うる星やつらテレビシリーズ第八期データ
11/30更新

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※全て敬省略、すんません。
※原作の「1-1」表示は、小学館コミックス1巻1話目を表しています。
※「感想」は管理人deaconの独断と偏見によるものです。あしからず。

第173話 帰ってきたヨロイ娘!お兄様がいっぱい
放送月日 1985.4.3
脚本 曽田博久
演出 鈴木行
原作 23-3.4.5
作画監督 森山ゆうじ
独断評価 ★★★
原画 丹沢学、服部一郎、河南正昭、浜田勝
田中真弓(竜之介)、池水通洋(温泉マーク)、島本須美(飛鳥)、島田敏(飛麿)、梨羽由気子、大塚智子、西村智博、菊池正美、立木文彦、大城まつみ
内容
(173話)
一日の修練を終え、一人風呂で疲れを癒す水乃小路飛麿。するとなにやら脱衣所が騒がしい。嫌な胸騒ぎに怯える飛麿。予感は的中、異常な教育の為、実の兄を愛するようになってしまった妹飛鳥が全裸で風呂に乱入してきたのだ。飛鳥としてみれば、好きな人と風呂に入るわけだからなんのためらいもない。一方兄の飛麿は一般常識を持ち合わせている為飛鳥の愛情を素直に受け止めることはできない。婦女子の裸を見たことによる鼻血全開及び飛鳥の抱擁によるあばら全壊のため重傷を追った飛麿は、実の兄弟の正しいあり方を飛鳥に必死に説明するのだが、今一彼女は納得していない。事の次第を憂いた飛麿の母は、荒療治とばかりに友引高校の面堂終太郎へ飛鳥を使いに出す。甲冑を着ているとは言え、男子生徒が大量にいる友引高校に恐れをなす飛鳥。案の定男どもにかこまれパニック状態になる飛鳥。逃げてたどり着いたところは事もあろうに竜之介の膝の上。その容姿から竜之介を男と信じ切る飛鳥は、またまた「おとこーっ!!」と絶叫しながら竜之介を突き飛ばす。その飛鳥の言葉に逆上した竜之介は、自分が女であることを飛鳥に必死に伝えようとするのだが…。
感想
(173話)
飛鳥半年振りの登場。初登場から結構間があいていたんだな。原作における衝撃的な飛鳥登場シーンは、アニメではかなり自粛されていた。さすが全国放送、視聴者の影響力を考慮に入れてたんだなあっぱれあっぱれと喝采したのもつかの間、ラストシーンではそんな私の浅はかな賞賛は灰燼に帰してしまった。真相としては、ラストシーンの衝撃度を強める為、冒頭シーンはかなり抑えたものとなったのであろう。飛鳥に対して必死に正しい兄弟のあり方を説明するトンちゃんの困った顔がなんともおかしい。翌朝、飛鳥は母が夜なべして作った新生甲冑にて友引町に出向いていった。たとえ財閥の大奥であっても、娘の衣装は母が手作りするものと思われる。たとえそれが、布、糸、針といったオーソドックスな夜なべ道具ではなく、鋼鉄、接合バーナー、ハンマーといった道具であったとしても。どんな格好してつくったのか是非とも現場を見てみたいと思った。学校シーンでは温泉マーク久しぶりの登場。本当めっきり影が薄くなってしまって…。ところであすかを発見した女生徒が温泉マークに報告していた時間は職員室の時計で1時ちょうど。その後、飛鳥捕獲の校内放送が流れたのが校舎時計台の時計で12時58分。友引高校の時計、著しい狂いである。もしその時計が両方とも正しいのであれば、飛鳥捕獲作戦放送の後、あすかが発見されたことになる。なんという本末転倒、泥縄か。それとも午後一時飛鳥発見、その11時間58分後の夜中12時58分に校内放送が流れた可能性も見過ごせない。というか見過ごしたい。この後、ラムから「飛鳥は面堂の許婚(いいなずけ)」発言を聞いたしのぶが表情を変え、何かたくらむ顔つきをするシーンがあった。しかし、アニメ版のしのぶ、時々こんなおせっかいで嫌な顔をすることがある。原作のしのぶファンとしてはこういうシーンがちょっと辛い。そのしのぶが飛鳥から面堂宛の書状を奪い、逃走するシーンはアニメオリジナル。どこから取り出したか、奥様自転車で校内を疾走するしのぶの姿は爆笑モノ。その飛鳥にあたるが迫るシーンで、一瞬あたるを見て、状況判断するまでの飛鳥のしぐさも爆笑モノ。また勢いがつきすぎた二人が面堂めがけて突進していくシーンにおける飛鳥の表情は原作にないレアなものとなっている。更に、その勢いをとめんが為、壁に足をつくしのぶの「くっ、うっ!」という気合の入った声とその姿勢(セーラー服での超ガニ股)、そして同じような声を出してそのまま壁をぶち破る飛鳥の淡々とした表情がなんとも言えず良い。また、怖がる飛鳥をなだめようと必死で作り笑いをする竜之介の顔が悪代官そのもので大笑いしてしまった。本当に不器用な奴である。その飛鳥が竜之介の胸へ飛び込んでいくシーンにおける彼女の加速シーンは必見。うろたえる竜之介の姿も同様に必見。そして画面はラストの水乃小路家のシーンへ…。って、おいまて。原作では、竜之介の胸に飛び込んだ飛鳥が、竜之介の胸のさらしを、飛麿のあばら全壊による胸の包帯と同一視し、竜之介もまた飛麿、面堂同様「お兄様」と勘違いするエンディングだった。なのにアニメではこの物語の根幹をなすこのシーンが省かれていた。せっかく母による樹上のネタふり「ほらお兄様の胸の傷もまだ癒えていない」もその効力を果たすことがなかった。しかも今回の題名を見よ。「お兄様がいっぱい」となっとるのに…。なんではしょるかなぁ、こんな大事な場面。このラスト及び、しのぶのちょっかいシーンをのぞけば、非常に原作に忠実で完成度も高かったのに。ちなみに今回の作画監督は久しぶりの森山ゆうじ氏。同じく半年前の飛鳥登場時以来の監督作品。この絵も非常に完成度が高かった。特に飛鳥としのぶの疾走シーン、及び壁ぶち抜きシーンの迫力は特筆ものだった。しかしこの二人、物凄いスピードで長時間に渡って廊下を直進していた。しのぶは奥様チャリといえど全力疾走していたのにである。飛鳥もあの重い甲冑を着ているときでさえ100mを11秒フラットだった(時速32.7km)。つまりこの二人どんなけ遅く見積もっても時速30kmで疾走していたものと思われる。その疾走時間およそ1分。よってその走行距離500m。なんと長い直線距離をもった廊下であろうか!!あのいつもみせている友引高校正面図から推測するとその横幅はどんなに大きく見積もっても50mであろう。するとこの友引高校、我々の想像を絶する奥行を有していることがここで暴露された。しかし相当いびつな形であろう事が想像される…。


第174話 退屈シンドローム!友引町はいずこへ!?
放送月日 1985.4.10
脚本 井上敏樹、山崎和男
演出 鈴木行
原作 25-5
作画監督 土器手司
独断評価 ★★☆
原画 丹沢学、服部一郎、河南正昭、浜田勝
鷲尾真知子(さくら)、池水通洋(温泉マーク)、土井美加、西村智博、立木文彦、
内容
(174話)
季節は春。なんとなく物憂げな日常に退屈を感じるメガネ。授業も春の陽気に当てられて、多くの生徒が睡眠モードに。当然諸星あたるも例外ではない。夢の中でたった一人教室に取り残されたあたるは、スクリーンとなった黒板に映し出された美女の映像に心動かされ黒板の中に入っていく。そこで温泉に起こされたあたるは、寝ぼけ眼のまま温泉のネクタイを締め上げ、温泉からこってり油を絞られる。昼休み。面堂に対してパラレルワールドの解説をするしのぶ。彼女曰く「この世界は非常に危ういバランスによってなりたっている、そのバランスはヒロインの涙がきっかけとなってたやすく崩れてしまうもの」だと。ちょうどその時、春の風によって運ばれたゴミが目に入ったラムは、咳き込みながら涙を流していた。このラムの涙によって何かのバランスが崩れていく。その晩、風呂上りに、誤ってラムの目薬を飲んだあたる。そしてそれを呆然と眺めるラムのシルエット。映像が残照となってずれていく。翌朝からさらに世界は奇妙な様相を呈し始める。昨日の白昼夢のあたるが現実世界に飛び出してきてパニックになる教室。原因究明に乗り出したあたる、面堂、しのぶ、さくらを襲い掛かるそれぞれの残照の大群。そして天空に突如現れたもう一つの友引町。この異常現象のそもそもの原因は、日ごろから非常識極まりない行動をとるあたるにあると確信しためがねは、この異常現象の打開策のため、あたるに更に非常識な行動をとれと命令するのだが…。
感想
(174話)
出た!アニメ版「うる星やつら」お得意のパラレルワールド及び不条理な世界。一応原作25巻第5話「更け行く秋のイモの悲しき」のエピソードも盛り込まれているが、ほぼ全編はアニメのオリジナルである。現に、サンデーグラフィック「うる星やつら完結編」の「まんがVSアニメタイトル対比表」でも、25巻第五話部分に該当するアニメタイトルは記載されていない。内容は一年前の同時期に放送された第130話「異次元空間 ダーリンはどこだっちゃ!?」や、劇場映画版第2作「ビューティフル・ドリーマ」を足して2で割ったようなものか?冒頭のBGMが更に「ビューティフル・ドリーマー」を喚起させていた。今回久しぶりにメガネが活躍。早朝の彼による独白シーンはメガネの面目躍如足るものだった。「古新聞の数だけ退屈を背負い」は、けだし名言である。サクラ吹雪のなかあくびしながら二人仲良く登校するあたるとラムの姿が印象的。この場面はまさに「異次元空間」を髣髴とさせていた。また、どこかの丘からかサクラ越しに友引高校を見下ろすシーンは、この一年後の劇場映画版第4作「ラム・ザ・フォーエバー」を思い起こさせる。あたるの夢場面に頻繁にでてきた「KGFI」の文字の由来はなんだろう。謎である。このあたるの夢のシーンの絵柄はまるでわたせせいぞう氏のハートカクテルそのもの。そのアートな絵柄とミスマッチする着物姿の少女と市松人形。微笑ましい絵なのだが、何故か山岸涼子氏の「私の人形は良い人形」を髣髴とさせ少し怖い…(この作品は、漫画の中で唯一私を本当に怖がらせた名作。必見)。この後の、青空を眺めるコタツ猫とその目にうつる青空が綺麗で印象的だった。また、面堂に見られまいと口いっぱいに頬張ったハンバーガーを一気飲みするしのぶの表情とパニック振りが爆笑モノ。ところでこのしのぶの右隣にいた女生徒は、あたるが黒板に入っていくのを目撃した少女なのだろうか?しのぶのパラレルワールドの話をおだやかに聞く面堂の表情がやさしい。手に刀は握られてるけど…。こんな時くらい刀から手を離してはいかがか?はたまた精神不安定を取り除く為の幼児期におけるぬいぐるみのようなものか?この後のラムの涙シーンから、原作25-5のエピソード。原作ではイモの煙にむせるのだが、アニメでは、土ぼこりに変わっていた。ま、春だからね。しかし原作のあの名作エピソードをなぜオリジナルの一部分意組み込むのだろう。これはこれで一本分のアニメエピソードを作って欲しかった。夢の中でラムに必死であやまるあたる、及び、眠りから覚める直前まで枕を涙で濡らす彼の姿はまさに胸に迫った。そんな夢を見たせいか、いつになくやさしく(それでも意地っ張りな姿勢で)彼はラムに別のジュースを弁償していた。そのジュース良く見るとなんと「OFF SIDE」!なななななな懐かしい!!これってコカ・コーラが出してた奴だったけか?確か当時ライム味と、もう一つの味の二種類が出ていたと思う。結構流行ってて、私も大好きだった。いつのまにか無くなってはいたが、まさかこんな所で再会するとは…。このあたるからのジュースを受け取るうつろなラムの表情はかなり印象的。さらに怒鳴るあたるにまなじりを上げつつ涙をこぼすラムの表情も、原作に非常に忠実で更に印象的。原作ではこの後もラムの涙にまつわる因縁をラストまで引っ張るのだが、アニメではここであたるが飲んだジュースがラムの目薬であったことを暴露。オリジナルストーリーへと導入していく。勿体無い…。この後の、異変がエスカレートしていって、友引高校や友引町が完全に廃墟になる場面はまさに「ビューティフル・ドリーマー」そのもの。この廃墟の友引高校で面堂、しのぶ、あたるがさくらに遭遇シーン、よく見ると面堂の顔が異常に小さい。そしてサクラの顔が異常にでかい。面堂、さくらそれぞれを別々に見ると別に違和感はないのだが、こうして揃ったところを注視すると違和感たっぷりである。グランドに出た彼らが、天空の友引町を見上げる場面はそのスケールの大きさに呆然。また多数のあたるが輪になって相談するシーンも壮観。さらにそのあたるを見つめるメガネの情けない表情も爆笑モノ。そしてラストシーン。全然事態は収拾せず、非日常的な毎日が繰り返されるのだが、非日常的であれそれが毎日続くと結局日常の一部となり、そこからまた退屈が発生するというなにやら哲学的な匂いを漂わせて幕が閉じる。うーむ。確かにテーマは面白いのだが。こんな壮大なテーマを取り扱うにはあまりにも時間が少なすぎた(本編22分)。あらゆるジャンルのテーマを盛り込みすぎて消化しきれていなかった感が強い。もったいないけれど。ただ、作画は今回かなり秀逸だった。作画監督はお馴染み土器手司氏。非常に原作に近い絵を丁寧に描いていた。デッサン力の勝利であろう。


第175話 あやうしラン!コタツ猫の初恋オデン!?
放送月日 1985.4.17
脚本 土屋斗紀雄
演出 吉永尚之
原作 25-4
作画監督 アベ正巳
独断評価 ★★★
原画 所智一、山本正文、中村悟、山田展彦、菊地由行
小宮和枝(ラン)、池水通洋(温泉マーク)、西村知道(校長)、玄田哲章(レイ)、西村智博(コタツ猫)、峰あつ子、石田光子
内容
(175話)
レイとの相思相愛のため、惚れ薬を仕込んだオデンを作るラン。そのオデンを匂いに釣られてやってきたコタツ猫に食べられてしまったからさあ大変。目の中にハートマークを作ってランを追いかけるコタツ猫。必死で逃げるラン。その尋常でないコタツ猫の態度に恐れをなしたランは、ラムに仲介を頼んで始末をつけてもらおうと思うが効果なし。こうなれば我が身を守れるのは自分だけとばかりに、近寄るコタツ猫に対して重火器の攻撃を繰り返すラン。しかし、全くひるむことなくランに近づこうとするコタツ猫。困惑しつつも、この惚れ薬の威力を思い知ったランは、再びオデンを作りレイに食べさせようとするが…。
感想
(175話)
またまたコタツ猫が主役級の活躍をするエピソード。最近は完全にレギュラーと化し、生半可な他のレギュラー陣よりはるかに存在感をあらわにしている。しかし台詞がない…。キャラクター上仕方がないことだが、コタツ猫役の西村智博氏にとってみれば物足りなかったであろう。冒頭のメガネによる銭湯論は、いかにも彼らしい独断と偏見に満ち溢れていて笑える。彼にとって中流意識とはなんだったのだろう。またプロレタリアートとは?直接聞きたくも彼はアニメのキャラクター。しかし彼に最も近いメガネ役の千葉繁氏に聞けば何かの糸口は与えられるであろう。昔(87年頃)、うる星やつらファン大会にいって、生の千葉氏を見たとき、そのメガネそのもののキャラクターに瞠目し喜んだものである。銭湯に一万円を持ってくる他の三人に対して説教するメガネ、彼も1万円を番台に差し出していた。悲しい男の性(さが)である。ここで一風呂浴びたコタツ猫登場。冒頭、タバコ屋のシーンも含めて、彼は完全に友引町という一つの社会構造に組み込まれているようだ。しかし銭湯に入ってて横にあんな化け猫が一緒に湯船に使っていたら相当威圧感があるだろうに。他の客から一切クレームがないというのも友引町民の心の広さを良く示している。場面は変わってランのUFO。またこのオデンが美味そうなんだ。惚れ薬である「こましだけ」はちょっとグロテスクだけど。仕上げにオデンを煮込み続けるランがシャワーからお湯を出す為、蛇口を右方向に回すシーンがあったが、ラン、普通そっちに回すとお湯は止まると思うのだが…。文化の違いか?となるとランやラムは地球にきたとき相当蛇口に戸惑ったと思われる。コタツ猫にオデンを食べられたラン、コタツ猫の愛情一杯の視線を避ける為、タオル一枚姿で町へ逃亡していった。若い娘がなんと破廉恥な。それにいくら春といっても湯上りにタオル一枚で外にでると確実に風邪を引くぞ。彼女の逃亡中、一般家庭の応接間に乱入するシーンがあったが、その一家の母親は子供の名前を「かずお、じゅんじ、いく、なおゆき!」と読んでいた。これはそれぞれ、チーフディレクターのやまざきかずお氏、演出の西村純二氏、脚本の吉永尚之氏を指しているものと思われる。ならば「いく」は?確信はないのだが、アシスタントディレクターの鈴木行氏の可能性あり。殆ど全裸状態で町を闊歩するラン、偶然居合わせたラムの背中にのってコタツ猫から逃げていた。このランに突如またがられたランの顔が一瞬とんでもなく変形していた。目が恐ろしく釣りあがった映像があったのだがこれはちょっと怖い。この後の、銭湯煙突の頂上でのラムとランのやりとりは笑えた。ランの口真似をするラムの口調が最高に面白い。昔(86年頃)、この回の話のカセットテープ(ビデオではない)を友達から借りて聞いたときは、一瞬ランの声だと思ったほど。ランに会う為、必死で階段を上ってくるコタツ猫を避けるべく、煙突の内側に隠れて、二の腕だけで体を支えるランの姿も爆笑モノ。まるでプロジェクトA子を髣髴とさせていた。そう、さすが西島克彦氏、なんて丁寧な絵なんだと感心していたのに。エンディングのクレジットに西島氏の名前がないのは何故だ!!この前半の絵は明らかに西島氏の絵だろう。しかも前半の大半はこの人の絵柄だったから、第105話前半パート以来、久しぶりの作画監督作品だと思っていたのに。ということは、森山ゆうじ氏のように、変名を使って作画に参加していたのだろうか?ううむ、かなり謎である。この煙突頂上部分でのラムとコタツ猫の話し合いは15秒ほど続いていた。なのにラムからランへのコタツ猫の言伝(ことづて)は「好きだ、食べてしまいたい」だけだった。これだけ話すのに15秒もかけるとは。やはりコタツ猫、よくわからん奴である。その言伝を聞いたラン、ショックのあまり煙突内部へと落下していった。その姿が消えるまで約6.7秒。高さにして約220m。銭湯の煙突としてはべらぼーに高い。これじゃ煙突掃除も命がけである。しかしいくら水の中とはいえ、時速236kmで激突するとかなり痛いのではないかラン。この後、タオル一枚でびしょびしょになりつつ激昂しながら銭湯を出て行った彼女。どうやって家まで帰ったのか非常に気になります。後半から作画は一変。多分作画監督アベ正巳氏の絵なんだろう。非常に丁寧に描かれているものの、前半の作画とあまりに質が違いすぎる為、かなり違和感があった。コタツ猫から逃亡すべくランチャー砲をぶっぱなすランの姿や、崩壊していく友引高校の姿は秀逸。また、コタツ猫の機嫌をとる為、泣きながら頬擦りするランの表情も爆笑モノだった。いくら攻撃を加えてもいっかな平気なコタツ猫に仰天するランの目に、一瞬「がち」「ょん」の文字が浮かんでいた。しかしすでに死んで化け猫になってしまってるコタツ猫に対しては、現実の武器なんて効かないであろうに。哀れなランである。ところで最後にタイトルについて疑問点が。「コタツ猫の初恋オデン!?」となっているが、コタツ猫は確か生前(江戸時代あたり)に初恋を済ましていたはずだが…(第74話「階段に猫がおんねん」)。ま、この、雌猫に恋焦がれるシーンはアニメオリジナルのもので原作にはなかったからなぁ。


第176話 またまたヨロイ娘登場!嵐をよぶデート
放送月日 1985.4.24
脚本 島田満
演出 森山雄治
原作 24-7.8.9.10.11
作画監督 森山ゆうじ
独断評価 ★★★☆
原画 津久井明子、川名久美子、奈良みつ子、福島喜晴、伊東浩二
島本須美(飛鳥)、島田敏(飛麿)、梨羽由記子(飛鳥の母)、小山茉美(了子)、西村智博、高宮俊介、立木文彦、菅原正志、菊池正美、大城まつみ
内容
(176話)
あいもかわらず極度の男性恐怖症及び、ブラコンの飛鳥に、正しい男女交際を叩き込もうとした飛鳥の母。その序章として、実の兄と勘違いしている為、怖がらずになついている面堂終太郎とのデートの決行を飛鳥に伝える。面堂のボディガードもつとめる面堂家サングラス部隊は、男性恐怖症の飛鳥を気遣って全員男に見えない扮装しながら終太郎を警護。しかしこの陽気、暑さの為飛鳥の前で扮装をとく隊員が続出、飛鳥は極度のパニック状態に陥ってしまう。男だらけの面堂邸から必死に脱出しようとする飛鳥。そこにラムが現れて、その手助けとして戦車を提供する。その戦車の装甲をはがして自家製甲冑を作る飛鳥。その飛鳥の消極的な姿勢に、遂に母の怒りが炸裂。二人の壮絶なる戦いの幕が切って落とされた。
感想
(176話)

