うる星やつらテレビシリーズ第六期データ
10/4更新

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※全て敬省略、すんません。
※原作の「1-1」表示は、小学館コミックス1巻1話目を表しています。
※「感想」は管理人deaconの独断と偏見によるものです。あしからず。

第130話 異次元空間 ダーリンはどこだっちゃ!?
放送月日 1984.4.11
脚本 浅野佑美
演出 やまざきかずお
原作 オリジナル
作画監督 森山ゆうじ
独断評価 ★★★★★
原画 大滝友子、川名久美子、市川吉幸、奈良美津子、田村英樹、森山ゆうじ
田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、池水通洋(温泉マーク)
内容
(130話)
課外授業でお花見にやってきた友引高校の生徒達。そのお祭り騒ぎの雰囲気に、いつもと違う雰囲気を感じ取ったラム。そのラムの予感は、あたるが桜の枝を伐採したことから現実のものとなる。周囲の位相偏差値が限界を超えていた為、あたるの伐採をきっかけに、次元のバランスが完全に崩れ去ってしまったのだ。一瞬の内に別世界に放り出されるラム。しかしラムはそのことに気付かない。突然いなくなったあたるを探し求めると、あたるは相も変らぬガールハント三昧。しかし何かが違う。ラムの慣れ慣れしい態度に、普段以上に不機嫌になるあたる。そして面堂、しのぶ、4人組の不可解な行動。何かの引っ掛かりを感じつつ、夜諸星家に帰ったラムはそこで信じられない光景を目にする。完全に廃屋と化した諸星家。その中で、あたるとその父母がお新香だけのおかずでぼそぼそとご飯を食べていた。そこで初めてここがパラレルワールド(自分達の世界と平行して時間が進む、全く別の世界)の一部であることに気付くラム。この世界のあたるは、最初の地球の命運を賭けた鬼ごっこに敗退し、非国民呼ばれされつつ日陰者の生活を歩んでいることを知らされる。慌てたラムは、一言謝って、急いで元の世界に帰るべく、空間のゆがみを探し始める。閉じかかった歪みに、突進するラム。なんとかこの世界のあたるに出会いホッとするラム。ニヤつくあたるにしがみついてこれまでの経過を離すラムの元に、怒り狂った面堂の姿が。何とここもパラレルワールドだったのだ。この世界のラムはどうやら面堂の妻になっているらしい。切腹しようとする面堂にまたまた一言謝って、この世界を去るラム。次こそはと飛び込んだ世界は、恐るべし、男女逆転の世界だった。女メガネに迫られてたじろぐラム。セーラー服姿の竜之介が実は男である等、完全にパニックになったラムは方々の態で次の世界へ。そこであたると出くわすラム。本当にこの世界は自分が元いた世界なのか、あたるにいくつかの質問をして確かめるラム。どうやら今度こそ戻ってきたらしい。安心してあたるに抱きつくラム。そのラムをやさしく労わるあたる。どこか違う。「ダーリンやさしいっちゃ。」「何を今更。惚れた弱みさ。」この言葉に全てを悟ったラム。そっとあたるを離れ、うつむき加減に別れの言葉を告げて彼のもとを去っていく。春の昼下がり。桜の枝を持って上機嫌のあたるを、木の上からやさしく見つめるラム。ついに自分の元いた世界に戻ってきたラムは、思う存分嫌がるあたるに甘えるのだった。
感想
(130話)
おおおおお!最高です。これ程質の高い作品が三週も続くとは。この作品もやはり本放送当時の印象が深い作品。私の場合は中学入学と重なっていた為、この冒頭の桜並木の描写が当時の自分と重なって何かしら特別な感情を興していたように思える。冒頭、逆光になったおっさん達の「歯がキラリ」シーンは、その雰囲気のあまりの不気味さ故に特に印象的。ところであたる、桜の枝を折るんじゃねぇっ!「桜切る馬鹿、松切らぬ馬鹿」の諺をしらんのかっ。花見客の風上にもおけんやつだ。また、お金が無いあたるに、自分の財布を取り出して支払いを済ませるラム、制服着てるのに何故、胸からガマ口をとりだす?いついかなる時にも、腹巻に財布を入れるおっさん同様、ラムもブラが自分の中でもっとも安全な場所と思っているのだろうか?この後、驚いた面堂が池にはまるシーンがあったが、思いっきり水辺なのに面堂は首まで水に浸かっていた。彼の身長は約175cm。するとこの池、水辺の深さがいきなり160cmを超えていたものと思われる。恐るべきドン深。子供は決して近寄ってはいけない。というより、柵でもしておけ友引町!子供が溺れて賠償金裁判になると、負けること疑いなし。また、この世界の異変に薄々気付き始めたラム、何故、夜になるまで諸星家に帰らず、一人町を徘徊していたのだろうか?すぐに帰れば原因も即わかったのに。たまーに、不可解な行動にでるのう、ラム。次の世界における面堂の必死ぶりは爆笑物だった。ラムに対して「おまえだよ、おまえっ」と叫ぶところなんか、普段の面堂からは想像もつかないので余計におかしい。3つ目の世界の女メガネもサイコー。やっぱ、メガネは女になっても本質は全然変わらず。男ならなんとか嫁の来てもあるかも知れぬが、女の場合、それは絶望的であろう(男女差別ではありませんよっ、決して)。それから、おなべ版竜之介がやたら可愛く見えたのは俺だけか?ラスト近くの、終パターンのあたるはまさに別人。やたらに格好いい。そのあたるを拒否したラム、別にやさしいあたるが嫌だから拒否したわけではないだろう。ただ、自分の世界のあたるでなかったから拒否したんだろうねぇ。でも、ラム、別れ際に一言くらいこの世界のあたるに説明せんかいっ!この世界のラムが戻ってきてから、彼らの間に一波乱以上あったのは必定。罪作りな女である。ラム。ラスト、自分の世界に戻ってきたラムの表情が眩しい。それからそのラムの甘えを、何となく楽しんでいたあたるの姿も眩しかった。ああ、名作!!ところで、この回からアニメーション製作のメインが、スタジオピエロから、ディーンに移行したのであるが、その新しいディレクターやまざきかずお氏は、サンデーグラフィックにおいて、今後のメガネの活躍がなくなること、及び、オリジナルが殆どなくなることを示唆していた。しかしこの回、前半においていきなりメガネの長口舌シーンが。更にこれって思いっきりオリジナルやないかいっ!しかしメインになったディーンの意気込みは絵柄に顕著に表れていた。すなわち、絵が非常に丁寧で綺麗!特にアニメにおいては当然ながら作画の占めるポイントは高いので、今回のこの絵は当時の視聴者に非常な好印象を与えた。また新生うる星やつらのスタートを印象付けたかったのか、アニメ放送第一回のエピソードも盛りだくさん。新しくリメイクされた(BDでもリメイクされていた)鬼ごっこシーンは勿論の事、錯乱坊の「お主の顔、救いようのないほど悪いっ」発言が聞ける。また番組の中で、さり気なくあたる、しのぶ、面堂、4人組の関係がストーリー上無理なく視聴者に再認識させていたのではないか。とにもかくにもここから最終回までスタジオディーンにおける新しいうる星やつらの世界がスタートしたのである。尚、今回よりOPとEDが新バージョンで初登場。担当はいつもの通り南家こうじさんだが、どうも作画は古瀬登氏っぽい。


第131話 激突!!女王陛下と愛のラガーマン
放送月日 1984.4.25
脚本 まるおけいこ
演出 西村純二
原作 9-4、20-9
作画監督 アベ正巳
独断評価 ★★★
原画 河南正昭、丹沢学、富田悦子、岩永しのぶ、門脇孝一
榊原良子(女王)、田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、池水通洋(温泉マーク)、篠原さなえ
内容
(131話)
銭湯で胸のさらしを盗まれてしまった竜之介。不本意ながら、さらしをつけず家への帰宅途中、たこ焼きのおっさんから「ねーちゃん」と呼び止められる。その「ねーちゃん」という甘美な響きに感動した竜之介は今後一切さらしをつけないことを決意。しかしその翌日の授業はラグビー。さらし無しの竜之介が他の男子生徒から襲われるのは必至。それを気遣う女子生徒は、さらしの変わりにタオルを巻こうとするが、あまりの巨乳の為、とても胸を覆うことが出来ない。女性徒の羨望の溜息を後にして、竜之介はぐランドへ向う。同じころ、宇宙からは地球侵略を狙う宇宙人の接近が・・・。
感想
(131話)
冒頭に出てくる馬頭星雲の描写が詳細で美しい。竜之介の帰途 すがら、なぜかエアロビの本を持った一の瀬婦人の姿が。しかし、変質者、なぜさらしまで奪っていったのか?竜之介のファンである可能性も捨てがたい。翌朝、竜之介朝食シーンにおいて、父が梅干を投げる場面があった。父から竜之介までの距離およそ1m。なのに梅干投擲(とうてき)から竜之介到着まで2.24秒もかかっていた。普通なら16mの落下は避けられない。逆に画面のようにわずか数センチの落下距離にする為には梅干の到達時間を縮めなければならない。具体的に計算してみよう。画面上の梅干は投げられてから受けられるまで、殆ど落下してなかった。少し上にあげて、放物線を描いてから、同じ高さに落ちたわけでもない。ほぼ水平に飛んでいた。しかし万有引力の存在するこの世の中で落下距離ゼロというのはありえない。大きく見積もって5cmは落下していたとしよう。すると梅干の滞空時間はわずか0.101秒。この時間で1mを飛んだということはこの梅干の速さは時速35km。竜之介の父ならば、手首の力だけで梅干をこれ程のスピードで飛ばすのは訳ないかもしれぬ。すると、梅干到達まで何故2.24秒もかかってたのかが謎になる。スローモーションになっていたわけではない。この時間を厳守するなら、一つだけ考えうる方法がある。梅干に強烈な回転を加えることだ。手首のスナップを効かして、玉をホップさせるが如く回転させると、この2.24秒という長い時間をかけてもそれほど落下することはない。ただ、その遠心力によって、種の回りの実は確実に全てが吹き飛ばされるだろうけど。ええい、たかが梅干一つに何行かけているのだこの俺は!場面は変わって校舎の中。竜之介のさらしが無い事実に興奮するあたるや4人組を尻目に必死で自制しようとするメガネ。しかしこの後のラグビーシーンで、あたるの「邪魔者を消す!」発言に対して「OK!」とあっさり叫んでいた。変わり身早すぎでもこのあたるのフォーメーションA、一番外側から回り込む二人は、真中にいる人間の2倍の距離を、誰よりも早く走り抜けなければならない作戦になっている。実用性は皆無といっていい。もっと熟慮して作戦を練ろう、あたる君。今回のラグビーの授業は体育の先生急病の為、またまた温泉マークが担当。ほんっと、先生がいないな友引高校。何故か異常にハイになっている温泉マークだが、あっという間にあたる達につぶされてしまう。そのボロボロになった顔は、まさに劇場映画版第二作「ビューティフル・ドリーマ」の浦島現象に気付いた温泉の顔そのもの。自分で自分の作品をパロるとはさすがにうる星やつら。この後ラグビー型の宇宙船登場。中の男の乗組員は、出来れば原作どおりタコ足にして欲しかった。さらに、ラムがこの宇宙船から逃げ出そうとするシーンのスピード感は、スタジオピエロ時代の映像に比べて迫力に欠けたように思えた。やはり画面のスピード感はピエロにかなうものがいない。同じく竜之介逃亡シーンにおいて、彼女が「ラム」を連呼する場面があったが、普段竜之介はあまりラムの名を呼ばないので、この連呼シーンはなんだか不思議な感じがした。更に番組後半、女王が女一人時代の栄華を思い出すシーンで、夜伽の場面があったが、当時これを視聴していた俺は中学1年だったのでそのギャグの意味するところは全く分からなかった。あの時は家族で見てたので、その意味がわかっていたら相当恥ずかしい思いをしたであろう。今回、作画監督としてアベ正巳氏が初クレジット。途中、女子ロッカー室場面や、宇宙船からの逃亡シーンで若干荒っぽい画像もあったが、全体を通して丁寧で綺麗な映像であった。作画で参加していた河南氏(後年作画監督として大活躍)の功績も大きかったのであろう。


