの設定は!!この場面の後、閉じ込められていた大量のラムがロッカーから飛び出るシーンがあった。画面上のロッカーの大きさを調べてみると、だいたい高さが200cm、幅が80cm、奥行が50cm程であった。ここから導き出される容積は800,000cm3。この中にいたラムは外でランに縛られているラムを除いた6人だった。すると一人当りに割り当てられた容積は133,333cm3。縦横高がそれぞれ51.06cmの立方体の大きさに匹敵する。むむ。インド人ヨガ行者なら不可能ではないかも・・・。容量も一応125リットル以上あるし。しかしその7人のラムを余裕で収納するあたるの部屋の押入れの凄さよ。この後、後半の科学室の場面から作画が変わる。どうみても遠藤裕一氏の作画なのだが、クレジットにはその名はない。もしかすると第81話と第115話で共に仕事をしていた小林左希子氏の絵なのか?謎である。このシーンにおけるあたる、コピーとはいえラムを面堂や4人組に譲ろうとしていた。前半のラムにやさしいあたるとも思えない所業である。そのラムを一つにしようとあたるがランの家へ向うシーンで、ラムが面堂家のヘリコプターに電撃を与えていた。その姿はまるでアニメ「バビルU世」におけるポセイドンが指からミサイルを発射させるシーンを髣髴とさせていた(誰も知らんって・・・)。その後、ヘリの打ち出したミサイルにあたるが馬乗りになるシーンがあったが、ミサイル通過後の衝撃波の状態から察するに、そのミサイルは確実に音速を超えていた。それに軽々とのりこんで、さらにはそのまま木に激突していたあたる。ミサイル爆発の衝撃波など問題ではない。自分の体重を遥かに越えるGによって全ての骨は砕け散り、内臓は確実に破裂、ミサイル爆発前の絶命が確実である。ラスト、些細なことだが、ランの扉を開ける為、あたるが玄関前でラムの電撃をヒラリとよけていたが、あの位置関係だったら確実に地面に落ちているぞ。のんきに「さっ!」なんて叫んでる場合じゃない。しかしなんだこのラストは!どうやって解決するのか楽しみにしていた、幼き俺の期待を完全に裏切ってくれていた・・・。この後、このオリジナルを含めて4話連続オリジナルが放映されることに。なんでこんなにオリジナルを続けたのか疑問。ただ、この後のオリジナルはある程度のレベルを保っていたように思える。


第122話 必殺!立ち食いウォーズ!!
放送月日 1984.2.8
脚本 伊藤和典
演出 鈴木行
原作 オリジナル
作画監督 古瀬登
独断評価 ★★★
原画 高木敏夫、小林明美、吉永尚之、篠崎としかつ
鷲尾真知子(さくら)、榊原良子(ケツネコロッケのお銀)、増岡弘(立ち食い蕎麦屋店主)、筈見純(けつねたぬきの竜)
内容
(122話)
スキー旅行の資金を貯める為各自飲食店でバイトする4人組。メガネとチビは駅前の立ち食い蕎麦屋でバイトの真っ最中。そこへラム、あたる、錯乱坊、コタツネコがやってきた。身内で騒いでいるうちに、風貌妖しからぬ一人の素浪人らしき男が店にやってきた。錯乱坊によって立ち食いのプロであることが発覚。その後全国に散らばっている数少ない立ち食いのプロが友引町に集まってくるという異常事態が発生。どうやら近々オープンする面堂家による立ち食いスーパーを成功させる為、友引商店街の様々な立ち食い飲食店をつぶす目的で集結してきたらしい。その陰謀を阻止する為、あたる達は立ち食いのプロの勝負を挑むのだが・・・。
感想
(122話)
ひさびさメガネの面目躍如たるオリジナル。なんでアニメにおける麺類描写はこうもうまそうなのかね。とくに蕎麦をすする音のシズル感は視聴者の食欲をそそる。でも、なぜかいつも冷たそうなんだよな。出来たての蕎麦をあんなに勢い良くすすると口中火傷する事間違いなし。冒頭、チビが自家製の豪華オリジナル蕎麦を凄い勢いで一気に5口すすりこんでいたが、その後の俯瞰シーンにおける蕎麦の量はそれこそ椀からあふれんばかりだった。あんなに大量に食ってもまだ、できたての如く面も汁も残っているとは。そのチビの具たっぷり蕎麦にメガネは一人憤り、チビに激しい攻撃(口撃)を浴びせていた。普段のチビならすぐに涙を浮かべてメガネに許しを乞うところであるが、今回のチビはそのメガネを一人喋らせたまま自分の蕎麦を汁まですすり、あまつさえ、メガネに突っ込みすら入れていた。成長したのう、チビ!その二人のバイト先にやってきたラム、「辛子明太子落とし」を注文していた。やはりラムはこうでなくては・・・(前回の鍋に対して)。その後、メガネが4玉の蕎麦を茹でるシーンでは、茹でる時間を数える為に、「ダルマさんが転んだ、ダルマさんがしゃがんだ、ダルマさんが政治に口を出した!」と早口でまくし立てていた。「転んだ、しゃがんだ」まではなんとか聞き取れたが、「政治に口をはさんだ」は全く分からなかったぞ!ちゃんと聞き取れた人、えらい!