ほんとまたまた登場だ!一ヶ月の間もあいていない。よほど飛鳥の登場エピソードは人気があったのか、はたまたネタ切れだったのか。前者でしょうけれど。そして作画監督はやはり森山ゆうじ氏。この人、飛鳥のエピソードの時は必ず絡んでいる。そして今回は絵コンテと演出にもタッチ。八面六臂の大活躍である。冒頭、飛麿の部屋の柱時計に、アニメでは初めて「ぶぎゅる」の効果音が。これ、原作では相当でていたのだが、今回のアニメ初登場では原作の雰囲気を壊さずイメージどおりの効果音になっていたように思える。面堂邸による終太郎、了子のいがみ合いシーンは爆笑モノ。特に了子の「お兄様の事がどわいすきなのに!」と絶叫しつつトンカチと杭を終太郎に打ちつけようとする姿が最高。台詞の最後の方は口調も変わってるし。またサングラス部隊の変装シーンは圧巻である。原作でも彼らによる変装シーンがあるのだが、こういった格好の素材を森山氏が見逃すはずもなく、この変装モブシーンは彼の遊び心であふれていた。この後の、清楚な飛鳥による茶碗粉砕シーンはややオーバーになりすぎたキライがあり(特に面堂の反応)、原作の方が淡々としてすぐれていたように思える。しかし、飛鳥による終太郎あばら全壊による失神笑顔シーンは、アニメでもいい味を出していた。この場面、密かに変装したあたるが、失神した面堂の着物の後ろに入り二人羽織をするのだが、このあたるの仮面は第84話「面堂家仮面ぶとう会」の時と全く同じモノ。気づけよサングラス部隊!!だいたいこの仮面はあたるがもともと持っていたものでなく、面堂家のものだったはず(確か黒子があたるに渡していた)。さすがは終太郎直属部隊。アホ丸出しである。男性恐怖症の飛鳥に飛ばされていく彼ら、「たわば」「あべし」等、北斗の拳専売特許の絶叫を上げていた。連載週刊誌はライバル同士(サンデーとジャンプ)だが、放送は同じフジテレビ系列だからパロディOKだったのか?ラスト近くでは飛麿も「ひでぶ」と言ってるし…。このサングラス部隊の人柱、中央の人間の初速スピードを計ってみるとなんと秒速437m。マッハを軽く超えてるではないか!このスピードでいくと、44.6秒後に高度9746.9m地点に到達、同じく44.6秒後に地上に激突することになる。まさに哀れサングラス部隊。そして何より恐ろしいのは、彼らをこの初速スピードでぶっ飛ばす飛鳥の超人的な怪力よ。前半ラストの、飛鳥による戦車分解場面も爆笑モノ。彼女の淡々としつつ装甲をはがす姿はもちろんのこと、その飛鳥をみてずっこけるラムの仕草や「はんが!」という声も同様に笑わせてもらいました。更に、そんな飛鳥の行動を恐れをなして注視するラムのいびつな表情も。また、母より平手打ちを額に喰らった飛鳥が一瞬見せた呆然とした顔は、原作では見られないレアな表情だった。しかしあたる、毎度毎度同じパターンで飛鳥に迫っているが、もうちょっと工夫ができないものか?あれではまるで飛鳥からどつかれるのを楽しんでいるとしか思えんのだが…。ラムの電撃にしてもそう。こいつ結構なのかもしれぬ。ラスト近く、あたるに足蹴にされた錯乱坊のシーンに一瞬映っていた巨大りんごや、その前にたたずむ二人の謎の人物、及び「クスクス」というふきだしは何のパロディーだったんだろう。この後の、飛鳥とその母による一騎打ちシーンはまさに爆笑モノ。もろ野球漫画のパロディだった。大リーグボールは当然「巨人の星」のパロディだろう。ジャコビニ流星打法は「アストロ球団」だったっけか?そんな言葉をしってる飛鳥って…。この場面の、二人によって翻弄されるあたると飛麿の表情は必見である。しかし今回は内容が充実していた。それもそのはず、原作5話分のエピソードが盛り込まれていたのである。このため、非常に原作に忠実な内容になってはいたが、盛り込み過ぎて、原作のエピソードも結構カットされていた。了子による、「あたる終太郎怪獣説」なんて、私は結構好きだったんだがな。そういった要素はあったものの、作画、テンポ、音楽全てが高い水準にあった作品だったと思う。


第177話 謎の坊さん登場!鐘つきバトルロイヤル
放送月日 1985.5.1
脚本 井上敏樹
演出 望月智充
原作 22-7、25-8
作画監督 加藤鏡子
独断評価 ★★★★
原画 高木弘樹、原博、高峰よしえ、加藤鏡子、亜細亜堂(作画協力)
田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、西村知道(校長)、池水通洋(温泉マーク)、鷲尾真知子(さくら)、八奈見乗児(坊さん)、富沢美智江(亜美?)、亀山助清(花和先生?)
内容
(177話)
校長の思いつきで催しが決まった保険医さくらによる悩み相談室。そのさくらの色香に迷った生徒による保健室への殺到を食い止めるべく体を鍛える中年男性教師連中。同じくその教師のバリケードをぶち破るべく鍛錬を続ける男子生徒一同。そして時はきた。放課後と同時に保健室へなだれ込む男子生徒、そしてそれを迎え撃つ男性教師。しかし所詮多勢に無勢。男子生徒第一陣が保健室へ到着。しかし当の男子生徒達は、強行突破に専念するあまり、悩みのネタを用意することを失念、さくらから蹴りの追放をくらってしまう。次にやってきたのは竜之介の父。「息子の相談…」と言った瞬間に竜之介から一撃を喰らってこれも退場。更にやってきた面堂は、自分があまりにもてすぎることを悩んだフリをして自慢するが、同じ悩みをもっている竜之介が、自分よりも遥かにもてる事をしって本当に悩んでしまう。そして真打あたるの登場。「馬鹿馬鹿しい悩み」と前フリをしつつ本当に馬鹿馬鹿しい悩みをさくらに打ち明けて、さくらの強烈な蹴りを喰らってまたまた退場。そこへあらわれたのが、友引町郊外に寺を持つ健東寺の住職、言語道断。今日は先代住職の命日である為、寺にある鐘を1000回つかねばならないのに、誰もつき手がいないとの悩みを披露。そこで謝礼を条件に、面堂、しのぶ、竜之介、ラム、あたるが手を貸すことになった。地上遥か彼方に立地する健東寺。そこの鐘には鐘つき棒はなく、なぜかリングが用意されていた…。
感想
(177話)

まさしくうる星ワールド炸裂の爆笑編(こればっか)。原作は、前半と後半では全く別の物語なのだが、上手につなぎ合わせている。冒頭屋上で竹刀を振る花和先生が懐かしい。服の色も声も昔とは違っているけれども。また自宅の庭で空手の練習するさくらの姿が妖艶で印象的。この時の錯乱坊がいれるお茶、そして、校長室で貪り食うせんべいがまた美味そうなんだ。そしてこの後、うる星史上最大の問題パロディシーンが。そう、あの「くりーむれもん」である。当時、近親相姦というとんでもないものをテーマにしたアニメにおけるアダルトビデオということで巷の話題を独り占めしていた作品である。その18禁アニメのパロディを全国のお茶の間にお届けするとは…。スタッフの勇気(蛮勇?)に乾杯である。当然、当時の私は全然そのパロディの意味がわからなかった。しかもこのパロディ場面、前回の176話における次回予告にも登場していた。予告編19秒87の内、10秒も占めていたこのパロディ場面。絵柄、キャラクターともに完全にうる星から異なるこの映像が当時の視聴者をパニックに陥れたことは容易に想像できる。しかもこのパロディ場面、ちゃんと妹のことを「あみ」とよんでるもんなぁ。まさに念押しパロディ。このハンサムな兄役の声を二又一成氏が担当。とてもチビと同じ声には聞こえん…。場面は戻って友引高校。職員室で、色に狂った男子生徒からさくらを守ろうと一致団結する中年男性教師の影に隠れて、無関心を装う中年女性教師及び、老人男性教師の黄昏(たそがれ)た姿がおかしい。その保健室に立ちふさがる教師をぼこぼこにする、パーマを中心とした男子生徒連中。これって立派な校内暴力ではないか?この温泉達の怪我は、労災が降りるのだろうか?ちょっと心配。さくらとの相談場面ではやはり今回も面堂終太郎がいい味を出している。自分の美しさに臆面もなく酔いしれる場面や、それにあきれるさくらの表情、また竜之介に敗れてアホ面をさらす面堂の醜態、全てが爆笑モノ。この、面堂のアホ面、及びあたるの悩み告白場面は、原作そのままで最高だった。そして後半エピソードの言語道断和尚登場。この和尚の声は、これまで第57話「悲しき妖怪人恋しくて」に出てきたプール妖怪、第90話「地獄のキャンプに桃源郷を見た!」に出てきたウサギ、更に第148話「プール妖怪!許されぬ恋に燃えて!!」に登場したプール妖怪(ポチ2号)の声を担当してきた八奈見乗児氏。タイムボカンシリーズの「トボッケー」や「コスイネン」等で有名なベテラン声優さんである。やっぱりこの人は一味違う熟練の旨みを出しています。原作では、除夜の鐘をつくという設定だったがここでは季節的に無理がある為、先代命日記念による1000回鐘つきになっていた。しかしこの健東寺、まさに目をみはるほどの階段の数である。流れる階段の映像を見るだけでも目が疲れてしまった。(これを数えなければならないのか!?)まさに恐怖である。しかし完全データ版と銘打ったからには(実は別に銘打ってない)、数えねばならない!かといって本当に一つずつ数えていたら夜が明けてしまう。一つ画面に収まる階段の数を数え、その画面がどれだけ続くかを数え、その一画面の階段数とかけた。つまり最初にでてきた階段数は一つの画面にするとおよそ35段。画面がスクロールするたびに若干階段数が減ったりしたので、少なく見積もって30段とした。するとこの踊り場までの階段の画面数は13。つまり踊り場までの階段数は390段だ。次が凄い。この踊り場からの階段数は一画面、少なく見積もって27段くらいだった。そしてその画面数は約48画面。つまり1296段か?合計してこの階段は1686段あった事がわかった。しかしこれはあくまでも少なく見積もった数である。実際はもう少し多いようだが。するとこの階段から寺の入り口までの高さはどれくらいあるのだろうか?我が家のアパートの階段は前述したように(第106話「大激突!テンVSあたる」感想部分)約19cm。老若男女が上り下りする階段だろうから少なく見積もって15cmとして計算してもその高さはおよそ250m。おお!東京タワーの展望室の高さにほぼ匹敵する高さではないか!!なんという偶然。少し嬉しくなったdeaconでした。ま、登頂不可能な高さではないな。そして舞台はリングつきの鐘つき場へ。この、鐘つき棒のない、鐘へのアタックの仕方が、各人の個性が出ていて非常に面白かった。腕力のないラム、飛ぶことのできないしのぶの、滅多に見ることのできない協力シーンや、暗所恐怖症、閉所恐怖症といった短所を生かした面堂による内側からの鐘乱打、また、竜之介によるただひたすら腕力に頼るまったく頭を使わない方法等。あたるの女好きという個性はこの場合不利だったようで、さくらに抱きついては蹴飛ばされて鐘をつくというまだるっこいやり方しかできていなかった。そのため1000回に及ぶ鐘つき合戦におけるあたるのつき数はわずか8回。打率であらわすと(この場合打率であらわすのはちょっと変なんだけど)、0割0分8厘。クビものだなこりゃ。ラストは、こういった「鐘」にはありがちなオチだったが、各人の怒りの凄まじさが凡庸な終わり方に陥るのを救っていた。いや本当に面白かった。ま、確かに変なパロディはあったが、殆ど原作に忠実。また、アニメーションならではの動きも加わって完成度を高めていた。そしてなにより絵が素晴らしい。作画監督の加藤鏡子さん達による一つの到達点に立ったような完璧な作画であった。パチパチパチ(拍手)。


第178話 初恋ふたたび!?昔に戻るかラムとレイ!!
放送月日 1985.5.8
脚本 井上敏樹
演出 鈴木行
原作 25-10.11
作画監督 大森英敏
独断評価 ★★★
原画 ビーボォー、所智一、辻清光、山本正文、澤田正人、篠雅律
玄田哲章(レイ)、小宮和枝(ラン)、柿沼紫乃
内容
(178話)
面堂のパーティーに呼ばれたラム、UFOで出かける用意をしていたのだが、お気に入りのイヤリングの片割れが見つからない。時間も迫ってきた為、探索を断念、ちょうどそこにあらわれたテンに留守番を頼んで面堂邸へと出向く。自分もパーティーに行きたいテンは、ラムのイヤリングを発見して、届ける名目を作って面堂邸へ潜入しようと決意、さっそくハート型イヤリングの探索を開始。大量のアクセサリーにうずもれながらもなんとか同じ形をしたイヤリングを発見したテンは、喜びいさんでパーティー会場へと向かう。そして得意気にそのイヤリングをラムに見せたのだが、ラムは大喜びをするどころか、大恐慌。テンを捕まえて、それがイヤリングではなく、ロケットであることを説明し、即刻UFOまで持ち帰り、硬くカギを閉めることを命じる。そして決してそのロケットを開いてはいけないことも強く言って聞かせる。折角もってきたのにラムに怒られたテンは面白くない。あたるをからかってからUFOに帰ろうするも逆にあたるに捕まってしまう。そこでテンの首にかけられているロケットに気付いたあたるはいやがるテンを無視してそのロケットを開封。するとそこには昔のラムの婚約者、若きレイの写真が。開封する前にテンから「ラムちゃんの大事なもの」と聞いていたあたるは、これをラムの浮気であると断定、自分もガールハントに精を出そうとするが…。
感想
(178話)
またもや面堂邸におけるパーティーがメインの舞台。凄まじい大きさの食材を頬張る、メガネ、パーマの姿は、「未来少年コナン」の食事風景を髣髴とさせていた。かなり美味そうだが、普通の人間なら、あの肉一個だけで完全に満腹になること間違いなし。しかしいくらパーティーのネタが尽きたからといってタコのバースディパーティーとは。どんなに可愛く書いても、まつげのあるタコは不気味極まりない。そういや今回、正装ラム、滅多に見せないスカート姿だった。UFOから飛び降りて地上に舞い降りていく姿が、若干おばさんっぽく見えたのがすこーし悲しかった。また、レイとの因縁のロケットを持ってきたテンに対して「じゃ、テンちゃん、いいっちゃね!」と凄むラムの顔が異常に怖い。犬歯が鋭いだけに恐ろしさもひとしおである。回想シーンにおけるラム、レイにプレゼントを食べられ、号泣しつつ立ち去っていた。得意の電撃はなし。本当の悲しみの時には電撃は出ないものと思われる。しかし、たとえわずかな期間であれ、ラムがレイに対して本気に泣くほど惚れていたという事実は、あたるファンの私にとっては辛いもんである。あたるがラムに対してあてつけるために声をかけていた「明菜」「聖子」「伊代」の女性三人組、顔が「うる星」からかけ離れいていた…。その他レギュラー陣以外のその他大勢の顔もまたしかり。また、あたるがラムを糾弾するシーンでは、あたる、その姿をデビルマンと化していた。何故にデビルマン?この後、レイに飛び掛っていた面堂、あっさり身をかわされ、壁に激突していた。その高さなんとおよそ10m。走り高跳びの記録としては異様な高さである。更に注目すべきは、ベリーロールでもなく、背面飛びでもなく、立ったままの姿勢で壁に激突していたことだ。まだまだ彼には記録更新の期待がかかる。面堂によって強制的に小型ロケットを装着されたあたる、いずこともなく飛ばされていった。そのあたるに対して「どこいくっちゃ!」と尋ねていたラム、だからこんな状態の本人に聞いてもわかるわけなかろーがっ!前にも言ったけど(第156話「ヨロイ娘の恋!乙女心はグラグラゆれて」参照)。ロケットによって強制的にパーティー会場を飛び出していったあたるの暴言に対し、面堂「無礼者!もどってこい!」と叫んでいた。「なんちゅー身勝手なやっちゃ!」と吐き捨てたメガネに賛成。放逐されたあたる、偶然にもランのUFOにたどり着くのだが、原作ではこのランのUFOの窓にへばりついたあたるが、窓ガラスに「こんばんは」と書くシーンがあったのだが、原作では微妙にはしょられていた。面倒だったのか?しかしこんな夜遅くにやってきたあたるを、よくぞ部屋にいれたなラン。やはりランからみても、本質的にはあたるは「安全な男」という印象だったのか?その後、あたるを追って尋ねてきたラムに対しても、通常のランらしからぬ喜びの歓待があった。ここでレイがあらわれなかったら、この3人によってどんな団欒があったのか?興味深い研究題材である。そこにさらにレイと面堂が登場。事態が全然分からないランに対して、ラムが黙っていて欲しかったことをペラペラ喋り捲る面堂の姿が爆笑モノ。事情をしったランが、怒りに燃えながらロケットを壊そうとしたとき、レイは豚牛から人間型に戻っていった。人間型になればランを説得できるという知恵ぐらいはもっていたものと思われる、このレイ。また、レイの気を引こうとしていたラン、凄まじい量のオニギリをつくり、レイの気を引こうとしていた。200個は下るまい。レイの尻尾を握っていた場面からこの場面までわずか11秒。この日レイがくるなんてランも知らなかっただろうから、飯も炊けてなかったろう。炊けていたとしても、一個のオニギリを握る時間はなんとわずか0.055秒。驚異的なスピード。海苔まで巻いてたし。今後の天災時の炊き出しでその才能を開花させることもあるだろう。また、銭湯の煙突にしがみついたレイ、その重みで煙突をなぎ倒していた。その倒れる時間から計算すると、あの煙突500m近くあったようだ。第175話の「あやうしラン!コタツ猫の初恋オデン!?」にて、ランが落下した煙突の更に倍の高さである。すでに実用の域を越えてしまってるぞ。しかし…。なんだあのオチは!あたるが密かにレイの写真を剥ぎ取って月の写真を貼ることにより、月が地球に異常接近するというものだったのだが。原作からかけ離れすぎ。まるで「Dr.スランプ」並みのオチ。あたるの、ラムに対する思いを描きたかったのだろうが、私としては原作どおり、ロケットが「ステナイデ」と連呼するほうがよかったなぁ。


第179話 青春おじさん登場!輝け夢の大喫茶店!!
放送月日 1985.5.15
脚本 柳川茂
演出 須田由美子
原作 12-3
作画監督 あべ正巳
独断評価 ★★
原画 河南正昭、丹沢学、服部一郎、富田悦子、門脇孝一、中島敦子
泉(潘恵子)、納谷六朗(マスター)、池水通洋(温泉マーク)、西村知道(校長)、西村智博(コタツ猫)、立木文彦、高宮俊介、柿沼紫乃
内容
(179話)
友引町に新しくオープンした一軒の喫茶店。そこでは、いまだ青春を謳歌するマスターとその娘、泉が新しい生活を始めようとしていた。早速やってきたあたる達一行。時間的にはまだ学校にいるはずなのだが、エスケープしてきたという。いま友引高校では、このあたる達のように授業をエスケープして喫茶店出入りを繰り返す生徒が激増している為、臨時職員会議の議題にもなり、喫茶店出入り禁止か否かが日夜議論され続けている。温泉マークを筆頭とする教師側は当然出入り禁止賛成派。影の生活指導部の面堂も賛成、しかしおなじく影の生活指導部であるしのぶは反対を唱える。影の生活指導部の意見を統一すべく、面堂としのぶが入った喫茶店が、問題のあたる達が出入りを繰り返している泉のいる喫茶店だった。泉に一目ぼれする面堂。あっというまに出入り禁止反対派に鞍替え決行。ちょうどそこに居合わせた教師連中と喫茶店内で大乱闘。泉の必死の抗議を受けて場所を外に移して乱闘を続ける温泉あたる面堂達。しかしすでに店内は崩壊寸前。どさくさにまぎれて彼らのコーヒー代ももらっておらず、他の客も寄り付かない。また、コーヒーを学校に出前したときには、あたる達生徒一同からおっさんよばわりされたマスターは、遂に意を決して彼らにゴキブリ攻撃の報復を企てるも、時間差で点検にきた保健所のおっさん、警官にゴキブリをぶちまけてしまい、遂に彼の人生は終わってしまう。
感想
(179話)
マスターを担当したのは、うる星初期、花和先生役で活躍していた納谷六朗氏。ま、マスターも、花和先生もノリはそのままだから違和感無し。二年半前に放送された第69話「買い食いするものよっといで!」以来のまともな出演か?そういや内容的にも「買い食い」に非常に良く似ている。校長室での職員会議や、生徒の動向を探る為着ぐるみに身をつつむ教師連とか。しかし前回の臨時職員会議では多数の教師が会議に参加し、生徒とのバトルを誓い合っていた。しかるに今回の参加者は校長、温泉を含めてわずか6名。温泉の求心力が低下したのか、はたまた、慢性教師不足に陥ったのか。校長から教師連中がすわっている所までの、多くの空席が淋しさを物語っていた。今回も影の生活指導部登場。前回5、6名ほどいた生活指導部、今回はたったの三人。しかもその内の一人(?)はコタツ猫だし。面堂の指導力不足か!?更にもう一人の部員はなんとしのぶ。いつのまに生活指導部に入ったのか?前回副部長として登場していた全然ぱっとしないおばはんみたいな女性はどこに行ってしまったのか?しのぶに追い出されたのかはたまた自分の将来に不安を感じて面堂の元を去っていったか。おそらく後者でしょう。この喫茶店出入り禁止令を知ったあたる達が喫茶店で相談する場面において、ラムから電撃を喰らったあたる、黒焦げになっていた。しかしそのあたるに抱きついていたマスターは全く無傷。かなりの特異体質のようだ。この後、マスターと娘によるやり取りがあるのだが、どーもこの二人のやり取りはリズムが良くない。わざとそういう雰囲気を出してるのかもしれないが、間が非常に変だった。また、泉を巡ってあたるが面堂の胸倉をつかむシーンから作画がガラっと一変。それまで河南氏らしき作画で非常に丁寧だったのが、やや雑な絵になっていく。また、銀行ローンを心配する泉を、父が慰めるシーンは明らかにチャップリンの「モダン・タイムス」ラストシーンのパロディ。わずか数秒だが、何人の人が気付いたものか。次の場面では、マスター、2年4組分のコーヒーを一人で出前していた。画面から見るにそのコーヒーの数24杯。コーヒー一杯は大体150cc。さらにコップの重さは軽くても300gはあるだろう。すると24人分とは10.8kgもの重さに及ぶ。それに間にあるトレーが三枚。つまり最低12kgもの重さの物体を、このマスターは高く差し上げた片手で軽く支えていた。しかもローラースケートに乗って。翌日、彼の右手は激しい筋肉痛に襲われたことであろう。そのマスターが道路を横断して出前するシーンに現れていた、道路上に鎮座する赤い郵便ポストとその後ろの黄色い物体は何のパロディだったのだろう。しかしこの後の教室のシーンを見るとどうみても24人以上いるんだがな、2年4組。すると残りの分は泉が同じような方法で持ってきたものと思われる。ちょっと想像できんけど。同じ場面、必死で演説するマスターを、男子生徒が無視するシーンがあったが、このあたるによる「うるさいんだよ!おっさん!」発言はあんまりじゃないか。いくらあたるでもそれほど親しくない人物にここまで罵倒はしないでしょ。とても次回のあたると同一人物とは思えん…。翌日の喫茶店シーンから作画は中島敦子嬢。やはり丁寧で美しい。ただ、喫茶店止まり木左端に座っていた女性の服が、中島嬢作画シーン終了と同時に服の色を青から白に変えていた事実も見逃せない。ちょうどこの女性の喫茶店を出ようとするシーンだったので、どうやら彼女、青い上着を忘れていったようだ。「二度とこないわ」とマスターに捨て台詞を吐いていたが、この後、この青い服を取りに再びやってきたものと思われる。バツが悪いことおびただしい。翌日のあたるによる「まさか、俺たちのせいで…」とつぶやくシーンから再び作画が激変。大人っぽい雰囲気を漂わせていた泉が、いきなり子供のように幼い表情に変わってしまった。なんだかなぁ。今回、原作が一話分にもかかわらず、内容は結構原作に忠実だった。しかし冒頭にも書いたように、今回のキャラクターが特異だったせいか、物語全体のテンポや間が最後まで波に乗り切れてなかったように思う。最後に、どーでもいいことだが、今回のラムはかなり鼻声。平野文さん、風邪を引いていたのか?