第132話 ランちゃん・初キッス 涙涙の恋の味
放送月日 1984.5.2
脚本 菅良幸
演出 吉永尚之
原作 17-3
作画監督 四分一節子
独断評価 ★★☆
原画 小林ゆかり、清水環、北川美樹、若山佳幸、若山佳治
小宮和枝(ラン)、玄田哲章(レイ)、西村智博(こたつネコ)、神代智恵、北村弘一、亀山助清
内容
(132話)
愛するレイに食べられる夢を見たラン。これはきっとレイがお腹を空かしているに違いないと早速、料理を用意してレイの元へ。この時ありあわせのものしか用意できなかったラン、7日後のデートには腕によりをかけた料理を、とばかりに材料探しから余念が無い。今回のメニューはランちゃん特製のタイ焼き。亜空間の馴染みの店から買った材料で大量のタイ焼きを作るラン。それを大喜びでかっくらうレイ。そのレイ、ランのほっぺについているアンコを発見、意地汚くもこれを舐めて食べてしまう。このレイの行為をキスと勘違いしたランは大喜び、ライバルのラムを呼びつけて仲直りの乾杯までしてしまう。その喜ぶランの姿を見たラムも、「これでランから苛められることもない」とばかりに大喜びして家に帰ると、なんとそこにはラムを恋しがるレイの姿が・・・。
感想
(132話)
冒頭の「ビューティフル・ドリーマー」のBGMが印象的。今回からランの声は小宮和枝さん。スタジオピエロ時代ランの声を担当していた井上瑤さんは、日本を離れ海外(インド説濃厚)に出て行った為の交代劇だったらしい。小宮さん、ラン役が今回初めてだった為か、声の抑揚が制御されており、弾けるまでには至ってない。キレた時のランの声もどことなくまだ冷静な部分があるようだった。このラン、レイの居場所をレーダーによって簡単に捕捉していたが、いつもレイの体に発信機をつけているのだろうか?熊の生態観測と殆ど変わらんぞ。ところで同じく亜空間を急いで通行していたラム、一体どこへ行くつもりだったのだろう?また、あたるがランに対して「レイとうまくいってる?」と聞く場面があったが、原作のあたるなら決して言わないセリフ。ランちゃん大好きのあたるがそんな事を直接本人に聞くわけ無いでしょう。あんなににこやかに。おかげで違和感たっぷりのシーンだった。更にレイとラムとの仲を邪推したランが、「障害が多ければ多いほど、愛は燃え上がるんじゃ!」と叫んでいたが、まるで第五話のしのぶのよう。その後のしのぶがあっさりと別の男(面堂)に傾いたのは皆の記憶にも新しい。ま、ランに限ってそんな事はないだろうが。でも、ランの為にはその方(レイを見限る)が幸せなのかもしれない。後半からはうる星得意の不気味な雰囲気漂う亜空間シーン。しかし、第76話「決死の亜空間アルバイト」で見せた人を不安に陥れるような雰囲気には残念ながら遠く及ばず。その雰囲気を狙っているのは痛いほどよく分かるのだが、たんなる踏襲に終わっている感強し。また、ラムが家に帰るシーンにおけるスピード感も、前作同様、ピエロ時代のスピード感を出せておらず。このスピード感に関して言えば、ピエロが上手すぎたのかもしれない。尚、今回四分一節子さんが作画監督として初クレジット。この人はこの後、劇場映画完結編のキャラクターデザインを担当。ということは、作画の小林ゆかりさんは、完結編の作画監督を担当した小林ゆかりさんと同一人物なのか?


第133話 き・え・な・いルージュマジック
放送月日 1984.5.9
脚本 島田満
演出 鈴木行
原作 17-4
作画監督 遠藤裕一
独断評価 ★★★☆
原画 青木康直、平田智浩、藤川太、樋口善法、上妻晋作
田中真弓(竜之介)、西村智博、沢木郁也、花咲きよみ、神代智恵、松井菜桜子、亀山助清
内容
(133話)
巷(ちまた)で大流行の口紅の宣伝から触発されたラムは、つけたもの同士が引き付け合う特殊な口紅を製作、自分が塗ったあと、あたるの唇にも塗ろうとするが、あたるに奪われてしまう。ラムからかすめとった口紅を手に悪巧みを考えるあたる。翌朝の学校でその口紅を披露すると、面堂目当ての女生徒と、ラムやその他の女性目当ての男子生徒が殺到、それぞれがそれぞれの思惑を胸に、ほぼ全員が口紅を塗ったため、2年4組は大混乱に陥る。
感想
(133話)
タイトルは、明らかに忌野清志郎と坂本龍一ユニットによる「い・け・な・いルージュマジック」のパロディ。当時このビデオクリップで、ディープキスをする清志郎と龍一の画像を見たとき、あまりのおぞましさにのけぞった記憶がある。確か1982年頃のヒット曲だ。原作も同じタイトル。原作は1983年の2,3月に発表されてるので、当時はタイムリーだったのだろう。冒頭、甘味屋にてお汁粉を食べる竜之介、口の周りのアンコがやけにリアルで、あたるのラーメン同様食欲をそそる。竜之介、まるで口紅を初めて見るようなコメントをしていたが、第113話「レディー竜之介」でちゃっかり口紅使ってたやないかい。国語能力に加えて記憶力も人並みではないようだ。合掌。を一人さまよう普段着のラム、来ている服は第89話「ハッピーバースデーマイダーリン」と全く同じ。あたる、買ってやれよ・・・。この後の寝室におけるメガネの悶絶シーンは必見。スタジオディーンになったら活躍が減るとされていたメガネだが、なんのなんの、頑張って自己主張してるではないかっ!ビデオにとったくちづけのCMを夜中に何度もみる行為は、変態といっても過言ではない。くちづけの決定的シーンが写ってないことに、メガネはだいぶ憤慨していたが、そんなもん、ドラマを見れば腐るほど出てくるだろうに。この後、自分の感情を抑えきれなくなった彼は、第87話「さよならの季節」同様、屋根の上に登っていった。猫並の行動である。しかし今回はそれだけでは収まらず、近所の家の屋根伝いに町外れまで駆け抜け、崖っぷちにて大声でラムの名前を連呼していた。この場所の雰囲気はメガネにぴったり。多分週3くらいのペースでここに来ては雄叫びをあげているのだろう。迷惑この上ない輩である。このメガネの絶叫は、当時のラムにあこがれる男どもの心情を如実に代返していた。メガネのように心置きなく「ラム」の名を絶叫できたら・・・そう思う男がさぞ多かったことであろう。このメガネの部屋は、第87話同様、ラムの写真でいっぱいだった。しかし、部屋俯瞰図の、アップからロングの「引き」のシーンにおいて、画面左上にラム以外の女の写真が!どういうことだメガネ!妹か?それに「この17年の熱き思いっ!」とも絶叫していたが、ラムとあったのはこの1年だろっ!16年もサバを読むんじゃない!そんなメガネの事なんか毛頭に無いラムは、遥か上空のUFOで口紅を作っていた。しかしでっかい機械。これ、口紅製作用の為だけの機械なら邪魔なことこの上なし。翌朝の登校シーンで、初キッスに燃えるしのぶが、あたると遭遇した時に、「忌まわしいことが起こりませんように!」と全身全霊を込めて神に祈る場面があった。仮にも昔の恋人だろーが。もはや人間扱いされていないあたるだった。この後の、口紅の本を読んでいることを悟られたくなかった竜之介のあたるに対する反応が竜之介らしくなくてなんか面白かった。また、口紅を手にした面堂の「事故、こんどこそ事故!」シーンは爆笑物。第124話「丸秘作戦・女湯をのぞけ!」でも事故を装って大失敗してたのに、全然懲りんやっちゃのう。妄想シーンも124話とほぼ同様。この後の面堂とあたるのキスシーンもサイコーだった。今回の作画監督は、第81話「ミス雪の女王キッスを奪え!」以来の遠藤裕一氏。今回の絵柄は非常に綺麗で見やすかった。メインキャラ以外の顔が、全然うる星らしくはなかったが。しかし話のテンポ、絵柄ともに申し分なく、十分に楽しめる一遍だった。問題はこの口紅。一体どんな素材なんだ?これほど強力にひきつけあうとは。まず考えられるのは万有引力。しかしここまで吸い寄せる力があるという事は、口紅の質量が異常に重たいということ。塗る前に全ての人々がこの口紅にむかって恐ろしい勢いで突進することは間違いない。引力ではないことは確か。すると磁力か?しかし磁石にはかならずS極とN極がある。男子用口紅がS極で女子用口紅がN極であるならわかるが、誰も彼もが同じ口紅を塗っていた。すると口紅の粒子がそれぞれ細かくS極とN極に分かれ混合していた可能性も考えられる。しかしそうなると他人との口紅と引っ付くまえに自分の上唇、下唇が強力に引っ付いてしまう。慢性鼻炎の人は大変だ。数分後の窒息死は免れない。口を固く閉ざしたまま、白目を剥いて絶命する男の死体。その唇には何故か赤い口紅の後が。警視庁のお偉方も途方に暮れたことであろう。ほんっと、なんだったんだ、この原材料はっ!!


第134話 死闘!!面堂家花見デスマッチ
放送月日 1984.5.16
脚本 浅野佑美
演出 西村純二
原作 17-7
作画監督 林隆文
独断評価 ★★★
原画 金澤勝真、大関紀子、福島喜晴、伊藤浩二、津久井明子
鷲尾真知子(さくら)、小山茉美(了子)、西村智博(こたつネコ)、北村弘一、島田敏
内容
(134話)
野良犬が遠吠えを続ける不穏な晩。そこに現れた不気味な影。道路には季節はずれの桜の花びらが。妖しげな物体の正体が桜の木であることが判明した途端に平静を失う面堂終太郎。彼は代々面堂家に伝わる伝説を思い出していた。そんな或る日、ついに面堂家にまで異変が起こってしまう。終太郎が大事にしていたタコ達の足が全て1本ずつ食べられていたのである。事ここに至って全ての元凶は妹了子にあると悟った終太郎は、了子の部屋を探索、そこで、タコの足を食べつづけている桜の木に出会う。タコの無念を晴らすため終太郎は、祖父の命令に従って花見を執り行うことに。そしてその花見にあたるも参加することが決定したのだった(わけのわからん粗筋だこと・・・)。
感想
(134話)
前半は完全にアニメのオリジナル。しかしそのお陰で後半は原作に忠実な内容となった。やっぱ、了子と終太郎の掛け合いは最高に楽しい。了子が出るたびに終太郎のアホさ加減が飛躍していくような気がする。ただし今回は終太郎、それほどの醜態をさらけ出すことは無かった。冒頭、コタツネコが妖しげな物体を見届けようとするシーンがあったが、コタツネコの小走りシーンをみるのはこれが初めて。いつも泰然自若な態度を取っている彼にしては相当珍しいリアクションだった。その妖しげな物体に対するメガネやしのぶ達の見解も傑作。「マタンゴ(きのこのお化け)だ!」とのチビの推察を「非科学的だ!」と一蹴したメガネの意見は「キメイラ(多種多様な動物の複合体)」だった。てめえの方がよっぽど非科学的だぞっ!今回久し振りに終太郎に祖父登場。今回で漸く祖父の声が確立(初登場第27話「面堂はトラブルとともに!」における声優は錯乱坊役の永井一郎氏だった)。この後の第138話「魔境スペシャル!面堂邸の財宝を探せ!!」における祖父役の声もこの時と同じ人だった。北村弘一氏のようである。戦闘機のアクロバットシーンはモロ、ブルーインパルス。そういやブルーインパルスの事故は昭和57年だったなぁ。当時小学5年だった私は、その事故に強い衝撃を受け、国語の教科書に、事故シーンのパラパラアニメを作ったものである(←恐るべき不謹慎)。後半からは原作忠実バージョン。一目でタコの足の異常に気付いた終太郎の眼力には脱帽する。このタコの愛らしいこと。しかし現物のタコの不気味なこと。そういや、原作初期におけるこのタコ達は結構リアルに描かれていてこれほどかわいくなかった。面堂所属サングラス部隊と桜の木との対決シーンでは、清酒「美少女」が画面に映し出されていた。どこの酒だ?ちなみに筆者お気に入りの酒は、熊本産純米酒「美少年」である。まさか、これのパロディ?ところでラム、そのレスリングコスチューム、どこで手に入れたのだ?準備がいいにも程があるぞ。ラスト、飛行灯を横切る4つの星には何か意味があったのだろうか?