この後、自分がバイトする牛丼屋に怪しい男がやってきたと、カクガリがメガネに電話するシーンがあったが、なんでわざわざメガネに相談するのか?さらにパーマ、職場放棄までして同じようなことをメガネに伝えにくるんじゃない。さらにまとめてメガネがなんで最後にあたるに相談するのだ?結構頼られているぞあたる。そのあたると4人組が面堂に抗議に行くシーンでは久し振りにメガネの「おだまりっ」が聞ける。その後の裏返った声における「んなこたぁこのメガネちゃんがゆるちまちぇん!」もメガネの真髄を感じさせ最高である。因みにメガネがバイトしていた立ち食い蕎麦屋の店主の声を、「サザエさん」のマスオさんの声を演じている増岡弘氏が担当。さらに因みにこの後の喫茶店シーンで「ケツネコロッケのお銀」が注文していたのは「H・C(ホットコーヒー)」350円でした。どーでもいい事ですが。そしてラスト、友引商店街代表対面堂率いる全国立ち食いプロ軍団の熾烈な争いの幕が切って落とされるのだが、あたる、こんな大事な戦いにラムをエントリーするんじゃない!ラムのレベル以上の大食漢なら友引商店街にたくさんおろうが!と思ってたらなんとラム、牛丼仮面や中辛のサブ、あたる、クレープのまみといった錚々たる面々に勝利していた。ラム、あなどりがたし!!しかし牛丼仮面、そのガタイでラムに負けるとは何事じゃ!!更にあたる、あまりに情けないぞ。しかしこのシーンにおける腹ぼてラムの姿は見たくなかった・・・。それから、面堂。コタツネコを買収したくらいでそんなに余裕をかますんじゃない。まず買収せねばならないのはさくらだろうが。さくらを買収せずに、或いは買収に失敗した時点で君の負けは決定してたのだよ。しかしあそこまで完成した「超近代的巨大スーパーマーケット」、あの後どうなったんだろう。屋上の立ち食いフロアのみ断念したのであれば、その建物自体を壊す必要はないが、この後アニメにおける友引町にこの建物は影も形もでてこなかった。という事は解体した可能性高し。なんという資源の無駄遣い。面堂君には環境保護団体からキツーイお灸を据えてもらわねばなるまい。


第123話 大金庫!決死のサバイバル!!
放送月日 1984.2.15
脚本 安濃高志
演出 上村修
原作 オリジナル
作画監督 古瀬登
独断評価 ★★★★
原画 小林明美、山下将仁、篠崎としかつ、山中英治
内容
(123話)
最近、周りから自分と諸星あたるが同レベルに見られていることに気付き始めた面堂終太郎。諸星に自分との差がどれほど開いているかを目の当たりにさせるため、彼を自分の屋敷に呼び寄せる。自分専用の金庫を開放し、常人には計りがたい巨万の財産をあたるに見せびらして悦にいる終太郎。しかしあたるは面堂の思惑通りに素直に驚いてくれない。そればかりか金庫内部から金庫の扉にむかって禁断の言葉を発した為に、二人は面堂の金庫に閉じ込められてしまう。あまりに広大な敷地を持つ面堂邸。使用人達が彼らの不明に気付くには相当の時間がかかりそうだ。その事実を把握した途端急激に空腹を感じた面堂。そこで彼はあたるが持っていたたこ焼きを賭けてあたると勝負を挑む。しかし何度勝負しても一向に勝てない終太郎。たこ焼きを奪取することはおろか、自分の財産の大半を賭けであたるに奪われてしまう結果に。閉じ込められたことなんて全然意に介さないあたるであったが、この後恐怖の水攻めが二人を待っているなんて知る由もなかった。
感想
(123話)
でたーーーーっ!うる星放送史上異色のオリジナル。登場人物は何とたったの二人(ラムは冒頭のタイトルコールのみなので数に入れず)。これは本放送時の印象が物凄く強かった。死ぬ時は、水死もしくは窒息死だけは勘弁という私にとってトラウマになった作品。物語の性質上(ラムが出てこない、原作とかけ離れたオリジナル等)賛否両論分かれるだろうが私は大好きだった。今でもタイトルの映像を思い浮かべるだけで冒頭のBGMが頭の中に蘇ってくる。必死にあたるとの差を見せ付けようとする面堂と、全く意に介さないあたるのギャップが最高に面白い。頭あたるの食べるたこ焼きが美味そうなんだ、これが。しかしこのたこ焼き、あたるが4つ程食べて後、面堂から箱ごと叩き落された時点でまだ12個残っていた。その後、12個で箱がいっぱいになっている映像が。されば諸星、最初の四個はどこから取り出したのか!?ところで面堂、なんで扉をロックするキーワードなんか作ったんだろう。閉じ込められる危険をはらむだけなのに。あ、そうか。あれは本来、外からあのキーワードを叫ぶことでロックする役割があるのだろうか。なれば納得いく。このあたるが扉を閉めるシーンで、彼は自分の片足だけで扉を閉めていた。扉の大きさを面堂やあたるの身長から類推するに、高さ25.7m、横18.1m、厚さ1.5m程あった。材質は面堂財閥が誇る超合金面堂スペシャル製。鉄の密度は7,860kg/m3。