第180話 ダーリンのやさしさが好きだっちゃ・・・
放送月日 1985.5.22
脚本 土屋斗紀雄
演出 吉永尚之
原作 24-2
作画監督 土器手司
独断評価 ★★★★★
原画 平田智浩、浜田勝、渡辺高志、菊池由行、山田展彦、スタジオ・リバティー
鷲尾真知子(さくら)、大城まつみ(望)、塚田恵美子(望の母)
内容
(180話)
とある町のとある病院。病弱な少女が、窓の外を駆け抜けていく元気な少年に心を惹かれる。その少年の名は諸星あたる。その少女の名前は望。その少年の姿に憧れを抱きつつ、一人セーターやマフラーを編み続ける望。そして彼女は、あたるに自分の思いを一言も伝えることなく、クリスマスの晩この世を去っていく。時は移って初夏、五月の日曜日。さくらから急な呼び出しを受けたあたるとラムは、そろってさくらの神社へやってきた。そこで望の話をきいたあたるは、彼とのデートを夢見て成仏できない望の幽霊とのデートを了承する。クリスマスに死んでしまった為、真夏にもかかわらずガウンで身を包む望。彼女は生前、あたるのために自分で編んでいた、マフラー、帽子、手袋、レッグウォーマーをあたるに手渡す。このくそ暑い時期に、それでも望の為、我慢して着込むあたる。しかしここセーターに至って遂に我慢の限界を超えてしまったあたるは逃亡を試みるも、さくらとラムに妨害されてしまう。だが、そのセーターが、未完成、つまり死ぬまでに完成することのできなかったものであることを望から聞かされたあたるは、急にしんみりとなって、笑顔でそのセーターを受け取る。望の為、彼女の前では決して暑さを顔に出さないあたる。二人は、望の成仏の為、映画や食事、遊園地で楽しいデートを続けるのだが、なかなか彼女は成仏しない。不審に思ったさくらは望の日記の最後部分を見て驚いた。彼女の最後の夢には、雪の中であたると腕を組む幸せそうな自分が登場していたのだ。つまり雪が降るまで彼女は成仏できないということになってしまう。しかしすでにあたるは暑さの為ダウン寸前。その二人の前に突然花火があがった。落下してくる花火の白い光がまさに雪に見えたその瞬間、望はあたるに言った。「腕組んでいいですか?」。幸せそうにあたると腕を組む望。その彼女の姿は徐々に透明になりやがてあたるの目前から消えていってしまった。望が成仏したことをしったさくら、錯乱坊、ラムがあたるに駆け寄ってきて、彼の労をねぎらい、服を脱ぐことを薦めるも、あたるはにっこり笑顔でもうしばらく着続けると答える。翌日、海の見える望のお墓で花を供えたあたるとラム。あたるを見直したラムの視線を照れたあたるが、体中にできた汗疹(あせも)を掻きはじめ、ラムも戯れにあたるの手助けを始める。黄昏の海岸。ひと時のじゃれ合いの後、二人はしんみりとこう会話する。ラム「うちも幽霊になろうかな?」あたる「何言ってんだばか」。
感想
(180話)
後期うる星やつらに燦然と輝く最高傑作。いやもう本当文句なし。その作画、ストーリー、テンポ全てにおいて優れていた。冒頭のセピアトーンに彩られた望によるモノローグシーンから、あの感動のラストまで、視聴者を惹きつけて離さなかった。アニメではかなり性格が歪められて描かれていたあたるだが、今回はほぼ原作に忠実、確実に彼のファンを増やしたことであろう。望の日記による回想シーンにおけるあたるの笑顔のなんとさわやかなことか。おそらくは登校時なんだろう、夏服を着て、颯爽と駆けていく姿が印象的だった。っておい、日付が8月26日?夏休みじゃないか。登校日にしては押し迫ってるし、部活?ありえんな。ま、温泉からの呼び出しの可能性は高いが、そうだとしたらあの笑顔は相当意味深である。そしてモノローグシーンラスト、母による病室片付けの描写が非常に淡々としていて秀逸。鳥篭から開放された文鳥(?)の飛翔シーンが、まるで昇天していく望の生命の象徴のような印象を与えた。そう望はこの時点で死んだのである。この後幽霊として登場してくる為、それほどの悲愴感は漂ってないものの、この、後姿の母親の姿が望の死を雄弁と物語り、胸をつくほど悲しかった。冒頭4階建てだった病院が、小鳥開放シーンで14階建てになっていたことなんてもうどーでもいい事じゃないかっ!この後、あたるラムによるさくらの家訪問シーンから、雰囲気はいつもの「うる星やつら」へ。ここで初めてカラーの望が登場するのだが、見た目が物凄く幼い!ずっと病院にいた為世俗の垢にまみれず、幼く見えるのかもしれないが、どーみても中学生のように思える。あたるに住所を聞かれた望は、「海の見える丘一丁目」と答えていた。この住所があの感動のラストの伏線となる。しかし、望に笑顔を見せるあたる、どーみても爽やかな笑顔ではなく、しまりのない笑顔になっていた。それでも望のイメージは崩れなかったらしく、そのしまりのない笑顔に、天使の笑顔で応酬していた。そしてこの後は爆笑の手編みのプレゼント攻撃。マフラー、帽子、手袋、レッグウォーマー、そして編みかけのセーター。死んでしまった為、最後まで編むことができなかったセーターを前にしたあたる、ひきつりつつも、笑顔で受け取っていた。なんていい奴なんだ!諸星あたる。このメンバーによる友引商店街闊歩シーンにおける、4人組(特にメガネ)の描写は爆笑モノ。「別れたら次の男だよ…ラムさんこんにちは…」におけるメガネの人格豹変シーンは一見の価値あり。また電車内でのシーンでは、このメンバー、周りの乗客から相当注目されていた。ガウンを着て、子供のように外をみる少女(望)が珍しかったのか、毛糸による完全防寒をするあたるが珍しかったのか、坊さんの格好をして望と同様、子供のように外を見る錯乱坊が珍しかったのか、はたまた、裸同然のビキニの格好で電車シートを正座するラムが珍しかったのか。なんにせよ一番まともな格好をしていたさくらが、一番恥ずかしい思いをしたのは確実である。この後彼らは町の映画館で映画を見るのであるが、その映画の内容が相当変。冒頭、少女の首が180度曲がるシーンがあった為、エクソシストばりのホラー映画を想像させたが、なぜかラストシーンは兄弟杯を交わしたらしきヤクザ同士の任侠場面。どういうタイトルなのか非常に気になる。またこの場面で、錯乱坊の首180度回転シーンを見て腰を抜かしたヤクザA、ピストルを乱射していたが、その数およそ12発。どう見てもリボルバーなのだが…。12弾連装のリボルバーなんて聞いた事もないぞ。遊園地における、ミラーハウスの場面は、劇場映画版第三作「リメンバー・マイ・ラブ」を髣髴とさせていた。この鏡に映った自分に向かってガッツポーズする望の姿がまた泣ける。生前病弱だった為、決してガッツポーズなんてとることはできなかったのだろう。そういう思いがこの一瞬の場面に詰まってたような気がする。こんな姿を見せられたら、観覧車が時速10kmの速さで回転してても笑って許したくなるものである(しかし相変わらず速いのう…)。ジェットコースターの後の食事シーンはまさに圧巻。さくら、錯乱坊、あたるそれぞれが非常に美味そうに食事を平らげていくシーンが爽快だった。本当に食ってるように見えるんだもんなぁ。あのさくらとあたるが食べている肉を食ってみたい…。また、メリーゴーランドでうだるあたるの姿が哀れ。しかしこのメリーゴーランド、目測で時速12kmで回ってる。あの回転半径のメリーゴーランドとしては異常なスピードである。少しはあたるにとって心地良い風が吹いているのがせめてもの救いか?そしてラスト近くの花火場面。「腕組んでいいですか?」。けだし名言である。望が去った後、その完全防寒着衣を着たまま、遊園地を歩き始めるあたるの姿が非常に印象的だった。そう、望は成仏したのだ。あたるやさくら達に取ってみれば、初めての望との別れ。しかし、その背後で見守る望の母にとっては、二度目の別離。母は、どんな思いで消えゆく望を見ていたのであろう。たしかに成仏というのは本人にとっては何にも勝るプレゼントである。しかし、二度も、娘との別離を味わった母の胸中は複雑だったのではないだろうか?そして翌日のエピローグ。場所は、冒頭望が言っていた海の見える丘一丁目、すなわち共同墓地。添えられた花束をみて、あたるとラムの背中にお辞儀をする望の母の姿が胸に迫る。また、ラムの「やさしかったっちゃね」に対するあたるの照れ隠しとも取れる「俺はいつだってやさしいわい、それに(幽霊の)夢壊しちゃ可哀想だもんなぁ」発言も感動もの。それを見守るラムのやさしいまなざしも文句なし。その後の二人による戯れのシーンなんかも滅多にないだけに、非常に心が温まった。そしてラストの名言へと続いていくのである。やっぱこのシーンは原作通りじゃないとまずいでしょう。ああ!うる星を見続けていて本当に良かった。
 蛇足ながらもその他瑣末事について。今回の作画監督はあの土器手司氏。非常に丁寧で美しく、この物語のクオリティを高める一助をなしていた。しかし作画監督が土器手氏だった為か、今回モブシーンが異常に充実。前半、さくらにお願いをする望の母の後ろの席には新聞を読む「めぞん」の四谷氏の姿が。そして後半冒頭、友引商店街のシーンでは、なんと安永航一郎氏作「県立地球防衛軍」のバラダギと、インド人サイボーグのサンチンの姿が!!この安永氏、自分のキャラクターバラダギに61番のトーンを貼って、漫画版「うる星やつら」に登場させようと画策してた人なので、この場面見たときはさぞ大喜びしたことであろう。また、映画館のサクラの2段後ろの席には、ダーティーペアの姿もあったし、倒れたヤクザの後ろに席には同じく「めぞん」の朱美さんと一の瀬さんが座っていた。更に遊園地のバイキングのシーンでは、やはり朱美、一の瀬、四谷の姿があった。めぞんは分かるけどもなぁ。「県立地球防衛軍」にはびっくりしたまじで。結構マニアックな漫画だったし。
 それから最後に小さな疑問。いつも病院の下を駆け抜けるあたるの姿をみた望が「ガールフレンドはいるのかしら?」とつぶやくシーンがあったが、望にはいつもあたると一緒に登校しているラムの姿は見えなかったのだろうか?それとも、ラムにも置いていかれた遅刻寸前のあたるが近道するときだけ、この道を通っていたのだろうか?些細な疑問だが、もし望がラムと一緒のあたるの姿を生前見ていたら、どう思っていたのかが非常に気になったもので。でも、たとえそういったあたるの姿を見ても、望の心は変わらなかったんだろうなぁ。憧れという意味においては…。


第181話 またまた純情ギツネ!しのぶさんが好き
放送月日 1985.5.29
脚本 やまざきかずお
演出 やまざきかずお
原作 25-3
作画監督 大森英敏、澤田正人
独断評価 ★★★
原画 所智一、山本正文、篠雅律、窪岡俊之、ビーボォー
池水通洋(温泉マーク)、西村知道(校長)、菅谷政子(キツネ)、青野武(猫先生)、田中秀幸、西村智博、大城まつみ、垣沼紫乃
内容
(181話)
名も知らぬ僻地の村祭り。人々の目をかいくぐって野原の学校へ登校する動物の数々。その中にあのキツネも含まれていた。今日の授業はお絵かき。「各人の好きなものを書くように」との猫先生の言葉に、キツネは迷わずしのぶの顔を画用紙に描いていった。授業終了時、先生より宿題が出た。すなわち、今日書いた好きなものを、明日の授業に必ず持ってくること。もしもってこなければ、その好きなものを粉々にするという。おもわぬ言葉に言葉をなくす生徒一同。特にキツネに与えた衝撃は大きかった。明日中にしのぶをここにつれて来なければ、先生によって八つ裂きにされてしまう。そう思ったキツネは取るものもとらず友引町へ向かう決心をする。でも、友引町行のバスが今晩どこに停まるか分からないキツネは、物知りの案山子の三四郎さんに場所を聞く。三四郎さんの言葉どおりキツネの前に現れた一台の年代もののバス。空中を飛ぶバスにのったキツネはいつの間にか友引町へと着いていた。しかししのぶがどこにいるのか全く分からない。偶然であった錯乱坊に所在を聞くが埒があかない。すると錯乱坊と一緒にいたコタツ猫がキツネをしのぶのところに案内してくれた。ちょうどしのぶは、そのとき、一部の男子学生の連帯責任を負って学校で補習授業を受けていた。そこにあらわれたキツネ。キツネから事情を聞いたあたる達は、エスケープする格好のネタになるとばかりに温泉を叩きのめし、キツネとともに彼の里へと向かっていく。
感想
(181話)
やっぱこーゆーいかにもスタジオディーン得意の話になってくるとやまざきかずお氏がでてきますねぇ。今回はやまざき氏が脚本、絵コンテ、演出を担当。大活躍である。また、今回かかしの三四郎氏が初登場。全話を通して殆ど登場のない三四郎だが、なぜかインパクトは強かったようで、うる星を見てた当時の視聴者の殆どはこのキャラを覚えているのではないか?芸能人うる星フリーク、西村知美嬢も、この三四郎さんが好きだったようで、以前「テレビ探偵団」にゲストとして出演したとき(13年ほど前)、やたらこの三四郎さんをほめていた。この三四郎さんの初登場シーンは結構鮮烈。月夜の荒野にただ一人佇むぼろ雑巾のような案山子の後姿。これが三四郎だった。当然体を支える足は一本だけ。もう一方のズボンの足部分は、何も入っていない為、風にたなびいていたが、その描写がなんとも不気味だった。さらに、指の入っていない、手袋の先部分の揺らぎも。この生物としての温かみのかけらもない案山子が、次の場面、キツネと遭遇するシーンで命を吹き込まれるのである。太郎岩にて、顔をそらせてキツネをみる彼の無表情な表情はかなり印象的だった。やはりモデルは「ムーミン」のスナフキンなんだろうか?しかしこの落ち着き、うる星のキャラとしては他にコタツ猫が思い浮かぶくらいで、かなり異質のキャラだった。好きだったけど。また、この空を飛ぶバスのシーンが非常に幻想的だった。音楽はいかにも日本昔話。そして後半。あの半ば伝説と化している衝撃のパロディーシーンが!前々から、台詞回しやその他細々したところで使いまわされていた「北斗の拳」のパロディーがここにきて開き直ったかのように堂々と放送されたのである!!原作に登場していた「北斗君」はもろにケンシロウ。となると担当声優は当然ケンシロウ役そのものの神谷明氏。この場面、彼本来の面堂終太郎も登場していたので、視聴者はかなり混乱したことであろう。しかしケンシロウに学生服。…似合わん。胸に七つの傷がないのは、著作権を考慮してか?しかしここまでパロッたら著作権も糞もないと思うが。多分アフレコ現場も爆笑の渦だったことでしょう。この北斗君、最初のワンシーンだけかと思ったら、ケンシロウ得意の「いいたいことはそれだけか?」の台詞シーンや、コタツ猫との決闘シーンまで描かれていた。コタツ猫にあっさりと破れて、「おわったっ!」とこれまた叫び声のパロディまでしながら飛んでいく北斗君の姿は爆笑モノだった。さすがうる星アニメスタッフ。その度胸に乾杯である。確かに原作でも出てたけどなぁ、この北斗君。この場合連載誌が違う為か、顔は全然普通の生徒だった。しかし原作者の高橋留美子さん、この回がアニメ化されるとき、すこしはこういうのを期待してたのかもしれない。なにせ高橋先生自身、「北斗の拳」の大ファンだったから。場面は変わってキツネと錯乱坊の大立ち回りシーン。ひっさびさうる星らしい超どたばた逃亡シーンがみれる。なぜか第52話「クチナシより愛をこめて」のあたるとテン、クチナシの花による激走シーンを思い起こさせた。勝手口から錯乱坊が飛び出すシーンでなにやら文字が書かれた赤い物体も飛び出していた。これ、よくみるとヨーヨーである。そしてその文字を更に細かく見ようとするが画像が粗すぎて読むことができない。しかしこの時代ヨーヨーといえば「スケ番刑事(でか)」(私は見たことはないが…)。するとこの文字「テメエラ!○○せよっ!」に見えんこともない。誰か教えてくれ。またこのモブシーンでは、私の知らないでも誰かは知ってそうな色々なキャラが所狭しと映っていた。しかしルパンV世と次元大介が出てたのには笑った。当時人気絶大だった「おれたちひょうきん族」のエンディングにでてた十字架の神様は、あまりにその露出時間が長すぎてちょっと鼻についたけど。ところでこの後の教室のシーンでは、なぜかクラスの表示が「2年6組」になっていた。おおい。いつの間に4組から移動したのだ?後半はもろ「日本昔話」の世界。空飛ぶバスに対して完全にキレてしまうメガネや、そのメガネに軽い突込みをいれるラムの姿がなぜか違和感たっぷりだった。今回作画監督は大森氏と澤田氏。澤田氏は初登場か?非常に丁寧に描かれていて物語の雰囲気を盛り上げていた。


第182話 海が好き〜っ!悲願の浜茶屋繁盛記!?
放送月日 1985.6.5
脚本 島田満
演出 鈴木行
原作 23-11
作画監督 河南正昭
独断評価 ★★★
原画 富田悦子、中島敦子、丹沢学、門脇孝一、藤川太、青木康直
田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、龍田直樹、柿沼紫乃、木藤聡子、立木文彦、西村智博、高宮俊介
内容
(182話)
長い間、苦労に苦労のアルバイトをして稼いだ浜茶屋再会資金。それが漸く満額に達した。時はまだ6月。しかしお金が貯まった今このときから浜茶屋を開店させねばならないという使命感にもえる竜之介の父。いやがる竜之介を連れていざ南の島へ出発。しかしもともとそれほど多くない軍資金も、目的地までの道程でほぼ底をつき、結局は人気の少ない岩場にオープンせざるを得なくなった。そこへあらわれたあたる、ラム、面堂、しのぶの4人組。さんざん竜之介の浜茶屋で飲み食いをしたあと、実はお金がないことを告白、竜之介の浜茶屋で客引きとして働くことになったのだが…。
感想
(182話)
なんと六月に浜茶屋のお話。けっこー無理があるでは?という推測的中、前半部分のアニメオリジナルは、この時期海開きをしている南方へ向かうシチュエーションの説明だけに終わってしまった。冒頭、教室掃除で喧嘩をする面堂とあたるに対して、女生徒A、「いい加減にしなさいよ、二人とも!」と二人をたしなめていた。今までのようにあたるだけでなく、面堂に対してもである。すでに面堂の威厳は、ない。今回、番組全体を通して面堂は、ラムやしのぶから怒られるシーンや竜之介にぶっ飛ばされるシーン等、本当にあたると同じ扱い。やってることがあたると寸分も変わらないから仕方ないか?それでも昔は一般女子生徒からは特別扱いだったのにねぇ。月日の流れはこうまで人を変えてしまうものか(第78話「ダメッコ武蔵風雲録」の沢庵和尚より)。ところで、このあたると面堂を叱った女生徒、第174話「退屈シンドローム!友引町はいずこへ!?」にも、結構重要なキャラとして登場していた。今回作画監督の河南正昭氏のお気に入りのキャラだったのか?また、4人組のメガネ、パーマが出演してないのに、なぜかチビだけ出演してた。こういうパターンはちょっと珍しい。千葉氏と村山氏のスケジュールがあわなかったのか?また、購買部の場面、あたるが竜之介からぶっ飛ばされて、ラムからラリアートを喰らうシーンがあるのだが、このラムのラリアート、ラムの上腕部分があたるのほっぺにヒットしてなぜかとっても気持ちよさそーだった。少しあたるがうらやましく思った私は変態か?次なる場面は新幹線。なんとこの新幹線シーンの冒頭に映っているのは、当時増刊サンデーで連載していた「県立地球防衛軍」の(一応)主役、盛田、助久保、そして下っぱの姿ではないか!するとその手前にいるのはバラダギか?しかしなんちゅーマニアックな…。第180話に続いて、原作者の安永航一郎氏、さぞかし随喜の涙を流したことであろう。この新幹線シーンで、特急料金の意味を聞く竜之介に対し車掌が「ふざけないでよあなた、払ってもらいますからね!!」と怒鳴る場面があるのだが、国鉄(今のJR)では、目的地までの乗車券だけ買って新幹線に乗ることはまず不可能。特急券も一緒に購入しないと新幹線のホーム自体に入ることができない。ま、入場券だけあれば、ホームには入れるけど。するとこの親子、新幹線ホームに入場券のみで入場し、あわよくば無銭乗車をしようとしていた可能性大。無邪気に頭をかく竜之介だったが、案外確信犯だったりして。しかしなんだろうね、この前半部分。ひっぱるだけひっぱったせいか、全然内容がない。話の進展が遅いこと遅いこと。かなりトホホな気分で後半突入。しかしこの後半、前半ひっぱったせいか、かなり原作に忠実、テンポも申し分なく前半のだれた部分を補うにあまりある面白さを発揮してくれてた。おやじに対してビール瓶を投げる竜之介の動きと、その瓶を器用に受け止める父の動きなんかも躍動感が溢れていたし。しかしこの瓶を器用に受け止める父よりも、その父の手に正確に瓶を投げる竜之介のほうが実は凄いのでは…。また、しのぶの色香に迷った3人組の男が、妖気漂う竜之介の父に出会って驚愕するシーン、そしてひどい仕打ちをうける3人組に対するしのぶのリアクション、完全にあたると同調、手と手を携えてガールハントによる浜茶屋協力する面堂のノーテンキさ、いつもと違って顔をディフォルメさせて喜怒哀楽を表現するしのぶ、全てが面白かった。ラスト近く、竜之介の父がラムとしのぶに対して、浜茶屋定番メニューは全て君たちに食べられてしまったとのたまうシーンがあったが、確かかれら4人が食べた食材は5,800円分。たかだか5,800円分のメニューしか用意してなかった竜之介の父の方がかなり問題なのではないか?そしてこの後、原作どおり、ラムの人脈による宇宙人の客で繁盛する浜茶屋シーンへと突入していくのだが、ラストが変。宇宙人の宇宙船が次々連鎖反応を起こして爆発するシーンまでは許せるが、その後からラストへと続く「竜之介一人ぼっちで雰囲気出して何をしとるんだ?」シーンは、殆ど理解不能。竜之介ファンにとってはたまらないだろうが、完全に竜之介のイメージビデオになっていた。折角後半持ち直したのになぁ。尚、今回作画監督は前述したとおり河南氏。今まで遠藤裕一氏作画監督時に作画としてかなり参加していたが、作画監督としてははじめてのクレジットとなった。非常に綺麗で丁寧な作画でした。