第135話 弁天&竜之介 明日に向って走れ!
放送月日 1984.5.23
脚本 まるおけいこ
演出 やまざきかずお
原作 オリジナル
作画監督 アベ正巳
独断評価 ★☆
原画 布告文、篠崎俊克、上妻晋作、佐々木真由美
田中真弓(竜之介)、三田ゆう子(弁天)、富永みーな(少女)、安西正弘(竜之介の父)、西村智博(こたつネコ)、島田敏、湯沢弘
内容
(135話)
早朝ランニングをする竜之介の前に、子猫をおって道路に飛び出した少女の姿が。危うく少女を暴走族の手から救い出した竜之介は少女からお礼を言われる。その日学校に登校すると、そこにはヒマをもてあました弁天の姿が。お互い相通ずるものを感じた竜之介と弁天はすぐに意気投合する。そこへ今朝の少女がまた現れた。子猫を抱いて再び竜之介にお礼をいう少女。そこへ突然あたるが現れた為、子猫は驚いて逃げ出してしまう。必死に子猫を探す、竜之介と弁天。その二人の前に今朝の暴走族が再び現れた。
感想
(135話)
雰囲気もペンのタッチもいつもと違って異様な感じのオープニング。BGMが流れるまではとてもうる星作品とは思えない。暴走族のカシラの物語を読む千葉繁氏の演技は秀逸。わざとたどたどしさを出しているのだが、始めてみた時は、「何で噛んだのを放送に使ったんだろう?」と思ったほど。カシラの「風の匂いに負けたのさ」に対する部下のズッコケかたはあまりにもベタ過ぎて寒かった。そして少女の登場。おお!この声は!富永みーなさんではないかっ!「めぞん一刻」の七尾こずえ役で超有名。そういや、サザエさんでは、うきえさんの声もしてたな。今は何とカツオの声担当。しかしこの小学生のオリジナルキャラ、他のサブキャラ同様、あまりに原作の絵柄からかけ離れすぎている。その為か、なかなか感情移入が出来なかった。弁天にどつかれて地面に落下したあたる、窓を飛び出した後の滞空時間はあまりに非科学的なので無視するとして、落下開始から落下までの時間を計ると1.94秒だった。すると落下した距離は約18.44m。六階建てビルの屋上とほぼ同じ高さ。やはり友引高校改築していたのか!?この後物語は弁天と竜之介を中心に展開していく。ところで、カシラの前に登場した錯乱坊、ベタだぞ、寒いぞ。また、歩道橋からおちた子猫、あの描写からだと確実にはねられてるぞ!はねられなかったにしてもあれほどのスピード差があれば、地面に落下するものだが。運良く荷台にひっかかっても凄まじいGに見舞われることになる。結構丈夫だなこの子猫。この後暴走族との乱闘シーンがあるのだが、どう見ても悪いのはバイクを盗んだ竜之介と弁天。最初は笑って誤魔化してたが、最後のほうになると盗んだことは完全に開き直っていた。犯罪なのに・・・。だいたい、バイクを盗む暇があるなら、自分のバイクに乗るか、ラムに追っかけてもらいなさい!カシラに同情。それから丁寧に一人一人倒してる暇があったら、隙をみて逃げ出してネコを探したほうがよかったのでは?ラスト、竜之介の「俺は女だ!」発言に対して、弁天は「わかってるよ」と答えていた。いーや、君は全然分かってない。わかってたら第183話「竜之介V.S.弁天!むなしき色気大決闘」における君の態度の説明がつかんっ!なんにしても物語全体を通してあまりにも原作の雰囲気からかけ離れていた印象を受けた。弁天竜之介ファンにはたまらない物語なんだろうけど、私的にはのめりこむことができなかった。この話好きな人、ごめんなさい!


第136話 大恐怖!おユキついに怒る!!
放送月日 1984.5.30
脚本 菅良幸
演出 西村純二
原作 21-5.6.7
作画監督 森山ゆうじ
独断評価 ★★★☆
原画 市川吉幸、大滝友子、奈良美津子、川名久美子、服部一郎、斉藤格、土器手司
三田ゆう子(弁天)、小原乃梨子(おユキ)、小宮和枝(ラン)、鈴木れい子、中島千里、西村智博
内容
(136話)
レイとのデートを控え、大量のタイ焼きを用意して上機嫌のラン。そこへおユキが管理する海王レミングの大群が。レイへのタイ焼きを全部食べられてしまったランは、おユキの家まで出向いて直接抗議をする。しかし逆におユキの迫力に圧倒されたランはびびりながら家へ帰る。そこで自分のバスケットの中に海王レミングのリーダーが紛れ込んでいることに気付く。その後おユキがそのリーダーを必死で探していることを知り恐れおののくラン。異常なほどおユキを怖がるランの反応を面白がる弁天は、激怒したおユキがみたくなり、勝手にふたりの喧嘩をあおる。しかしいつの間にかランとおユキの喧嘩がランと弁天の喧嘩になって・・・。
感想
(136話)
いや、もう、絵が最高!こんな綺麗な絵だと物語自体も非常にしまってくる。さすがは森山ゆうじ、土器手司両氏。作画のクオリティーの高さは特筆モンである。全体的なテンポも非常に良くて最初から最後まで見るものを全く退屈させなかった。冒頭、誠意の感じられないおユキの謝り方にランは怒りをつのらせるシーンがあったが、ランのいう誠意とはなんだったのだろう。やはりか?次のシーンで、レミングのリーダーを探すおユキに対して、弁天が「見つけたら連れてったらぁ」と答えていたが、ただでさえ似たような容姿、更に大量に存在するレミングの探索に対してそんな安請け合いしてええんか弁天!自信がありすぎるのか、探す気が全くないかのどっちかであることには間違いない。後半になっておユキはランに対して全然怒ってないかのような発言をしていたが、前半、レミングのリーダーがランの家に居ることを知った時、「ラン、あなたとんでもないことをしてくれたわねぇ。」と呟いていた。この語感からすると、あきらかにランに対して怒ってると思われたのだが。そのリーダーを迎えに、おユキがランの家にやってくるのだが、その時間が問題。地球と海王星は、最も近い時でもおよそ43億km離れている。光の速さでやって来たとしても3時間58分もかかってしまう。それなのにおユキがきたのはたった2分。なんと光速の238.9倍。驚愕すべき時間である。科学的にこんなことはありえない。すると考えられる方法はただ一つ。諸星家押入れに通じる次元トンネルによるワープだ。おユキとともにまた大量の雪を諸星家に送り込んだことであろう。ランの家の周りも吹雪にしてしまった勢いがあったほどだから、諸星家の惨状が想像して余りある。哀れあたるの父。弁天、ラム、おユキがランを追いかける場面においては久々のお遊びシーンが楽しめる。何故か画面一杯に広がる「「古古米」の文字や、ナウシカの「オウム(漢字が出ん!)」の姿までも。公園の場面では、久々に麺子らしき人物の姿が。相手の男が汁夫でないところを見ると男を変えたか?同じ公園のシーンで、弁天が投げた手榴弾は約5秒後に地面直前まで落下していた。落下時の速度は秒速49m。時速にして176.4km。あの手榴弾、結構固そうだったから、爆発しなくてもランにぶつかっただけで致命傷を与えたと思われる。ほんと位置エネルギーは怖い!ラスト、レミングリーダーを叱るおユキから逃げようとしたラン、ラム、弁天、かなりの急ぎ足で12秒88も走っていた。全力疾走ではないにせよ、最低時速10kmは出ていたであろう。するとその距離およそ35.8m。我が家の六畳間の縦の長さは大体3.6m。35.8mとは、六畳間を縦に10個も並べた長さになる。かなり広いぞ、ランのUFO!そんなパニック状態の中、おユキの手から生まれる雪の結晶を見て「綺麗だっちゃ!」と感嘆するラム。状況をわきまえんにも程がある。ところで、おユキを異常に怖がるランに対して弁天は「面白ぇ。おユキの怒ったところこの目でしっかりみせてもらおうじゃねぇか!」と叫んでいた。そこまで見たいなら自分が怒らせろ。これは明らかにランに対するイジメである。物語的にはランが一方的な加害者として描かれていたが、こういったところをみると弁天も同罪、或いはそれ以上の罪があるように思えるのだが・・・。


第137話 テンちゃんの不思議な恋の物語
放送月日 1984.6.6
脚本 井上敏樹
演出 吉永尚之
原作 20-10
作画監督 遠藤裕一
独断評価 ★★★★
原画 河南正昭、丹沢学、富田悦子、門脇孝一
鷲尾真知子(さくら)、池水通洋(温泉マーク)、大城松美
内容
(137話)
初夏の午後を退屈を持て余して空を徘徊するテン。そこに現れた一人の可憐な少女。彼女の名前は小鳥。小鳥は、おじさんの子犬を抱けなかったことが心残りとなって成仏できない幽霊。小鳥に一目惚れしたテンは、自分と遊ぶことを交換条件に、おじさんの子犬を一緒に探してあげると彼女に約束。あたる、ラム、面堂、しのぶ達にも手伝ってもらって子犬を探す。ちりぢりになった子犬を必死で探し当て、テンの助けをかりて無事3匹とも抱くことができた小鳥。テンは約束どおり、小鳥と遊ぼうとするが、彼女に残された時間はもう殆どなかった。
感想
(137話)
私の涙腺を直撃した感動編(さすがに涙までは流れなかったが)。久し振りにテンが主役だが、その効果は十分。冒頭、舞台を意識した小鳥の回想シーンは、場面の雰囲気と抜群にマッチしており秀逸。小鳥のおじさんを探しに役所に向う場面があったが、そこの名称は何と「友引市役所」。いつのまに「市」に昇格したのだ、友引町!しかし第149話のタイトルは「ランちゃんパニック友引町に明日はない」となっていた。わずか12話で町に降格?しかし市から町へ降格なんて聞いたことはない。「市」の定義の一つに「人口5万以上」の項目があるが、一度「市」になってしまうと過疎になって5万人を切ったとしても「町」に降格することはない。私が大学4年を過ごしていた香川県善通寺市も人口は3万人。町に降格するなんて話は聞いたこともない。なのに町に降格した友引町って・・・。行政的に相当問題があったとしか考えられん。その役所の風刺は、他でもよくあるパターンだが、それだけ役所には杓子定規のイメージが強いって事だろう。小鳥の友引高校出現シーンでは、あたるは3秒23かけて地面まで落下していた。その距離およそ51.1m。17階建ビルの屋上部分に相当する。さらに改築したか校長先生。あたる達が手分けして小鳥の子犬を探すシーンにおいて、あたるはラムとしのぶという両手に花状態のグループにいた。なのに面堂は錯乱坊と二人グループ。文句一つ言わずあたるの指示に従った面堂君、えらい!幽霊状態の小鳥が子犬を抱く為にテンに乗り移るシーンは爆笑物。その表情、女の仕草で走る描写、犬にぶっとばされる場面すべてが最高。しかし何も一番小さいテンに乗り移らなくてもいいものを。この後、3匹の子犬を抱いてしまった小鳥は、思いを遂げてしまった為、テンと遊ぶ時間がなくなった事を告げていた。たしかに3匹の子犬を抱き終わった時間は夕方だった。でも、子犬を抱く時間が早くとも遅くとも、抱き終わった時点で成仏しなくてはならない事は最初から小鳥も分かってたはずだ。なのに抱き終わった時点で遊ぶという約束をした小鳥。なんて罪な女。消え行く小鳥に向って必死で叫び号泣するテンの姿はまじで胸に迫った。そのテンを見て、もらい泣きするしのぶ、黙考する面堂、困った顔をするあたる、それぞれの表情が印象的だった。原作では、ラスト、泣きじゃくるテンをあたるがやさしく抱いてあげ、小鳥からの贈り物を待つ場面があったのだが、アニメでは、抱っこまではしてなかった。残念。今回も物語全体的に、絵柄、テンポ、内容とも申し分がなかった。しかし。問題が一つ。それは最後諸星家に落下してきた隕石。見た目の直径は2mほどあっただろうか?材質は不明。しかし、落ちてきた隕石には小鳥が書いた文字が残ったままだった。すると大気圏突入時に、その殆どが燃え尽きなかった事が考えられる。この場合、これは隕鉄だった可能性が高い。隕鉄の質量は約10t/m3。するとこの隕鉄の重さは約23.6t。隕石の落下速度は地上激突寸前でだいたい秒速20km。つまり時速72000kmだ。気温20度のおけるマッハ(音速)は秒速約343m。マッハ58で落下してくる重さ23tの鉄の塊。爆薬1400t分の大爆発を起こすことは必至。諸星家は勿論、直径100m程の地域は間違いなく全滅であろう。小鳥、テンを成仏させてまでして会いたかったのか!?これが普通の隕石だった場合、地上の破壊度はもう少し落ちる。それでも諸星家を滅ぼすには十分すぎるエネルギーになるのは間違いない。だいたい普通の隕石ならば大半は大気圏で燃え尽きるはず。なのに2m部分が残っているということは、落下を始めた時点では相当な大きさがあったということだ。表面部分だけにメッセージを書いたのでは、その部分は全て燃え尽きてテンに届く頃にはただの石ころの塊になってしまう。つまり中心2m部分まで深くメッセージを彫らなくてはならない。いくら小鳥が非科学的な生物といってもなぁ。そんな巨大隕石に、必死の形相で奥深くメッセージを彫ってる彼女の顔は想像したくない。よってこれは隕鉄に決定!しかしこの巨大なエネルギーを所有する隕鉄、コタツネコに受け止められたことによって事無きを得た。この隕鉄が宇宙の彼方からやってきたとすると、このときコタツネコをおそった衝突エネルギーは約224兆J(ジュール)!衝突した瞬間、若干の後退はあったものの、このエネルギーからすると微々たる物、一応かなり大きめに10%のエネルギーが失われたとしても201.6兆J。これらその他全く被害がなかったことから、このエネルギーはすべてコタツネコに吸収されたと思われる。まあ、超生命体のコタツネコならありえる話だ。このエネルギー、カロリーにかえると480億kカロリー。人間一日の平均摂取カロリーは約2,000kカロリー。コタツネコは図体もでかい為、多く見積もって倍の4,000kカロリーが必要としよう(しょっちゅうタイ焼き食べてるし)。すると彼には1,200万日分のエネルギーが蓄えられたことになる。年に変えると3万2,800年分。まーだまだ成仏できんぞこのコタツネコ