面堂スペシャルは鉄よりもはるかに強靭な為、密度も当然鉄より大きいであろう。しかし詳細が不明な為、鉄と同じと計算する。するとこの扉の重さはなんと5484.4t。鉄の密度でこの重さである。面堂スペシャルの密度であらばさらに重たかったであろう。それを片足で楽々と閉めていたあたる。この扉の蝶番(ちょうつがい)の摩擦係数は我々の常識を超えてゼロに等しいようだ。この後閉じ込められた面堂とあたるの賭博勝負は最高。必死の形相で七並べに挑み、あっち向いてほいでは首の筋を捻じ曲げられ、あまつさえしり取りではいきなり「みかん」と発言する面堂。あたると同等に見られても無理はない。いや、それ以下か?堂が自分の家の大きさをさりげなく(?)披露するシーンにおいて、面堂邸の実態がある程度明らかになる。曰く食堂36箇所、トイレ532箇所、風呂195箇所、寝室に至っては一人につき18箇所。トイレだけ抜きん出て多いのはやはり黒子やサングラス部隊も使用する為か?この後の水攻めシーンは当時小学生の私にとっては凄惨なものだった。刻一刻水位をあげてくる濁流、次々連動していくトラップの数々。私なら現実逃避の為、即キレていたことであろう。特に後半、直径3m程にわずかに残った空気部分を巡る面堂とあたるの死闘は胸を突く。本当に怖かったんだよう。しかし実際、どれだけの水が金庫内に流れたのであろうか。後半冒頭、金庫の俯瞰図が描かれていた。それを先ほどの扉の大きさを基準に割り出してみる。縦横は最低扉の横幅の5倍はあった。すなわち8172.2m2。天井は扉のたかさをやや上回っていた。すなわち29.2m。これを計算すると金庫内の容積は238,628.2m3。後半冒頭の金庫内描写は全部を描ききっていなかったので、最低でもこの容積はあったはずだ。それに金庫内に鎮座する大型の倉庫を金庫容積の3分の1を閉めていたとすると、実際の金庫内容積は先ほどの数字の3分の2、つまり159,085.5m3。我が家は二人家族で月の水道使用量がだいたい二ヶ月で32m3、つまり一ヶ月で16m3。一般的家庭なら多くても一ヶ月の水道使用量は40m3であろう。むう、面堂、自分の金庫のトラップのために一般家庭の331年と4ヶ月分以上の水を濫用していたのか!?前回に引き続き環境保護団体からきつくお灸を据えてもらわねばならない。しかしこれ程の水、水道料金にしたらどれほどになるのだろう。その家のメーターの口径や、用途別等で料金は変わってくるが、一般家庭の家事用として計算すると約6,157万円※(平成11年9月時点の福岡の水道料金を基準)。あるところにはあるもんだのう。ところで閉じ込められた直後、自分の家があまりに広い為、誰も気付いてくれないと面堂が嘆くシーンがあったが、これほどの水が大量に流れている時点で絶対誰か気付くはず。だいたい、御曹司の金庫に異常が起きてるんだぞ。これに誰も気付かないのであれば、面堂家のセキュリティーはザルと言っても過言ではない。物語ラスト、結局は超合金面堂スペシャルに外界への脱出を阻まれる二人ではあるが、とりあえず空気の心配がなくなっただけでも御の字ではないか!ヘビの生殺しとの意見もあろうが、窒息死を異常におそれる当時の私(今でもそーだけど)としては、このラストに何かしらホッとした記憶がある。
(※・・・「6,157千円で331年と4ヶ月??じゃあ、一年で18万6,000円、一月で1万5,500円だ。水道料金は二ヶ月区切りの請求なので、請求学は二か月分の3万1,000円。一般家庭がそれ程つかってるか?」と疑問に思う人がいるかもしれない。水道料金というのは、使えば使うほどm3当りの料金が高くなるのでこういう結果になった。料金を基準に考えてみると、一般家庭の一回の請求額(二ヶ月仕切)は四人家族として多くても2万くらいだろう。すると面堂家の金庫は一般家庭の513年分の水を使ったことになる。恐るべし)


第124話 丸秘作戦・女湯をのぞけ!
放送月日 1984.2.22
脚本 伊藤和典
演出 鈴木行
原作 オリジナル
作画監督 高橋資祐
独断評価 ★★★★
原画 山本直子、藤堂拓美
小原乃梨子(お雪)、三田ゆう子(弁天)、井上瑤(ラン)、鷲尾真知子(さくら)、田中真弓(竜之介)、小山茉美(了子)
内容
(124話)
学校の帰りたった一人で下校するあたる。途中、駅のコインロッカーから洗面用具一式を取り出して下町の先頭へと向って歩いていく。そのあたるの姿を不審に思ったメガネはチビに4人分の洗面用具を大至急買いにいかせ、あたるが入っていった銭湯へと乗り込んでいく。これから何が行われるのかあたるから聞き出そうとするメガネ、巧みに話を逸らすあたる。そこへ今度はお供をつれた面堂がやってきた。ますます不審感をつのらせるメガネ。何としてもあたるから情報を聞き出そうとした矢先、女湯から聞き覚えのある声が。なんとこの日、この銭湯の女湯にて、面堂了子主宰のホットタムパーティーが催されることになっていたのだ。参加者は、ラム、しのぶ、了子、お雪、弁天、ラン、さくら、竜之介といったメンバー。女湯から聞こえるこの面々のナマメカしい声に完全に我を忘れる男性陣。他の奴らを差し置いてでも女湯を覗こうとする彼らそれぞれの涙ぐましい努力の幕が切って落とされる。