第183話 竜之介VS弁天!むなしきお色気大決闘
放送月日 1985.6.12
脚本 曽田博久
演出 関田修
原作 26-2.3.4
作画監督 西島克彦
独断評価 ★★★☆
原画 平田智浩、市川吉幸、吉橋さち子、高梨実紀子、佐藤江美代、服部尚、平塚英雄
三田ゆう子(弁天)、田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、池水通洋(温泉マーク)、西村知道(校長)、西村智博(コタツ猫)柿沼紫乃、木藤聡子
内容
(183話)
久しぶりに地球にやってきた弁天。そこで竜之介と運命の出会い。弁天の粗暴な立居振舞に我慢ができなかった竜之介は、力ずくで弁天に女らしくなるよう説得。その竜之介の姿を自分への愛情だと勘違いした弁天は満更でもない。しかしその晩、偶然銭湯で竜之介と再会、そこで竜之介が女性であることを知り、怒り心頭の弁天は竜之介に勝負を申し込む。そこに偶然(?)居合わせたあたるの機転によって乱闘は避けられ、後日友引高校で両者の女らしさを喧嘩ではなく、校長の作ったシナリオをもとに演劇で競うことを無理やり了承させられる。採点表を持って体育館へ入ってくる生徒一同。コタツ猫によって縛られたまま否応無しに、心理劇「新妻鏡」を演じさせられる竜之介、弁天。しかしこのかったるい猿芝居に二人の我慢も限界を通り越して。
感想
(183話)
竜之介、2話続けての主役格。更にそこへ弁天が絡んできて、両者はじめての競演が…。ってまて。確かちょうど一年前の第135話「弁天&竜之介 明日に向って走れ」ですでに両者顔合わせを済ませてるじゃないか。しかもこの時、弁天は竜之介が女であることを完全に把握していた。なのに一年後両者が再会したとき、二人ともまるで初対面のような顔をしていた。竜之介はまだ分かる。国語能力に見られるように、人よりすこーし頭が筋肉質にできているから忘れることもあろう。しかし問題は弁天である。さして頭悪そーでもないのに、竜之介が女であることも忘れているなんて。一年前は半日以上二人一緒におったのに。よく言えば根に持たない性格であるといえるが、それにしてもあんまりだな。考えられるのは、この「お色気対決」が「明日に向かって」よりも実は前の物語であるという事。つまり「明日に向かって」が放送された昭和59年5月23日以前のエピソードであったという仮定が成り立つ。アニメエピソードも何も全て起こった順番に放送されているわけではあるまい。たまには前後倒錯しつつ、放送されることがあろう。すると竜之介と弁天の態度も頷けるというものだ。しかし!この「お色気対決」において、舞台に上がって夫役を勤める温泉の手に持たれた新聞には「昭和60年6月12日」の文字が記されているではないか!!放送当日の日付である。すると「明日に向かって」はこの放送された時点より未来のエピソードになるのかっ?絶対そんなことはありえない。ああ。折角二人の為に弁護を続けてきたのに水の泡。それどころか逆に、両者は偉大なる健忘症の頭の持ち主であることが証明されてしまった。無念。
 話を物語に戻そう。冒頭、葉っぱの雫に映る弁天のバイクの映像が非常に斬新。しかし弁天、広い大空を飛んでるのだから、わざわざこういう葉っぱを蹴散らさなくてもいいのではないか?バイク自体かなりのスピードが出てるし、弁天は裸同然の格好。紙でさえほんのちょっとすれただけで切れることがあるのに、あんな無謀なスピードで葉っぱに突入すると確実に肌をいためると思うのだが。後ろに乗ってるラムもさぞかしいい迷惑だったことだろう。2年4組の教室シーンでは、久しぶりにテンが登場。178話ぶりである。しかし台詞は「だだだだだだ!」「えいえいえいえい!」「ばばばばば!」「にぇんにぇんにぇん」等の擬音のみ。あわれ杉山佳寿子さん。と思ったら、後半一般女生徒の声で少しだけ登場していた。良かった良かった。この後、弁天がパチンコであたるを遥か彼方に飛ばす映像があったが、驚くべきは弁天の腕力ではなく、そのパチンコゴム部分の伸張性。人間をあそこまでぶっ飛ばす能力を持っているということはおそらく地球産のゴムでは太刀打ちできない強靭なゴムなのであろう。するとやはりそれを伸ばしきる弁天の腕力も賞賛に値する。この弁天に喧嘩を売られた竜之介、誰もいない(と思った)原っぱに弁天を呼び出すシーンがあるのだが、そこでの竜之介の台詞「ばっきゃろ!」は声が裏返っていてとても可愛い。この場面で、竜之介が彼女にとって女性の象徴であるしのぶを、賞賛するシーンがあるのだが、その竜之介の台詞に喜ぶしのぶの表情と、その後あたるにスカートをめくられて逆上、「なにすんのよなにすんのよなにすんのよっ!」とあたるをケチョンケチョン(死後)にするギャップが爆笑モノ。いい味出してますしのぶ。後半からは校長脚本の演劇シーン。弁天、竜之介、温泉のやり取りに笑いさざめく友引高校全校生徒の描写及び声が、既存のうる星にはない雰囲気を醸し出していて異質だったが面白くもあった。しかし本当にコタツ猫の強いこと強いこと。人並みはずれた腕力を持った弁天竜之介をあっという間にKOするんだから。さすが並みの化け猫ではない。北斗君が負けたのも仕方ないことか(第181話)?ラスト近く、あたるが弁天の胸を鷲掴みにする場面があったが、原作ではあれほどあからさまに掴んでなかった。あの場面、結構生々しく見えましたねぇ。ラスト、珍しい校長の一人舞台。あれほど長い台詞を一気にまくし立てたのは、劇場映画第二作「ビューティフル・ドリーマー」の前半説教部分以来ではないか?自分の学校の体育館が破壊されても尚、自分のシナリオを朗読する彼の姿は鬼気迫るものがあった。服もぼろぼろになってたし。しかし校長、アドリブ劇なのに、最終的にああいう結末になるのを見越してシナリオを書いていたのか?そうするとかなり人間心理に造詣が深いと言えよう、このおっさん。
 今回、三話分の原作をアニメ化したせいか非常に原作に忠実。後半の野犬の群れによる黒装束シーンのみがオリジナルだった。そのオリジナル部分も原作の延長線らしく、物語り全体の雰囲気の中で上手に盛り込まれていた。また絵柄が素晴らしい。今回の作画監督はあの西島克彦氏。これまで、たくさんの作画監督のもと、作画を担当して入るが、作画監督のクレジットは2年前の第105話「太陽がいっぱい浮気がいっぱい」の前半パート以来である。確か劇場映画第三作「リメンバー・マイ・ラブ」のハーレムシーンもこの人の作画ではなかったか?そういった場面で作画を担当することから分かるように、この人が描く女性は異常にグラマー。今回のラムもこれまで以上に肉感的だった。私個人的には大好きな作画監督の一人である。


第184話 魔法の小ビン!うちはどうなるっちゃ!?
放送月日 1985.6.19
脚本 柳川茂
演出 鈴木行
原作 26-5
作画監督 アベ正巳
独断評価 ★★★☆
原画 浜田勝、古橋一浩、山田展彦、菊地由行、川口幸治、吉岡健二
西村智博(コタツ猫)、亀山助清(三平)、松井菜桜子(女の子)、木藤聡子、富沢美智恵、柿沼紫乃
内容
(184話)
テンがアイスクリームと交換に手に入れた怪しげな小ビン。これを売っていた案山子の吾作は「ラベルに書いてある説明書をよーく読むよう」テンに忠告するも、テンはその文字が読めない。首をひねりつつ小ビンを開けたそのときラムが帰ってきた。閃光とともに消えてしまったラム。あわてるテンにどこからかラムの声が。なんとラム、この小ビンの中に縮小されて閉じ込められているではないか。ぶち割ったビンの説明書を読むと「絶対人に向けてはいけません」の文字が。更に小さくしたものを大きくするには、別売りの「大ビン」を購入しなくてはならない事を知ったラムは、テンにただちに大ビンを買ってくるよう命令。そこへあたるが帰ってきた。これを機会にあたるにやさしくしてもらおうとたくらんだラム、「ダーリンの大きな愛がなければ元に戻れない」という嘘をあたるに告白。半信半疑ながらもその言葉を信じるあたる。しかし翌日、心配したコタツ猫にラムが「大ビンがあればすぐもとに戻れる」と説明するところをあたるが偶然発見。だまされたことを知ったあたるはラムを捕まえて鳥カゴの中に閉じ込め、ガールハントにでかける。一方テンは、アステロイドの森へ帰っていった案山子の吾作を探しに四次元に向かうが、そこで、吾作が売れない大ビン小ビンを片っ端から割っているという事実を聞き愕然とする。3次元に戻ってスクーターを調達、その間あたるにラムを捕まえるよう必死の説得をするテン。そのテンのあまりに必死の形相から事態の重要性を悟ったあたるは大急ぎで家に帰るもそこには壊れた鳥カゴと破れたラムの服、及び野良猫の足跡があるのみだった。一瞬ラムが野良猫に食べられてしまったと思い込んだあたるは一人パニック状態に陥るが、屋根裏で野良猫とラムの格闘する音を聞き、すぐさま現場へ直行。そこで無事なラムの姿を見てひとまずほっとするが、ラムはラムであたるに閉じ込められた腹いせの為、あたるの言うことを何一つ信じようとしない。土下座までしての自分の説得にラムが応じないことに業を煮やしたあたるはジャンプしてラムを捕まえる。そこへちょうどテンがスクーターで現れて、三人はまだ大ビンが割られていないことを祈りつつ一路四次元のアステロイドの森に向かう。
感想
(184話)
こういう話、私(deacon)大好きなんですよねぇ。原作のエピソードも大好きだったが、アニメも良かった。原作一話分のエピソードだが、オリジナル部分も暴走することもなく原作の良さをパワーアップさせていたと思う。しかし今回の冒頭のラムのファッションの凄いこと。物凄く縁の広い帽子にドレス風の白い上下。そういや原作ではラム、私服姿におけるスカート描写は殆どなかったんじゃないかな?この昼間の二人の散歩はデートのように見えるのだが、あたるはやはりテレのせいか不満気な顔。そんな顔をしつつも結構お洒落な格好してラムに付き合ってる彼の姿が可愛い。この後のあたるによるラムの胸と自分の顔の接触シーンは結構衝撃的だった。原作では絶対ありえない描写と、ラムの反応。しかし羨ましい…。この後二人、公園での結婚式に遭遇するのだが、ブーケを受け取ってテレまくるラムの描写もアニメ独特のもの。しかしあたる、あの巨大信楽焼きの狸、どこから持ってきたのだ?かなり謎である。それからラム、すぐに気付くよーに。またあたるのガールハントシーンでは当時流行ってたらしいスケ番刑事が登場。この髪型は斎藤由貴ヴァージョンか?スタッフで好きな人がいたんでしょうね。しかしこの一年後、同じ時間帯の「めぞん一刻」のオープニングでまさか斎藤由貴が主題歌を歌うようになるとは思わなかった。場面は変わって案山子の吾作による露店シーン。あんな不気味な人物すら素直に受け入れてしまう友引町及び町民の度量には全く感服するのみである。ここでの吾作の台詞に「三次元がこんなに不景気だとは思わなかった」というのがあるが、ちょうどこの時期の日本はバブル景気に沸く一歩手前。これから16年たった今の日本のドン底状態を知ったら、もう二度と吾作は三次元に出てこようとはしないでしょうなぁ。テンが戻ってきたあたるの部屋になにやら見慣れたポスターが。よく見るとなんとナウシカ。あたるの趣味の一片が垣間見えたような気がした。小さくされたラムによって怒られまくるテンの、おろおろしつつ謝る姿が可愛い。普段見せない態度だからなぁ。後半になってめちゃくちゃ久しぶりにあたるの父が登場。顔上半分のみで台詞無しだけど。ラムによって激辛料理を口に入れられたあたる、一瞬目に「辛」「から」の文字が浮かんでいた。その夜、あたるの枕もとで熟睡するラムの姿が非常に印象的。また夢の中で、ラムの紛失に気付き、「踏んづけちゃったかね?」と狼狽するあたるの姿も笑いを誘った。このアニメオリジナルの夢のシーンも良かったけれど、寝返りを打った自分の腕で枕もとで寝ているラムを踏み潰しそうになったあたるが「危ない危ない」といってラムをやさしく包んであげる原作のシーンもアニメ化してほしかった。翌日、諸星家屋根上でのあたるとラムのやり取り時には、まるでアニメ初期のように諸星家周辺に人だかりができていて懐かしかった。そしてラスト。間一髪もとの姿に戻ったラムを、手放しで喜ぶあたるの姿が非常に感動的だった。ここまで純粋にラムの為に感情を表すなんて滅多にないことだったから。でも原作もアニメもなぜかこのあたるの行動に対するラムの反応は冷ややか。確かに鳥かごに閉じ込められたり、大ビンが全滅寸前だったという事実をしらなかったということもあるけど、もうちっとラムに喜んで欲しかったと思ったのは私だけだろうか?アニメでは、ラスト、原作にないあたるとラムのやり取りが若干の救いになってるが原作ではそんなフォローもなかった。ま、ただ、原作でもアニメで、最終的にはラムによって被らされた鳥カゴを取ろうとしなかった彼の態度は、ラムに対する仕打ちの反省を表していたのかもしれない。


第185話 大魔人現わる!ラムの危険なお買物!?
放送月日 1985.6.26
脚本 土屋斗紀雄
演出 吉永尚之
原作 12-4
作画監督 河南正昭
独断評価 ★★★
原画 河南正昭、富田悦子、中島敦子、門脇孝一
池水通洋(温泉マーク)、西村知道(校長)西村智博(コタツ猫)、飯塚昭三(ロボット)、伊沢弘、菊池正美、清水祐子、石田美鈴、下奥明美
内容
(185話)
後に、友引闘争史に「炎の八日間」と記された生徒と先生の恐ろしくも馬鹿らしい争いの記録。それは些細なことから始まった。温泉の授業中、堂々と教室を退室、エスケープしてラーメンを食いにいったメガネを筆頭とする4人組。通信販売で買ったロボットの組み立ての為、同じく温泉の授業をボイコットするラム。ついに温泉をはじめとする教師陣の堪忍袋の尾が切れた。しかし問題は校長である。あの穏便な校長が綱紀粛正に同調するかどうか?その教師連の不安も杞憂に過ぎなかった。宇宙から送られてきたラム宛の荷物の落下の衝撃で、高価な玉露を台無しにされた校長は、個人的怨恨100%の怒りを爆発、温泉マークたちの体罰を支持、さらに、荒廃した友引高校の姿を絶望していた面堂も、個人的な軍隊を校長に提供、ここから想像を絶する綱紀粛正の嵐が吹き荒れる。そんななか、ラムは一人UFOに立てこもり、自分専用のかばん持ちロボットを製作。生徒と先生の間に流れる緊張感が最高潮に達したとき、ラムはそのロボットとともに登校してくる。ラムは「カバン持ちロボット」と言い張るが、その巨大さ、面構えの悪さはどうみても戦闘用ロボット。このロボットの出現で勇気を奮い起こした生徒達は、教師陣に対し反抗に転じるが…。
感想
(185話)
いやぁ、すごい。原作に流れていたノーテンキな雰囲気は微塵もなく、アニメでは結構ブラックユーモアたっぷりに描かれていた。特に前半はアニメオリジナルといっても過言ではない。ま、原作のエピソードをそのままアニメ化すると確かに22分は埋まらないからね。そこが脚本家の腕の見せ所なんだろう。冒頭の廃墟に佇むあたる、風を顔面にあびるシーンはなぜかチビそっくり。一瞬マジチビかと思って、その物語の進展を心配したものである。この「炎の八日間」の口火を切ったのはメガネ。退屈な英語の授業時、ラーメンを食おうとして這いつくばって教室を出て行こうとした3人に対し、彼は堂々と立ち上がり、更に堂々と教室を出て行った。その「英雄的行為」を他の三人から誉めそやされるメガネ。ここでてっきり、メガネはそういった自分を否定し、彼独自の理論でその行動を説明するのかと思いきや、三人のおだてに満悦し、あまつさえその自分の行為を自ずから英雄視していた。この放送を中学時にみていたのなら私も彼の行動を英雄視したかもしれない。しかし歳すでに30。どちらかとゆーと温泉の歳に近づいてきた今の筆者(deacon)からみると、このメガネの行動、及びそれを正当化する彼の姿は、理由もなく体制側に反抗しようとする若さのみ目について、非常に鼻につく。早く言えば、「このクソガキ!」といった感想である。若さの持つ思い上がりが顕著なんだよな。いつものメガネはここまでひどくないはずなんだけど。今回は教師側の怒りを激しくする為、彼が人身御供になった可能性もある。元来ノリやすい性格でもあるし。また校長の個人的怨恨による激怒が爆笑モノだった。最後の彼の叫びはこもっていて聞き取りづらかったが、「学費倍増!」と叫んでいたものと思われる。おいおい。てめーは一介の校長だろうが!理事長でもないのに勝手なこと言うんじゃない!しかしこの穏便な校長を激怒させたのは実はラムが原因である。彼女のでっけー荷物が友引高校の校庭に落下するたびに、校長の高価なお茶がこぼれまくって彼の怒りに火を注いだのだから。なのにその怒りの被害にあったのはラム以外の生徒たち。「天真爛漫」「無邪気」もこうなるとだな。この後、時計台において「救世主伝説」を唱えるメガネが想像するラムの姿はなぜか「ナウシカ」そのもの。このところナウシカの登場頻度が高い。スタッフにマニアがいるのか?それから、メガネ、「あたる!」なのか「諸星!」なのかはっきりしろ。いつもは「あたる」と呼んでるのに、今回の時計台のシーンではなぜか「諸星っ!」だった。どういう心境の変化だったのか。また教室において独自の理論をまくしたてるメガネの姿は久しぶりに「メガネ復活」を印象付け、彼の面目躍如足るものを感じた。その後の「静観するほうが得策」発言も爆笑モノ。後半から漸く原作に近づいた内容に。前半に流れていたハードな雰囲気も後半に入った途端腰砕けになった感じだ。そしてこの後半に登場するのが問題の「カバン持ちロボット」。もろ1965年公開の「大魔人」そのものである。20年ぶりにブラウン管に(アニメとして)戻ってきた彼の姿は、当時の大映スタッフの胸を打ったことであろう。しかしマニアック。大体こんな巨大なロボットをどうやってラムのUFOで組み立てたのだ?更にどうやってもって帰るつもりなのだラム?当然UFOには保管できないであろう。するとやはり友引町の公地への無断放置か?自転車や車ならいざ知らず、こんなもんを町に放置され、毎朝友引高校まで往復されたら迷惑千番である。さすがの行政も黙っていまい。ますます肩身が狭くなる諸星家。合掌。この後、全校生徒VS教師連、コンピューター制御による戦車の争いがはじまるのだが、その戦車の数が凄い。どう低く見積もっても42台。全校生徒が500名とするとおよそ戦車一台に対して人間わずか10人。それも全てコンピューター制御。さらにそれを操縦していた面堂の手に握られていたリモート操縦桿はたったの一台。更に面堂はそれを右手一本で操縦していたようだ。恐るべき面堂の指神経。はたまた恐るべき単純なコンピューター。さらにこの戦車を制御していたコンピューターが問題である。いまではコンピューターといえば磁気ディスク。フロッピーディスクにコンパクトディスク、果てはデジタルビデオディスクまで。なのにこの戦車のコンピューターは磁気テープ。ラジカセ並である。そういや当時のパソコン(当時はマイコンといってたなぁ)も記憶媒体は磁気テープだった。それもオーディオ用の磁気テープである。これがまた容量が少ない上に検索に異常に時間を要する最悪のシロモノだった。たまにそのテープを間違ってラジカセなんかに挿入して、そこから流れ出る超近代的ノイズに腰を抜かしたものである(友人談)。この時代からすでに16年。コンピューターを人智を越える進化を成し遂げた。感無量。そのテープに巻きつけられて宙を舞うメガネの姿が、預言書の描写とぴったり一致、チビを感動せしめていた。早く助けてやれよ。今回の作品はアニメ初期を髣髴とさせるハチャメチャぶり。しかし絵がリアルになった分、冗談ではすまされないような描写も増えたことも事実。ブラックユーモアもドタバタぶりを超越し、起こり得そうなリアル感を醸し出していた。


第186話 大変!ダーリンに言葉が通じないっちゃ
放送月日 1985.7.3
脚本 井上敏樹
演出 やまざきかずお
原作 20-5
作画監督 土器手司
独断評価 ★★★☆
原画 青木康直、平田智浩、藤川太、市川吉幸、丹沢学、ラオホ、どんぐり
池水通洋(温泉マーク)、鷲尾真知子(さくら)、玉川砂記子、木藤聡子、柿沼紫乃、木村深雪
内容
(186話)
毎朝食時恒例のあたるとテンの喧嘩。そしていつもどおりあらゆる物をテンに投げつけるあたる。しかし今回は違った。彼が投げた電気釜があろう事かラムに直撃したのである。慌てふためくあたる。一瞬で気付くラム。しかしこのショックで彼女は日本語を忘れてしまう。訳のわからない鬼族の言葉であたるに話し掛けるラム。さくらの診断によるとどうやら一時的なもので、おいおい思い出していくとのこと。それを聞いて一安心したあたるは、ラムが日本語をわからないことを幸いにガールハント三昧の生活に突入。最初の内はそんなあたるの行動を阻止しようとしていたラムだが、段々UFOに閉じこもる日々が続く。この状況を更に幸いと思ったあたるは学校の授業も、寝る間も惜しんでガールハントに精を出す。しかしそんな生活が一週間続くとさすがのあたるもダウン寸前。ぼろぼろになりつつ久しぶりに家に帰ったあたるは、やはりまだ言葉を思い出せず、一人何かの作業に打ち込むラムに再会。心身ともにくたびれ果てたあたるは、遂にここでラムに謝罪の言葉を口にする。
感想
(186話)
ええ話やのう!原作のエピソードも大好きだった。確か原作はパートカラー作品だった。今回の作画監督はあの土器手司氏。非常に完成度の高い作画が物語のクオリティーを更に上げていた。やっぱこの人の描くラムは最高である。物語は久しぶりの諸星家一家団欒シーンで幕をあける。こういう一家団欒食事シーンは個人的には大好きなので大歓迎である。渋い顔をしつつ無口であたるの攻撃をかわすテンが笑える。何か悟ってるような顔だし。またあたるの両親も久しぶりに台詞つきでの登場。特に父の台詞は超久しぶり。初期はかなり活躍してたのにね。この後父の台詞は全然ないのであるが、それでは父担当の緒方氏があんまりなので、後半のエピソードに直接関係のないラジオ体操の声や、パチンコのアナウンスの声も彼が担当していた。このテンとあたる乱闘シーンで、あたるの電気釜がラムに直撃する場面があるのだが、ここであたる、テンに対して「だいたい貴様がよけたりするから!」と言い訳をしていたが、画面を良く見るとテン、全然よけておらず。あたるの投げた電気釜は、ラムに一直線で直撃していた。どう見てもお前が悪い、諸星あたる。直撃直後のラムの表情があほっぽくてなかなか良い。ところでこの言葉ってなんだろう?ラムの母の場合は、まともな台詞を録音したあと、テープを逆回転させて異国語風にしていたが。このぶつけた直後のあたるの顔アップ時、なぜか彼の鼻に、チビそっくりなあたるらしき男のアホ面が映っていた。また、おろおろしたあたるがラムに「こんなことで怪我してたら身が持たんぞ」と言う場面があったが、この場面では明らかにあたるよりラムの背が高い。あたる、結構圧迫感があったのでは?場面は変わって教室シーン。何故かラム、あたるに英語の教科書を見せてもらっていた。席をくっつけて。この席をくっつけるシーンが何気にいい。何となく遠い昔の学生時代(中学高校)を思い出してしまった。この後、あたるに対して激昂する4人組の姿が爆笑モノ。カクガリのどすこい電気釜突きはもちろんのこと、メガネの三つ編み女装バレーシーンなんて最高である。しかしメガネ、第130話「異次元空間ダーリンはどこだっちゃ!?」に引き続いて、また三つ編み姿。結構気に入ってるのか?普通こういったものは一瞬の仮装なのだが、メガネはこの後暫く律儀にこの姿を通していた。結構マニアかも(女装)。ところでこのメガネ、あたるにぶつける為に電気釜をアタックしてたのだが、ここで問題が生じる。誰が彼に釜をトスしていたのだ?パーマは一番最初にあたるに釜で乱打していた。カクガリは前述どおり突きをしていた。するとチビか?あいかわらず地味な役割である。ここで初めてみんながラムの日本語記憶喪失に気付く。そうか。ラムは一応日本語を勉強してから地球にやってきたわけだ。日本人も海外に行くときは目的地の必要最低限の言葉を覚えていく人が多い。全く他国語を勉強せず日本にやってきて、平気で英語をまくしたてる一部外国人もこのラムの姿勢を見習ってもらいたい(よく英語で話し掛けられ、そのたび曖昧な微苦笑しか浮かべられず、その度屈辱感で身を震わす経験の多いdeaconの心の叫び)。とはいいつつ最近の日本人も、外国において平気で日本語を乱発するそうだが。閑話休題。するとここから明らかになるもう一つの事実。テン、君は凄い!幼児なのに日本語も自国語もぺらぺらなんて!確かに幼少時から異国にいると割合間単に両親の言葉とそこの国の言葉を覚えるらしい。けれど、テンはすでに自国語ぺらぺらな時期に日本にやってきたはず。現にこのとき、ラムと鬼族の言葉で会話してたし。しかもテンが初めて日本にきたときはすでに日本語ぺらぺらだった。ということは日本語圏内で自然と日本語を覚えたわけではない。ラム同様、日本にくる前にちゃんと学習していたのだ。これが凄い。見過ごされがちなテンの偉大な一面でした。同じく教室場面、面堂の白刃をあたるが足で受け止めるシーン、一瞬「kusoo」の文字と謎の美少女の姿が。誰ですかこの人?土器手氏オリジナルキャラか?この後さくらによって一時的な記憶喪失だとしったあたるが、反省もせずに「なんちゅー人騒がせな」とつぶやくシーンで、再びどこからか電気釜が飛んでくるのだが、この電気釜の衝突音及びあたるの反応の言葉が思いっきり画面とずれていて違和感たっぷりだった。アフレコ失敗か?しかしさくらも久しぶりだねぇ。また、あたるの公園でのガールハントシーンにおける男性の野菜描写は、はるか3年前の第25話「ハワイアン水着ドロボウ」の冒頭シーンを髣髴とさせていた。ふ、ふるいネタ。ラムから開放されたあたる、「ケモノが檻から解き放たれる」とたとえていたが、自分がケモノであることは一応自認してるわけだな。冷静なのかオオボケなのか良く分からん奴である。ラムの呪縛から解き放たれたあたるが、喫茶店の露店部分でラムといい争いするシーン(「女の子達が怖がって逃げてしまったではないか」)では、一瞬二人のディープキス場面を拝むことができる。思いっきりギャグ調だけど。更にここで小発見。この場面までちゃんと白いソックスを履いていたラム、次のシーンでは思いっきり素足になってるではないか!靴下がないだけで印象が全然変わることに驚いた。そしてこの直後、あたるの首に縄をかけるシーンでは再び靴下を装着していた。全くこんな緊急時に何を悠長なことをしてるのかラム!因みにこの瑣末事を発見したのは我が嫁でした。お恥ずかしい。翌日からのあたるガールハントシーンの冒頭をかざるのはいにしえのアニメ「エースをねらえ」のお蝶夫人のパロディ。当時としては認知度も高かったろうが、今となってはねぇ。また、こんな状況においても、あたる、ラム、テンの料理をちゃんと用意しているあたるの母の姿が美しかった。なんだかんだいってもラムとテンの心配している母の姿は最高である。だから父、なんかしゃべれって!ひさしぶりなんだから。ガールハントに集中するあたるだが、雑踏の中のラムに人一倍敏感に気付いていた。なんだかんだ言ってもラムが相当気になるようである。ここであたる、隠れ蓑にした女性の胸を無造作に触っていた。触られていた女性、「いい加減にしてよ!」と怒りのパンチを食らわしていたが、普通なら痴漢行為の現行犯で即逮捕だぞ。これだけですむあたるは物凄い幸運の星で生まれたとしか思えん。しかし露骨な触り方だった…。この後あたる、コタツ猫から金を借りていた。しょっちゅうあたるの布団で寝ているコタツ猫である、家賃として彼に少しばかりの金を払うのは妥当だと思うが。更にガールハント中、さくらから鉄槌をくらうあたる、一瞬目が乳首と化していた。しっかし芸の細かいこと。このようにあたるは連日連夜のガールハント三昧、ラムはラムでUFOの閉じこもり状態なのに、テンは一人あたるの部屋のベランダで佇んでいた。普通ならラムのいるUFOに帰るだろうに。なんかこのテンの行動がいじらしかった。でもなんであたる、こんなにやつれるまでガールハントをしてたのだろう。やっぱラムにかまって欲しかったのか。ラムの気を引くのに必死だったんだろう。なのにラムは相手にしてくれない。だからあたるは意地になってガールハントを続ける。いつかラムの電撃がくるのを期待して。まーったく、可愛いのか可愛げがないのかわからんやつだ、あたるは。そして感動のラストシーン。やつれ果てたあたるが土下座して謝り、それでもラムの関心を引くことができない彼が号泣しつつラムに抱きつくシーンは非常に印象深かった。いつもこんくらい素直だったら…と思ったけど、そうなるとあたるじゃなくなるか?ラムに抱きついたまま泣き寝入りするあたるをやさしく見つめるラムのまなざしも最高だった。そんでもって原作どおりのラストを迎えるのだが、あんな気色の悪い、更には「日本語→鬼族語」という日常生活を送るのに非常に不便な翻訳機を文句をいいつつ素直に装着しているあたるの姿が我々の心に温かい風を送ってくれた。いやぁいい話でしたねぇ。