第138話 魔境スペシャル!面堂邸の財宝を探せ!!
放送月日 1984.6.13
脚本 まるおけいこ
演出 鈴木行
原作 20-11、16-7
作画監督 林隆文
独断評価 ★★★
原画 青木康直、平田智直、藤川太、樋口善法
北村弘一(面堂の祖父)、西村智博、菊地正美
内容
(138話)
「祖父危篤」の報を聞いた終太郎は沈痛な面持ちで祖父の元へと歩み寄る。しかし案外に元気な祖父の姿を見て拍子抜けする終太郎。そこで祖父は面堂家家宝の探索を終太郎に依頼。財宝と聞いた瞬間現れたあたる、ラム、しのぶ、4人組達。南極タコ「松千代」の頭に財宝のありかが記載されていることを知った面々は、松千代の住む南極ドームへと向う。そこで世界で一匹という珍獣松千代に出会うが、そのなんの変哲の無さにあたる達は拍子抜け。その時、あたる達の落胆の声に痛くプライドを傷つけられた松千代は熱帯ドームへと逃げ去っていく。あわてて追いかける面堂やあたるの一行。熱帯ドームで彼らを待っていたのは、気温に変化に耐え切れず巨大化し、変わり果てた姿になった松千代の姿であった。興奮した松千代の背中に浮き出た地図をカメラに収め本格的に財宝探しにでるあたる一行だったが。
感想
(138話)
冒頭のナレーションに「いまだ人跡未踏の秘境が存在する」とあったが、“電飾の魔境(第215話)”もその中に含まれていたのだろうか?危篤の祖父が、御簾にビデオプロジェクターを接続して、寝込んでいる自分の姿をうつしていたが、この描写は原作を見てない人には説明不足でよくわからなかったことだろう。南極ドームに入っていったあたる達、防寒服に手袋と完全武装していた。寒さに強いラムまでも仲良く完全武装しさらに手を口にかざして寒さを耐えていた。よっぽど寒かったのか、あたるに付き合って寒い振りをしていたのか。プライドを傷つけられて泣きながらの松千代逃亡シーンは哀愁が漂っていて爆笑物。この後、熱帯ドームで巨大化した松千代に、ラムとしのぶが襲われていたが、「清純派」のくだりは原作ではラムではなく竜之介のあてつけだった。また、原作では上着だけを破られていたしのぶ、視聴者サービスとばかりにアニメではブラまでも奪われていた。哀れ。この後の遊園地シーンはアニメオリジナル。折角原作が二話分あるのに、わざわざオリジナルを入れなくてもと思ったが、やはりオリジナル部分は冗長で緩慢だった。メリーゴーランドシーンやジェットコースターシーンは無理に伸ばしている感が強かった。ミラーハウスシーンは、翌年2月に公開される劇場映画版第三作「リメンバー・マイ・ラブ」を髣髴とさせていた。この時、観覧車が支柱から外れてあたる一行を襲うシーンがあった。この映像せいで暫く遊園地の観覧車には近づけなかったものだ。ド迫力だったモンなぁ。では実際、どれほどの大きさだったか計算してみよう。ちなみに日本最大の観覧車は今年10月完成予定の、地上120m、回転直径112mを誇る「福岡姪浜大観覧車(まだ正式名称は無し)」。この面堂家の観覧車、俯瞰シーンから見るとこれに勝るとも劣らない大きなものだった。するとこの観覧車も回転直径112mがあったものと思われる。その後、回転しながらめがね達をおっかけていたが、この描写では、キャビン6個分回転するのに4.44秒かかっていた。この観覧車のキャビン数は約16個。めがね達の逃走スピードは早くとも時速20kmほどだろう。するとキャビン6個分の長さは24.67m。これから導き出される円周は約65.78m。え?65m?すると直径は21.95mしかないではないか!姪浜観覧車のたった19%。これでは動物園なんかの片隅によくあるしょぼくれた観覧車並ではないかっ。小さい!あまりに小さいぞ面堂邸観覧車。あの迫力の映像はなんだったんだ!?また、ジェットコースターに乗った一行が、コースを離れて氷の池に落下するシーンがあったがその落下時間はなんと5秒47(飛び出して暫く水平移動していた分は数えておらず)。落下距離はおよそ146m。落下推定スピードは秒速53.6mつまり時速193km。祖父危篤の前に全員即死だこりゃ。この後の迷路シーンも難解。わざわざ中を通らずとも、外側からいけばすぐだったのに。さらに迷路に入ったあたるを探す為律儀に迷路をさまよっていたテン、上から見んかい!上から!この後氷原シーンにおけるメガネの「これほどまでのテクノロジーを駆使してまで守ろうとする宝とは一体・・・何をしとんじゃおまえわぁ!」発言は、表現、テンポとも爆笑物だった。ところで後半パーマは全然でてこなかった。松千代にやられて時点でお役目御免だったようだ。ひたすら哀れ。


第139話 愛と闘魂!グローブVSパンツの決闘
放送月日 1984.6.20
脚本 菅良幸
演出 須田裕美子
原作 21-4
作画監督 加藤鏡子
独断評価 ★★★
原画 志村宣子、友米一成、竹中清、加藤鏡子
池水通洋(温泉マーク)、西村智博(コタツネコ)、鷲尾真知子(さくら)、
内容
(139話)
早朝のさくらの家に、錯乱坊がやってきた。彼はここ暫くの間、全国津々浦々に存在する霊に取り付かれた品物を求める行脚に出かけていたのだ。そこで見つけたものの中にボクシンググローブがあった。そのグローブについて錯乱坊が説明をしようとした瞬間、テンとトラジマが乱入、ドサクサにまぎれてグローブを持っていってしまった。そのグローブを偶然見つけたあたるは、その場にいたテンをどつく為グローブを装着、力いっぱいテンにめがけてパンチを飛ばしたが、そのパンチは自分の意志を離れテンをなで始めたではないか。どんなにテンを殴ろうとしてもテンを撫で続けてしまうあたる。そこへラムが乱入。やはりラムを撫でてしまうあたる。学校についたあたるはそのグローブの習性を利用して女性徒を触りまくる。更にその女性徒を助けにきた面堂までも愛撫をしてしまうあたる。その情景を見たさくらは、そのグローブが呪われていることを初めて悟った。さくらと同じく学校にやってきた錯乱坊はあたるに、もう一つのグローブを装着させる。これは怒りの闘魂グローブ。右手で愛撫しつつ左手で強烈なパンチを食らわすというシロモノ。このグローブをはめている時にラムが接近、自分の意志を離れた左手がラムにパンチを食らわそうとするのを見たあたるは、必死でラムの顔の前に自分の顔を持っていってラムをパンチから救った。自分をかばってくれたあたるに感激したラムは、その感激を更に味わおうとひたすらあたるの側に近寄り、そのたびにあたるは自分で自分のパンチを暗いつつラムをかばいつづける。遂に自分のパンチでKOしたあたるの姿をみて、翌日の除霊を決心するさくら。しかしその夜、呪われた闘魂パンツとトゥーシューズがめがねと面堂を襲って・・・。
感想
(139話)
作画監督として加藤鏡子さんが初クレジット。この人の絵がまた素晴らしく丁寧で綺麗なんだ。面堂がかなり女っぽいけど。前半は原作に非常に忠実。ののしりながら面堂のケツを撫で続けるあたるの姿は爆笑物。その姿をみつつ無駄話をするめがねとパーマに喝を入れる錯乱坊のシーンはちょっと間が悪いか?久し振りの授業シーンで意気揚揚と登場する温泉マークはあっという間にあたるにどつかれてその姿を消した。根性で画面に戻ってきた温泉、更にあたるよりアッパーカットを喰らい、友引高校の上空へとその姿を消していった。っておい、飛びすぎだぞおっさん。インパクトの瞬間から上空へと飛んでいくまでの時間はおよそ5秒08。この数字だけからすると温泉は時速179kmで打ち出され、上空126mまで飛んでいったものと思われる。しかも画面では天井3個分ほどをぶち破っており、5秒過ぎてもまだ上昇を続けていた。数十トンという衝撃力で殴られたことは疑いを入れない。さすがは呪いのグローブである。しかし温泉、最近こんな(殴られ)役ばっかり。しゃべりでは笑いが取れないのでドツキ漫才に精を出す売れない漫才師のようだ。ま、殴られるのにちょうど良いガタイしてるしやんごとなきことか?前半ラスト、ラムをかばう為、自分のパンチを自分に繰り出して自分でよけるあたるの姿は感動モノ。いくら「女は殴らん主義」であってもラムは更に特別だった事は明らかである。だからといってラム、調子に乗りすぎでは?あたる完全に失神してるし。後半、あたるの「味噌汁!」対するラムの「はい」という返事は、何故か調子が低く、鼻声で不満気だった。亭主関白には反対か?このように飯はラムに手伝ってもらって食べることはできるだろう。しかし便所はどうしてたんだ?いくら半日といえど「小」は我慢できまい。するとこれもラ・・・。いやいや憶測でモノを考えてはいけない。超人的忍耐力の持ち主のあたるであらば、膀胱破裂寸前まで我慢するくらいなんてことはないのであろう。翌日の体育館リングシーンにおいて、ラムはめがねに卍固めを喰らっていた。そのラムの苦悶の表情に歓喜した男子生徒は多数いた模様。面堂のバレリーナ姿は確かに面白かったが、同時に見ている自分も何か恥ずかしく思った記憶あり。必死で戦うあたるとめがねのバックで不気味に踊りつづける面堂の姿は本当に爆笑物だった。己の姿を恥じ入った面堂、「面堂家末代までの恥辱!」と悲嘆に暮れていた。今まで何度末代までの恥辱を味わってきたのか終太郎。これ以上面堂家の体面を重んじるのであらば、即刻転校することをお薦めするぞほんと。


