「画」について


No.1
2002.3.7
ゆたんぽ氏

「『画』について」
大方の漫画家は初連載頃の画と比べると、2作目の画で大きく変化・進化していくものです。
ところが〔うる星やつら〕に関しては、初連載がいきなり長期連載となり、平均的な作品のおおよそ3〜5作分は、その分量があります。
そこで前期・中期・後期と分けて考える場合もあるのですが、それすらもストーリーを重視するかキャラクターの肉付けを重視するかで変わってきます。
今回は画を重視して分けて考えていきます。(連載順です。コミックは多少入れ替わりがあります。)

第1期 〔かけめぐる青春〕〜〔勇気があれば〕
ストーリーの展開次第で、ラムちゃんが降板することもあり得た最初期。
そのせいか小さなコマでは、やたら省略され眼のみで演技しています。(NbU様、渋い!)

第2期 〔トラブルは舞い降りた〕〜〔3人サクラ浮気の構図〕
まず連載第1話は面堂初登場のお話だった事はご存じだと思います。
この辺りで作品のベクトルが決定されたのはほぼ間違いないでしょう。(あたるとラムの鬼ごっこ)
そしてそのベクトルは最終回まで同じ方向を向いたままなのですが、芯となるコメディを演ずるキャラの絵柄がギャグと密接な関係を紡ぎだし、それが完全にマッチしたのは〔デートとイルカと海辺の浮気〕です。
試しにその前話となる〔3人サクラ浮気の構図〕までを〔トラブルは舞い降りた!!〕から順に観ていくと、ここまで一つの方向で画が完成されていくのが解ります。
あの頃のギャグが一番面白かった、と言えばこの辺りを指します。
普通の漫画家なら、ここで1作目が終了でしょう。

第3期 〔デートとイルカと海辺の浮気〕〜〔愛と闘魂のグローブ〕
最大の特徴はラムちゃんが2ランクほど美人になります。他のキャラも顔つきが変わります。
女であって男を演じる?竜之介が登場するため、キャラの描き分けが完成された時期です。
ここは後の分け方が人によって変わります。人によっては〔蒼白き炎の怒り〕や〔変身スプレー〕でしょう。
(deacon様の目利きも鋭い。)

第4期 〔蒼白き炎の怒り〕〜〔妻は面影の中に〕
泣き顔、困った顔…それまでやきもちを焼いて怒った顔か軽い笑顔ばかりがほとんどだったラムちゃんの表情にバリエーションが増えます。(まれにポ〜とした顔がありましたけどね。)
線の強弱も微妙なタッチで、特にアップの時の〈顔の輪郭線〉はこの時期だけのものです。
若干視点の変化が入ってきます。(私が指していたのはここです。)

第5期 〔夢で逢えたら〕〜〔極彩のペアルック〕
いわゆる完成期です。一番人気があり、誰しもが〈うる星〉と言われて思い描く画です。
ますますタッチが繊細になります。コマ割への挑戦が感じられるお話もあります。
北条司先生に喩えるなら〔キャッツアイ〕が第2期まで、〔シティーハンター〕がこの第5期までに当てはまると思います。

第6期 〔別世界への招待〕〜〔最終話〕
ラムちゃんが大人っぽくなってきます。髪の描き方に変化があります。前髪のやや上。はみ出た一房に注意。
ある意味〔うる星〕との別離を意識した画だったとも言えます。
この後、〔らんま〕で取材やデータ収集を重ね、連載中に数々の実験を繰り広げます。
それは中国の墨絵から得たであろう遠近法や、アニメ的な強弱のないタッチですね。
それまで俯瞰や鳥瞰をあまり描かなかった先生が、〔らんま〕ではけっこう取り入れています。
キャラを見つめる読者視点も、水平だけでなくこの俯瞰や鳥瞰が増えています。
そしてこれらが結実するのが〔犬夜叉〕なんですね。(ホントは人魚シリーズでほぼ完成しているし、らんまには迷いを感じる。)

参考HP おたきんぐ 岡田氏のページ
http://www.netcity.or.jp/OTAKU/okada/
(注:この人、コミックの巻数を間違っています。)
>高橋留美子のラムちゃん自体がどんどん変わる。
>連載当初はペン先の強弱が強く、やや劇画調で殺伐とした印象だったのが、徐々に強弱がなくなってくる。
>小学館コミックス版『うる星やつら』25巻から35巻ぐらいがいちばん人気のある絵だ。
>ペン先に微妙な表情があるといわれている。
上記のHPはとても勉強になりますので、一度訪れてみて下さい。


 
NO.2
 レス・

 
2002.3.7
 素人氏

 「
個人的には最初の方の画が好きです。なんかラムが妙に色っぽいというか・・・
怒った時の口の感じとかいいですね。
ただこのときのチェリーはほんとに気持ち悪い・・・
後の方っのチェリーは体が小さくなっているのに対して
この時は体が普通の大きさなのが妙に生々しい感じで・・・


 
No.3
 レス・
 2002.3.8
 NbU氏

 
「ラム♪」
なるほど、なんとなく感じていただけの変遷も落ち着いて分析されると興味深いものがありますね。「画」による期わけと「ストーリー」によるものとで違いが出るとのご指摘も頷けます。私は「ストーリー」というか、物語の構図から眺めていたので「画」の変遷に不連続線を見ていませんでした。印象強いカットのあるお話(「辛いキャンプに明日はない」とか)で、あぁ、変わったなあ、とか思うくらいでした。
私がラムでイメージするポーズのひとつに、かがめ気味の身体の前に両手を下げている(下に突っ張ったり、だらりとしたり)というのがあるのですが、(表情とあわせて結構好きです。小コマでほったらかされている時なんかにありがちでした。私の起源説もこのイメージの影響があるかもしれません、クラゲみたいでしょ)後半では、見られなくなりました。そういうのもキャラクターの確立とか、作劇作画の変遷によるものなのでしょうかねえ。
学生のころ、まね描きをしやすかったのは最終期、線が多いですから(でも、その線がまるで出せなかった)。


 No.4
 レス・
 2002.3.8
 ゆたんぽ氏

 「補足」
あの2期の部分だけかなり長いでしょう? 
ギャグの王道を突っ走るそのコンセプトが同一ベクトルなので私はあのようにしていますが、
〔台風は楽し〕〜〔薬口害〕あたりで分けて、全部で7期とする場合もあるようです。
分ける目安となるお話にどれを持ってくるかには、人それぞれ異論はあると思いますが、少なからず私の知っている情報と私が考えている事を合成するとああいった形になりました。


 No.5
 レス・
 2002.3.8
 deacon

 「レス」

すすすすごい…。
これほどまで詳細に時期を分けて考察されていたなんて…。
私なんか初期と後期くらいしか見分けがつかなかったのに。
でも読んでみるとなるほど合点が行くことがおおい!さすがです。
確かに第3期のラムちゃんは美人になった!
16巻から22巻あたりの絵は、やや丸みを帯びて可愛さがアップしたように感じました。
そして最終期。
(あ。ラムの顔が大人になった…。)最終回も近づいたある日、サンデーを読んでいた私は、
ふとそれに気づいたのです。
シリアスなシーンが多かったせいもありますが、それだけではない、一種の雰囲気を感じ取りました。
そして最終回を確信した私は、当時私と同じくらいうる星を大好きだった友達に、
その悲しい知らせを伝えたものです。ああ。懐かしい。


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