第187話 悪夢の夏!テンちゃんのうな重大作戦!!
放送月日 1985.7.10
脚本 柳川茂
演出 富永恒雄
原作 19-2
作画監督 四分一節子
独断評価 ★★☆
原画 小椋真由美、伏田光宏、佐々木正克、鈴木伸一、前島健一、川筋豊
鷲尾真知子(さくら)、大和田りつこ(真子もどき)、大城まつみ(少女)、西村智博(ネコドラマ男優)
内容
(187話)
夏真っ盛り。炎天下、帽子もつけずにアゲハチョウを追い続けるテン。「日射病になる」というラムの忠告を無視して飛び回った為、テンは本当に日射病にかかってしまう。つまり体の中に温かい空気がたまって下に降りられなくなったのだ。日射病になったことをラムにばれたら大変である。一週間は外出許可がおりないであろう。必死で下界に降りようとするテン。悪戦苦闘するうちに、妖精の世界に迷い込んでしまった。今日は妖精が幼虫から成虫へ成長する大切な日。成虫になる為には大量の栄養をとらねばならない。すさまじい数の妖精の幼虫の食欲を満たす為に、大量のうな重を下界まで買いにいく妖精の国のあたるもどき。しかしそのうな重がひょんなことからサクラの元へわたってしまった。妖精の女王から、うなぎを取り戻すよう頼まれたテンは、サクラの家に入っていくのだが…。
感想
(187話)
この話は、なぜか本放送時の印象が強く良く覚えていた。今回は久しぶりのテン主役。最近冷遇されてたから、その意気込みも凄く、大活躍だった。冒頭、歩道をマイペースで歩く少女が描かれているが、この歩行スピードがかなり問題。ここでは、映像の焦点が少女に合っているため、歩いている少女は止まってるようにみえ、その代わり車道が動いているような描写であった。左の車道の白線の動きに注目。一般道では白線は20mおきに描かれている。これは日本全国共通である。その白線の移動スピードが以上に速いのだ。計ってみると白線5本が通過するのに1秒97しかかかっていないつまりこの少女、時速182.7kmの速さで歩行していたことになる。はたから傍観しているものの目には、一般道を新幹線並のスピードで駆け抜ける、歩く少女が映っていたはずだ。物語を全体で一貫して不思議な雰囲気を醸し出していたこの少女、やはりただモンではなかった。さらにこの少女を抜きさっていった車にいたっては問題外。のんきにサーフボードを車の後ろにはりつけて走行していたが、これではもろ風圧がこのボードを直撃してしまいかなりのパワーダウンを強いられたことであろう。なのに時速200km以上で疾走するとは。場面は急な下り坂だった。この後、坂の下で制御のきかなくなった車が重大事故を起こさないよう祈るのみである。かたや、あたるもどきが路地裏でテンの元を去るシーンでは、こいつ歩いてるくせに一向に前に進んでいなかった。ムーンウォークか(うわ、ふっるぅ)?どちらにしても極端な話である。このように前半はほとんどアニメのオリジナル。あたるもどきの妖精男や、おなじくサクラもどきの妖精女王等がオリジナルキャラとして描かれていた。そして後半から漸く原作らしいテイストがもどってくる。ただ、前半からの続きであるからして、当然オリジナルストーリーも平行して進んでいった。しかしこの妖精の幼虫なのだが、こいつらだけの描写ならさして気持ち悪くなかったが、テンの体にまつわりつくこいつらの描写はめちゃくちゃ気持ち悪かった…。場面は変わってさくらの家。原作どおり、あたる、ラム、面堂、しのぶがさくらの招きに応じて集まっていた。なぜか錯乱坊の姿は無し。旅にでもでてるのだろうか?また、たかだかうな重一杯に対して、極上の笑みを浮かべる面堂の顔が馬鹿丸出しで哀れを誘った。ひょっとしてこいつ、家ではろくなモン食ってないんじゃないか?この後の、テンによるうな重強奪シーンは非常に印象的。この「浮上開始!」とテンが叫ぶシーンはいまだに思い出に残っている。ここで使われたBGMは、番組初期から使われているおなじみのBGM。なんか懐かしかった。ラスト近く、幼虫の成虫変化シーンは爆笑モノ。なんとこの成虫が真子そっくりなのである。声優さんも二年半前に放送された第82話「恐怖の聖バレンタインデー」と同じ人。しかし二年半ぶりにゲストキャラ復活とは。なんというインターバル。しかしこの後、この真子をもしのぐ長期インターバルのゲストキャラがでてくるのだが、それは後の話。ラスト近くの、あたるによるテン日射病治療シーンはほぼ原作どおり。あたるから拷問のような治療を受けつつ、治療自体は間違ってない為、誰にも助けてもらえないテンが哀れで涙を誘った。原作のラストは、夏風邪をひいたテンが、くしゃみをするたびに炎をあたるに浴びせ、ささやかな復讐をする場面で終わっていたのだが、アニメは冒頭の謎の少女の笑顔で終わっていた。何モンだ、この快速少女は?全体的にストーリーは結構凝っていて面白かったのだが…。今回、絵が変。非常に変。とくにさくらの家に集まった、あたる、ラム、面堂、しのぶの描写が、ここ最近の絵柄に比べて非常に幼稚に描かれていた。面堂なんか猿そのもの。見ようによっては「ルパンV世」にも見えた。さらにテンが来る前にうなぎを食べようとするあたるを眺めるラムの顔が、凄まじく間抜けに描かれている。鼻の下が異常に長いんだこのラム。全くとほほこの上なし!。ここ最近ハイレベルな作画が続いたからなぁ。特に今回の絵が稚拙に見えてしまった。残念無念。


第188話 お見舞いパニック!?悪気はないっちゃよ
放送月日 1985.7.17
脚本 土屋斗紀雄
演出 吉永尚之
原作 26-6
作画監督 澤田正人
独断評価 ★★★★
原画 ビイーボー、篠雅律、山本正文、南伸一郎、川口幸治、吉岡健二、加藤誠一、千葉順三
小宮和枝(ラン)、小原乃梨子(おユキ)、池水通洋(温泉マーク)、梨羽由記子(ランの母)、中島千里、藤井佳代子、木藤聡子、清水祐子、下奥明美、石田美鈴
内容
(188話)
初夏の早朝、地球風邪を引いてしまったランは大事を取って学校を休むことにした。退屈な時間、思い出すのは、ラムとの幼少時のエピソード。当然ながらそのエピソードは、ラムによって無茶苦茶にされた自分の人生に関することばかり。思い出すたびに怒りを爆発させるランだが、風邪の為外出もままならない。1週間も休むと完全に暇を持て余すようになってしまった。弁天やおユキに連絡を取ろうにも二人とも旅行に出かけてしまっていてつかまらない。仕方なしにラムに電話をかけるが、お見舞いに誘い出すのに失敗。怒り狂ったランはラムに数々の攻撃を仕掛け、お見舞い拒否の意思を伝える。そのランの態度から漸く彼女がお見舞いにきて欲しいことを知ったラムは、医療ロボットを携えてお見舞いに出向く。喜んでラムを迎えるラン。しかしラムのあのがちゃがちゃした正確は幼い頃から全く変わってなかった。お見舞いにきたつもりが、あらゆるトラブルを発生させて逆にランの病状を悪化させてしまったラム。罪悪感に打ちのめされたラムは、ランのUFOから帰ろうとするが…。
感想
(188話)
うわっ!これもめちゃ懐かしい。個人事で恐縮だが、当時このエピソードは、原作がサンデーで掲載されてさほど時間がたってない頃にアニメ化された。偶然このエピソードが掲載されたサンデーを持っていた私は、生まれて初めて原作を読みながらアニメのエピソードを見たのだ。「ロック・ザ・プラネット」のオープニングを見ながら、サンデーのうる星やつらのページを開きつつ、物語が始まるのをワクワクしながら待っていたのを思い出す。そしてアニメのオープニングが、原作とほぼ同じ(体温計を手に顔を火照らすランの描写)だったので、一人大喜びしていたの思い出がある。ほんと個人事ですな。今回の話は個人的(また個人的かい!)に大好きだったラムとランの幼少時エピソードが主体。最初のエピソードで、ラムがロボットをコントローラーで操縦するシーンがあったが、このコントローラーレバーが二つ。たったこれだけで、「走る」「守る」「掴む」「ミサイル発射」「ひるむ(苦笑)」等の行動ができるのだから凄い。しかもラム、殆ど右手一本しかつかってなかったし。でも次のシーンではレバーが3本に増えていた。この右端のレバーは、どうやらパワーの強弱をコントロールできるレバーだったようだ。「パワーが不足してるっちゃ!」と叫んだラムが、このレバーを一番下から一番上に押し上げていた。おそらく一番下が「弱」、一番上が「強」になるのだろう。しかしレバーを一番上に上げた途端、ロボットは光を放って大爆発を起こしていた。どうやらロボットの限界を超えたパワーに達したらしい。ここでこのロボット設計者に一言いいたい。レバーのコントロール範囲内に、限界を超えてしまうパワーを出力できるような設計をすなっ!まるでステレオのボリュームを最大にしたらスピーカーが爆発してしまったようなもんである。レバー範囲は機械の許容範囲におさめて当然であろう。はたまた、このロボットを組み立てたラムに原因があったのか。あ、こっちの方が確率高いな…。しかし、幼少時のランはほんっとに素直で可愛い。やっぱ彼女の性格を歪めたのはどう考えてもラムであろう。日射病で体があつくなったランに対して、おユキを呼んでランを冷凍するラムなんか、無邪気を通り越して殺気を感じてしまう。ここまでしたなら、ランに恨まれても当然という気がするのだが…。この後、病気の悪化とともに、ランが弁天やおユキにお見舞い催促の電話をかけるシーンがあるのだが、弁天やおユキにまでランから連絡するなんて相当珍しい。よほど弱っていたのか、よほど退屈だったのか。今回の場合、両者とも留守だった為、連絡が取れなかったのだが、もし弁天と連絡がついて彼女がランの家まで見舞いにきたらどうなっていたか結構興味がある。また、普段はひねくれもののランが、電話応対に出たおユキの侍従に対して、丁寧に受け答えする場面はなんか好印象だった。この二人からのお見舞いが絶望的になった為、ランがラムに電話する場面は爆笑モノ。ランが「お見舞いにこなくて大丈夫!」といいつつ言外にお見舞いを匂わせてたのに対し、ラムが「良かった!じゃ、今から学校にいくから!」とあっさり電話を切るシーンは、無邪気を通り越して悪意を感じてしまった。冷たい!あまりに冷たいぞラム!遠まわしに言ったランもランだが、そういう言外のニュアンスに全く気付かないラムもこの先人生の人間関係において数々のトラブルを生じさせてしまうことは必定。ま、こういうラムの性格がまた良いんだけど。このラムの反応に激怒したランが電話をぶち壊す場面では、壊れたモニターから様々な映像が映っては消えていた。謎の男性の微笑、ネコ、横たわった女性の上半身ヌード写真、同じく横たわった女性の下半身ヌード写真、印刷された文章等。この微笑する男の正体が知りたい。後半冒頭は久しぶりのランメッセンジャードール登場!この人形一つ一つに自分の顔をつけつつ、爆弾を埋めていったランの執念が恐ろしい。またメッセンジャードール落下傘部隊の描写は可愛さを通り越してシュール感が漂っていた。温泉マーク一人を残しつつ、廊下側まで避難する2年4組の生徒の行動が爆笑モノ。このランの執拗な行動に対してあたるが「ラム、お前ランちゃんのお見舞いにいってこい!」と叫ぶシーンがあったが、普通なら、あたるが率先してお見舞いに行くと思うのだが。この爆弾攻撃にさしものあたるも腰が引けてしまったか?また、空中でミサイル攻撃を喰らうラムのパニック状態の姿もコミカルで笑えた。この後、ランのUFOに出向いたラムが、ランに料理を作る場面があったのだが、このエプロン姿のラムは、ビキニの上からのエプロンだった為、変なエロティシズムを醸し出していた(って思ったのは私だけか!?中年ってやだなうう)。ラムが参考にした本はランが用意していた「病人の為のお献立365品」。おいおい。寝たきり老人用の本か?365品って…。一年分としたら一日一食だな。やはり寝たきり老人用か?こういった料理の本を見ても全然手際が悪いラムに痺れを切らしたランがラムに手本を見せるシーンがあったが、やはりランは器用。一つ一つラムに説明しつつ料理を作る彼女の姿は美しかった。見ようによっては(しゅうとめ)のようにも見えたが。もともとこういった才能があるんだろうけど、普段からレイ用に大量に食事を作らなければならない彼女は、必然的にこういった才能が開花したのであろう。ラムへの料理指導で体を動かしすぎたランはこの後ダウン。彼女を救うべくラムが持ってきた医療ロボットを良く見ると、これって第100話「ダーリンが死んじゃう?」でラムに壊されたロボットと同じ奴とちがうか?一回壊した奴をもう一度組み立ててもあかんやろラム!しかし組み立て部分を少し間違えただけで大爆発を起こすなんて、動力はなんなんだ、このロボット。医療ロボットを大爆発させてしまい、ぼろぼろになりながら謝るラムの姿、そして洗濯機を大爆発させ(だから何で操作間違いだけで大爆発をおこすのだ?この洗濯機の動力の正体も滅茶苦茶気になる)同じくぼろぼろになりながら謝るラムの姿が非常に殊勝で印象深い。ラムの伏目がちな表情がなんとも言えない。やっぱこの二人の掛け合いは最高。全編抱腹絶倒シーンのオンパレードだった。この後の、幼少時思い出シーンにおけるBGMは、劇場映画版第三作「リメンバー・マイ・ラブ」のインストゥルメンタル。泣きながらランを必死で看病する幼きラムの姿とオーバーラップして雰囲気を盛り上げていた。また、ランの布団の傍らで看病しながら寝てしまっているラムに、ドテラを着せるランの心遣いも嬉しかった。ラスト、原作ではUFO内のみの破損描写が、アニメではUFO全体のほぼ全壊描写になっていた。これが当時の私に不安を与えた。(あの天井まで吹っ飛んだUFOでこれからランはどうやって暮らしていくのだろう。原作ではそこまで破損してなかったらこんな心配しなくて良かったのに。)と本気で悩んだ当時中二の私。大事な思春期にこんな不安を惹起させたうる星の功罪は大きい。というより当時の私が単なる馬鹿だったのか。最後、アニメのオチと原作のオチがほぼ同じだった為、冒頭同様やはりサンデーを手にしつつ大喜びをしていた私。やはり単なる馬鹿でした。いやぁしかしこのエピソードは本当に面白かった!ことごとくラムの被害者になるランに同情しつつも、天真爛漫、がさつ、無邪気なラムを非難する気には何故かなれなかった。こういったラムも大好きである。全体的にギャグにもテンポにもムードにも作画にも大満足のdeaconでした。


