また、私は無謀な事をしようとしているのか!

てなわけで二年間のブランクから帰ってきました管理人のdeaconです。
またこいつは突拍子もないことをはじめるつもりか!と思われるでしょうが、ご安心を。とりあえず、うる星やつら掲載当時のサンデーについてのみ語りたいと思います。さすがに500冊近いサンデー全部について語る力はありません。
以前、私は「裏番データ」と称したコンテンツを完成させました。そこに必要になってくるのは当時の新聞テレビ欄データです。
幸いなことに、当時私が住んでいた福岡には、大きな図書館があり、縮尺版朝日新聞データを活用することが出来ました。
活用することが出来たといっても、抽出するのは一個人。膨大な時間を費やしたものです。それが完成したときは、「もう、この図書館には抽出するデータもなかろう。」と安堵したものです。
ところが。私deaconが突然東京へ転勤することになりました。東京。そう、あの

国会図書館

がある東京です。国会図書館。これまで出版された書籍全てを網羅しようとしている図書館。福岡にいる時は、この図書館の噂を聞き、(ああ、コミックス未掲載のブラックジャックとかがみれるのだなぁ、羨ましいな。)と思っていたものです。それがいまやいつでも見れる環境にある!

さらに!

うる星やつらがはじめて掲載されたサンデーをみることもできるのではないか!と気づいてしまったのです。
ああ、気付かなければ良かった…。
しかし、生来の好奇心に打ち勝つことは出来ませんでした。
近いといっても、福岡から通うことに比べば近いというだけで、私の家からはドア・ツードアで2時間弱の距離。
当然仕事中に閲覧するわけにはいかないので、休日を利用するしかありません。休日に2時間かけて国会図書館に通う自分の姿。想像するだけでぞっとします。ですから、今回は、うる星やつらが初めて掲載された当時にのみ絞って、考察を重ねていきたいと思います。

ただし。

ここで語るのは、あくまでサンデー本体についてです。うる星やつらの原作の内容については一切触れないつもりなので悪しからず。

それでは。ぶわーっと行ってみようか!


初掲載号 39号
発売日 1978.8.30
表紙 スペオペ宙学、うる星やつら、がんばれ元気、おやこ刑事(でか)
総ページ数 300ページ
掲載漫画タイトル
(掲載順)
がんばれ元気、スペオペ宙学、赤いペガサス、まことちゃん、
男組、おやこ刑事、うる星やつら、ヒットエンドラン、できんボーイ、
プロゴルファー猿、英雄失格、ダメおやじ、サバイバル
定価 150円
記念すべきうる星やつら初掲載サンデー。震える手で係りの人から受け取る。周りで閲覧している人の大半は初老の方だ。なにやら難しそうな医学論文雑誌やバックナンバーを抱え、何故か苦虫を噛み潰したような顔でカウンターに並んでいる。その中でやたらカラフルな(しかし異常に古い)少年雑誌を嬉々として受け取る30代半ばの男(俺だな)。完全に浮いていました。
 何冊かのサンデーを抱え、近くの空いているテーブルへ移動する。休みの日だからか、結構人が多い。出来れば同年輩との同席は避けたい。頭髪が薄くなったおっさんの近くに陣取る。椅子にすわり目を閉じ息を整える。そしておもむろに瞳を開いた。

う、うすい!