第140話 ラムちゃん牛になる!?
放送月日 1984.6.27
脚本 井上敏樹
演出 鈴木行
原作 21-9
作画監督 四分一節子
独断評価 ★★★★
原画 北川美樹、小椋真由美、清水環、四分一節子
池水通洋(温泉マーク)、沢りつお(ラムの父)、鷲尾真知子(さくら)
内容
(140話)
休日の昼下がり、何気なくペットショップに立ち寄ったあたるとラム。そこで二人は、売りに出されていた牛に噛まれてしまう。UFOに帰って簡単な手当てをしたラムは、テレビを見ながら一寝入り。自分が牛になってしまう悪夢から目覚めたラムは、自分の角が牛のような形に変形していることに気付き愕然とする。翌日から学校を休み、一人悩みつづけるラム。自分が牛になった場合の仮定をあれこれ考えては落ち込んでいく。心配するクラスメートの前にラムがその姿を見せたのは3日たって後のことだった。髪型を変えて角を隠すラム。そこで彼女はあたるだけを呼んで自分の恐ろしい運命を告白。ラムの角をみたあたるは驚愕。立ち去ろうとするラムを力いっぱい抱き寄せて、牛になった後のラムへの愛情を保証しつつ、自分が責任を持って飼う事を約束。ふたりして原っぱで嗚咽をあげるのであるが・・・。
感想
(140話)
今回のアニメの特徴はやはりオープニングとエンディングの独特の雰囲気をもった映像であろう。このプラットフォームにおける男(あたる)と女(ラム)の描写は、本放送当時の私に強い印象を残した。特にエンディングにおける牛ラムの描写は不気味さを通り越して何か神秘的なものすら感じさせた。冒頭のペットショップにおけるあたるとラムの姿は何かアットフォームを感じさせほほえましい。UFOに帰ったラムがテレビをつける場面で、「ラブラブ電気室推薦トイレ」CMが流れていたがそのナレーションはしのぶ(島津冴子嬢)。バイトか?また、テレビのドラマで、醜い男(人間)に噛み付かれた化け物が人間の姿に変身していきつつ「化け物になりたくない!」と叫ぶシーンは、「育ってきた環境が美意識を産む」ことを如実に表し、更には外見上における差別の根本を考えさせ秀逸(考えすぎか?)。この後、ラムの角を見たテンのパニックシーンや、翌日のあたると面堂による牛問答は爆笑物。やっぱこの二人の掛け合いは面白い。この後の一人旅に出かけたラムの妄想シーンにおける牛ラムはあまりにも不気味で当時中一だった私に衝撃を与えた。だって本当に気持ち悪かったんだもん・・・。髪型を変えて学校に現れたラムが、あたるを二階から連れ出す場面で、あたるは地面まで落下していた。この時間0.8秒。すると高さは3.14m。おお!ちょうど2階分の高さではないか!初めて科学的に正確な数値がでたぞっ!!苦節4ヶ月、おっちゃん(筆者)は猛烈に感動している。後半、髪型をほぐれて牛の角があらわになっていく時のラムの表情は非常に原作に忠実。また泣きじゃくりながらラムを慰めるあたるの姿はもう一つの彼の姿が包み隠さず描かれており感動物だった。原作ではこの場面、照れ隠しの為か「どうどう」とすでにラムを動物扱いしていたけれども。落ち込みながら部屋にもどってきたラム、自分が牛になってからのあたるの行動を想像して泣きじゃくっていた。この想像シーンにお馴染み「ハーレム」の場面がでてきたが、やはりそこには響子さんと朱美の姿が。更に左上にはあの飛鳥の姿まで。こらこら、男嫌いではなかったのか?よりによって諸星あたるに寄り添うとは・・・。結局この話、ラムの思い過ごしであるというオチだった。そうとも知らず、必死で牛小屋をつくるあたるが間抜けのように描かれているのだが、このあたるの一途さをギャグだけに終わらせてはいけない。こういったオチのため、見過ごされがちだが今回の作品はあたるの純情さが光った好編だったと思うんだが・・・。それからラム、早くあたるに真相を打ち明けんかい。ほぼ完成しつつあるぞ牛小屋。


第141話 堂々完成これがラムちゃんの青春映画
放送月日 1984.7.11
脚本 浅野佑美、菅良幸
演出 西村純二
原作 オリジナル
作画監督 遠藤裕一
独断評価 ★★★★
原画 金沢勝真、大関紀子、富田悦子、門脇孝一、遠藤裕一
内容
(141話)
空港のロビーで憂いの表情を浮かべるラム。そこへ走りよって別れようとするラムを必死で説得するあたる。しかしラムの決意は強かった。あたるを忘れる為、彼にナイフをつき立て走り去っていく・・・。実はこれ、めがねが監督する映画のワンシーンだったのだ。この短い青春、自分が生きていた証(あかし)をする為に映画を撮ろうと決心しためがねは、甘言を弄しつつあたる、ラム、面堂、しのぶの出演了承を取り付ける。しかし自分の出番が全然無い面堂は製作途中に置いて脱退の決心をめがねに通告。さらに制作費が底をついてしまった事が加わり、めがねは意を屈して面堂に制作費カンパを依頼。これに対して面堂は映画に口を出すことを条件に了承。自分の都合のいい映画へと内容を大きく変えていってしまう。ファインダーの中でどんどん親密度を増していく面堂とラム。そして映画は遂に完成の時を向かえたのであるが。
感想
(141話)
いやああ、懐かしい!これも前回に続き本放送時の印象深き一遍。背景や小物類に描写が綺麗。人物は相変わらず猿似だけど・・・。冒頭、のぼりのエスカレーターのラムと下りのエスカレーターのあたるの交差スピードがあまりに遅すぎ。こんな鈍足エレベーター、気が短い大阪人なら確実に走って登っていくことだろう。また画面を横切る中国人面堂、アラブ人面堂のさり気なさが哀愁を漂わせている。更に地下道をすれ違うセールスマン面堂、線路を走る出前岡持ち面堂、テキ屋風面堂すべてが爆笑物。このあまりに無残なチョイ役に怒りを爆発させた面堂、「一つのドラマよりも一つでも多いアップが欲しい」と叫んでいた。まさに面堂終太郎の真骨頂。よーゆーた!しかしこれほどまでやらんと気付かないと言うのもいかにも面堂らしい。この後、あたるがめがねに当て付けをするためラムに「背中を流してくれるかな?」と聞くシーンと、自分のハーレムシーンの資金調達の為、ラムに脱ぐよう説得するシーンは両方とも非常に印象深い。前者は羨ましい気持ちと切なさを、後者はあたるの性格描写についての不満を味わった。自分の欲求を満たす為に、ラムを犠牲にするような男じゃないぞあたるは。とくに「脱がす」という非常識極まりないことをあたるが言うはずがない。だからこのシーンは当時から俺は大嫌いだった。後半からは資金を提供した面堂を中心に物語は進んでいく。面堂、いくら金持ちだからといってワイングラスにジュースを入れて飲むんじゃない。逆に貧乏臭く見えるぞ。グラスの持ち方はまるでデスラーみたいだし・・・。全体的に映画のシーンは、現実の映画のパロディーシーンで埋め尽くされている。「ローマの休日」やら「逃亡者(?)」やら。しかしそれ以外の映画の出典は分からず。だれか詳細知ってたら教えてくれぃ。ラスト、ラムしか写っていない映画に怒り爆発させた面堂、しのぶ、あたるがめがねを襲うシーンがあったが、めがねの説明がなければなんで彼らがおこっているのか全然わからない所だった。ちょっと映像での説明不足の感あり。しかしアニメオリジナルにしては久し振りのヒット。冗長な場面も少なく絵柄も丁寧、テンポも良く楽しく見ることができた。


第142話 妖怪退散!艶姿サクラのおはらい!!
放送月日 1984.7.18
脚本 土屋斗紀雄
演出 吉永尚之
原作 17-6、16-2
作画監督 森山ゆうじ
独断評価 ★★★
原画 下田正美、中山勝一、斉藤格、川名久美子、奈良みつ子、津久井明子、市川吉幸、大滝友子、服部一郎
鷲尾真知子(さくら)、田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、池永通洋(温泉マーク)
内容
(142話)
馴染みのお祓い串を錯乱坊に頼んでお祓いしてもらっている為、妖怪にまとわりつかれるさくら。このさくらの無力時を利用しようとして妖怪たちとタッグを組む諸星あたる。あたるの計略は錯乱坊によって阻止されるが、今度はお神酒徳利が紛失してしまう。200年前の性悪酒飲み妖怪を封じ込めたお神酒徳利はひょんな事からラムとテンの手元に。それがそんな深刻なモノとはしらないラムとテンは、中味を見たさに徳利を破壊してしまう。
感想
(142話)
作画監督は森山ゆうじ氏。その為か人物、背景とも描写が非常に美しく丁寧。錯乱坊の顔までも可愛くなってしまってる。冒頭、錯乱坊が空き地で護摩を炊いていた。かなりの炎の大きさ。その真後には民家の塀が聳え立っていた。あんな近くで火をたいて近所から苦情はなかったのだろうか?今の世なら速攻警察に通報されしまうだろう。大体あんな空き地もうないもんなぁ。また、さくらの登校を窓際の座席から眺めていた諸星あたる、1分後には教室中央の座席に座っていた。授業中、そんなに勝手に座席移動してたら、そら温泉も怒るわな。この後の面堂終太郎におけるゲシュタルト崩壊シーン、更に保健室をいやがって絶叫するシーンは爆笑物。ただここの保健室におけるさくらの描写シーンはやや緩慢で冗長。保健室を抜け出してついてこようとするラムをあたるが説得する場面があったが、このシーンにおけるラムの表情はレア物。この後、テンとトラジマの乱闘シーンで、テンがしめ縄で縛られ場面があった。前半終了間際では太い縄で縛られていたのに、後半冒頭では細い3本の縄によって縛られていた。作画担当が変わったのか?変わったのならちゃんと前後の絵をみないと。また、パニック状態になった保健室、錯乱坊の出現で一段落ついていた。チェリーの出現で妖怪が逃げようとするのは分かるが、なぜあたるまで逃げようとしてたのだろう。身も心も妖怪と一体化してしまった可能性大。ここでのお神酒徳利説明シーンには妖怪に混ざってなぜかピグモン(ガラモン?)の姿まで。そうか、奴は日本の妖怪だったのか。ハヤタ隊員に教えなければ。場面変わって竜之介の家、やかんを頭にのせられた竜之介の父、ほんの一瞬だけ赤塚不二夫風のディフォルメがなされていた。芸が細かい。このシーンの直後、上空から落とされたお神酒徳利が墜落してきた。墜落開始から実に18.81秒後の事。落下開始地点はおよそ上空1,730m。なにもそんなに高くから放らなくても・・・。激突時のスピードは時速663km。屋根をぶち破って激突する描写はあながち大げさともいえない。この後の、錯乱坊からお神酒徳利の説明をきいたラムとテンの表情と反応が◎。しらばっくれる所はいかにもラムらしい。ラスト、妖怪変化に負けじとばかりに竜之介の父も自分の技を披露していた。なんと彼、アグラをかいての空中浮遊を成功させている。某オ○ムの最終解脱者か!?(あっぶねー)なんにせよ今回は作画が綺麗で内容的にも原作に忠実だった。ただちょっとテンポに問題があったのか、アニメ的な面白さが今一歩足らなかったような気がする。