第189話 怖い!終太郎の頭にタコがいるっちゃ!?
放送月日 1985.7.24
脚本 井上敏樹
演出 関田修
原作 26-7
作画監督 アベ正巳
独断評価 ★★★
原画 古橋かずひろ、中島敦子、山田展彦、菊池由行
鷲尾真知子(さくら)、小山茉美(了子)、亀山助清、西村智博
内容
(189話)
暗雲立ち込める面堂邸。一人暗闇(!)の中ピアノを弾く面堂。なにかの前兆を感じ取るもその正体は分からない。不安を感じつつもベッドに入る終太郎。そこへ血相を変えたサングラス部隊がやってきた。冒険好きが故、地下牢に幽閉していたタコの赤丸が脱走したというのだ。事の重大さを悟った面堂は大至急赤丸の捜索を指示。高ぶる神経をおさえつつ再び寝床についた彼は、正体不明の物体の襲撃を受ける。その日から1週間。学校にあらわれない面堂を心配したあたる、しのぶ、ラム、テンが面堂の家までお見舞いにやってきた。面堂の面会拒否にもめげず終太郎の寝室まで入った4人は、そこで恐ろしいものを目撃する。なんと面堂の頭に花柄のタコが乗っているのだ。そのタコこそ、脱走して行方不明となっている赤丸そのものだった。姿はみえども実体のないタコ。幽霊かはたまた生霊か?そこへ霊能力者のさくらと錯乱坊が現れて…。
感想
(189話)
久しぶりのナレーションは、錯乱坊担当の永井一郎氏。錯乱坊自体の出演も第180話以来か?レギュラーにしては結構なインターバルだった。内容としては一見ホラー風。やっぱ時期が夏だからねぇ。特撮とかも夏になると必ずこういった「ホラー調」のエピソードを放送してたものである。うる星の場合は完全ホラー調にはならなかったけど。しかし前半は結構不気味な雰囲気が功を奏していた。やっぱ劇場版第二作「ビューティフル・ドリーマー」のBGMはこういったエピソードには最適である。冒頭明かりのない部屋で一心不乱にピアノを弾く面堂の姿が不気味。ワイングラスに入っている液体はどう見てもトマトジュースだし。しかし面堂、あんな暗い部屋なのになぜ平気だったのだ?暗所恐怖症の癖して。確か彼は、女性の視線を感じない暗所ではパニックに陥るのではなかったか?唯一考えられるのは、どこか目立たないところで女性が面堂を見つめてたということ。うーむ。こっちのほうが怖い…。また、寝室で本を読む面堂、窓が開いたのにも全然気付いてなかった。窓の開閉自体の音は確かに小さかったかもしれない。しかしそとは大嵐なんだぞ。窓が少し開いただけでも大音響が聞こえたはず。なのにこやつは顔色一つ変えずに本を読んでいた。仮に賊が彼の寝室を襲ったとしても全く気付かなかったことであろう。泰然自若としてるのか恐るべき鈍感なのか。しかし面堂、今日はちゃちな寝室で寝てること。これは数ある終太郎の館の中の内の一つなんだろうが、やたら質素。窓を完全に開いて外を見るシーンではその外壁が映っていたが、その外壁は木造。しかも気品漂う木造ではなく、まるで友引高校並のちゃちい木造であった。場面は変わって友引高校。珍しい水泳の授業風景だ。おお!ラムがスクール水着を着ている!ラムの黒一色ワンピース水着はこれが初めてではないか?すんげぇ地味。でも新鮮である。しかししのぶ、似合ってるぞスクール水着。ここで面堂がすでに一週間も学校を休んでることが話題となってるのだが、意外としのぶは冷静。一週間たってはじめて見舞いに行こうとしていた。あたる、ラムと一緒に。すでに面堂熱は覚めつつあったのか?最近登場も少なかったもんな。面堂邸に入った後の、サングラス部隊の後ろに隠れて面堂の寝室に侵入する彼らの描写は原作そのままで爆笑モノ。こういうのはアニメで見るとさらにおかしさがつのる。サングラスの真後ろにいたあたるはそれほど移動距離はなかったろうが、あたる、ラムの後ろにいたしのぶはあたるの倍以上の距離を移動していた。その角度およそ180度、その時間およそ0.37秒。サングラスの重心とあたるの重心の距離は約40cm程か?するとあたるは125.6cmの距離を0.37秒で移動していたことになる。ま、すばやく一歩を踏み出せば無理な数字ではない。しかし問題はしのぶ。彼女はサングラスから最低でも120cmは離れた位置にいた。すると彼女の移動スピードは376.8cm。4m近い距離を0.37秒で移動していたことになる。時速は約36.7km。おお。ルイスを抜いた。しかも彼女別段走ってなかったのである。その姿勢はまさに直立不動。この姿勢で時速36.7kmだすとは。つまり彼女、股を思い切り広げ(約4m。げげ!)、一歩だけで移動したようだ。怪力だけではなく、体の柔らかさも尋常ではなかったようだ三宅しのぶ。と思ったらこの後の描写ではこの4人、サングラスが振り向いた瞬間、わずか0.07秒で2m以上を移動していた(かがんだわけではない。なぜならこの後サングラスがドアを閉めた時点で、彼らはそこにいなかったのだから)。そのスピード時速102.9km。このスピードをわずか0.07秒でだしたのである。怪力に加え柔軟、更に恐るべき俊敏性、瞬発力。まさに人は見かけによらない。この後の、身をかがみつつ暗闇の中面堂に近寄っていく四人の描写は爆笑モノ。とくにラムの動きがコミカルで笑えた。ここで苦悩する面堂をみるラムの目がやさしい。面堂に対してここまで同情的になったのは初めてではないか?あくまで同情で終わってしまうんだけど。「諸星のアホ面」云々は原作そのまま。やっぱこのシーンはおもろいわ。そしてここであたる達は、面堂の頭に乗るタコの姿を目の当たりにする訳である。と同時に前半終了。おおい。なげー前フリだな。全然話が進んでないではないか!後半になってムードは一変してギャグ調。実体のない頭のタコに悩みまくる面堂だが、一つだけ疑問が。実体のないタコにどうやってペンキが塗れたのだ?実体がなければペンキはタコを通過して面堂の頭に落ちたはず。なのに綺麗に彩色されてるこのタコって一体…。飼い主同様そーとーいい加減である。更にその赤丸の頭に一色のペンキであざやかにひまわりを描いたあたるもいい加減にいい加減である。どうもても三色は必要なのに。そしてここからテンによって事実を知らされたさくらと錯乱坊が登場。この面堂のタコを町中で言いふらすテンの行動は何度見ても最高である。まさにテンの真骨頂か?そのテンの行動を知らされた面堂の怒り具合も爆笑モノだが、この激怒面堂の上に座る赤丸の持つ、「怒りの面堂屋(君?)」の旗も笑わせてもらった。芸が細かい。原作では、「何故赤丸が枕に入ったのか?」を全然解決させず爽やかな笑顔で締めくくっていたが、アニメではその後のエピソードもおまけとして放送されていた。この、ほんの少し不気味な雰囲気の漂うエンディングも結構面白かったように思う。今回は作画として中島敦子氏が大活躍。なんて綺麗な絵を書く人であろう。夜中の2時に悪夢に苦しむ妖艶な面堂の寝顔、プールサイドであたるの話を聞くしのぶとラムの顔、後半冒頭、暗雲晴れた面堂邸での呆気にとられるラム、しのぶ、あたるの顔、赤丸の遺体捜索を思い出す面堂の顔等、その作画の完成度は目をみはるものがあった。。さくら、錯乱坊登場シーンから作画が一変するのであるっ!この作画激変はあまりにも顕著であったため、当時の視聴者にも相当の混乱を与えたのではなかろうか?特に面堂とラムの顔の変化が著しく、この変化を目の当たりにしたときは相当頭がクラクラしたものである。うーむ。何故統一しないのか?後半の作画の人が、中島嬢の作画技術についていかなかったのか?こういった作画激変は初期うる星なみに、これからも放送上頻繁に起こってしまうのである。前半のレベルが高かっただけになぁ。この作画激変のおかげでストーリーに没頭できなかったのは私だけであろうか?勿体無い。尚、今回からOPが「殿方ごめん遊ばせ」、EDが「Good Luck」のラストバージョンへ変更。なんでこの時期?番組改変の時期(10月)には早いし、1クールで「ロック・ザ・プラネット」を終わらせるには6月で終わってなければならなかった(1クールは約13週)。中途半端なことこの上なし。


第190話 宇宙からの侵略者!あやうしラムの唇!!
放送月日 1985.7.31
脚本 島田満
演出 鈴木行
原作 26-9
作画監督 河南正昭
独断評価 ★☆
原画 浜田勝、門脇孝一、立木康子
田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、鷲尾真知子(さくら)、富山啓(敬?)(侵略者)、木藤聡子、西村智博、立木文彦、柿沼紫乃
内容
(190話)
夜明けの友引町。そこへしのびよる怪しげな影。そう、宇宙からやってきた不気味な侵略者である。人間の上半身と、ケモノの下半身(四足)をもつこの侵略者は、自信たっぷりに友引町に宣戦布告。しかしその思いは空回り、誰も彼を相手にしてくれない。強引な侵略パターンを変更し、洗脳による侵略作戦へと変更。手始めにあたるをとっつかまえ、彼に変身し、地球人を洗脳していこうとする。しかし彼らの洗脳の仕方は、唇から唇への洗脳液の注入である為、ニセあたるに唇を吸われようとする女生徒は大パニック。近づこうとするニセあたるに対しリンチで応酬。女がダメなら男をとばかりに面堂に吸い付くも、当然激怒した面堂に追いかけられる始末。切羽詰ったニセあたるの元にラムの姿が。(こいつなら洗脳できる!)と確信したニセあたるはラムに吸い付こうとするが…。
感想
(190話)
冒頭、BGMのみの宇宙シーンだけで40秒もかけるというのはどうか?宇宙人がただ笑うだけのシーンだけで10分が経過しているというのはどうか?そう、今回イントロがイジョーに長いんである。特に侵略者が友引町に舞い立ったシーンから本編に入るまでの冗長なこと。変なしじまのあとの思い出したような侵略者の笑いも、同じ事の繰り返し。はっきり断言しよう。この本編までのイントロ10分間は、全く見るところが無かった。あまりの退屈さに嫁が寝込んでしまったほどである。テンポ、間、オリジナル部分全てにおいて精彩なし。「時間があまったから、伸ばしてるよーん」的雰囲気に包まれていたように思える。このイントロ部分が好きで好きでたまらん!と言う人には謝るしかない。すまんと。しかしこの侵略者、あれほどの人数の中から何故一人でやってきたのか?いきなり洗脳を開始しようとする態度からすると、斥候にきたとも思えん。初めての星なら、宇宙船からのスキャナー調査だけでなく、何人かのグループを作って探索に来るべきである。だからあそこまでないがしろにされるのだ。彼らの洗脳方法が、倍倍方式であるなら分からんでもない。一人が二人に吸い付き、二人がそれぞれ二人、計四人に吸い付いていく方法である。これなら地球の人口60億人を洗脳するのに33段階だけで終了。正確には一人が二人に吸い付かねばならないので66段階か。1段回10分かけても、朝の9時に始めれば、夜の20時は終了だ。サラリーマンの稼動時間と大してかわらん。ま、実際には日本国外や人跡未踏の地等にも潜入せねばならんから、こんな短期間では終わらんが66段階で済むことは確か。二人から侵略初めても65段階かかるから、一人でも二人でも大して変わりは無かったようだ。22段階あたりで日本の人口を突破してしまってからはかなりキビシーだろうけど。屋根裏でこの宇宙人を見つめるのは、野良猫のみ。この野良猫、よく見ると当時流行していた、小林まこと氏作「ホワッツ・マイケル」のもろパロディー。一般友引町民は、このグロテスクな侵略者に怯える様子は全く見せず、あまつさえ安眠妨害だとばかりに物まで投げつけていた。やっぱ普段から怪しげな物(コタツ猫、錯乱坊、浮遊するラム、テン)に見慣れているからなぁ。こんなもんじゃもう驚かないんだろう。こういう侵略場所選定時点ですでに過ちを犯してしまった侵略者。地道な研究を怠ったツケが回ったきたようだ。おごれるものは久しからず。前半終了直前から漸く本編突入。ここであたるが侵略者のターゲットに選ばれて、不意打ち的に唇を奪われていた。この吸い付きは単にあたるの姿を借りる為だけの吸い付きだったらしい。おいおい。折角吸い付き成功したんならついでに洗脳もしておけよ!そんな無駄なことばかりしてるからこの先更にひどい目にあうんだよ。大体、この星の人間が唇を吸われることを非常に特異な位置として捕らえてることすら研究してなかった侵略者。新規開拓の為新しい土地にやってきたサラリーマンが、全く下調べもせずに店に飛び込んでいくよーなもんである。こんな奴一般社会では即リストラの対象になること間違いなし。この後侵略者は面堂にまで口付けをしていた。面堂があれほど元気だったとこを見ると、折角吸い付いたのに面堂への洗脳も失敗したようだ。ほんっとどーしよーもない奴である。また、何も知らない本物あたるが高校に帰ってきて、しのぶに口付けしようと迫ったとき、彼女から平手打ちを喰らいつつ「いきなり殴ることなかろーが」というシーンがあったが、普段の時でも、いきなり口付けされそうになったらしのぶは殴ってるぞ。今回が特別なことでもあるまい。そこでのしのぶの台詞「あなたあたしだけじゃなく、そこら辺の女の子にキスしよーとしてるっていうじゃない」は意味深である。自分だけにキスしよーとしてたのならあたるを殴らなかったとでもいうのか?いくら疎遠になったと言っても昔の恋人は昔の恋人。女心は複雑である。番組後半、ラムによる侵略者攻撃場面は爆笑モノ。いやぁ彼女の平手は電撃よりも恐ろしい。背筋が凍ったぞあの描写。となるとあたるも考えものだ。ふと魔が差してラムにキスしようとすると、ラムから別人扱いされて、この侵略者と同等の扱いを受ける可能性大。ま、あたるならそんな唐突なことはせんと思うけど。しかし。このオチはなんだ!!原作のように、侵略者のUFO内における内輪的オチの方が絶対面白かったのに。結局前半部分の冗長な雰囲気がそのままラストにも引き継がれていたようだ。とほほ。今回、侵略者役として、あの富山敬氏が初クレジット!エンディングのクレジットでは敬ではなく「啓」になってたのが気になるが。でもあの「宇宙戦艦ヤマト」の古代進、「侍ジャイアンツ」の番場蛮、「タイムボカーン」シリーズのナレーター、初期「ちびまる子ちゃん」の祖父役を勤めた富山敬氏でしょう!その偉大な富山氏がこんな地味キャラの声をしてたとは。やや複雑。尚、氏は数年前逝去されたということです。謹んでご冥福を祈ります。


第191話 スペースサバイバル!食うのは奴らだ
放送月日 1985.8.7
脚本 土屋斗紀雄
演出 関田修
原作 27-2
作画監督 土器手司
独断評価 ★★★☆
原画 富田悦子、グループどんぐり、吉野高夫
田中真弓(竜之介)、池水通洋(温泉マーク)、鷲尾真知子(さくら)、井上和彦、西村智博
内容
(191話)
真夏の友引町。きょうも2年4組の生徒一同は補習を受ける為友引高校へ登校。他のクラスが次々と授業を終わらせる中、何故か2年4組だけ昼飯抜きの補習の補習。あまりの空腹の為殺気立つ生徒一同。それに対し、「補習の補習の補習」を盾に一人がんばる温泉マーク。そこへ大音響とともになにかが校庭に落下してきた。騒然とする生徒たち。原因を調べるべく、一人校庭に降り立つ温泉。そこには湯気を立て、いままさにでき立てといわんばかりの鍋があるではないか。このシズル感たっぷりの鍋を見た途端、暴徒と化した生徒一同。てっきり温泉が隠れて食おうとしたものと思い込んで、温泉を集団リンチに。しかしラムによって、この鍋は地球外からきた物体であることがわかった。温泉を十分痛めつけてから、温泉を取り囲むあたる達。地球外物質とあらばおいそれ口にはできない。激しい空腹との葛藤に悩む彼らの前に錯乱坊があらわれた。何の躊躇も無く一気食いする錯乱坊。そのあまりの美味さにのたうつ錯乱坊の姿を見たとき、彼らの間に(食えばよかった!)の悔恨の念が。がっかりしつつ、今猛烈に食べたいものをつぶやく生徒たち。すると直後、鍋からそれらの食物があらわれたではないか!どうやらこの鍋、欲しいものをオーダーするとなんでもでてくる万能鍋だったようだ。狂喜乱舞するあたる達。しかし慎重さも取り戻し、一人ずつ、単体でオーダーをすることに。幾人かのオーダーのあと、再び錯乱坊が登場し、おしるこを注文。折角食べれそうだったその他の食物もすべておしるこの波に飲まれてしまった。残念と無念で彼らの空腹は極限状態に。こうなりゃ腹に入ればなんでもええわい!とばかりに注文をしまくるあたる達。一方、この鍋の持ち主、及び、紛失主である宇宙船はパニックに。原始生物が住む惑星に落とした鍋からの注文の為、宇宙船の食糧倉庫の中味が激減し始めたのだ。大慌てで鍋を回収にいく宇宙人。そして無事鍋を回収するのだが、鍋と一緒にあたる達も回収してしまったからさあ大変…。
感想
(191話)
ぐおおっ!なんと食欲をそそるエピソードなんだ!ストーリーは勿論、その完成度の高い作画が、視聴者の食欲中枢を直撃してやまなかった作品である。冒頭の、食道楽百貫デブあたるの容姿が凄まじい。こやつ太ったからこんなに醜悪になってしまうのか!ラム、要注意である。そして久々のハーレムシーン。いやホント久しぶり。映画では頻繁に出てたハーレムだが、テレビシリーズでは意外とその描写は少なかった。このハーレム描写の中に、ラムがいるというのは非常に嬉しいことだが、何故かこのラム、異常に太ってた。特にふくらはぎの大きさが特筆モン。やっぱ王宮勤めとなると運動不足になるのか?これは全てあたるの夢の中の出来事なのだが、夢の中のあたる、しのぶに手を出そうとして強烈なビンタを喰らっていた。自分の欲望のまま想像出来る夢の中ですらしのぶにどつかれるあたるって。結構深層心理の奥でも自分の立場を理解してるスグレもんかもしれん。こうした夢を見つつ、布団の中で悶えるあたるを、押入れの中からラムがじっとみている場面があった。このラムの表情が意味深で◎。奇妙な動物を見るようであり、ほんの少し非難がましい表情であり、好奇心丸出しの表情でもあった。あれ?ラム、また押入れに逆戻りか?3月に放送された第172話「友情パニック!わいはフグが好きやねん」では、テンとともにあたると川の字になって寝てたのに。まぁ季節的には暖かくなってきたからね。分厚い布団であたるの横で寝るよりも押入れで寝る方が気が楽なのかもしれない(はたまた前回、テンを間に挟んでたとはいえ、あたるの隣に寝る描写に、原作ファンから意外とクレームが多かったのかも)。翌朝の諸星家の朝食シーンも結構笑える。あたる曰く貧弱な朝食メニューにも関わらず、黙々と平らげていくラムとテンの描写が良い。特にラムは、背筋を伸ばし正座する、姿勢の良い姿が好印象を与えた。彼女にとっては丸で味のしない朝食だが、文句一つ言わず食うところがえらい!原作では、あたるの母の料理ではなく、UFOから持ってきたらしい自分の星の缶詰を食卓において食べるシーンが多かったが、このシーンではちゃんと茶碗やおつわんから食べてたから、諸星家の朝食をご相伴してたのだろう。同じくテーブルの上に鎮座し、フォークで食べ物をつついては口に運ぶ後姿のテンの描写も可愛い。おいおい、君は左利きだったのか?この朝食メニューに文句をいうあたるに対してラムが「うちが何か得意な料理を作ってあげるっちゃ!」と話し掛ける場面では、あたるの顔が一瞬に激変、目の中に「ド」「キ」と言う文字を浮かび上がらせつつ、(そんなもん作られちゃかなわん)とばかりに素直に朝食を平らげていて爆笑モノだった。このあたるに話し掛けるラムの表情もまた妖艶でチェック!次に映るは、なんと珍しいメガネの台所。他の家族が誰一人いないなか、一人食卓に向かう彼の姿は孤独感を醸し出していたが、メガネらしいといえばメガネらしい。他の家族はキャンプにでもいったのだろうか?しかしこの場面におけるメガネは最高である。特に、全ての朝食メニューを確認した後の「全員がまぁ…しょっぱい!」には大爆笑させてもらった。なるほど、なるほど、そりゃ大問題だな、メガネ。そしてこれに続くメガネの朝食攻略法もまた、彼らしさが満開で大笑いすること請け合い。しかしいつもいつもこんな些細なことで真剣に悩むメガネ、人生の大半を無駄に過ごしているような印象を与えつつ、退屈することもなさそうで羨ましくもある。これに続く面堂の朝食シーンも興味深い。コックの休暇によって生じた六日間連続のベーコンエッグに悩んでいるのだが、仮にも兆単位の資産のある面堂家だろ。一人が休暇取っただけでかくも無残なありさまになる彼の食事風景とはどうしたものか?誰かが休んだのなら予備のコックを用意しとかんかい。「他の家族が旅行に行ってる今、家庭の温かみがほしい!」と叫ぶ面堂だが、普段から家庭の温かみなんて皆無だと思うぞ面堂家。しかしこの厚さ1cm5mmのベーコンというのは…。朝から相当むつごい(讃岐弁でいう、「しつこい」「うっとーしー」)!またベーコンエッグの熱放射率のコンピューター分析や、トースターのCTスキャンには笑った。無駄に金を使ってるところはまさに大富豪の名に恥じない。しかし食べ物にCTか。非常に体に悪そうである。この後のラムとあたるの登校シーンは非常に印象的。ラムによる「いつまでのこのままでいたい」発言は劇場版第二作「ビューティフル・ドリーマー」を髣髴とさせていたが、また半年後に終了を向かえるテレビシリーズの予言をしているようにも思えた。舞台は変わって宇宙空間。定吉が頭上に掲げた万能鍋が、地球に落下していくシーンがあるのだが、これがなかなか興味深い。この鍋、思い切り地球の引力に引かれて落下していた。すると、定吉やその上司にも同じように地球の引力が影響を及ぼしていたはずである。なのに落下しなかった定吉達。別段足にマグネットや命綱をつけていた様子もない。定吉なんてどつかれて片足を上げてる描写もあったし。すると静止衛星軌道上にあったのか?ならば定吉の手がすべって鍋が落ちるという現象は腑に落ちない。可能性としては、定吉が思いっきし力をこめて鍋を地球に放り投げたということだ。確信犯じゃねーか定吉!それに炊事場をあんな無防備な場所に作る自体がおかしい。このUFOの設計者の顔が見たいものだ。この落下した鍋、1分20秒後に地球に激突していた。するとその落下距離およそ31,360m。静止衛星の軌道距離は地上35,000m。おお!科学的に結構いい線いってるじゃないか、この落下時間!しかし問題は落下速度。なんと秒速784km、およそマッハ2.3。あんな至近距離に落下して全然平気な友引校舎。度重なる崩壊によってかなり頑丈に作られている可能性大。ま、鍋自体小さかったからね。しかし恐るべき頑丈さである、この鍋。この後もちゃんと機能してたし。この鍋から出てくる料理がまた美味そうなんだ。最初、この鍋には、まさに鍋料理が入っていた。この糞暑いのに、温泉、よりによって何を想像してたんだとも思えるが、普通こういった形状の鍋を見たら鍋料理を思い浮かべるよな。ということは、最初に鍋料理で満たされているというのは結構正しい描写かもしれない。この鍋料理を見て竜之介が我慢の限界を超えるシーンがあったが、彼女が見ていたのは鍋の中でも肉ではなく豆腐やえのき部分。肉よりもこちらの方に食欲が湧く彼女の思考に、普段の質素な食生活を窺い知ることができて同情の涙を禁じえない。ここに突如現れた錯乱坊、第115話「奇怪!無我の妙薬!!」に引き続きまたもや煮えまくってる鍋を一気食いしていた。おそるべき所業。だいたい体の殆どを構成しているタンパク質は60℃を超えると変質してしまうもの。いくら苦行で鍛えてるといっても、こういった生理部分は変更不可能だと思うのだが…。それに100℃を超える熱にも平気な彼の口の中は物を味わえるレベルにはないと思うぞ。また、想像したくない食べ物を列挙するシーンではそのメニューは原作そのものだった。折角アニメにしてるんだから、原作以外の想像したくない食べ物をエスカレートさせて列挙させれば良かったのにと思ったが、原作のメニュー以外思いつかなかったのか、はたまた、原作が最上と思ったのか。錯乱坊による「おしるこ」オーダーシーンは最高。何故かこのおしるこだけは鍋から溢れるほどの量が噴出していた。そしてラストシーンへ。鍋を回収しても減り続ける食糧倉庫残量表示シーンから、あの不朽の名作「宇宙は大ヘンだ!」の音楽が!この音楽は本当に名作である。収拾がつかなくなりそうなハチャメチャなエンディングにまさにぴったり。特に今回のエピソードにはこの音楽がはまり過ぎるぐらいハマッて最高だった。なんかアニメ初期の無茶苦茶暴走振りを髣髴とさせて懐かしくもあった。欲を言えばもっと長く、もっと大きな音で流して欲しかったけど。いやあ、それにしても今回は面白かった!作画はおなじみ土器手司氏。彼の作画が物語の完成度を非常に高めていた。