本当に薄いのである。総ページ数300ページ。ちなみに最新号のサンデーは490ページもある。まぁ、最近の週刊誌のページ数が異常なのであろう。私がサンデーをリアルタイムで読んでいた時期は1985年から1989年ぐらい。その当時は400ページくらいあったように思う。それから比べても、この300ページというのは薄いという印象が強い。
表紙は、この前の号から連載が始まった永井豪氏による「スペオペ宙学」。なんと5週連続カラーであった。いかにサンデーが永井氏に期待していたかがわかる。そしてこの号から連載が始まるうる星やつらは、表紙全体の十二分の一くらいの大きさで描かれている。あたるとしのぶの二人。ラムはいない。その下にがんばれ元気、そしておやこ刑事のイラストが載っていた。
あたるとしのぶの上に、「うる星やつら」のロゴ、そしてロゴの上に「新人賞作家ハッスル新連載!!」の文字が。
新連載なんだからもうちっと大きく掲載してほしかったなぁ。まあ、相手は永井豪氏であるから、当時のネームバリューから考えれば当然か。
 表紙を開くと、いきなり三菱フォークリフトの広告が。なんたるアンマッチ。この広告をみて、「このフォルムがたまらん。」と頷いてくれる子供も少しはいたのだろうか。
 グラビアは「廃品バイク 海中を走る!!(サンデーアイデアアドベンチャー)」と題した5ページの4色カラー企画。最初見た時は、海中に捨てられた夥しい廃品バイクを嘆く社会派ドキュメンタリーかと勘違いした。実際はどこぞのおっさんが廃品のバイクを改造して海の中を走るという企画であった。P6、P7は今でもあるかもしれない、楽器と釣り道具の通信販売のページ。P8はギターの通信講座のページ。70年代どまんなか!というロンゲの兄ちゃんが足を組み、ギターを抱えつつ、澄んだ瞳でこちらを見ている。その上には「ギターを弾いてさわやかな愛を語ろう!」の文字が…。21世紀をむかえたこの世において、こんな兄ちゃんに迫られた日にゃぁ、ヘタな怪談よりこわいぞ。
 そしてP9から2色の「がんばれ元気」がはじまる。「元気」が終わると、P31には「フジテレビアメリカン大リーグアワー」の広告が。なんとこの当時も大リーグを放送していたんである。月曜日の20時からと日曜日の13時から。そこに写るはメジャー通産4256安打を放った現役のピー○・ローズの姿。ああ。まさかこの人も11年後に野球賭博疑惑で球界追放になるとは思っていまい(当然だが)。P32はボディビル商品の通信販売広告。親に内緒で購入してしまい、商品の外な大きさと値段に途方に暮れた子供も沢山いたであろう。P33から表紙の「スペオペ宙学」が。P42まで二色が続く。P43から単色のスペオペ。P63から「赤いペガサス」。そしてP81から「まことちゃん」。P96は「サンデークイズ」。P97が「男組」、P117から「おやこ刑事」。そして。
P139からうる星やつらが始まるのである。ああ!感動の第1話…。しかし。タイトルロゴが思いっきり変。なんと形容すればいいのか。いまのうる星のロゴとは全く違う。なんというか、筆で書きなぐったかのような印象を与える。たしかこの作品は「SFドタバタギャグ」(このサンデーの表現もなんだかなぁ。)だったはず。これではまるで時代劇ではないか!創成期においてはこのような齟齬も生じるのであろう。ただしそういったロゴでありながら、「星」の「日」部分は☆になっていて違和感たっぷり
 次に表紙見出しについて。まず、上部に「爆笑モンスターギャグ」との文字。そして「新人賞入選作家堂どうの新連載 奇妙きてれつ痛快無比!期待の新鋭がはなつ爆笑ギャグ!!」と怒涛の如く続く。表紙をめくって最初のページのハシラ(欄外)には「(ハートマーク)大爆笑必至!まんが界の注目を一身に集める期待の新人賞入選作家がはなつ意欲新連載!!」の文字。その次のページ、即ちP141は作者高橋先生の言葉。さすがにこれは諸々の問題がありそのまま写すことはできない(そんなこと言ったらこのHP自体成り立たないのだが・・・)。ニュアンスだけ伝えるなら、かなり不安をもちつつ、一生懸命頑張るという感じか。また上部欄外には、偶数ページおいては「なんとシビレる爆笑モンスターギャグ うる星やつら」、奇数ページにおいては「この新連載は100万ボルト」と記載されている。まだ第1話においてはラム自体は放電していないという事実を考えてみるとなかなか興味深い記述だ。P151のハシラには担当記者の言葉が。これは無論、当時高橋先生の担当だった三宅克氏のものであろう。「不思議な世界…ちょっぴり変わったお話が身上の高橋先生。この『うる星やつら』では、先生の持ち味をいかんなく発揮!次からつぎへとまき起こる奇妙キテレツな大事件がきっと読者を楽しませてくれるハズ。ユーモラスなこの新連載、ご声援心よりお願いします。」とある。そして最終ページP163ハシラには「(ハートマーク)ああ不運なさだめに泣く諸星くん!次週には、きっといいことが…!?」との記述。「諸星くん」という表記にやはり違和感が湧く。