第143話 原生動物の逆襲!プールサイドは大騒ぎ
放送月日 1984.7.25
脚本 井上敏樹
演出 鈴木行
原作 9-5
作画監督 林隆文
独断評価 ★★★
原画 河南正昭、丹沢学
池永通洋(温泉マーク)、玉川砂記子、松井菜桜子、島田敏、西村智博
内容
(143話)
7月も中旬に入ってのプール掃除。しかも掃除担当は何故か2年4組の生徒のみ。ぶつぶつ文句をいいつつ青みどろでいっぱいのプールを掃除するあたる達。そこに暇をもてあましているテンがやってきた。ただでさえはかどらない掃除なのに、テンが乱入してきた為さらに作業は遅々として進まない。暗黙の内に男子生徒はテンを無視し始める。しかしそこでのテンのセリフ「みんな短足やなぁ!」が彼らの怒りに火をつけた。泣きながらテンに襲い掛かる男子生徒諸君。進退窮まったテンは炎をはいて反撃。燃え盛る男子生徒を見たラムはあわててプールの蛇口を開放して鎮火にあたる。そこでテンの栄養満点のお菓子が水に混じったからさあ大変。プールの底にへばりついていた原生動物が栄養過多の為巨大化しはじめ、あたる達に襲い掛かってきた。なんとかテンの炎で原生動物を退治したものの、一匹だけ逃してしまう。その一匹に飲み込まれてしまうあたると面堂。原生動物の太古の記憶の中で翻弄されるあたると面堂。彼らの前にはさらに過酷な運命が待っていた。
感想
(143話)
作画監督は林隆文氏。非常に丁寧であるが顔面崩壊の度合いは前回(第138話「魔境スペシャル!面堂邸の財宝を探せ!!」よりも少しパワーアップか?今回、面堂や4人組がテンに対してラムの手前やさしくしてみせる場面があった。それをみたあたるが「まだこのガキの正体がわからんのか」と呟くシーンがあったが、これには訳がある。原作ではこのエピソードはテンがきてわずか半年あまりの頃の話だった。だから面堂も他のクラスメートのテンの正体を良くわかってなかった。しかし、アニメではテンと面堂達がしりあってすでに2年弱。彼らはテンによって数々の苦渋を舐めているはずである。ここに原作とアニメのタイムラグ(時差)が生じる。この若干の違和感は、原作に忠実に描いた為に生じたものなのだ。このあとやはりテンの行動にキレてしまった面堂、モップから刀を取り出していた。やっぱ特注なんだろうな。しかし特注モップを持っていたということは、面堂家の御曹司である自分がプール掃除をする事もありであると考えていた証拠ではなかろうか?嫌がってた割には案外楽しんでいたりして。後半、合体した原生動物があたるを飲み込んだあと面堂を見つめるシーンがあったが、その場面におけるラムの面堂を避ける描写は爆笑物。原生動物の記憶の中に迷い込んだあたると面堂、どちらかを犠牲にしようとするところなんざ第123話「大金庫!決死のサバイバル!!」を髣髴とさせていた。この場面、どちらかを怪獣の生贄にしようと、両者が足を突き出してお互いを転ばそうとしていたが、両方とも転んでいた。よく画面を見てみると、面堂の足が綺麗にあたるの足の前に入っている。これから考えると転ぶのはあたるだけの筈。なのに面堂も仲良く転んでいた。あまりにもドン臭いぞ面堂終太郎。今回は前半が原作に忠実で、後半からはアニメのオリジナルになっていた。後半の原生動物の記憶という設定は非常に面白かったが、完全に消化しきれてなかったように思う。原生動物の「安来節」やそれに対するめがね達の反応はおもしろかったけれど。しかし、あたる、いくら女がいないからといって、さっきまで男だった、しかもずっと反目しあっていた面堂を愛すことができるのか?できるとしたら本当の女好きか、はたまた潜在的に男の面堂も好きだった危ない男の可能性あり。
 それではここからは科学的検証に入るとしよう。まずは冒頭の温泉マークのあたるに対する仕打ちから。彼は長さ150cmほどのモップの先端にあたるを乗せたまま持ち上げ、あまつさえ遠心力で回転させた後上空に飛ばしていた。温泉が握っていた部分は端から15cmほどのところ。その距離全体の長さの10分の1。あたるの体重は55kgほどであろう。するとテコの原理によってモップを持つ温泉にはあたるの体重の10倍ほどの重さがかかることになる。実に550kg。それだけでも凄いのに、モップを回転させてあたるを放り投げていた。あたるの滞空時間は5.7秒。つまり彼は時速100.5kmで39.8mの高さまで飛ばされたことになる。すると温泉のモップ回転数は最終的には一秒間に3.66回転に達していたものと思われる。その場合にはじき出される遠心力によるGは73G!体重の73倍すなわち4,015kg。おいおい、4tだぞ。それに先ほどのテコによる550kgを足すと実に4.6t。その常識を超えた重さを支えていた温泉の腕力。あたる、面堂、しのぶの影に隠れてその実力を軽んじられていた温泉。ここで彼も怪力の仲間入りをした。それでもあたると面堂にかなわないということは、彼らがそれを上回る腕力を持っていたと思われる。脱帽。
 次に考察したいのはプールの貯水スピードである。テンの炎を浴びせられた男子生徒を助ける為、ラムが水道の栓を開けるシーンがあった。プールは見る見るうちに水であふれ、わずか8秒ほどで1.5mほどの高さまで貯まっていった。このプールは多分標準の25mプールであろう。すると横幅は13mほどか?つまり487.5tもの水がわずか8秒で出尽くしたのである。水がでてきた穴はだいたい直径80cm。ここから求められる水の噴出スピードはなんと秒速380.9m。温度35度における音速は秒速352m。おおっ!マッハを超えてるではないか!マッハ1.08で襲い掛かってくる60.9tの水の塊。男子生徒の命は勿論の事、そのまわりにいた女性徒も危険だ。物体はマッハを超えると凄まじい衝撃波を生み出す。わずか数十メートルしか離れていない女性徒は確実にその衝撃波に襲われてしまう。プールの水槽の中で水圧によって体をバラバラにされた男子生徒の死体。プールサイドに散らばる全身の骨を粉砕された女子生徒の死体。地獄絵図とはまさしくこの事。プール設計者は勿論のこと、校長や掃除を命じた温泉に厳しい行政処分が科せられることは火を見るより明らかである。


第144話 またまた登場!愛の狩人クラマ姫
放送月日 1984.8.1
脚本 柳川茂
演出 浜津守
原作 20-6.7
作画監督 土器手司
独断評価 ★★★
原画 大原和男、酒井啓史、広田麻由美、台田浩章、土器手司
吉田理保子(クラマ姫)、小宮和枝(ラン)、玄田哲章(レイ)、池田一臣(長老)、西村知道(コンピューター)、西村智道(こたつネコ、カラス天狗)、島田敏(カラス天狗)
内容
(144話)
己の男運のわるさに暫くなりをひそめていたクラマ姫。しかし種族維持の本能が目覚めたのか、再び美男子あさりに動き始めた。普段のぐうたら振りをクラマから責められたカラス天狗は苦し紛れにコンピューターで探索中との嘘を突く。しかし嘘からでたまこと、コンピューターによって本当に美男子がみつかったのだ。しかしコンピューターが選んだ宇宙一の美男子は虎牛「レイ」であった。いい男をみつけて有頂天のクラマは、即行動にでてランとデート中のレイをさらってしまう。レイを奪われたランはラムに助力を乞う。ラン、クラマ、レイといった自分の苦手なタイプばかりの渦中に入るのはごめんだとばかりに一回は断るも、ランの迫力の前に屈するラム。その頃レイはクラマのUFOでひたすら飯をかきこみつづけるのであった・・・。
感想
(144話)
本当に久し振りのクラマの登場。第91話依頼実に1年3か月ぶり。結構間があいていたんだな。作画監督は土器手司氏が初クレジット。劇場映画版第三作、第四作の作画監督もつとめているお方で、その為か非常に絵が丁寧で綺麗。冒頭食事に精を出すクラマ姫とカラス天狗の献立はもろ日本食。すでに日本にやってきてウン数年。完全に和食が板についてきたようである。普段はめがね担当の千葉繁氏が演ずるカラス天狗、さすが氏が演じるだけあって異常に理屈っぽく、言い訳がうまい。彼らが操作するコンピューターの映像には、町内観覧版やなぜか漫画家あろひろし氏の姿が(眼鏡をかけたワニ)。この後のレイとのデートシーンでランは「随分なついてきたわ」とつぶやいていた。やっぱランもレイを動物扱いか?なつくなつかんというレベルの相手を果たして愛することが出来るのだろうか?健気と言うか執念というか・・・。また煙突におけるランのラムへの脅迫場面は爆笑物である。ラン担当の小宮和枝さん、そのだいぶ役柄が板についてきました。場面はかわって漸くあたるの登場シーン、自販機前で悩みまくるこたつネコの後でいらいらしながら律儀に待ちつづけていた。他にもあろーが、自販機なんて。それとも当時はそれほどなかったのか?プライスカードの100円も時代を感じさせる。当時は100円玉一枚で買えたもんなぁ。後半、クラマの後で牛に変身したり人間にもどったりするレイの動きがコミカルで◎。また、レイの正体を暴こうと、レイにむかって笑顔をむけるラムの表情も◎。レイ自身、自分に向けられるラムの表情がこれほど和やかだったのは久し振りだったことであろう。たとえラムの本意ではなくとも。今回は原作二作分だったためか非常に原作に忠実だった。またアニメーターの遊びも多く、寝室でクラマを口説くあたるが電撃をあびるシーンでは「CUTがあがらないわどうしましょ!!」の文字が、電撃を浴びるあたるにクラマが一撃を加えるシーンでは「ひどいわ」の文字が、背後にしのびよるあたるをクラマが殴るシーンでは「あたしがなにをしたというの!!」の文字が連発。これらのコマ送りでしか見ることのできない遊びは当時ビデオが徐々に一般家庭に浸透しつつあったことを示していた(ちなみ筆者の家は当然ビデオはなく、テレビも1975年製のチャンネルテレビだった)。


第145話 キツネのかた想い 恋すれどせつなく・・・
放送月日 1984.8.15
脚本 島田満
演出 やまざきかずお
原作 20-8
作画監督 遠藤祐一
独断評価 ★★★
原画 青木康直、平田智浩、藤川太、西島克彦、遠藤祐一
菅谷政子(キツネ)、池水通洋(温泉マーク)、西村知道(警察、校長)、肝付兼太(総番)、TARAKO(しのぶの母)、神代智恵、大城松美
内容
(145話)
夕立激しく降りしきる中、家に帰ってきたしのぶ。郵便受にある葉書を手にする。拙い文字で書かれた「しのぶ」の宛名と、キツネの足跡の文章。途端に彼女は6月に出会った一匹のキツネの事を思い出す。犬に苛められておびえきっているキツネを助けたあの日の事を。山里からおりてきた一匹のキツネ。しのぶに対する恩返しの気持ちと淡い恋心。しかし彼の恩返しは全て裏目に出てしまう。ラストチャンスとばかりに、あたるに化け、しのぶとのコミュニケーションを取ろうとするのだが・・・。
感想
(145話)
キツネ初登場。これから彼は準主役としてしばしば原作、アニメに登場する。しかし130話以降、メインアニメ製作がスタジオディーンになってからこういう民話調の話が多くなったような。ピエロ時代と違ってスピード感がかける分、間を大切にしてるようだ。特に今回はキツネの話。どうしても話の展開は遅くなってしまう。冒頭、キツネの住む村の夏休み映画大会では「セーラー服と機関銃」が公開されていた。薬師丸ひろ子の描写が結構リアル。回想シーンのしのぶが丸太を持ち上げる場面はかなり問題。持ち上げ時におけるしのぶの顔も問題だが、丸太の回し方がそれを上回って変。彼女、5mほどの長さの丸太の付け根50cm部分をもって振り回していた。回転速度はおよそ3回転/secか?この場合ちゃんと握ってないと丸太は時速152kmでぶっとんでしまう。なにせ丸太の末端には163Gもの遠心力がかかっているのだ。しかし、彼女はなんとその丸太を手の上で転がしているではないか。手の上で転がすには丸太の中心部を支点にせねばならんのに。これでは重さ約500kgの丸太があっというまにしのぶの手を離れて時速152kmで野犬に激突することは必至。脅す為に行為が殺戮行為になってしまった。更に遠心力で飛ばす場合、普通に飛ばすより目標は定まりにくいものである。つまりキツネに激突する可能性も少なからずあったわけだ。示威行為をする場合は必ず予行演習をしましょう。下校シーンにおいて、しのぶは化粧品店をウインドウショッピングしていた。その名も「OSEIDO」。「資生堂」のパロディである事は疑う余地は無い。このちょっと高級そうな店の靴拭マットには「Well COME」。こらこらこら!「L」が一つ多いぞ!!外資系メーカー商品を多く取り扱ってるであろう店にあるまじき失態である。この後しのぶは下校途中のあたると遭遇していた。ちょっとまて。彼女、あたるに会うまで、交番に寄って、ソフトクリーム食べて、化粧品店で大騒動を繰り広げていたはず。それほど道草をくっていたのになぜ下校途中のあたると出会ったのだ?あたるがしのぶ以上の道草(ま、ガールハントの確立高し)を食っていたか、しのぶが早退したかのどっちかであろう。番組後半久し振りに総番の登場。いつ見てもいいなぁこのキャラクター。肝付兼太氏の声はまさに適役。とてもスネオの声には聞こえん。銀河鉄道999の車掌の声には聞こえるけど。この総番、画面で見る限り20mを0.3秒で走っていた。なんと時速240km。あの体格にしてなんて身軽な奴。この総番爆走シーンではモブシーンのお遊びがみられる。この後151話で現れるスーパーデリシャス(中略)キッドの姿も。でも服装の色合いが違う為、どうやら彼は28号ではなさそうだ。また、総番においたてられ、傘を背後にかざして逃げる男の姿はまさに往年の人気者「襟巻きトカゲ」。と思ってたら丁寧に襟巻きトカゲ自身も彼と一緒に伴走してました。芸が細かい。更に総番にあってから画面アップになるまでのこの男の動きをスローモーションで見ると結構笑えます。しのぶが総番を投げて、彼が地面に落下するまでの時間は約26.6秒。途中のスローモーションを考慮にいれても15秒は経っているはずだ。すると総番の空中最高到達距離は275m。おーいおい。70F建てビルに迫る高さだなこりゃ。さらに地面激突速度は時速264.5km。総番(化け物)でなければ即死確実。また、総番の声が聞こえてからしのぶと遭遇するまでの時間は約37秒。総番は時速240kmで走っていたわけだから、最初の雄叫びをあげた地点はしのぶから2,466m離れていた訳だ。2.5km離れていてあの声量。近くにいた人は卒倒間違いなしこの後の教室のシーンで、キツネは諸星あたるに化けていた。その稚拙な化け方は誰が見ても一目瞭然。なのにしのぶは一瞬だがあたると間違えていた。幼馴染だろう一応。また、眼鏡を探す校長とその校長の眼鏡をかけるコタツネココンビの登場シーンは原作の雰囲気そのままで爆笑物だった。温泉がモップでどつかれるシーンから作画は久し振りの西島克彦氏。この人の絵はうる星初期からほぼ完成してたので、後期に入ってもそれほどの変化はない。しかしやはり丁寧で見やすく美しい。ラストシーンでは高橋留美子氏の短編漫画「笑う標的」の志賀梓の姿が。その体の回りにはご丁寧にも「餓鬼」まで描かれていた。第89話「はっぴいバースディ マイダーリン」でも彼は「笑う標的」を動画にしていた。好きだねぇ、西島氏も。なんにせよキツネの記念すべき初登場エピソード。あたるをラムにとられ、面堂ともしっくりいかないしのぶの活躍の場が新しく設定されたのだ。しのぶファンにとってはキツネが救世主のように思われたことであろう。