第192話 刺激的だっちゃ!恐怖の頭上クーラー!!
放送月日 1985.8.14
脚本 井上敏樹
演出 吉永尚之
原作 23-7
作画監督 アベ正巳
独断評価 ★★★☆
原画 丹沢学、青木康直、平田智浩、ひまわり
田中真弓(竜之介)、池水通洋(温泉マーク)、鷲尾真知子(さくら)、西村知道(校長)、菊池正美
内容
(192話)
猛暑つのる八月の一日。またもや休み中に学校に出かける2年4組の生徒一同。その不快指数は高まるばかり。あまりの暑さに、またいつもの温泉と生徒の格闘が始まろうかとした時、あたるがラムの頭上に浮かぶ氷を発見。これは「アイスクーラー」と言って、一時間もの間体に冷気を送り続ける優れたシロモノらしい。ただし平常心で支える為、平常心を失った場合はその氷が頭めがけて落ちてくるという。そういった危険をはらみながらも、涼しいという誘惑には勝てず、ラムから次々とアイスクーラーをもらう生徒一同。これで漸く授業が再開できると思った温泉マークだが、誰一人席について授業を受けようとしない。その態度に怒りをつのらせた瞬間、温泉の頭上に浮かんでいた巨大な氷が頭に落下してきた。平常心を保つ難しさを実感するあたる達。しかしあと1時間はなんとしてでも平常心保たねばならない。しかもこの氷、ストレスを溜めれば溜めるほど巨大になっていくのだ。戦々恐々とする生徒達。なのにあたるや面堂はお互いにちょっかいを出してストレスを溜めるばかり。遂にはテンもやってきて、日ごろの恨みとばかりにあたるに仕返しをしまくる。おかげであたるの氷は凄まじい大きさに成長。するとその氷の中に、突如さくらの姿があらわれた。このアイスクーラー、ストレスがある一定を超えてしまうと、氷の中にその人の妄想があらわれる仕組みになっていたようだ。そうと分かった途端、自分にストレスをかけ、妄想を育て上げようとし始める男子生徒一同。まさにそこは地獄絵図と化していくのであった…。
感想
(192話)
おおいっ!2年4組、また補習かっ!物語が暦どおり進行しているのならば、彼らは4週連続補習で学校に登校していた事になる。こりゃあたる達でなくてもキレて当然だぞ温泉。それほどまでの進学校なのか、はたまた通常期間の授業破壊がいかに多かったのか。後者でしょうね。今回の放送は8月14日、夏真っ盛り。物語前半はその不快指数がいかに高かったかを描いている。冒頭の蝉の描写が非常にリアル。また蝉の抜け殻に殺到するアリの描写もリアルで、暑苦しさを醸し出していた。そこへ偶然来合わせた登校するあたる、面堂、メガネの三人。無言で嫌がりつつも横一線で並んで登校する姿がおかしい。あら?そういや面堂なんで徒歩登校!?爆撃機オクトパスはどーした?前回のコックに引き続き、今回はパイロットが休暇か?はたまた結構苦しいのか面堂財閥。更に今回、何故ラムはあたると一緒に登校してなかったんだろう。面堂がゆっくり歩いてる所から見るとあたるが遅刻寸前とも思えない。するとラムが遅れた可能性あり。最近ダレとるのう、ラム。登校する彼ら三人の前に脱輪したトラックが。そしてそれに群がる必要以上の人の群れ。後続トラックのクラクションの嵐。その騒音に驚く幼児の泣き声。ああ。描いてるだけでも暑苦しい。この連鎖描写は物語内の不快指数を実に如実に表していたと思う。また脱輪トラックのクラッチとアクセル描写がいやにリアルで感動物。更にこのトラックを、ストレス解消とばかりにひっくり返すあたる達三人の姿は爆笑モノだった。場面は変わって教室シーン。今回、ラムは髪を編んでアップしていた。この髪型は初めてだが実にいいっ!清涼感が画面いっぱいに溢れていた。余りの暑さに乱闘を起こそうとするあたる達と先生に対して、しのぶが「この暑苦しいのにやめなさいよっ!」と怒鳴る場面で、しのぶに同調し「そーよそーよ」と叫んでる少女がいたが、この娘、第174話「退屈シンドローム!友引町はいずこへ!?」であたるの黒板突入シーンを目撃してたり、第182話「海が好き〜っ!悲願の浜茶屋繁盛記!?」にてあたると面堂を叱っていた娘と同一人物。結構重要人物みたいだが、その印象は薄い。このあとラムが平常心を条件にアイスクーラーを温泉や生徒に配っていた。平常心ねぇ。初期のラムからは想像もできない台詞だ。番組当初一番喜怒哀楽が激しかったのは他ならぬラム本人だったもんな。今となっては地球の生活にも、諸星家の生活にもだいぶ慣れ、落ち着いたものである。この氷落下の恐怖を知った温泉が平常心を保ちつつ生徒に向かって「授業を始めよう!」と呼びかけるシーンから、彼のズボンの色が突如茶色か青へ。おいおい。青色になってまるで学生のように見える温泉の後姿はカクガリそのもの。ズボンの色だけでここまで印象が変わるとは思わなかったぞ。また、授業を完全に無視してお互いちょっかいをだしつつストレスを溜めるあたると面堂の描写、平常心を保つ為お経を唱えるメガネに木魚代わりにどつきまくるあたるの姿、こういう彼らの姿をみつつ「大丈夫かな?」と半笑いするラムの顔等爆笑シーンが盛りだくさん。特に汗をかきつつ半笑いするラムの顔がレアで印象深かった。そしてこのあと後半に入るのだが…。第189話に引き続きまた作画が激変。前半の非常に完成度の高い絵から、一気にグレードが下がってしまうのである。特に面堂の顔。あのりりしかった顔はどこへ!?まさに猿顔と化していた。前半が素晴らしかっただけにこのギャップは辛かった記憶がある。とほほ。校長の叱責の後、あたる、ラム、面堂、しのぶ、メガネが平常心を保つ為、アホ面下げてスキップする場面は最高。この本放送時に見た「スキップスキップらんらんらん♪」は、後年までかなり印象に残っていた。全てを吹っ切れた様な顔でスキップするあたる、メガネ、しのぶ、完全に楽しんでるラム、そして一人プライドを傷つけていく面堂のそれぞれの描写が光っていた。よーくみると、本当に面堂が一番アホ面である。そこにあらわれたコタツ猫。これ幸いとばかりにコタツに頭を突っ込むあたる達。このシーンで、今までアップしていたラムの髪型が一瞬通常に戻っていた。なんで!?因みに発見したのは我が嫁でした。お恥ずかしい。前半の温泉といい、後半のこのラムの髪型といい、作画の連絡が全然うまくいってなかった可能性あり。それともわざと遊びでやってたのだろうか?謎である。この後の、テンによるあたるへの復讐シーンは爆笑モン。いかにテンの日ごろのウラミが凄まじいかを物語っていた。このテンによってストレスが極限状態までたまってしまったあたる、氷の中に妄想を作り上げていた。なんじゃこのアニメオリジナルは!?ひょっとして原作コミックス26巻第8話の「妄想フーセンガム」も取り入れてたのか?それにしても無茶な混ぜ合わせ方。しかし、自分にストレスを溜めようとする男子生徒の光景は圧巻。第10話「悩めるウィルス」にて、保険医さくらに会うため自らの体を痛めつける男子生徒のシーンを髣髴とさせていた(ああ!懐かしい!)。特に薄笑いを浮かべつつ可愛くしゃがんで自分の顔を殴りまくる面堂の姿が、ある意味鬼気迫った。こういった男子生徒の妄想を打破する為に、生身の女のよさを見せるべく、さくらとしのぶが水着姿を披露する場面があった。おい、しのぶ。いつの間に水着に着替えたのだ!と思って本編をもう一度見てみると。しのぶがプールサイドのさくらを呼びに行ったときは、セーラー服姿に靴下、靴をちゃんと履いていた。その直後竜之介を呼びにいく場面ではすでにピンクのパーカーと裸足にサンダル姿にかわってるではないかっ!むむ。しのぶ、さくらを呼びにプールに行った帰りに、着替えたらしい。すると竜之介を呼びに行く前に、さくらとしのぶは作戦会議をしていたようだ。ぬかりなし、しのぶ。ところで、しのぶに呼ばれた竜之介、「何!」と怒鳴ってたのに頭上の氷は落ちてこなかった。彼女にとって怒りの状態こそが平常心なのかもしれない。ラスト近くなって、再び作画のグレードがアップ。特に気絶から覚めたラムの怒りの表情なんか非常に美しく描かれていた。ラストを飾ったのは、校長の妄想の中にいる古風な女性の姿。どうも竹久夢路っぽいんだよな、この絵。


第193話 愛の襲撃!ロマンチックがとまらない!!
放送月日 1985.8.21
脚本 柳川茂
演出 関田修
原作 26-10
作画監督 黒田佐武郎
独断評価 ★★★
原画 ジャングルジム、アニメロマン、リバティー、S・Uラオホ
田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、丸山裕子(キューピー)、井上瑤(花屋?)、亀山助清、杉原康、清水祐子、石田美鈴
内容
(193話)
夏休み最後の夜、ビアガーデンにあつまるあたる、しのぶ、面堂、4人組。ラムは、買い物に出かけている為不参加だ。ラムの不参加を知って完全にキレてしまうメガネ。理屈になってない理屈をぶって一人興奮するのであった。一方ラムは、異次元空間に潜入して、花屋を訪れていた。そこで、縁結びの愛のキューピットの花を購入。説明書によると実の寿命は日没まで。植木鉢から生まれてきたのはまさに天使の格好をしたキューピット。早速そのキューピットを連れてあたるを探し始めるラム。あたるはあたるは相も変らぬガールハント三昧。そこへいきなり弓矢が飛んできた。その弓矢が縁結びの役割を果たすことに気付いたあたるは、キューピットを誘拐、自分のために働くように命令し、手始めに竜之介に弓を打ってもらう。しかしあろう事は弓は竜之介の隣にいた竜之介の父に命中。あたるを逃げられた妻「まさこ」だと思い込んだ竜之介の父は、必死の形相であたるを追いかけ始める。あたるが逃亡し、自由の身になったキューピットは、竜之介の助言に従い、自分の恋を探し始めるのだが…。
感想
(193話)
キューピット役として「おじゃまんが山田くん(ふっるー)」の主人公やまだみのる役などの活躍で知られる丸山裕子さんが登場。当時はやまだ君のイメージが強烈で、このキューピットにはかなりの違和感を覚えた記憶がある。今みるとそうでもないのだが。また今回の作画は林隆文氏。久しぶりに彼による男キャラ顔面崩壊を見ることができる…ってあれ?作画監督は「黒田佐武郎」氏となってるぞ?うっそ。どうみてもこの絵は林氏の作画。そういや第166話「春遠からじ!さびしがり屋の妖精物語!!」も、作画は思いっきり林氏の絵柄だったのに作画監督は「伊達真紅郎」氏という、よく分からん人がクレジットされていた。そういや二人とも、字の雰囲気は良く似ている。やっぱこれは林氏の偽名と考えるのが妥当ではないか。大体あそこまでキャラの顔を崩すのはこの人をおいて他にはない。特にパーマの「いい加減なパーマ状態」の描写は氏特有のもの。当時、同じ作画担当の西島氏や、森山氏も自分の名前が公開されるのを嫌って何回か偽名を用いてたらしいが(西島氏は「ビューティフル・ドリーマー」にて「五代裕作」という偽名を用いてたとの噂もあり)、林氏もそうだったのだろうか。疑問をはらみつつも本編へ。しばらく丁寧な作画が続いた為、それほど無茶をしてなかったメガネだが、今回は久しぶりにその変態振りを体全体を使ってアピール。ビールについてのゴタクや、ラム不参加に対する彼特有の屁理屈は必聴。その彼の絶叫は多分ほとんどメガネ担当の千葉繁氏のアドリブなんだろうね。この人って、もともとそういう素養はあったのだろうが、やはりこのメガネ役で開眼したのだろうか?かなり興味があります。ラムの異次元シーンでは、第100話「ダーリンが死んじゃう!?」で登場していた、案内役の薔薇ねずみ(仮称)が再び登場。おいおい。こいつ絶命したんじゃなかったのか?それとも同種の別動物か。少し興味があります。異次元の花屋で、商品の語り草がラムに対して他愛もない話を喋り捲るシーンでは、この語り草「近頃はワインも安心して飲めねーや!」とのたまっていた。これってひょっとしてだいぶ昔大問題になっていた、ワインに混入されていた「不凍液」の事をいってるのか?懐かしい。当時、防腐目的かなんかで、ワインに有害な「不凍液」が大量に注入されてた事件があったのだ。当時はタイムリーな話題だったんだろうけどね。今となっては気付く人も殆どいまいて。また、キューピットの花を買ったラム、UFOに帰って説明書を読みながら水をやる時に「『実の寿命は日没まで』へぇ、短いっちゃね」とつぶやくシーンがあった。こら。一か月分の小遣いをはたくほどの大きな買い物をするというのに、そんなことも知らずに買ったのか!?ラムらしいと言えばラムらしいけど。あたると結婚してからは通販等にはまらないよう祈るのみである。この後、ラムがあたるを捕まえて、キューピットの矢がを命中させようとする場面があったのだが、ここでのあたるの俊敏性は目を見張るものがあった。スローモーションであたるに迫る矢。そしてあと7cmほどでささる距離まで来たときに、ラムをおんぶしたまま90度回転したのだ。この矢、10m程の距離を殆ど自由落下することなく飛んでいた。全く落下しないことなどあり得ないから、思いっきり大きく見積もって10cm落下してたとしよう。物体が10cm自由落下する時間はわずか0.143秒。するとこの矢のスピードは約秒速70m。時速にして252km。いくら軽い矢といってもこれだけのスピードになるとあたるの体が心配である。それよりなによりこの矢を残り7cm程でよけていたあたるの素早さ。更にそれよりなによりそのあたるにおぶさっていたラムにかかるGの恐ろしさ。秒速70mで飛ぶ矢の、7cmの移動時間は0.001秒。ラムは回転するあたるの体の中心から30cm程の距離にいた。この時にラムにかかる遠心力は75,600G。自分の体重の7万5千倍の重力がかかるのである。ラムの体重を45kgと見積もっても、3402tもの重さ。縦横高さが7.5mもの鋼鉄製のトンカチで殴られるのと同じ衝撃である。あ、死んだ。なのに引き剥がされもせずにあたるの腕にしがみついていたラム。そしてちぎれなかったあたるの腕。これぞ愛の結晶力か?この後の、ファーストフード店をぶち破って疾走するあたるのシーンは初期うる星のハチャメチャぶりを髣髴とさせていた。後半からは竜之介親子も登場。この時竜之介、思い切り胸の膨らみが強調されていた。サラシ巻いてなかったのか?また、捕らえられたあたるに向かっての、矢の乱れ打ちシーンから若干作画が変更。ラムがやたらグラマーになっていた。特に、諸星家の庭につくったキューピットの墓に対して祈りを捧げるラムの体は、やたらにグラマーで筋肉質だった。更にしのぶが花を添えるシーンのラムは、足が恐るべき大根。サッカーや、スケートの選手も真っ青である。今回の話は結構原作に忠実。しかしラム、こんな道具を使ってもあたるの愛が欲しかったのか。こういう即効性のある物質の効果発揮時間はかなり短いであろう。それでも撃たずばいられなかったラムがいじらしい。あたるの場合は一過性の媚薬まがいの効果で十分だったろうけど。ラスト、ラムの為にあたるの体を拘束する、面堂、しのぶ、メガネ、パーマ、カクガリ、チビの姿が印象的。メガネ、本当にいいのか!?確かに彼にとっての究極とは、ラムの幸せだろう。しかしできれば自分が幸せにしたかったろうに。彼の心中察するにあまりある。そしてラスト。このコミカル系のオチは、この時期珍しく原作どおり。このオチはこれでよかったんじゃないかと思うdeaconでした。尚、今回声優のクレジットに久々井上瑤さんの名が。彼女は前期(第一話〜第129話)ランの担当をしてた人。当時海外に行ってたという噂があったが、じゃあこの時期は帰国してたんでしょうか?


第194話 ひさびさ登場!火消しの母に悩みあり!!
放送月日 1985.8.28
脚本 柳川茂
演出 栗山美秀
原作 27-4
作画監督 河南正昭
独断評価 ★★★☆
原画 富田悦子、むらきしんたろう、露木進、土屋幹夫
勝生真沙子(テンの母)、高田由美(花屋のねーちゃん?)、安原義人(チンピラ?)、西村智博(トラジマ)杉原康、中村大樹
内容
(194話)
火消しの仕事に従事しながらも我が子の事が気になるテンの母。特に最近は幼児の非行が問題になってるご時世。子育てをラムに任せ、ここ暫くテンにあってないという不安が重なった母は、火消しの仕事を休んでテンに会いに行くことに。一方テンはテンで、あたる相手にいつもの悪行三昧。今日も今日とてあたるに火炎放射を浴びせまくってる。そんな折、ラムから母の来訪を知り、一気に緊張しまくるテン。久しぶりの母との対面。いつも良い子でいることを母に見せたいテンは、母の誕生日が近いこともあるし、何かプレゼントをすることを決意。あたるの母に相談して花を買うことにした。あたるの部屋でくつろぐ母を待たせて花を買いに行くテン。小遣いをはたいてカーネーションの花束を買う。喜びいさんで諸星家に帰還中、間の悪いことにトラジマと遭遇。花をとられてあせったテンは、トラジマごと花束をバーベキューにしてしまう。完全に意気消沈するテン。そこへまた花屋のお姉さんが一輪の花束をもってあらわれた。「あまったからあげる」このおねえさんの一言に救われたテンは大喜び、大急ぎで諸星家に帰るが、母はたった今帰ったとの非情の一言が。涙にむせるテンをあたるがフライパンの一撃を食らわせ、バイクで自分の星に帰るテンの母のもとに送り込む。
感想
(194話)
なんとテンの母、第99話「火消しママ参上!」以来2年ぶりの登場!原作でも2年半ぶりに登場していた。そして番組途中では更に長いインターバルであるゲストキャラが登場する。この話も、本放送の印象強し。確かこれもサンデーを見ながら見てたんじゃないかな?兄弟三人仲良くみてたのは良く覚えてる。冒頭、燃え盛るビルの屋上で火消しに従事するテンママの姿は非常に勇ましくてよかったが、あれだけ勢いよく燃えていたら確実にあなたの命も風前のともしび。彼女は一種の消防隊だから、あの服も特殊の防火用の素材でできてるんだろうけど、それにしても無防備である。他の連中は思いっきり離れた位置から放水してたし。テンママ、他の消防署員からも一目置かれる存在だったことは間違いなさそうだ。その彼女、一人でお茶を飲みつつ「(テンと)随分長いこと逢うてへん。」とつぶやいていた。そらなぁ。2年やで2年。いくら彼らが歳をとらんといっても幼児期の2年というのは人生の大部分である。仕事が忙しいとゆーてもたまには顔を見せてやらにゃあ。場面は変わって友引町。久しぶりに麺子と汁夫登場。こいつらいつまでこんなことしてるんだ?更に今回は汁夫、切迫した顔で「一回だけ!」と意味深で意味不明なこと呟いてるし。また母が来たと思ったテンがどついてくるあたるに対して「いやだなぁ、何なさるんですか」と答える場面があったが、原作の「何さらすんですか」の方がテンの気持ちが良く現れていてよかったような…。そしてテンの母登場。おおっ!目が異常に赤いではないか!前回登場時はラムやテンと同じ青緑だったのに。この二年間火消しに没頭しすぎて、炎の色が角膜に焼き付いてしまったのか?この赤い目はかなりの違和感。どうみても寝不足。この場面の、テンにちょっかいを出すあたると、慌てふためくテンの描写が爆笑モノ。またお茶菓子を取りに行ったテンと、あたるの母のやり取りは、テンが諸星家でうまくやってる雰囲気が醸し出されていて何か暖かかった。あたるの部屋にあるギターが相変わらず4弦というのも謎を醸し出していたし。あたるの母にアドバイスしてもらってテンが向かった花屋はなんとあの「ぼけや」。ぼけやのおねーさん、第52話「クチナシより愛をこめて」以来3年3ヶ月ぶりの登場である。かくも長いインターバルをもって登場したゲストキャラが他にあっただろうかっ!声優は、違ってたけど(前回は多分島本須美さん)。原作でも4年数ヶ月ぶりである。今回はあの独特のボケは見せることなく、バイプレーヤーに徹していた。このおねーさんに全財産入った貯金箱を差し出すテンのなんといじらしいことか。そしてこのおねーさん、貯金箱をあけることなく花束を作っていた。多分テンのお小遣いじゃあれほどの花束は作れなかったんだろう、そこにおねーさんのやさしさを垣間見ることができる(ここはdeaconの独断の見解です。彼女が場面から消えた後、貯金箱をあけていたかもしれないけど、私的には、こういう解釈がしたかった)。この後、身包み剥がれたチンピラ登場。このチンピラ面堂そっくり。一瞬、財閥解体で落ちるとこまで落ちた面堂を想像してしまった。ありえんこともなさそうだけど。このチンピラ面堂(違うって)、首をつろうと、往来に飛び出ていた枝に縄を引っ掛けていた。「いい枝ぶり」との事だが、しかしあの枝、どう見ても人間一人を支えられるほどの太さをもってなかった。体重かけた途端、枝が折れるのは必定。あたりの気をひこうとする狂言自殺か?この男にカーネーションを与える、少し照れたテンの姿がまた良かった。トラジマに取られた花束を真っ黒焦げにするテンの姿が更に良かった。落ちていたカーネーションを体をはって守ったにもかかわらず自転車に粉砕されてしまった時のテンの表情が更に更に良かった。鳩の巣にあるカーネーションをとろうとして、鳩につつかれまくるテンの姿は最高だった。今回、いつになく悲惨であるテン。また、チンピラにあげたカーネーションを取り返すべく、彼の家に向かい、そこで親子の感動劇を見るテンの泣き顔が胸をついた。「返してくれとはいえんなぁ」まさにその通り。アニメでは同情的にこう呟いてるテンだが、原作での苦渋の表情も面白かった。この親子の感動劇は、本放送当時兄弟三人で爆笑しながら見てたもんである。しかしテン、よくこのチンピラの家がわかったな。ところでこのチンピラの声を(多分)担当してるのが安原義人氏。確か氏は「エリア88」の主人公「風間シン」の声をしてた。閑話休題。落ち込むテンにあのぼけやのおねーさんの救いの手が。今回彼女は非常にいい役ですな。一足違いで遅れをとったテンをフライパンでぶっ飛ばすあたるの姿が◎。そして、夜の遊園地、母の胸の中で眠りに落ちていくテン。BGMの「リメンバー・マイ・ラブ」インストゥルメンタルがまたいい味を出していた。そして母は今日も火消しの仕事に従事するのでありました。だから、そんなとこにいると確実に焼死するって!!尚、原作はこの後、フライパンでぶっとばしたあたるの行動にかんする、テンとあたるの議論があったのだが、アニメではカットされていた。残念。