 P164は少年サンデーコミックスのお知らせ。当然うる星の記述は無し。P165から「ヒットエンドラン」、P184,5は「サンデーギャグポスト」。サンデー読者による投稿小話が掲載。P186は松本零士氏作ビッグデラックス「ザ・コクピット」の宣伝。懐かしいなぁ。P187から「できんボーイ」、P201は「第3回小学館新人コミック大賞作品の募集が。P202は隔週刊雑誌「マンガくん」18号の宣伝。水島新司氏の「球道くん」や、藤子不二雄F氏の「エスパー魔美」なんかが掲載されていた雑誌だ。「マンガくん」は1976年に創刊、1979年に「少年ビックコミック」に改称、更に1987年、「ヤングサンデー」に改称、1995年に週刊化された。「少年ビックコミック」時代にはあのあだち充氏による「みゆき」も連載されていた。現在の「ヤンサン(ヤングサンデー)」の前身であるというのが少し驚き。しかしネーミングは「マンガくん」。部数低迷の全てはここにあったのでは…。P203から紙の色が黄色に変わる。「埋もれた古代都市」全6巻の第1回配本の広告だ。なんと出版は集英社。今でもこのようにライバル出版社の広告を出すことがあるのだろうか?9/12の第1回配本分は「アジア文明の道 NHK文化シリーズ」となっている。渋いねぇ。当時のサンデーの読者層の厚さが窺えます。P204,5は「小学館文庫」の広告。P206からは「プロゴルファー猿」。この独特の黒い雰囲気は未だに新鮮な感覚を醸し出しています。P225は「FMレコパル」の広告。おおお!これも懐かしい雑誌だ!1974年に創刊され、後に「レコパル」と改称したが1995年に休刊となってしまった。「FMレコパル」の下には「The Music」9月号の広告。この雑誌は知らんなぁ。見出しに「2年ぶりニューアルバム発表直前!イーグルス」とある。2年前となると1976年なので、2年前のアルバムとはあの歴史的名盤「ホテル・カリフォルニア」の事であろう。P226,7は「「頭の特訓」虫の巻。虫についての薀蓄だ。蝶の数え方が、「1頭、2頭」とは知らなんだ。ってこれただの知識じゃないか。「頭の特訓」というよりも単に記憶の問題か?P228,9は9/6発売のサンデー40号の予告。右上に「人気爆発!!新連載第2弾『うる星やつら』」「不運な星の下(!?)に生まれた諸星中(あたる)少年。またしても奇々怪々な悪魔にとりつかれる!!怪調!SFドタバタギャグ!!」とある。連載第一弾の雑誌に早くも「人気爆発」の文字が。これって昔から疑問があった。翌週にこう書かれているなら子供くらいなら騙せるが、一発目の号からこの記載はまずいのではないか?JAROには内緒にしておこう。それに当初は「中」という表記だったんだなぁ。やはり江川投手の弟の名前から取った為であろうか?P230は「34号プレゼントクイズ当選者発表!!」、P231は、梶原一騎原作、やまざき拓未氏画のサンデーコミックス「英雄失格」の広告。P251〜P255まで、サンデー情報パック。ビックリジョークトイ大図鑑として、左回転時計やバネで飛び出る目玉(¥1,200)等ビックリ、ガックリな商品が目白押し。P256,7は「野球エキサイト!」。当時のプロ野球人気はまだ下火になっておらず、12球団の情報が記載されていた。しかし、数多いる大手新聞雑誌記者に混じり、「少年サンデーです!」と名乗るのは若干の勇気がいたことであろう。その中の記事で一際目立つのが、「ダメ虎阪神に残された道はこれだ」。当時既にダメ虎であった。まだ田淵がいたんだけどなぁ。曰く「ベンチで煙草を吸う」「(緊張感がなく)和気藹々」「二軍丸坊主」等、ろくな記事が無い。そんでもって、少年誌から「残された道はこれだ」といわれる阪神って…。つくづく浮かばれません。P258は当時ヤクルトコーチであった、森氏による「名プレーヤーへの近道」。P259はポスターやSF関係の本がメインの「プレゼント」。P260,1は車の記事。「いよいよディーゼル乗用車時代に突入か!?」。いやいや、今は全廃の方向に向かっています。P262,3は「宇宙プラモプレゼント」と題して、スペースシャトルの予想モデル等の広告が入っている。スペースシャトルの初飛行は1981年4月12日。つまりこの2年半後だ。夢が夢であった時代です。P266は目次。上から3番目に「新人賞作家新連載」の文字が。その右にイラスト。「編集室だより」は以下のようになっている。「”まんが界期待の大型新人”と話題の主は、なんと花の女子大生作家、高橋留美子先生(太字)。はやくも先生のとりこになった読者の方から”連載して〜っ”て声がしきり。ついに堂どうの新連載が実現しました。ユニークな着想と、やさしいペンタッチで不思議な魅力を発揮する先生。『うる星やつら』(太字)をひっさげて本格的なデビューです。みなさんのご声援をお願いします。(M)」。このM氏は当然担当記者の三宅氏であろう。当時のサンデーの高橋先生に対する期待の大きさが窺える。P267から紙の色が緑色に変わり、「ダメおやじ」が掲載。P279〜P298が「サバイバル」。しかしこの作品も今読んでみても面白い。さすがさいとうたかを先生だ。「サバイバル」の最終ページの次はいきなり裏表紙の見返し。そこにはカラーでモデルガンの通信販売広告が載っているのだが…。規制の真っ只中だったようで、銃身が殆ど真っ黄色。カッコ悪いこと夥しい。これではガンマニアの食指も動かなかったであろう。こんな気色の悪いもの、部屋に飾るわけにもいかないしね。お上の統制はいつの時代も何かがズレている。そして最後の裏表紙。当然4色カラーで、レーシングカー模型の広告だ。1978年に発売されたマツダのスポーツカー(だと思う)。1/20スケールである。記載されてある(有)アオ○マ文化教材社は今も健在なのであろうか?
 てな訳でこれにてうる星やつら短期連載第一弾掲載サンデーの紹介はおしまい。当然のことながら、27年という歴史を感じさせる雑誌紙面であった。私が注目したいのは、当時の連載漫画のみならず、広告やその他記事にあった。そこには当然ながら普遍性の必要はない。つまり、一番時代を反映させているものが描かれているのである。当時の少年がどんな情報や商品を求めていたのかが一目瞭然である。プロ野球、プラモデル、スポーツ器具、怪しげな通信教育。そういった時代背景の中で始まった「うる星やつら」。皆さんはどういう感想をもたれましたか?(以下続く?)



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