第146話 竜之介ボー然!わが子恋しや岩石の母!!
放送月日 1984.8.22
脚本 曽田博久
演出 西村純二
原作 19-3.4
作画監督 林隆文
独断評価 ★★☆
原画 富田悦子、門脇孝一、服部一郎、奥村志郎、斎藤格
田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、島田敏、西村智博、菊池正美、松井菜桜子、神代智恵、宗形智子
内容
(146話)
夏真っ盛り、若者達でにぎわう海辺の町。そこに場違いな雰囲気を醸し出す錯乱坊一人。村人の要請で妖怪退治にやってきたのだ。一方、あたる、ラム、面堂、しのぶは海水浴を、竜之介と竜之介の父は浜茶屋再建の資金稼ぎ等それぞれがそれぞれの目的で同じ海水浴場に集まっていた。そこで遭遇した美しき和装の人妻。岩石にすわる竜之介をみて思わずこぼした言葉が「私の子供・・・」。このセリフを聞いた竜之介の父は、家出した真砂子その人に違いないと確信。初めは信じられなかった竜之介も、その美しい顔立ちからは想像も出来ない人間離れした行動を見るにあたって自分の母親と確信、その胸に飛び込んでいくのだったが・・・。
感想
(146話)
夏恒例の、竜之介親子によるドタバタ劇。しかし前半の「間」が異常なほど悪い。竜之介の親父登場シーン、同じく彼によるシンクロシーンとそれにずっこけるあたる達の動き、ラムの「みんなで探しにいくっちゃ!」発言シーンとまわりのリアクション等、全てのテンポがずれていて全然笑えなかった。ひとえに冗長すぎるのが原因か?また、妖怪の母と遭遇するあたると面堂のそれぞれの「母」に関する妄想シーンも、緩慢で冗長。なんとかしてシュールでノスタルジックな世界を作ろうと努力しているのは良くわかるのだが、どうも視聴者にうまく伝わってなかったような気がする。逆にその雰囲気作りに力を込めるあまり、前半はストーリーの展開が殆ど無かった。とほほ。しかし後半、謎の母のシッポ発見シーンからいつものうる星のテンポの良さが戻ってきた。このラムがシッポを発見してあたるに振り返るシーン、コマ送りしてみることをお薦めする。振り返る刹那、ラムがなんとも不思議な表情を見せるのだ(大袈裟に書いてるけど、単にちょっと珍しい表情をするだけ)。また、竜之介にシッポがあるかどうか確かめてきたあたるに向って、竜之介は「諸星っ!」と叫んでいた。竜之介があたるの名前を呼ぶ珍しいシーンである。普段は「お前」で済まされてるからね。同じ場面、竜之介の前でひそひそ話するラムとあたるの表情も良い。特に思案顔のラムの表情が。また、母親の胸に飛び込んだ筈の竜之介が、化け物と遭遇するシーンの彼女の反応とそのテンポはまさに爆笑物。これくらいひつこく驚かれたら笑わずにはおれんだろう。ラスト、またもノスタルジックな描写が。ま、この妖怪の母親が万人にとっての「母」の象徴という意味もあるのだろう。全ての人々の胸に懐かしい想いをおこさせたまま沖に帰っていく妖怪親子。しかし彼らのスピードが感傷的な場面にも関わらず異常に速いのが問題。目測で最低3km程の距離をわずか14秒5程の早さで泳ぎ去っていた。秒速206.9m、時速にして744km・・・。さすが妖怪、優雅に立ち去っているようだったが、水面下では凄まじい水掻きをしていたようである。


第147話 怪談!!カラーンコローン女子寮!!
放送月日 1984.8.29
脚本 まるおけいこ
演出 鈴木行
原作 12-10
作画監督 森山ゆうじ
独断評価 ★★★☆
原画 奈良みつ子、津久井明子、市川吉幸、川名久美子、大滝友子、酒井啓史、広田麻由美、土器手司、森山ゆうじ
鷲尾真知子(おつう)、小山茉美(了子)、西村智博、島田敏、大城松美、神代智恵、松井菜桜子
内容
(147話)
夏の夜、牡丹灯篭をめぐる怪談をテンに聞かすあたる。さんざんテンをおどかした後、彼はジュースを買いに家の近くの自動販売機まで出向く。そこで聞こえてきた「からーん、ころーん」という物寂しげな音。まるでさっき自分がテンに語った怪談と同じような音ではないか。戦慄のあまり立ち尽くすあたる。そして彼の姿は消えていった。あたるの帰りが遅い為探しに来たラムは、自動販売機の前であたるのサンダルを発見。胸騒ぎを感じつつ一晩中あたるを捜すが見つけることができない。披露困憊のまま諸星家に帰るとそこにはやつれ果てたあたるの姿が。そしてその晩から毎晩、彼の謎の徘徊が始まる・・・。
感想
(147話)
うわあああああああ!懐かしい!本放送時の印象強き作品。そして・・・。怖かった。うる星をみて初めて「怖い」という感想を私にもたらした一遍。特に牡丹灯篭が現れる瞬間に発せられる「グワン」というBGMは、後々私の深層心理にまで影響を与えつづけた。早く言えばトラウマになったってことか?しかしこの、あたるの部屋であたる、ラム、テン3人が戯れるシチュエーションというのは、微笑ましくて私は大好きである。あたるの怪談を必死に聞くテンの姿、テンをおどかそうと必死で話を盛り上げるあたるの姿、そんな二人をあくびをしながらも温かく見守るラムの姿、全てが最高である。口では罵り合いながらも仲良くやってるあたるとテンの姿を見るのはラムにとっても最高の幸せだったに違いない。このあたるの怪談話に出てくる僧侶の服を着て坊主頭になっためがねの描写は、はまりすぎて恐ろしいくらい。こういうのが坊主になったら「破戒僧」と呼ばれるんだろうなぁ、錯乱坊と一緒に。またあたるが一人外に出て自動販売機でジュースを買う場面があったが、缶ジュースのプルタブの形状が今と違う。我々の学生時代は今の本体一体型のプルタブではなく(一回引き起こしてまた倒すと口が開く)、このあたるが飲んだ缶ジュースと同様の本体から完全分離型のプルタブだった。懐かしい。当時は、一回蓋を開けるとこのプルタブの処分に困ったものである。飲み干した缶の中に突っ込んでゴミ箱に捨てたりしたなぁ。閑話休題。翌朝の、あたる、父、母、ラム、テンによる朝食団欒のシーンも微笑ましくて良い。この後面堂があたるの動向を人工衛星「面堂スペシャル」で監視するシーンがあったが、面堂、相当あたるにコンプレックスを持ってるようだ。またあたるの様子を見るための、面堂の諸星家訪問場面で、彼はあたるの母にお土産としてスイカ一個を渡していた。さすが面堂財閥の御曹司。ここまでケチらんと金は貯まらんわなぁ。あたるの「パラダイス」発言で取り乱す彼の姿も◎。後半、了子の中学の女子寮における、テンへの催眠術シーンあたりから作画が変更。どうも土器手氏らしい絵なのだが、非常にディフォルメがされていて全キャラが幼く見えた。このように今回は実際の怪談をベースに物語がすすんでいったのだが、全体を流れる怪談らしいシュールさが、劇場映画版第二作「ビューティフル・ドリーマー」のBGMとあいまって絶大な効果を醸し出していた。またギャグ調で終わらせず、再度牡丹灯篭の姿を出したことで物語が完全に締まったものになった。このラストシーンが不気味で、当時マジで怖かった。さて今回の作画監督はあの森山ゆうじ氏。今回もスタッフの遊び心が炸裂、場面のあちこちに彼らのいたずらがちりばめられている。冒頭、あたるの「からーんころーん」という効果音を耳元でささやかれ仰天するテンの背後にはでっかい「ぎゃあ」という文字が。あたるを奪われ、頭をどつかれたラムのシーンでは一瞬、星の姿と椰子の木の絵が。仕事に失敗した錯乱坊の頭をラムがどつくシーンでは「ガビョン」の文字が。あたるを追跡しようとする錯乱坊におどかされたテンの右目にはギャグ調ラムと「ルン」の文字、左眼にはだっぴゃ星人による「TEN TV 本日の放送は終了いたしました」の文字が。更にその口の中にはでっかい「ギク」という文字が。女子寮の中で人形におどかされたテンの右目には「ユメ」、左眼には「みるぞ」の文字が。どれもこれも一瞬しか写らないので確認したければコマ送りでどーぞ。多分皆さんとっくに知ってることと思いますが。こういった遊びも含めて今回は本当に面白い話でした。


第148話 プール妖怪!許されぬ恋に燃えて!!
放送月日 1984.9.5
脚本 土屋斗紀雄
演出 向後知一
原作 19-7.19-1
作画監督 加藤鏡子
独断評価 ★★★☆
原画 高木弘樹、原博、柳田義秋、高峰由恵、久米一成
八奈見乗児(プール妖怪)、西村知道(校長)、西村智博(こたつネコ)、松井菜桜子、大代松美、神代智恵、安宅誠
内容
(148話)
面堂家マリンパークに招待されたラムとしのぶ。それについてきたあたるとテン。そこでラムによるテンの恐怖の水泳特訓が始まる。ラムの特訓の恐ろしさを知っているテンは必死で逃げるがあたるにつかまってしまう。魚型のスイミングマシーンから必死で逃げまくるテン。勢いあまったラムはその機械をあたるにつけてしまう。テンのかわりに地獄の特訓を課せられたあたるは女の子を利用してなんとかノルマをクリアする。その夜、一般公開終了後水族館に現れたあたる、ラム、面堂、しのぶ。そこで以前にあったことのあるプール妖怪と再会する。ふぐとの報われぬ恋に対して、強引にあたると面堂に助けを乞うのだが・・・。
感想
(148話)
これも本放送の印象濃き一遍。原作が二話分あるためかなり原作に忠実。BGMとして平野文さんの「ふしぎきれい」が初めて本編中に流れる。冒頭、ラムに巨大バーベルをくくりつけられて水中に沈められるテンの姿がかなり哀れ。水中恐怖症の私としては恐ろしいシーン。テンを陥れたはいいけど、一人きりになったあたるが孤独になって、結局ラムとテンの特訓に付き合うシーンが何となく良い。スイミングマシーンを付けられたあたる、逆流する力に必死で抵抗して前方方向に進んでいた。逆流時のスピードはおよそ時速38.3km。その後必死で前進する彼のスピードはおよそ時速2.9km。つまり彼は時速41.3kmで泳いでいたことになる。水泳世界最高記録を時速に直すと8km。あたる、世界記録保持者の5倍の速さ。陸上の最速スピードでも時速は37km。全力で走る往年のカールルイスを水泳で追い抜く諸星あたる。ラスト100mは更にスピードアップ、差し引き時速43.1kmで泳いでいた。凄いとかいうレベルじゃねーなこりゃ。このノルマをクリアする為、あたるはプールにいた女子3人組に声をかけ、仲良く鬼ごっこを楽しんでいた。意外ともてるじゃないか、諸星あたる。また、あたるが狙うブラを手にしたラムの表情が◎。後半からは別のエピソード。こういうパターンは初期うる星を髣髴させて懐かしさを感じる。ここからは第57話「悲しき妖怪人恋しくて」で初登場したプール妖怪が主役。ベテラン八奈見乗児氏、今回もいい味を出してます。自分の水族館で再びプール妖怪に出くわした面堂の反応が爆笑物。水中に入ったあたると面堂、空気を吐きすぎたため55秒ほどで酸欠状態になっていた。空気補給の為水上に出ようとするもプール妖怪に引きとめられる二人だったが、この酸欠状態からさらに1分50秒ほど水中にいた。溺死してもおかしくない時間だ。だから水中窒息恐怖症の俺はこういう描写がつらいんだって。キャラと一緒に息を止めてしまうから。ラスト近く、プール妖怪の買主がテンの前を走っていく場面で、テンが「いつかのポチ2号のやつやんけ」とつぶやいていたが、プール妖怪が「2号」になったということは、テン知らんはず。案外いい加減なやつである。この他、鮫に往復ビンタを喰らうあたる面堂や、プール妖怪に無視されつつ鮫とバトルを続けるおなじくあたる面堂の姿が爆笑物。今回も、作画、テンポともに全く文句の無い出来だった。