感想
(124話)
4連続目のオリジナル。そして前回に引き続き恐怖の水ネタ。しかしこれも本放送時の印象が非常に強し。当時はどれが原作通りで、どれオリジナルかなんて情報が全くなかったので、なんのわだかまりもなく素直に楽しく見ることが出来た。絵コンテ及び作画監督はお馴染み高橋資祐氏。今回も氏独特の動きや間を堪能することが出来る。頭諸星あたる、10年前の当時七歳だった自分と現在の自分を比較して「あの頃よりも50cm程高くなった俺の目は」と語っていた。彼の身長は17歳時点で、ほぼ標準の170cmかあるいはそれよりもやや低い167cmほどであったろう。すると7歳当時の身長は117cm〜120cm。理科年表によると1970年当時の7歳児の平均身長は119.7cm。おお。なんて平均的な子供だったのだ諸星あたる。そのあたるをこっそりつけてきたお馴染み4人組。路地裏に隠れていたメガネ、カクガリ、チビはその身を十分に隠せたであろうが、細い看板と電柱の後ろに隠れていたパーマ。さぞかし窮屈であったろう。無理せんとメガネの後に隠れておればよかったものを。このあたるの行動を不審がるメガネ、大抵は彼の大いなる取り越し苦労で終わるのだが今回だけはその予感が的中。122話でメガネに一矢を報いたチビ、やはりその主従関係を根底から覆すことは出来ず、今回も他の3人のパシリに徹して一人お風呂セットを買出しに行っていた。せめて3人から代金くらいは貰っておけよ。因みにこの金剛湯、御代は240円。湯に入ったあたる、隣を覗く為女湯との仕切りにある真水の水槽の中に身を沈めていた。おいおい。季節は2月の厳冬。更に一度も体をお湯で流さずに真水に入っていくのは完全に自殺行為である。彼の女に対する強靭な精神が心臓麻痺から身を護ったとしか考えられない。そこへ現れた4人組。こら、メガネ。体を流してから湯に入らんかい。しかもこいつ、後からの供述で実は4日間風呂に入ってなかったことが発覚。なおさら体を流してから湯船に入らんかいっ!しかし、チビ、列の一番後ろに座ったが為、背中を流してくれる人が誰もいなかった。さらに彼の前には一番背中の面積の広いカクガリが。つくづく浮かばれん奴だ。4日間風呂に入ってないメガネの背中だけ律儀に泡が立っていない描写には笑った。そして真打面堂登場。今回の主役はこやつではないかと思うくらい今回の彼の馬鹿さ加減は異彩を放っている。餓鬼の如くあたるとの水の掛け合い、自ら了子の存在をバラす言動やその後の反応、関心がない振りをしながら水槽の一番後ろからちゃっかり覗こうとしている姿、部下に唇を奪われ悶える醜態、サバイバルツールを持ち出して地道に穴を開けようとする姿、そのサバイバルツールをあたるに破壊され崩壊していくその顔。どれをとっても彼の間抜けさ振りを如実に語っている。特に事故を装った自分の妄想に感動してむせび泣くシーンは秀逸。同じく水中の仕切りに体を挟まれドザエモン寸前で浮かび上がってくるメガネの姿も爆笑物。この体が挟まるシーンは当時の私のトラウマになった事は言うまでもない。普通なら溺死して当然だもんな。この後、力の加減を間違えた部下に外まで投げ出された面堂は何故か黒子に助けられていた。黒子は了子直属ではなかったのか?しかしこの黒子、面堂の大馬鹿サングラス部隊と違って今回も大活躍。彼らがいなかったらラストはおぞましい映像になっていた事間違い無し。その黒子に股間を隠されていたとは言え、あたる、面堂、4人組、サングラス部隊2名の計8名による全裸によるどつき合いのシーンは、当時小学生だった私に異様な印象を与えた。その8人の全裸を目の当たりにした女性陣。少しは驚けよ!これでオリジナルが4回続いたわけだが、その出来不出来にを問わず、当時原作者の高橋先生はこれをどう思って見ていたのであろう。それがとっても知りたいdeaconでした。


第125話 サクラ・哀愁の幼年期
放送月日 1984.2.29
脚本 小島多美子
演出 網野哲朗
原作 19-8
作画監督 大坂竹志
独断評価 ★★
原画 遠藤裕一、小林左希子、木川純一、北崎正浩
池水通洋(温泉マーク)、西村知道(校長)、鷲尾真知子(さくら)、TARAKO、大塚智子
内容
(125話)
物憂い日曜の午前を楽しもうとしたサクラ、実は月曜である事を錯乱坊に告げられ、一日のリズムを崩してしまう。その錯乱坊から遊びの誘いを受けるが当然の事ながら一蹴、そういうサクラの態度を変えるべく、錯乱坊は自分の作った秘薬をサクラの朝食に忍ばせる。自分の中に潜む童心を蘇らせるという童心丹を飲まされたサクラは、保健室で体調を崩して寝込んでしまう。体の弱かった幼き頃の思い出や高校時代の淡い恋の思い出が走馬灯のように夢の中に浮かび上がってくるサクラ。眼が覚めた彼女の前には、夢の中に出てきた幼き頃の自分の姿が・・・。