第195話 幸福押し売り!ピントはずれの青い鳥!!
放送月日 1985.9.4
脚本 柳川茂
演出 鈴木行
原作 27-3
作画監督 澤田正人
独断評価 ★★★★
原画 ビィーボー、篠雅律、山本正文、南伸一郎、澤田正人
肝付兼太(青い鳥、総番)、田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、鷲尾真知子(さくら)、西村知道(校長)、池水通洋(温泉マーク)、亀山助清(ミチル)、金丸淳一、木藤聡子
内容
(195話)
宇宙を揺るがした連続幸福魔、青い鳥が逃げ出した。再度奴を捕まえるべく宇宙空間に飛び出した宇宙捕り物のチルチルとミチル。青い鳥の足跡をたどりつつ、徐々に追い詰めていく。その頃青い鳥はこともあろうに地球、それも日本、それも友引高校に降り立っていた。人間の望みをなんでもかなえてやると豪語しつつ、満たされない人々に幸福光線を浴びせ続ける青い鳥。彼の光線を受けた人間は、触ったものが望みの品になるという能力を授けられるのだ。しかしこの青い鳥、幸せに関するピントが常人から外れまくっている為に、殆どの人が望み通りの能力を受けることができない。自転車を欲しがったパーマの手から生まれてくるのは、辞典にタイヤがついた奇妙な物体、タイヤキを所望した生徒から生まれてくるのは、タイヤが引っかかった木ばかり。この幸福魔の存在を知ったラムは、青い鳥の言うことを聞いてはいけないとの校内放送を流すも、欲に目がくらんだ生徒達の被害は増えるばかり。しかし中には欲望どおり望みをかなえてもらった人もいたようで、あたると竜之介の父もその幸運なメンバーの一員。あたるは触るものが全て女になるという、竜之介の父は触るもの全てが全て男になるようという能力を授かったからさあ大変。
感想
(195話)
抱腹絶倒爆笑編。兄弟三人で本放送を見てたとき、全員笑いすぎて痙攣を起こすほどだった。さいこー。冒頭、宇宙空間に浮かぶステーションは、劇場映画「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」(1978年公開)の白色彗星を思い起こさせた(知らんかなぁ)。このステーション上におけるチルチルとミチル、そしてそれを見守る人々の描写が、非常にテンポよく描かれている。ミチルの「てーへんだ、てーへんだ!」も当時かなり印象に残ってた。チルチルを演じるは、通常チビの声を担当している二又一成氏。やっぱうめーわこの人。しかしこいつらはどういった生物なのだ?外見は、でき悪い人形に見えるし、耳のあたりなんかはロボット。宇宙空間を何の装備もなしに飛びまくってたところをみるとやはりロボットか?ぬぬ。ロボットの癖に嫁がいるなんて…。雷鳴轟く公園でのあたるのナンパシーンはあたるの真骨頂、馬鹿丸出しなので必見。こんな文句に乗ってくる女がいるのならばそれはそれで恐ろしい女である。しかし、一瞬あたるの話に「なんで?」と合いの手を入れてたからなぁ。素養はあるようだ。翌朝のアドレス帳溶解場面も懐かしい。しかしあたるに文句の一つも言わせないあたるの母、強いですね、少しは彼女にも非はあるのに。いちいちそんな事にリアクションを取ってたらあたるの母なんか勤まらんのだろう。母は強し!場面は変わって2年4組の教室。おお!そこにおわすは若き日の山岡士郎(by美味しんぼ)ではないか!!そうかそうか、父親に反抗しつつも高校まではちゃんといってたんだな。しかし美味しんぼってこの時代からやってたのか。そっちのほうが驚きだった。閑話休題。ボロボロになったアドレス帳を前に不貞腐れるあたる。このアドレス帳に注目。見た感じ中の行数は12行ほど、ページは紙が20枚ほどあったので40P分ほどあった。名前と住所・電話番号で2行は取るだろうから、一ページは6人分が精一杯だろう。すると240人ほどの名前とアドレスが逢ったものと思われる。ではこれは何年の労作だったのだろうか?「苦節ウン十年」といってたのは誇張だろうが、彼のことだから10年前くらいからガールハントしてたかもしれない。すると1年に24人、一月に二人。ま、あたるの実力から行けばこんまものだろうか?もう一つ気になるのは、この手帳、第50話「翔んだドラキュラ」において、ドラキュラの為、女の子を尋ねる時に使ってたアドレス帳や、第62話「どきどきサマーデート」の時にラムに奪われて返してもらった手帳と同じことになる。こんなに歴史があったのに。確かに落ち込むあたるの気持ちもわからんではないのう。そしてここで青い鳥の登場。とても青くは見えず、くすんだ黒に見えたのはご愛嬌か?声はあの肝付兼太氏。この人は、アニメ第一話「うわさのラムちゃんだっちゃ!」におけるヘリに乗ったアナウンサーをはじめ、小悪魔、ドラキュラ、総番等、ずっとゲストキャラの声として活躍。隠れたレギュラー声優だった。本放送を見てた当時は、ドラえもんの「スネオ」のイメージが強くて参ったけど。この青い鳥に光線を浴びせられた生徒二人が、互いに叩き合って「タイヤ」と「木」になる場面で、いっしょにいた友達が「タイヤに、木でタイヤキ?なんちゅーしょうもない冗談じゃ」とあきれるシーンがあったが、おいおい!友達がこんな変わり果てた姿になったのに、そんなつっこみ入れてる場合か!!恐るべき落ち着きである。この後、あたるは新しいアドレス帳作成のために校内を走り回っていた。学校内の女の子に聞くくらいなら、クラスの住所録を男子生徒から見せてもらったほうが早いと思うのだが…。そういう姑息なやり方はあたるのプライドが許さなかったのか、はたまた住所と電話番号を聞くプロセス自体を楽しんでいたのか。おそらく後者でしょう。この場面で何故か第160話「ラムの勇気ある決闘!勝利はせこい手で」にでてた安奈登場。しかも台詞つき。(これから何か発展していくのか?)と思いつつ画面を見てたら、こいつの登場はこれだけだった。こいつの存在って…。この後、青い鳥の手配書が画面に映っていたが、宇宙語の為判読不能。と思いつつ画面を止めてみると。名前の部分が「KOFUKUMA」とローマ字表記されてるではないか!?全宇宙共通文字だったのか?ヘボン式ローマ字。そしてここから爆笑シーンのオンパレード。壁にツッパリをしつつ「辞典」「車」を出すパーマ、女になる面堂、男になる竜之介、その女面堂と男竜之介VSあたると竜之介の父による掛け合いのテンポ、男になったしのぶとさくらのリアクション、女友達が男に豹変しその男にいきなりくどかれる少女、そしてとどめは女錯乱坊。この後半の怒涛のごとく押し寄せる嵐のような描写は全てにおいて最高だった。特に、男になった途端、声が太くなるしのぶが爆笑もの。このときの彼女の声は第96話「大勝負!サクラVS錯乱坊!!」のサクラの守護神を髣髴とさせた。また錯乱坊のおかっぱセーラー服姿は最高。目にいっぱい涙をためながら「ひどいわひどいわ」と去っていく彼(彼女?)の姿には悶絶するほど笑った。今回は、原作の解釈をエスカレートさせていったアニメエピソードの中でも屈指の作品に入るのではないか?全然原作の雰囲気を壊すことなく、アニメらしい笑いを展開させていた。ま、しのぶ、サクラのファンの人には、彼らの男装ぶりはかなりだったろうけど(竜之介は原作でも男になってたので問題なし)。しかしこの女面堂は、本放送当時かなり印象に残った。結構美人に見えた自分が怖かった記憶がある。しかしあたる、第143話「原生動物の逆襲!プールサイドは大騒ぎ」に引き続いてまたもや女面堂に惚れていた。こいつ、少しは男の面堂にも気があったのではないかと当時邪推したものである。ところでなんであたるは、触るもの全てを女にしたかったのだろう。男を女に変えても、原型を知ってたら好きになれないだろうに。と思ったけど、面堂の例もあるしなぁ。かなり謎だ、彼の精神構造は…。別に男を女にしたかったわけではなく、無機質な物体を触って女にしようとしてた可能性もあるけど。とにかく今回の話は大好きでした。はい。


第196話 大波乱!竜之介が初めて水着を着る時!!
放送月日 1985.9.11
脚本 島田満
演出 吉永尚之
原作 27-10
作画監督 土器手司
独断評価 ★★☆
原画 戸倉純、古橋一浩、ひまわり、リバティー
田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、鷲尾真知子(さくら)、三田ゆう子(弁天)、小山茉美(了子)、西村知道(校長)、大塚芳忠、金丸淳一、木藤聡子、柿沼紫乃
内容
(196話)
巌流島でいつになく真剣な表情をする竜之介親子。今日こそふたりの雌雄を決するときがきたのだ。この17年間の恥辱。自分が女として生きる為には、父を葬らなければならい。このひと夏の父親からのむごい仕打ちをうけた竜之介は漸く悟ったのだ。父との決闘に闘志を燃やす竜之介。この勝負に勝てば、父は自分を女として扱うとの誓いを立てたのだ。でも果たして自分は父に勝てるだろうか?パワー、スピード、テクニック、どれも父と互角な竜之介に欠けているもの。そう、それは「奸智」。父のように姑息、ずる賢さを持ってない竜之介はそれだけで圧倒的に不利である。そんな竜之介にあたるが知恵を授けるのだが…。
感想
(196話)
第154話「死んだらあかん!了子の特製ワラ人形!?」に引き続き、了子出演時には何故か大量のカラスも友情出演。すでに了子のシンボルバードになった。イメージぴったりやし。冒頭のスタジアムシーンはお遊びモブシーンのオンパレード。うる星オールスターが大挙出演していた。でぃあな、地底のプリンス、昔の赤マント、今の赤マント、ムカデ、テンの母、飛麿、飛鳥、化石の化け物等。特筆すべきは金太郎か。奴も初期はレギュラーだったのにね。劇場映画版第二作「ビューティフル・ドリーマー」の夢邪鬼や、スーパーデリシャス(中略)のドアップも笑った。またあたるの下にまとわりつくは、とキツネ。そういや両者とも声優は同じ菅谷政子さんだったな。しかし次にシーンはいただけなかった。宙に浮く妖精幽霊軍団の小鳥冬の妖精キューピット。冬の妖精とキューピットはともかく、望と小鳥はあかんやろ!折角成仏したのに、なんでまた登場さすの!?これだと、まるでまだ成仏してないみたいではないか。折角、あたるとテンが必死になって成仏させたのに。テンが小鳥に抱きつきにいってるシーンがあったが、こういう理由でとても喜んで見ることはできなかった。ちょっと安易過ぎたのではないかと思うのだが、気にしすぎだろうか?あーそれから、カガミバチ。望達と一緒に出ていたという事は、やはり私の考証どおり昇天していたようだな。しかしこう見ると本当にオールスター総出演だな。最終回の近さを悟ったのか?スタッフ達は。この父と子の決闘する場所は巌流島。巌流島の雰囲気を盛り上げようとがんばってるのが例の了子。いかにも了子らしい。了子の傍らにいる黒子(どうやら一番手の黒子らしい)の声を担当してるのは、通常チビを担当している二又一成氏。またこの人か!ほんっと芸達者。竜之介登場シーンでは、更にお遊びモブシーンが充実していたが、興味のある人は、ビデオまたはLD、DVDで確認してください(←やる気なし)。場面はさかのぼって夏真っ盛りの友引高校。いつもの親子喧嘩に慣れてしまって、飛んでくる数々のものを、余裕でよけていく生徒の描写が笑えた。ところで、このシーンでは、トースターが5個ほど飛来してた。なぜ5個も!?貧乏な癖に無駄なものが多いようである、竜之介一家。ここからはオリジナルストーリー。時計の裏にあった、父の手紙を読み、この夏の終りに、父から女性扱いしてもらえると思った竜之介の、父親孝行場面が続く。結局これは、夏休み自分が楽をする為の父親の策略であることが後からわかるのだが、ええ!本当にそれだけ!?私は、この手紙はもっと複雑で笑える事情があると思ってたのに。本当に、単に竜之介をだます為だけに書かれてていたとは…。ちょっとあんまり芸がなさすぎるのではないか?それにこれだと竜之介の父は原作以上に極悪非道になるぞ。どうせオリジナルなら、もう少しこのあたりの工夫が欲しかったと思うdeaconでした。同情するあたると面堂の軽薄ぶりはあいかわらずだが、面堂、本当にあたると同レベルに成り下がってしまった。どうも竜之介が絡むとこの二人の個性は全く同じになる傾向があるようだ。この後打倒親父を悲願に、特訓を重ねる竜之介の行動が描かれるあたりから原作に戻る。親父同様のずる賢さを会得する為、あたるの作戦通り背後から襲ったまではよかったが、襲う直前に「いくぜおやじ!」と叫ぶあたりはいかにも竜之介。この飛び出す直前の、あたる「よし、いいぞ、いまだ」に対して、「うん」と頷く竜之介のちょっとばかり卑劣な顔は、滅多にない表情なだけに印象に残った。また、場を盛り上げる為に了子が大量のミサイルを発射しまくっていたが、この爆弾をよけるテンの母とクラマの横にいた女性の正体がわからん。更に校長の左にいた奴の正体もわからん。誰か教えてチョーダイ。この校長の頭の光を竜之介が利用する場面は原作どおり。しかし原作の、校長の頭をポンポンたたくあたるの姿と、「怒りますよ」と静かに青筋立てる校長の爆笑シーンはアニメではカットされてた。勿体無い。ラスト、登場人物がボロボロになりながら立ち尽くすシーンがあったが、密かにラムのブラの損傷が一番ひどかった。一張羅なのにねぇ。すぐリフォームしなくては。そして物語はこのあと、「竜之介親子の争いはこれからエンドレスで続いていくのであった…」というオチだったけど。どーも今回は全体的に間延びしたイメージがあってテンポの良さを感じることができなかった。原作をうまく消化しきれてなかった感強し。残念である。


第197話 花嫁がほしい!キツネの恋の大冒険!!
放送月日 1985.9.18
脚本 土屋斗紀雄
演出 鈴木行
原作 27-1
作画監督 河南正昭
独断評価 ★★☆
原画 ジャングルジム、S・U・ラオホ、富田悦子、河南正昭
田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、池水通洋(温泉マーク)、菅谷政子(キツネ)、西村智博(コタツ猫、郵便局員)、肝付兼太(総番、耳のお化け)、田中秀幸(かかしの三四郎)、麻生美代子(ばあちゃん)、小野健一、木藤聡子、柿沼紫乃
内容
(197話)
キツネの里近くのとある村。今日も子供に化けたキツネが、おばあさんに昔話をねだりにきた。今日の話は花嫁衣裳のお話。お互い貧乏で、花嫁衣裳もままならない結婚を控えた一組の男女。男がため息をついてタンポポの綿毛を飛ばしたところ、その綿毛が女のまわりに集まって、見事な花嫁衣裳になったという話を聞かせてもらった。ちょうどその時しのぶから便りがやってきた。自分のことを待ってくれている。そう感じ取ったキツネは、羽織袴の花婿衣装で、かかしの三四郎さんからもらったタンポポの綿毛を持って友引町へと向かう。おりしも友引高校は仮装大会の真っ最中。そこで花嫁衣裳に仮装するしのぶと花婿衣装に仮装する竜之介の姿をみてしまったキツネは、てっきり二人が結婚するものと勘違い。意気消沈しながら友引町を去っていく…。 
感想
(197話)
またまたキツネの登場。キツネがでるとしのぶの出番も増えるわけで。しのぶファンにとってキツネは天使のような存在だったのでしょう。そういや最近しのぶ出番少なかったもんな。そしてこのしのぶが主役級の活躍をするときは、物語全体が詩情豊かな色彩に染まるのも一つの特色だった。まさに女学生!そういう雰囲気を画面全体に醸し出す少女だった。しかしなぁ。高校生が喫茶店の常連になるというのはどうも。「マスターいつものね!」ってオーダーの仕方も様になってるし。ここのマスターが読んでる本は中島敦の「悟浄出世」だし。更にマスターの口から万葉集は出てくるし。今回は非常に格調高い文学調。ところでここ最近作画で活躍してた中島敦子さんは、この、中島敦から名前を拝借したのだろうか?はたまた本名が中島敦子なのだろうか?はたまた往年のギャグマンガの名作「マカロニほうれん荘(ふ、ふっるぅ)」の登場人物「中島敦子」から取ったのだろうか?少しだけ興味あります。この喫茶店場面で流れていたBGMは、劇場映画版第二作「ビューティフル・ドリーマー」においてやはり喫茶店で流れていたBGMと同じ(サクラと温泉の問答場面)。うーん、やっぱこの曲は喫茶店に似合いますね。場面は変わって、とある村のキツネとばあちゃんの昔話シーン。このばあちゃんによる「土星貧乏」発言及び、そのあとの「坊主にはちと難しかったかのう」という台詞は、当時本放送を見ていた兄貴のツボにはまったようで爆笑していた。どちらかというと「土星貧乏」自体ではなく、その後のリアクションに笑っていた。しかし。今回久しぶりにLDで見ていると、隣にいた嫁が「土星貧乏」発言だけで爆笑していた。おいおい。笑いのセンスが20年ほど遅れてるんじゃないか?我が嫁よ…。またこのばあちゃんによる昔話にでてくる登場人物は原作に非常に忠実で非常に好感が持てた。そしてこの後再びかかしの三四郎さんが登場。三四郎さんの登場はこれで終りだったかな?相変わらずインパクトの強い登場シーンだこと。しかし。このキツネのオリジナル場面が長い。校内仮装大会のエピソードなんて6分7秒しかない。全体の27%。私個人としてはこの仮装シーンをオリジナルでどーんと延ばして欲しかったのだが。個人的な感想ですけどね。その仮装シーンだが、やはりこういったシーンだからかモブシーンが非常に充実。エイリアンやスターウォーズのC-3PO、ウルトラQのカネゴン、ET、ナウシカ、鬼太郎、ネズミ男、ガンダム、サイボーグ009、大魔人等大挙出演。このナウシカは確か原作にもでてたよな。巨大耳と、巨大口の「なんか声が聞こえなかったか?」「空耳だろ」は原作どおり、爆笑もの。原作ではこのあと「しかしお前気持ち悪いな」という台詞があったが。また、「付き合いきれん」といいつつ、凝りに凝った歌舞伎の仮装をする面堂がお茶目でグー。あたるのモスラまがいの仮装も、とても個人で作ったとは思えないほどの出来。さらにあたるがラムに作ってあげた花魁仮装は完全に素人の域を脱していた。しかしいくらあたるに下心があったとはいえ、あそこまで完璧に作ったという事実は、ある程度ラムへの愛情もあったのではないかと邪推してしまう。この後の、あたるのナンパに対して崩れていくラムの顔はまさに原作そのもの。爆笑ものであった。また、竜之介の父によって飾られている真砂子の遺影(まだ死んでないけど)が、第170話通り仮面ライダーの格好していたのも笑いを誘った。芸が細かいんだから。そしてラスト。勘違いをして意気消沈と村に帰ったキツネの元に、しのぶからのマフラーが届き、大喜びするキツネでした。っておい!なんだこのオチは!!原作の、花嫁衣裳に変化する校長の爆笑シーンを削ってまでなんでこんなオチになるのだ?あまりにキツネにスポットがあたりすぎてないか!?キツネファンにとってはたまらないオチなんだろうけど。わたしも決してキツネは嫌いじゃないんだけど。校長の花嫁衣裳や、それに対する一般生徒のリアクションを楽しみにしてる私にはあまりに落胆する仕打ちだった。


第198話 しつこいっちゃ!三人娘の動物大作戦!!
放送月日 1985.9.25
脚本 曽田博久
演出 栗山美秀
原作 27-6、15-8
作画監督 林隆文
独断評価 ★☆
原画 露木進、土屋幹夫、むらきしんたろう、アニメ浪漫
田中真弓(竜之介)、安西正弘(竜之介の父)、池水通洋(温泉マーク)、三田ゆう子(弁天)、小原乃梨子(お雪)、しゅがー(TARAKO)、じんじゃあ(坂本千夏)、ぺっぱあ(鵜飼るみ子)、若本紀昭(美術の先生)、亀山助清、金丸淳一、柏倉つとむ、中村大樹
内容
(198話)
先代スケ番グループ(ラム、お雪、弁天)にせめて一矢報いようとした現役スケ番グループのしゅがあ、じんじゃあ、ぺっぱあの三人娘。今回はそれぞれのキャラに応じた動物で攻めていく計画を立てる。まずは弁天。彼女の留守中を狙って弁天のUFO前に終結、持参のタコを使い、タコ墨で弁天のUFOに悪口を書きまくる三人娘。意気揚揚と去ろうとしたときに弁天と遭遇。コテンパン(死語)に返り討ちをくう。次に向かうはお雪の海王星。お雪にも凍らすことが出来ない南極ペンギンを持参し罵詈雑言の嵐をくらわせるも、お雪の迫力に気合負け。ペンギンをプレゼントして彼女のもとを去っていく。そして最後に向かうは地球のラム。ちょうどその頃友引高校では写生大会の真っ最中。性悪ダチョウの与太郎君を写生する為、動物園を走り回る2年4組の生徒一同。この性悪ダチョウをみた三人娘、打倒ラムに利用すべく捕まえようとするも、2年4組の迫力に圧倒されてしまう。ボロボロになった三人は、夕方ラムを呼び出し、電気うなぎと対戦させる。特異の電撃を封じ込められたラムはついにうなぎに捕まって…。
感想
(198話)
本当にひつこい三人娘。第120話第152話第168話に引き続いて4回目の登場。全然成長の跡のないところが哀れである。私は本放送当時、結局最後まで誰が何と言う名であるかをはっきり覚えてなかった。今回の物語は、久しぶりの別個エピソード合体パターン。原作では全然違う話を一つにまとめていた。動物というモチーフで一くくりにしたのは功を奏したのではなかろうか?無理なくつながってたと思う。冒頭は、いつもの「先代グループお仕置きの図」。前回の先代グループのイラスト同様、今回の絵もほどよいディフォルメがきいていて上手である。誰が書いたかしらんが画才があるぞ。最初の標的は弁天。ラクガキ直後、弁天に発見され、タンコブだらけになりながら帰途につく三人娘。弁天による暴力シーンはカットされていた(原作も同様)。わたし個人としては、阿修羅と化した弁天のバイオレンスシーンも見たかった。ここまでボロボロになるような暴力というのはかなり凄惨であることに間違いなし。それにもめげずしっかりとした足取りで帰途につく三人娘も立派。次の海王星では南極ペンギンを出して「こいつを凍らせてみろ!」と豪語していたが、南極のペンギンであれなんであれ、生物である限り凍らないはずが無い。こいつら本当に義務教育をうけているのだろうか(そーいや、まだ中学生、義務教育は完了してない)?場面は変わって地球の友引動物園。友引高校としては珍しい、温泉以外の教師、美術教師登場。こいつがなぁ。またなぁ。異様にうっとーしーのである。何かとあらばひたすら「私は美術の教師であるっ!」の連呼。「繰り返しのおかしさ」というのもギャグの基本ではあるが、こいつの場合、全然芸がなく、ひたすら単調な調子での繰り返しだったのでギャグにもなってなかった。最後の方の連呼では怒りを通り越して哀れみすら感じたほどである。しかしこの人の声を良く聞いてみると。どうやら「サザエさん」のアナゴさん(多分若本紀昭氏)の声ではないか。サザエさんではあれほどクリーンな役柄(異常に唇が分厚いけど)なのに、うる星では完全に汚れの役。まさに人生万事塞翁が馬。こいつがクールに呟くたびに、アナゴさんの顔が浮かんでしまってかなり困った。ここから、ダチョウの与太郎と2年4組の生徒一同の追いかけっこが始まるのだが、今回絵柄が相当ヘン。物語の都合上、その他大勢の生徒キャラが大挙出演するのだが、その顔、あの顔どれをとっても全ていい加減な作画。更に、描写が異常に幼稚。カバの口の中に入ってしまった生徒の姿、大人数での走行シーンに浮かび上がる大量の砂埃、猛獣に追いかけられて、もろ手をあげて逃げまくる生徒の姿、ネズミ捕りにひっかかって涙するゴリラのリアクション、大蛇に巻き込まれて回転する3人の生徒の姿等、すべて大昔のギャグマンガのごとき描写。特にゴリラから逃げる三人娘の手足の動きとその効果音はまさにドラえもんの世界。あたしゃ情けなくて涙がでそうじゃたばい。勢いのないハチャメチャシーンほど寒いものはない。このパニックシーンだけはいただけなかった、ほんと。動物園シーンラスト、「(与太郎の絵を描かん限り)全員赤点じゃ!」という美術の教師の言葉を聞いた途端、一致団結して巨大与太郎図を書いた2年4組の生徒一同。なんの打ち合わせもせずに、全員同時にこの絵を書き始めるとは、なんという恐るべきチームワーク。そりゃ4年(なんで!?)も同じクラスにいると以心伝心なんでしょうなぁ。画用紙が59枚もあったのは愛嬌というべきか。内4枚は単なる白紙だったが、これで単位を貰えた生徒は僥倖といわねばなるまい。原作ではここで「素晴らしい中傷画だ!」と叫んで終わるのだが、この言葉のシャレ(中傷画→抽象画)はさすがにアニメでは無理だったようだ。この後場面は変わって友引町上空での、ラムと三人娘のバトルシーン。これは殆ど原作に忠実だった。ラスト、顔にペンキでラクガキされたラム、うなぎとともに網から脱出したとき、顔のペンキが消えていた。ま、こういう些細な事実を突っ込むのはもうよそう。ただ、しゅがあ。てめー自分で現像したなら、そこに何が映ってるのかぐらい確認しとけ!という突っ込みだけ入れさせていただこう。というわけで遂に第8期も終了。第8期がこのエピソードで終りというのは、少々淋しいものがあるが、これから遂にラストの第9期に突入である。ちなみにこの第8期、うる星始まって以来、一度も中止をはさまなかった。大概4〜5話は特番や野球でつぶれていたのに。4月からこの9月まで毎週必ずうる星が放送されていたのである。うーむ。地味ながら結構凄い記録だと思いました。


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