第149話 ランちゃんパニック友引町に明日はない
放送月日 1984.9.19
脚本 浅野祐美
演出 鈴木行
原作 オリジナル
作画監督 山本直子
独断評価 ★★★★
原画 高橋資祐
小宮和枝(ラン)、田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、池水通洋(温泉マーク)、西村知道(校長)、鷲尾真知子(さくら)、西村智博(こたつネコ)、島田敏
内容
(149話)
亜空間にある星のアクセサリー店「ハッサン商会」にやってきたラン。レイへの贈り物として「超新星」のカケラを購入する。喜び勇んで帰宅途中、躓いた拍子にそのカケラを落としてしまう。それを偶然手にしたこたつネコ。食べ物と思って口に入れるが、噛み砕くことが出来ず、とりあえず口の中に保管しておくことに。そんなことも露知らぬランは、学校に到着、袋の中に入ってると思い込んでいる「超新星」のカケラをひとしきりラムに自慢して教室に。授業も上の空、カケラを入れている袋を取り出して中をあらためた時、初めて袋に穴が開いていること、さらにそこからカケラが落ちてしまったことに気付く。てっきりラムの仕業だと確信して、授業中も何のその、絶叫しつつラムの教室に踊りこんだランは、訳がわからないラムを問い詰めていく。ラムにあらぬ罪を着せられていることを遺憾に思った4人組は即行動を開始。その「超新星」のカケラを見つけてラムの無実を証明しようとする。カクガリ、チビは、ラム、ラン、あたるを追跡、メガネ、パーマは、変装してランの教室に乱入、「この教室に爆弾が仕掛けられた」と大嘘を告げ、授業中の生徒を全て追い出して教室中をくまなく探し出す。一方面堂も、自分の施設軍隊の出動を要請、4人組同様ラムの無実を証明する為、カケラ探しに奔走する。一方こちらはラム、ラン、あたるの一向。町内をくまなく探すランに向ってラムが聞く。「その超新星のカケラ、シールドしてあるっちゃ?」「ううん、まだよ」。平気で答えるラン。その超新星のカケラは、シールドせずに亜空間以外の空気に長時間触れさせると、膨張を始め遂には本当の超新星になって友引町をひと飲みしてしまうという。真剣な形相のラムから以上の事実を知らされたあたる、パニック状態になりつつ町の交番に乱入、そこの警官に事情を説明する。しかしその場にいたおばはん、また諸星家の息子が騒動を起こしたと早合点、あらぬ噂を絶叫しつつ町民へ知らせにいく。噂が噂を呼び、遂には「諸星家の息子が爆弾を手に、言うことを聞かねば町を爆破すると脅迫している」というむちゃくちゃな流言が巷に流布してしまう。完全にパニック状態に陥った友引町。怒りの矛先は全て諸星あたるに。諸星あたるを追いかけつつ逃げ惑う町の人々。時はいつしか既に夕方。大気にさらされたままであろう超新星が爆発を始める時間が近づいてきた・・・。
感想
(149話)
ああ、懐かしい。これも本放送時をよく覚えている。内容の異色さ、スケールの大きさ等で非常に印象に残っている。冒頭のハッサン商会の場面は、異次元空間の不気味な雰囲気が画面全体に現れていた。とくに売り物である「星」について説明するくだりは、視聴者の多くに異次元感覚を与えてくれたであろう。ランがラムにアクセサリー窃盗の容疑を突きつける場面の、4人組、面堂、しのぶのリアクションが爆笑物。それぞれの個性が非常に生かされていた。しかしいくらラムの無実を証明するからといって「爆弾狂言」はいきすぎだろ、メガネ。いくら黒めがねをかけて刑事風に変装しても、夏服の制服きとったら学生と即バレだぞ。それでも信じてしまう2年7組の生徒達。ま、爆弾となれば90%狂言とわかっててもそら逃げるけどね。番組中盤、竜之介の父がこたつネコにアイスクリームを売るシーンがあった。ホームランバーみたいなやすっぽいアイスがなんと100円。暴利だぞ、おやじ。私の子供の頃は30円だったが。しかも当りつきで。しかし炎天下のなか自転車で浜茶屋再建資金の為金を稼ぐおやじ。けっこう真面目に働いてるじゃないか。ちょっとだけ感心。別の場面、ラム、ラン、あたるが道端で超新星を探すシーンがあった。そこでのランによる「どっかーん!」の表情の変化は必見もの。とくに「どっかーん!」といい終わった後の顔の変化が微妙で笑える。爆弾さわぎの2年7組の教室を必死で捜索するメガネ、パーマに対して、校長は「感心な生徒もいるものですね」と語っていた。すくなくとも校長はこの爆弾騒ぎが狂言だと知らないはず。するとそんなところで素人が爆弾探索することがいかに危険であるか認識していたはずだ。感心してる暇があったら避難させろ。場面は変わって諸星家。孤独そうなこたつネコをテンが必死で接待していた。麦茶をだそうとしてキッチンに向かい、茶の間に戻った頃にはすでにこたつネコの姿はなかった。その間番組的にはたかだか1、2分の時間の流れ。たったそれだけの時間を待てずにこたつネコは姿を消したのか?いやいや問題の解決の鍵はテンのもってる麦茶にあった。こたつネコを茶の間に残し、キッチンの冷蔵庫から出した麦茶は3分の1程の量しか残ってなかった。次に茶の間に現れたテンの手に握られている容器には、麦茶が4分の3ほどに増えていた。テン、麦茶を沸かしていたものと思われる。1リットルほどの水を沸騰さすにも最低5分はかかろう。更に冷まして容器に入れるなら氷水に浸しても10分以上はかかろう。15分の間茶の間に一人きりのこたつネコ。そら誰だって退散しよーて。番組後半は、初期うる星を髣髴させるどたばた劇。とくに、「諸星家の息子さんがまたなにかやった!」と近所の噂好きおばはん連中が叫ぶパターンはもろにうる星初期のパターンだった。しかしこの勝手に何でも決め付ける恐ろしいおばはんの群集心理は筒井康隆氏の世界に通じるものがある。そんなパニック状態のなかでの面堂による「星飛雄馬」騒動はあまりに馬鹿馬鹿し過ぎて逆に面白かった。ラスト、疲れ果てたあたるを含む町民が、河川敷で力尽きているシーンは何故か非常に印象的だった。今回の映像は何かと初期うる星を髣髴とさせていた。それもそのはず作画監督は山本直子氏、さらに絵コンテ、作画は高橋資祐氏。高橋氏はうる星アニメ放送第一回から作画として参加している。そして今回の作画監督の山本氏は、高橋氏が絵コンテ、作画監督等をするときにいつも作画として参加していた。この二人の息のあった映像が初期うる星らしいスピード感あふれる作画を生み出したのであろう。とにかく面白かった。


第150話 愛のすみかはいずこ?栗子と長十郎
放送月日 1984.9.26
脚本 柳川茂
演出 吉永尚之
原作 20-3
作画監督 遠藤祐一
独断評価 ★★★☆
原画 河南正昭、丹沢学、遠藤祐一
田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、池水通洋(温泉マーク)、西村知道(校長)、鷲尾真知子(さくら)、西村智博(こたつネコ)、玉川砂記子
内容
(150話)
課外活動として梨園にやってきた友引高校の面々。その梨園の片隅に報われぬ恋に心を燃やすカップルがいた。栗の栗子と梨の長十郎である。自ら動くことのできない彼らはいつも見つめあうだけで満足していた。しかし、あたるにぶっとばされたテンによって栗子は栗の木から切り離されてしまう。あわてて栗子を追おうとした長十郎だが、自らの力では枝から体を切り離すことも出来ない。絶望に沈んでいる時にラムの手が。偶然ラムによって切り離された長十郎は、近くにいた諸星あたるの体に乗り移って栗子探索に向う。一方栗子もテンの体に乗り移って長十郎を探し始まるのだが・・・。
感想
(150話)
冒頭のこたつネコと錯乱坊による月を眺める場面はアニメオリジナルシーン。このゆったりとしたメルヘンチックな雰囲気はピエロ時代には見られなかったディーン独特のもの。ところで錯乱坊、「まさか?まさか?」と叫んでいたが、なにを疑っていたのだろう?酒を取られたこたつネコが復讐すると思ったのか?あたるの部屋の押入れで仲良く寝るラムとテンの姿が印象的。さらに寝言であらゆる種類の女の名前を呼び、最後に「ついでにラム・・・」と呟くあたるの姿も印象的。更に更に寝惚けて凄まじい放電をした後のラムの耀く姿も印象的。「寝惚けて放電するくらいならUFOに帰れ!」とのあたるのセリフはまこともって最もだ。翌日の寝不足気味のあたるを見るラムの表情は必見である。課外授業で梨園に向うバスの中で、2年4組の生徒が「パジャマじゃまだ」を熱唱するシーンがあったが、高校二年にもなってこんな歌をクラス全員でアカペラで歌うとは・・・。この「パジャマじゃまだ」のオープニングが今回限りで終了するというのも何か象徴的である。梨をあたるにぶっつけたラムのセリフ、「そんなつもりじゃなかったっちゃ!」と、それに対する女生徒A「そんなつもりじゃなかったですって」女生徒B「他にどんなつもりがあったのかしら?」は爆笑物。栗子に取り憑かれたテン、その喋り方はDr.スランプの「皿田きのこ」そのもの。今回は久し振りにメガネの長口舌が聞ける。そのメガネとあたるが抱き合った姿をみたラムの怒りの表情は◎。更にそのラムの近くにいる面堂の表情も目立たないが必見物。逃げるあたるとメガネを追い返るラム、最後あたるに逃げられメガネに飛びついて電撃を食らわせてしまう。しかし見よ!メガネの表情を。どんな状況であれラムに抱きつかれたという事実が彼の苦痛の大半を奪い取ったものと思われる。まさに至福の時であろう。前半、あたるにラケットでぶっ飛ばされたテン、34秒かけて空中を吹っ飛んでいた。この運動方向を垂直方向に直すと、秒速166mのインパクトを受け、上空1,400mまで打ち上げられた衝撃を上回る。時速600kmでテンを叩き出したあたるのスイングスピードは更にそれを上回っていたものと思われる。なんという運動能力。そしてそんな破壊的な衝撃力を喰らったものの、栗に取り憑かれた瞬間立ち直ったテンの回復能力。なのに、この後あたるに、うる星としては比較的地味な技、ボディプレスを喰らって、手足を脱臼していた。強いのか弱いのかよーわからんやっちゃ。この後、体中包帯だらけになりながらも律儀にあたるの部屋の押入れで療養するテンの姿がいじらしかった。UFOの方が治りがはやかろうに・・・。このあたるのラケットによるどつきシーンと、ラスト近く、栗子に取り憑かれたこたつネコにあたるがぶっ飛ばされるシーンから作画は河南氏が担当したと思われる。この人の作画を含め、今回の絵は非常に丁寧で綺麗。また内容も原作に結構忠実でテンポが良く面白かった。こういった人格入れ替えの話はギャグ漫画ではよくあるパターンなんだけどうる星のは特に面白かった。ひとえにそれぞれの人物描写が確立されているからであろう。しかし、ラストの、狂ったメガネを説明するナレーションに「言語障害をきたし」というセリフがあったが、今じゃ放送できんだろうな。ってな訳で、遂にうる星やつら第六期も終了!いよいよ第七期に入ります!!

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