感想
(125話)
またまたまた大坂氏の作画監督。確かに視聴者の好みの問題なのだが・・・。やはりドラえもん的絵柄に見えてしまふ。なんで出てくる登場人物、どいつもこいつも幼い顔をしてるのだ。特に面堂、あたる、ラム、しのぶ、メガネの顔がひどい。まるで別人である。回想シーンにおけるサクラの高校時代のエピソードはアニメオリジナル。原作のサクラからは想像もつかない甘いストーリー。幼年時代の回想シーンで、錯乱坊が幼いサクラをしかる場面があるが、声のトーンが頻繁に変わる為、錯乱坊の声か、サクラの母の声か混乱してくること請け合い。この幼年時代の描写は劇場映画第二作「ビューティフル・ドリーマー」を髣髴させ結構雰囲気を出していた。その不気味な雰囲気を盛り上げようとうる星ではお馴染み「とうりゃんせ」の曲がBGMに流れていたが、この曲は第76話「決死の亜空間アルバイト」、第101話「みじめ!愛とさすらいの母!?」に続いて三回目の登用、その為か新鮮味に欠けた印象が強かった。学校の保健室シーンでメガネがサクラに対して「婚期を気にすることなく・・・」と説明していたが、とするとサクラ、30を越えているのか?そのメガネ、サクラの隠し子騒動でパニックに陥っていた。おいおい、君はラム一筋じゃなかったのか(第86話「竜之介登場!海が好きっ!!」における「私にとって女性はラムさんただ一人」発言から)。番組後半、アニメオリジナルによる温泉妄想シーンが結構な割合で放送されていた。こんなんで時間を稼ぐなよなあ。個人的には温泉マークは好きなんだけど、あまりに安易なストーリーに溜息が。唯一笑えたのは校長の「パパと呼んで」発言くらいか?とにかく全体的にちょっとつらい物語でした。


第126話 燃えよラン 怒りのビデオメール
放送月日 1984.3.7
脚本 伊藤和典、山本優、福井忠
演出 上村修、押井守、早川啓二、山崎和男、小島多美子
原作 オリジナル
作画監督 古瀬登、山崎和男、遠藤麻未、野部駿夫
独断評価 ★☆
原画 小川洋子、宮崎康子、望月智子、野崎恒仲、西島克彦、森中正春、越智裕、山下将仁、平野俊弘、西島よしたか、小林一三、千葉順三、福島喜晴、高橋資祐、山本直子
井上瑤(ラン)、玄田哲章(レイ)、梨羽由紀子
内容
(126話)
毎日のようにランに送られてくるビデオメールの数々。その中味は、地球にきてからのランの屈辱の歴史が凝縮されていた。復讐にくるはずが結果的にラムにひどい目に合わされ続けるラン。実はこのビデオテープ、復讐心を忘れず自分を奮い立たせる為、自分で作って自分に送りつづけているものだったのだ。
感想
(126話)
第116話「終太郎・不幸の朝」同様既存フィルム使い回しバージョン。本編22分2秒中、今回のオリジナルシーンはたったの5分21秒。実に75.8%が使い古された映像によるもの。今回の作画も前回のオムニバス編同様古瀬登氏。この人の絵は好きなのでもっとオリジナル部分を書いて欲しかった。尚今回使われていた映像は第35、36、58、61話のみ。第116話は対象が主役のあたる、または主役級の面堂のオムニバスだった為、エピソードに事欠かなかったが、今回はゲストキャラのランがメインの為、使えるエピソードが少なく、変化に乏しい。ともあれ大した感想もないのが正直といったところ。でもなぁ。次回の127話はこれに更に輪をかけてひどいもんなぁ。


第127話 わが青春のサクラさん!
放送月日 1984.3.14
脚本 伊藤和典、山本優、小山高男、星山博之、福井忠、押井守
演出 押井守、早川啓二、小島多美子、西村純二、上村修、安濃高志
原作 オリジナル
作画監督 野部駿夫、遠藤麻未、谷田部勇次、山崎和男、林隆文、高橋資祐
独断評価
原画 高橋資祐、山本直子、金沢勝真、石井邦幸、西島克彦、昆進之介、吉永尚之、高木敏夫、山下将仁、土屋幹夫、山崎和男、遠藤麻未、小林明美、林隆文
鷲尾真知子(サクラ)、井上和彦(尾津乃つばめ)、池水通洋(温泉マーク)、西村知道、島田敏、伊沢弘
内容
(127話)
諸星あたるによるサクラに関する述懐。
感想
(127話)
うわあああああ。ついに既存フィルム占有率が100%に・・・。つまりぜーんぶ使い古された映像で占められているのだ。これはきついっ!今回のオリジナルは諸星あたるのナレーションのみ。そのナレーションも取ってつけたようで、まさにやっつけ仕事の感強し。こればっかりはこれ以上論評する気なし・・・。すみません。しかしこの次は、あの不朽の名作がまっているのだ!


第128話 スクランブル!ラムを奪回せよ!!
放送月日 1984.3.21
脚本 伊藤和典
演出 上村修
原作 オリジナル
作画監督 古瀬登
独断評価 ★★★★★
原画 高橋資祐、山本直子、吉永尚之、高木敏夫、小林明美
小山茉美(了子)、田中真弓(竜之介)、鷲尾真知子(サクラ)、西村智博、塩屋浩造、松井菜桜子、篠原さなえ、玄田哲章
内容
(128話)
あたるの目に余る浮気振りに怒髪天を突いたラムは、凄まじい電撃をあたるに食らわせてUFOに帰っていく。あたるとの関係を真剣に悩むラム。そういった精神状態だから、就寝前のUFOの安全点検もおざなりなり、注意灯がついているディメンションスタビライザーの点検を翌日にまわしてベッドについてしまう。就寝カプセルに入ってしまった為、その注意灯が赤の警告灯に変わった事に気付かないラム。熟睡するラムを乗せたUFOは、自由落下よりはゆっくりと、しかし危険な速度で落下していく。そして遂に地上に墜落。墜落した個所は偶然にも面堂邸の敷地内だった。急いでラムを救出する面堂とその部下のサングラス部隊。奇跡的にもラムは無傷で救出されるが、それまでの記憶を一切失っていた。一方、テンからUFOの消失を聞いたあたるは、渋るテンを無理矢理引き連れてテン所有のUFOまで向かい、ラムとコンタクトを取ろうとする。しかしテンからの呼びかけに応答したのは黒子であった。翌日、学校を休んだラムに対して様々な憶測が生徒間に飛び交う。しかし面堂邸にラムが居ることを確信したあたるは面堂にラムを引き渡すように要請。しかし面堂はこれを断固拒否。ラムの記憶喪失の事を伏せつつ、ラムはあたるではなく、面堂を必要としている事をあたるに告げ去っていく。同じく、ラムが面堂に捕らわれていると悟ったメガネは、他の三人とともに面堂邸への強行突破を提案。しかし、命が惜しくなってメガネの元をさっていく、残り三人のラム親衛隊のメンバー。メガネは一人での面堂邸突入を決意、家族へ遺書を残して出発する。重モビルスーツに身を固め、敵地へと向うメガネの前に、一度はメガネとの協力を断った3人組の姿が・・・。そして面堂邸の正門の前にはあのあたるの姿が。これで役者は揃った。正門前の電柱に姿を隠し中を窺う5人。彼らの前には、正門の巨大な扉が彼らの侵入を拒むが如く聳え立っていた・・・。
感想
(128話)
サイコーーーーーだよ、サイコーー。この128話と次の129話は、第67話の「君去りし後」に続いて大好きだったエピソード。本放送時の印象がとてつもなく強い。「手抜き」と受け止められても仕方がない放送が続いたこの時期、これ程までクオリティーの高い作品が放送されるなんて夢にも思わなかった。とりあえず順を追って感想を述べていこう。冒頭、ラムの電撃によって次々破壊されていく街灯、及び、ネオン状態の友引町の描写は秀逸。そのスピード感、そして色合いは完璧といっていい。たしか、このシーンはOAVの「I am the終ちゃん」にも使われていたように思う。この「I am the終ちゃん」は、うる星やつらのイベントにおいて、スクリーンで映し出されていたのをみたが(87,8年頃)、巨大スクリーンで見るこの街灯破壊の映像は迫力モノだった。この電撃、あたるが他の女性を誘いまくったが為のラムのお仕置きだった。あたるの誘いの最後は、竜ちゃんとの散歩(断られたけど)。夜に散歩を誘うわけないから、誘ったのは昼間だろう。だったらなぜ、こんな夜遅くにラムは電撃を食らわしたのだろうか?普通に考えると、そういった現場をラムが見ていなかったという結論に達する。すると誰からそういった浮気の事実を聞いたのか?テンか?いや、あの突っ込みからすると奴はその時まで全然知らなかったようだし。ならばやっぱりラム自身が全て直接見ていて、その場その場では怒りを発せず、夜まで貯めていたという事になる。結構こわいぞラム。ところでラムは、どういった頻度でUFOで寝てるのか?喧嘩以外でも結構UFOで寝てるパターンもあったし。今後の研究課題にしよう。そのラムがUFOに帰った時点で、テンとしては別にUFOに帰る意志はなかったようだ。あたるの意地に付き合わされて風邪を引くのがいやだったからあたるの部屋を出たものの、あたるが未練たらしく窓を開けっ放しにしてなければ、どうやらテンはあたると寝るつもりだったらしい。なんていじらしい!就寝前のラムがUFOの安全点検するシーンでは、問題のランプは黄色に点灯していた。多分信号と同じ注意色なんだろう。そしてその色は赤色に変化していた。つまり警報を示すものだったのだろう。しかしそのランプのまわりにも同じく赤く発色しているランプがたくさんあった。車でいったら、温度計、ラジエーター、サイドブレーキ、バッテリー等のランプが殆ど赤色点灯している状態。こらっ、ラム、殆ど故障中ということじゃないかっ!こら墜落しても文句は言えんぞ。この後場面は変わって面堂邸。今回の面堂父の声はカクガリ担当の野村信次氏。前回の第116話「終太郎・不幸の朝」ではメガネ担当の千葉繁氏だったが。こんなに頻繁に声を変えられたら終太郎もさぞかし混乱したことであろう。その終太郎、部下に呼ばれてコントロールに向い、そこで巨大落下物の存在を教えられる。この落下物、当然ラムのUFOである。そこでその落下スピードを検討してみよう。この場面、面堂の部下は「毎時115kmの速さで接近、毎分270mで降下中」と説明していた。自由落下であるなら、落下開始から毎分270mのスピードに達するまでわずか0.459秒。面堂が部下に呼ばれた時間から考えてもこれはおかしい。するとやはりシールドに守られている分、いくらか重力に対抗する力が残っていたようだ。それに横向きの力、つまり時速115kmで移動する動力が残っていたようだし。たとえUFOの形状がいかなるものであったとしも、たんなる自由落下なら縦軸と横軸にこれ程までの速度の差が出るとは考えにくい。問題は落下した地点のクレーターの大きさ。どうみても直径100mはあるぞ。そしてすぐそばには面堂の屋敷が。あれほどのクレーターをつくる衝撃力なら、その周りの木は勿論の事、面堂邸ですら木っ端微塵に砕け散ってもおかしくない。それでも威風堂々立ちつくす面堂邸。さすがは「超合金面堂スペシャル」。という事は周辺の倒れなかった大木も「面堂スペシャル」で出来ている可能性大。尚、部下による説明で物体の大きさが300mを越すといった発言があったが、これは当然シールド部分を含めた大きさだったのであろう。一方、ラムのUFOが消失していることに気付いたテンは大慌てで諸星家に戻り、勢いがつきすぎて壁に衝突していた。自転車や車といった人工的乗り物に乗り、制御不能になるならいざ知らず、おのずの力で移動しているテンが勢い余って壁に衝突とういうのは如何なものか?全力疾走で走ってる青年が勢いあまって壁に激突するようなものである。自分で加減が出来ない体力なんて、持っているだけでも恐怖だ。この後の、テンを荷台において自転車で突っ走るあたるのシーンは爆笑物。日の学校のシーンからメインが4人組に移行する。やはりパシリを命ぜられるチビ。さらに面堂とあたるのただならぬ雰囲気に、あっさりと身を引き、あまつさえミカンで懐柔しようとしていた。情けない・・・。この後メガネからこっぴどくどつかれた事であろう。また、お馴染みあたるの時計台幽閉シーンにおけるメガネの熱弁は心に迫るものがあった。最後に本音が出てたけど。ところであたる、いくらメガネに金を貸していたのだ?その晩、3人組に裏切られ(チビの「メガネの事、一生忘れない・・・」には爆笑させてもらった)、一人部屋で遺書を書くメガネ。これ、東京オリンピックマラソン選手円谷幸吉選手の遺書のパロディ・・・。これは笑えんぞ(故円谷氏の遺書は「父上様、母上様、3日とろろ美味しうございました。干し柿、もちも美味しうぼざいました。」ではじまる。)。ちょっとやり過ぎの感が・・・。遺書をしたためたメガネ、あの重モビルスーツ(第87話「さよならの季節」参照)で身をつつんで家を出ていた。そんな格好で公道を歩いていると、面堂邸につく前に挙動不審で補導されること間違い無し。この後、メガネと3人組との再開のシーンが。横断歩道で敬礼するパーマ、武装しキャッチャーミットを叩いてメガネに答えるカクガリ、剣道の武具で身を固めてメガネにやさしく微笑むチビ。どれもこれも感動させられる場面だった。ただ、チビ。笑ってるのはいいが、後方から車が接近してきとるぞ。はやくよける事をお薦めする。何はともあれ今回のハイライトシーンはこれなんじゃないか?この三人組の、ラムに対する愛情は勿論の事、メガネに対する友情が非常に眩しかった。あんなに酷い目に合わされてるのに。そしてあたるとの遭遇。いやが上でも盛り上がってくるストーリー。彼らの前には巨大な正門の扉が。そしてフェイドアウトする画面。っておい!終わりかい!!番組放送当時(1984年中学入学直前)、あまりの面白さに時間を忘れかけてた私がふと時計をみるともう8時前。どうやってこの物語を8時までに結末付けるのか、気をもみながら画面を注視していた私はこのフェイドアウトに腰が抜けた。なんとうる星始まって以来の「続く」である。どれほどすぐに続きを見たかったことか。しかし本放送当時、それはかなわぬ夢。この後私には眠れぬ一週間が続くのである。


第129話 死闘!あたるVS面堂軍団!!
放送月日 1984.3.28
脚本 伊藤和典
演出 押井守、上村修
原作 オリジナル
作画監督 森山ゆうじ
独断評価
原画 奈良みつ子、福島喜晴、川名久美子、土器手司、山本哲矢、林隆文
田中真弓(竜之介)、池水通洋(温泉マーク)、玄田哲章、西村智博、島田敏、伊沢弘
内容
(129話)
正面から面堂邸に突っ込む、あたる、メガネ、パーマ、カクガリ、チビの5人組。詰所を奇襲し混乱しつつも何とか運良く武器接収に成功した5人。そこで更なる戦闘道具をみつけた彼らは、戦車の4人組、小型ヘリのあたるの二組に分かれて行動する。一方、面堂邸に幽閉される記憶喪失のラム。ふとした胸騒ぎから窓をあけるとそこには小型ヘリに乗ったあたるの姿が・・・。記憶喪失ながらもあたるの姿に何かを感じ取ったラム。そのラムの様子を見た面堂はラムを別の部屋へと誘導する。暗い部屋の中で先ほど見た男について必死で何かを思い出そうとするラム。それを阻止しようとする面堂。その時あたるは、面堂部隊の迎撃機によって撃墜されていた。4人組もラム奪還に苦労を強いられる。3人からおいてけぼりをくい、真っ先に降伏したチビ、木から落下して捕らえられたカクガリ、ラムのUFOに乗り込んで待ち伏せしていた敵に捕縛されたパーマ。残るはメガネただ一人。一方撃墜されたあたるは終太郎の妹、了子によって密かに救出されていた。食料を与えられ元気を取り戻すあたる。更に、兄を困らせることに生き甲斐を持つ了子からバイクの提供を受ける。オフロードバイクにまたがり、面堂邸の敷地を爆走するあたる。それを自ら戦闘機に乗って攻撃を加える面堂。その戦いの場は面堂家の川をまたがる鉄橋の上でクライマックスを迎えた・・・。
感想
(129話)
この一週間がいかに長かったことか!中学入学の不安も、この二週にまたがるうる星によっていくらか緩和された感もある。この3月21日(水)〜28日(水)の8日間は、寝ても覚めてもうる星の続きを夢想していたといっても過言ではない。まさに大馬鹿小学六年生!少しは勉強せんかい!と当時の私に言ってやりたい・・・。今回、初めてタイトルコールの前に粗筋のナレーションが。この「前回のあらすじ」を心わくわくさせながら見ていたものだ。頭、あれほど階段の上まで登っていたあたる、「タイム」の言葉と同時に階段一番下のさらに少し離れた電柱までに移動を終え、さらにさらにチャックをさげて用まで足していた。その距離およそ100m。そしてその所要時間わずか4秒22。時速90kmで階段を駆け下り、わずか0.22秒でチャックを下げていた模様。は、はやいっ!さらにそこであたるは「大声を出すな!あいつらに気付かれたくない!」とほざいていた。ならば、大声をあげて突進するんじゃないっ。愚かにも程があるぞ。詰所襲撃シーンにおいては、敵がかけるプロレス技が一つ一つ字幕で説明されていた。やっぱ、どこにもいるんだな、プロレスファン。このあとあたると4人組は戦車と小型ヘリを発見。面堂軍団、そんな大事なもの、鍵をつけたまま放置するんじゃない。高校生5人に突破されるセキュリティーならなおさらの事。しかしよく操縦できたな、あたるにパーマ。ま、おおぼけばかりの面堂の部下でも操縦できるように相当マニュアルが簡素化されてる可能性高し。戦車にのった4人組は、この後大量の戦車が配置されている敵地に乗り込んでいく。そこでのパーマのセリフ「ほんじゃ、いこーか。ラムさんの顔見にさ」。くうううう、格好良過ぎるぞパーマ!撃墜されたあたるは一人地上を歩いていくのだが、そこへヘリからの機銃掃射の嵐が。この機銃掃射のシーンの迫力は特筆モノである。なぜかその森にはしのぶと総番の姿が。ひさしぶりのお遊びシーンだったが、内容が内容だけに違和感たっぷりだった。総番の声は前回の肝付兼太氏ではなく、レイ担当の玄田哲章氏だったし。戦車を破壊された3人組(チビはすでに逮捕)が木の上に身を潜めるシーンで、カクガリが墜落して捕まっていた。おいおい、面堂軍団、カクガリが落ちてきた木が一番怪しいのになんでさらなる探索をしないのだ?本当にあほばっかりである。また暗闇にいるラムを別の部屋に連れ出すシーンで、消えている電気を更にスイッチで消そうとしていた。普通なら電気がつく動作なのに電気はつかなかった。面堂、部屋の電球くらい替えて置けよ。それとも第123話の金庫で使った大量の水の水道料金の為、経済が逼迫(ひっぱく)してきたのか?あたるのバイクシーンはスティーブマックイーンの「逃亡者」のパロディであろう。このスピード感はまさにスタジオピエロの面目躍如、あっぱれあっぱれである。一方友引高校では温泉マークの英語の授業が。黒板には「I have a book」「This is a pen」「That is nardar・・・」の文字が。初等教育からやり直しか?そして場面は再びバイクのあたる。この坂道を下っていく場面でかかるBGMは私の大のお気に入り。実に場面とマッチしているのだ。また重モビルスーツに身を固めつつも、軽装のサングラス部隊を振り切って逃げるメガネも見事。逃げ足が天下一品なのはあたるだけではないようだ。この後の、ラム、面堂、錯乱坊のシーンから作画はおそらく土器手司氏によるもの。後半のテレビシリーズや劇場映画第三作第四作の作画監督をつとめた偉大なお方。さすがにその作画は素晴らしく美しい。チョコがまた美味そうなんだ。笑気ガスにやられた面堂軍団の一員の声を、普段温泉マークの声を担当している池水通洋氏が演じていた。その狂態ぶりはすさまじくもうまかった。ところであたる、時速60kmほどではしってる列車の上に真横から飛び乗るということは、時速60kmの衝撃をモロに受けるということなのだよ。その体の頑丈さに乾杯。ラスト近くのあたるのセリフ「ラムに縛り付けられるのは真っ平ゴメンだが、ラムを人に取られるのはもっと我慢ならんのだ」には、深い矛盾と同感を禁じえない。理屈じゃないんだなぁ。しかし向ってくるあたるに、あんな至近距離ながら一つも当てることが出来ない面堂軍団、全員リストラじゃ!あの描写から見るにわざと外してたとも思えん。ところで諸星あたる、ラムが記憶喪失だったとは知らなかったはず。という事は、ラムが本当に面堂に傾いたと勘違いしてもおかしくない。それなのにラムを奪い返しに命をかけて面堂邸に突っ込んでいった。やっぱ、こいつはサイコーだよなぁ。でも、後で記憶喪失だったことをしった時、第43,44話「スペースお見合い」の時と同様に、「あせってくることなかった」と思った可能性も高し。
 とにかくこの128、129話は最高に面白かった。ストーリーも、テンポも絵柄も申し分なかった。この129話を最後にアニメーション製作のスタジオピエロは撤退、これまでアニメーション協力をしていたスタジオディーンが130話からアニメ製作に携わっていくのである。一つの時代は終わった。


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